シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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プロローグ チュートリアル
プロローグ


 

「………ふぅ、今日も残業か…まぁ、幸い…大した量でもない。さっさと終わらせてしまおう」

 

小さくため息をつき、仕事に集中する

私…錠前サオリは、道を誤った所を先生に救われ、【答え】を探し、様々な事を経験し…月日は流れ…大人になった

私は、普通に息をして、普通に日々を過ごしている

黙々とキーボードを叩き、仕事を終わらせて、帰路に着く

今日の夕食は適当なもので良いか…等と考えていたその時、微かに悲鳴が聞こえた

 

「…悲鳴……?」

 

何かがあったのかと悲鳴が聞こえた方向へ走り出す

 

「誰かっ!助けて!!!」

 

3名程の生徒が、空間を裂いて出現している穴のようなものに吸い込まれそうになっていた

 

「ッ…!なんだ……あれは…!」

 

辺りの空気すら吸い込み、酸素が薄くなっているのを感じる

感じた事のある異質な気配。そう……あれは…

 

「ぐっ…考えるのは後だ!お前達!しっかり周りの物に掴まっていろよ!」

 

「「は、はい!」」

 

そう、疑問を抱くのは後で良い。まずは彼女達を救出しなければ…!

吸引に逆らい、一歩ずつ足を踏み出す

戦闘をよく行い、鍛えているのなら動けるだろうが、彼女達はあまりそういう荒事は得意では無さそうだ

 

「手を!」

 

「〜〜〜!!!」

 

精一杯伸ばされた手を掴み、此方に引っ張って抱き抱える

 

「一人目……!他の頼れる大人を呼べ!えーっと、シャーレの先生、知っているだろう?手早く連絡するんだ。すぐ来てくれる」

 

コクコクと頷く彼女の頭に「任せたぞ」と手を置き、私は二人目の救出に向かう

二人目は、辺りに掴む物が無いらしく、コンクリートに必死に突っ伏して居た

地面を踏み締め、ゆっくりと近づいて彼女を拾い上げる

突然の事態に、困惑と恐怖で泣きじゃくっていた彼女を落ち着けるために声を掛けつつ離れた場所へ運ぶ

 

「もう大丈夫だ、ほら、彼女と一緒にここで先生を待て。いいな?」

 

私の言葉に頷いた彼女は、救出した一人目の子と友人だったようで、お互いの無事を泣いて喜んでいた

 

「す、すいません……もう一人の子も…お願いできますか……?」

 

どうやらあの三人目も、友人のようだ

潤んだ目でそう頼み込んでくる彼女に笑いかける

 

「当然だ、任せろ」

 

そう言って三人目の救出に向かった

 

「ど、どうしてこんな事に…ひっ!」

 

三人目の彼女は、一番穴に近い場所に居た

様々な物が飛び交い、彼女は飛んでくる物にぶつからないように必死に小さく縮こまっていた

あの子、見覚えがある

シャーレのコンビニ、そこにいつも居る店員だ

中学生の頃から、高校生になってもまだあそこで働いているのを見たことがある

 

「少し待っていろ!そこから動くなよ!」

 

「は、はいっ!」

 

声を掛けつつ、そこへ足を踏み入れる

 

「ぐっ…」

 

色んな物が私の服を切り裂き、肌を傷つけるが、軽症だ。どうって事はない

 

「手を……伸ばせ………!」

 

「ッ…!!!」

 

伸ばされた手を掴み、此方に引っ張る

 

「よし!出来るだけ体を小さく抱え込め!」

 

小さく縮こまる彼女を抱え、飛来してくる看板を蹴りで弾き飛ばし、ガラスの破片をこの身で受ける

 

「もう……少し…!」

 

「危ない!!!!!」

 

「……ッ!!!」

 

後頭部に何かが直撃した

視界がぐらつき、意識が朦朧とする

傷は浅いが…脳が…揺れて……!

せめて………この子だけでも…!

 

「皆!大丈夫……ってサオリ……?!」

 

先生だ……ならば、私がやれる事は…!

 

「すまな…い、少々…雑に……なるぞ…!」

 

「……へ?」

 

「先、生……!受け止めて…くれ…ッ!」

 

精一杯の力を振り絞り、彼女を投擲する

吸引力に逆らい吹っ飛んでいく彼女を先生と一人目の救出者、二人目の救出者が受け止めた

 

「…これで…良い…。先生…すぐに離れろ…」

 

意識が消えかけ、力が抜ける

地面から足が離れ、身体が宙に浮く

終わり……か

先生が何かを叫んでいるが、聞こえない

あぁ、そんな顔をするな、先生

もう私はあなたの生徒ではない。それに……

これは、この行いは、きっと、間違いじゃない

すまない、姫、ヒヨリ、ミサキ、アズサ。

穴に吸い込まれ、閉じていくのが視界に映る

私一人で気が済むのなら、持って行くがいい

そうして、私の意識は、身体は、闇へと落ちる

 

光が、輝きが、私を包む事を知らずに

 

花のパヴァーヌ編一章を飛ばしてエデン条約編を進めて良いか(パヴァーヌ編は一回飛ばすことになったらエデン条約編の後に一章、二章と続けてやります)

  • だめです!!!!!!!!!!!!
  • いいよ!!!!!!!!!!!!
  • 本編の順番通りがいい!!!!!!!!!
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