シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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補習授業部と、関わり始めた頃の夜
眠りにつく私はいつもとは違う、奇妙な感覚に包まれ…慣れない感覚の筈なのに、瞼を開けることも出来ずに意識を闇へと落とした


《友達》

 

「ぅ…ん……?ここ…は……」

 

私は目を覚ます。見知った天井…いや…ここは…前の世界の…私達の家の…リビングか……?

 

「わたしは…先生で……」

 

「サオリ〜〜〜〜〜!!!!」

 

起き上がった私に後ろから抱きついてくる人が一人

この声は…

 

「良かった…夢だったとしても、また会えて…何処に行ってたの……」

 

「…ミカ。…あぁ、そうか。これは…また……いや…すまない、心配をかけていたようだ」

 

私の友人、聖園ミカだ

一度、こんな夢を見た。姫達と会うことが出来たのだが…今回はミカと会う事が出来た

正直、心から嬉しい

夢なのは分かっている。けど、私には彼女達は本当に、私が知る彼女達だとしか思えない

なら…そう信じさせてもらおう

あの時より意識はなんだかはっきりしている。慣れ…なのだろうか

 

「ふ、ふふふ……よ、ようやく目覚めたようね、我が便利屋68名誉社員、サオリ!」

 

「さっきまでそこで寝てる錠前サオリに抱きついて「良かった……!」って泣いてた癖によく言うわ…久しぶりね、錠前サオリ」

 

「ちょっ!?風紀委員ちょ…じゃなかった、空崎ヒナ!?それは言わないでって言ったのに!」

 

「あと私と聖園ミカに挟まれてさっきまでプルプルしてた」

 

「ちょっとぉ!?」

 

ふっ、と軽く笑う空崎ヒナと涙目になる陸八魔アル

 

「アル…空崎ヒナ…」

 

なんとも奇妙な組み合わせだ

しかし…私の大切な、友人達だ

 

「あぁ…久しぶりだ…っ…」

 

何故だか、涙が溢れてくる

姫達に会った時は、気を張っていられたのに

 

「……友人にしか、見せられない姿というものもあるものよ、サオリ」

 

「……そういうもの…か…まだまだ、アルには教わってばかりだな…」

 

「いっぱい、お喋りしようよ、サオリ」

 

「あぁ、話したい事が…沢山ある」

 

「喉が渇くでしょ、なぜか持ってたティーバッグ、使うと良いわ」

 

「私も…コーヒーを振る舞いたいと思っていたんだ」

 

テーブルを囲む4つの椅子にそれぞれ座り、私達は再会を喜んで会話に花を咲かせる

 

─────────────────────

 

涙も落ち着き、冷静になった後、私に起こったことを説明した

 

「そういう事で、私は今、シャーレの先生として働いているんだ」

 

「ふ〜ん…サオリが先生ね……これやばいんじゃないの?」

 

最初から遠慮も無くそんな事を言うミカ

 

「失礼な。何が心配なんだ」

 

「それはもう無意識にイケメンムーブして生徒達を虜にしまくっちゃう事でしょ。サオリは知らないだろうけど、先生の助手してる時のサオリに助けられて〜とか、サオリが担任を請け負ってたクラスの5分の1がサオリの事好きになっちゃった、とかいっぱい聞くよ?」

 

…………はい?

いや…それは…それは流石に誇張し過ぎだろう!?

 

「いや……それは流石に冗談だろう。その、ありがたい事に私にプレゼントだったり…その、そういう気持ちを伝えてくる生徒も時々いたが…大体は私が助けたから…その感謝とかの感情を勘違いしているか、一時の気の迷いだ。何にしろ、私よりも良い人は沢山居るだろうし」

 

「ほらクソボケ〜〜〜鈍感〜〜〜女の敵〜〜〜!」

 

そう言ってため息をつくミカ

 

「ぐ…事実だから仕方ないだろう。私は目つきも悪いし、その…少々筋肉質だし…性格は…今は良く在ろうとしているが…」

 

「その出るトコ出ててる癖に全体的にはしっかり引き締まった身体で言われてもねぇ?喧嘩売ってると思われても仕方ないよ?」

 

ぶーぶー文句を言うミカ

 

「じ…じゃなかった。サオリ、貴女は完全にシャーレの先生に向いてるわ」

 

そう言って頷く空……いや、ヒナ

先程、「フルネームで呼ぶのは面倒だし、ヒナと呼んで。私もサオリって呼ぶから」と言われたので、下の名前で呼ぶ事にしたのだ

 

「………?」

 

アルは私の隣で首を傾げている

 

「貴女はそっち(鈍感)側か…」

 

「まぁ、似たようなタイプだよねアルちゃん」

 

ゲヘナ嫌いは大人になってだいぶ落ち着いたとはいえ、完全に消えたわけではないミカだが、アルとは何故か親しげに接している。反応を面白がっているのだろうな

アルはどちらかというと確かに善ではあるし…

…以前怖いからどうにかしてくれと泣きついてきたが…

ミカを止めるなんて無理だ、と断ったな

 

「な、何?!なんで皆して私を見てるの!?」

 

そんなアルの悲鳴が響いた

 

─────────────────────

 

「へぇ、ヘイロー無くなっちゃったんだ。そういえば無いね。つまり、先生と同じ耐久力と筋力って事?」

 

ミカの質問に答える

 

「そうだな。まぁ、筋力は技術でカバーできるが、問題は耐久力だ。流石に一つのミスで瀕死なんて無謀な事はやっていられないからな。大人しく後方で指揮をしている」

 

「それが良い。……気をつけてね」

 

心配そうな目線を向けてくるヒナに頷く

 

「あぁ、絶対に死にはしない」

 

ふと、アルが立ち上がって言った

 

「ふふん!護衛とか、戦力が必要なら、向こうの世界の私達を頼りなさい!お金さえ払えばなんでもしてあげるわ!」

 

「数回共闘したが、心強い戦力だったし、最高に格好良かったぞ」

 

「そうでしょうそうでしょう!」

 

にっこにこで上機嫌になるアル

アルの事は見ているだけで元気が出てくるな

 

「襲われないようにね〜?攻撃的な意味じゃない方で」

 

ミカがそんな怖い事を言う

技術で対抗できるとはいえ不利なのには変わりない

 

「一応、護身術は復習しておくか…」

 

─────────────────────

 

「うわ…エデン条約…そんな事もあったね…」

 

苦虫を噛み潰したような顔になるミカと一見気にしていないように見えても確かに眉は顰めているヒナ

そしてまたしても何も知らないアル

 

「……待って、つまりサオリはサオリに撃たれるの?」

 

コーヒーを飲みながらそう呟くヒナ

 

「何それ、カオス過ぎない?」

 

「流石に過去の私に遅れは取らないぞ」

 

瞬間移動して突然襲ってきたのならまだしも、普通に戦うのなら過去の私に今の私は負けない

 

「こういう所はちゃんと自信があるよねサオリ」

 

「私の唯一誇れるモノだからな。元々は、傷付けるための力…今は私の大切な人を護る事に使えるのだから、それは本当に嬉しい」

 

家族、友人、生徒

私の大切な人達を護るために私は戦う

その為に、この技術を使う

 

「…そっか、それじゃサオリ先生?あっちの私をよろしくね?」

 

そう言ってくるミカに即答する

 

「あぁ、任せてくれ。絶対に助ける」

 

「わーお。やっぱり先生に向いてるね、サオリ……ってあれ?これもしかしてあっちの私サオリに惚れる?」

 

ミカの言葉にヒナもハッとした顔をする

流石の私でもミカとヒナが先生にそういう感情を向けていることは知っているが……

流石に気まずい…と、言うわけでもないのだが…複雑な感情になる…

 

「そ、それは……いや、私だからな。ミカとヒナは先生が先生だから恋慕してるのであって、私となると話は変わってくるだろう。私は普段仮面もしてて怪しいし…」

 

そう、私には仮面があるからな

最初訝しんでいる分好感度が上がりにくい筈…

 

「……サオリ、私が一人で大怪我しながら死ぬ気で時間稼ぎしてたらどうする?」

 

「…?当然、身を挺してどんな手を使ってでも助けに行くが」

 

「…私が仕事に疲れて弱音を吐いたら?」

 

「労った後、休むように言い渡してその仕事を肩代わりするが。その後は待遇の改善の為に動く…という感じだろうか」

 

「「ッスー……………」」

 

(やばい、これあっちの私堕ちる)

 

(あの時の私なら…うん………)

 

目を逸らしつつ息を吸うヒナとミカ

………???

 

「流石サオリね!凄く良いと思うわ!」

 

「そうか?ありがとうアル」

 

そんな会話をしていると、ミカの手が私の肩をぽん、と叩き…

 

「が、頑張ってね☆」

 

「あ、あぁ…?先生の仕事は、頑張るが…」

 

────────────────────

 

「超今更だけどさ、ここ何?いや、アツコちゃんが言ってた通りの部屋なんだけど…」

 

「さぁ………?」

 

「見た目は、サオリ達の住んでるお家だけど…ドアは開かないのよね」

 

ふむ?気になる事を言っていたのでそれについてミカに聞いてみる

 

「アツコ達と会ったのは覚えているが…もしかしてアツコ達の方も覚えているのか?」

 

「うん、なんかサオリが夢に出てきて〜って言ってたよ?…正直、信じられてなかったんだけど、まさか今度は私達が当事者になるなんて」

 

まぁ、夢で行方不明者と話した…だなんて気が狂ったかと思ってしまうのは頷ける

 

「ふむ…なんで、こんな私が喜ぶだけの夢を…?」

 

そこが疑問だ

ちょっと得し過ぎているような………

 

「ほらあれでしょ、頑張ってるから、相応の報酬ってやつ?サオリがいつも言ってるじゃん」

 

「いや私はもう十分貰っているからな…?」

 

先生として当然の事をしているだけだ

これ以上の幸福は私の身に余る

 

「ま、貰えるものは貰っておくものよ、サオリ」

 

「そうよ!わざわざ拒否して無駄にすること無いわ!」

 

「そ、そういうものなのか…勉強になる…」

 

─────────────────────

 

アルのやらかしや、アビドスでの事、人質の子を助けた事、私が元いた世界の事等、色々な雑談をして、会話を楽しんでいたのだが…

ふと、私の身体が透け始めた

 

「…!サオリ!それ…」

 

ミカが透け始めた私の腕を指差す

 

「……なんだ、もう終わりか」

 

楽しい時間はあっという間だな

 

「行くのね」

 

飲み終えたコーヒーのカップを置いて静かにそう言うヒナ

 

「あぁ。夢は終わり、私は目覚めなければ。今の私はシャーレの先生。助けないといけない生徒がまだまだ沢山居る」

 

だから、休息はここまでだ

そう答える

 

「…ぐすっ……サオリ!困ったら、私達を呼びなさい!心の底から、貴女が望めば…私達も絶対に答える!きっと、力になるわ!」

 

ミカも、ヒナも、アルの言葉に頷く

 

「アル…ミカ…ヒナ……ありがとう…」

 

友人達の優しさにまた涙が溢れてくる

 

「サオリ!また、お喋りしよう!無事だって分かったから、私待ってる!あと…あっちの私まだ面倒くさいからよろしくね?」

 

「…あぁ、任せてくれ」

 

「コーヒー、美味しかった。……次も、楽しみにしてる」

 

「それは何よりだ、練習した甲斐があった。ヒナが選んだ紅茶も、美味しかったぞ」

 

「便利屋68自慢の名誉社員、サオリ!貴女ならきっと良い先生になれるわ!応援してる!」

 

「その期待に応えてみせよう、アル」

 

あぁ、私は幸福だ

今までの不幸なんてこの幸せと比べたらちっぽけなものだった

私は…疫病神なんかじゃなかった

別れの言葉を言おう。さよならではなく、再会を願う言葉を

 

「またな、皆」

 

「「「またね、サオリ!」」」

 

笑顔を浮かべ、皆へ手を振る

私の意識は再び闇へと沈んだ

 

─────────────────────

 

「……いい夢を…見たな。清々しい朝だ。ふふっ…コーヒーでも飲もうか…おや?大人のカードが…」

 

大人のカードが煌々と輝いていた

なんだろうと思って触れると、脳内に流れてくる情報

 

「…新たな力か……?いや大人のカードはまだ一回しか使ってないから持て余すぞ…?」




なんと100話目です……!
まさかここまで続けられるとは思っていませんでした!!!!!!
皆様、いつも読んで下さりありがとうございます!!!!!!!!!!!!
皆様のお気に入り登録や感想等のお陰でモチベが続いております!
これからもいっぱいください!!!!!
(承認欲求モンスター)
まだまだサオリ先生の旅路は続いていきます!
応援して頂けると幸いです!
読者の皆様へ安寧と幸福があらんことを!!!!

オリジナル生徒について!!!

  • 全然出していいよ!!!!!!!
  • 出さない方が好きだよ!!!!!
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