シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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先生と生徒

 

私は眼前の温泉開発部の集団に淡々と告げる

 

「立ち去ると良い。そうすれば、私は手を出さない。それでも尚、進むというのなら…容赦はしない」

 

ハッタリだ。どうあろうと私は手を出せない

いや、出そうとはしない

今はこんな状況だが、彼女達だって私の生徒だ

先生が生徒を傷付けるなんて、そんな事出来る筈がない

 

「ふ、風紀委員長……!?いや、違う、風紀委員長はあんなデカくない!」

 

「で、でも、明らかにヤバいって!も、もう今回は大人しく帰ろうよ!」

 

「バカ!アタシ達温泉開発部が温泉を前にして…!」

 

「でもあれどうすんのさ!なんかもう本能が勝てないって言ってるよ!」

 

「ぐぬぬ…!!!」

 

温泉開発部の子達はそんな様子で混乱している

早く………っ…早く、帰って欲しいのだがな…!

もう既に全身が悲鳴を上げている

当然だ、私の力に加え、キヴォトスでもトップクラスの力を誇るヒナの力を更に私の身体に上乗せしているのだから

予想通りだ、予想通りだが………

立っているだけでも……!キツいなこれは…!!

 

「う、うぉりゃぁぁぁぁ!!!」

 

一人がそう叫びつつ銃を乱射してきた

咄嗟に羽を大きく開き、全て私が受け止める

 

「なんだと……!?馬鹿な…無傷…!?こ、こんな防御力…それこそ風紀委員長しか……!?」

 

全て弾いたが…っ…!振動が全身に響く……!

激痛を表情に出さないように努める

痛みに耐えるために偶然、更に険しくなった表情を見て誰かがヒッ、と悲鳴を上げ、背中を向けて全力で逃げ出した

それを皮切りに、私に銃を撃った生徒以外の温泉開発部は全員次々に逃げ出していく

 

「あっ!お、お前ら!」

 

たった一人残された彼女は、それでも私に銃を向ける

 

「………残りは…君だけだな…もう一度言う。今は諦めて、立ち去れ…明日にでも…来ると良い…その時は邪魔をしないと誓う…」

 

「そ、そんな事………」

 

震える声と銃身。それでも彼女は逃げ出さない

腕から生暖かい液体が垂れている感覚

今のままでも肉体が耐えられないか…!

まずい、限界が近い

…………少々手荒になる、すまない

私は足に力を入れ、距離を詰める

ぐうっ……!速すぎる、制御が…っ…そうか、羽…!

巧みに羽を扱い、姿勢と速度を制御する

銃を蹴り飛ばし、羽で包み込んで拘束

 

「ヒッ…」

 

ガタガタと震える彼女の耳元で囁く

 

「……悪い子め。お仕置きが必要かな」

 

「ひゅ…」

 

息を吸うような音と共に彼女は気を失ったようだ

羽でそのまま支え、ゆっくりと地面に横たわらせる

息をつき、私はカードの効果を解く

 

「……【解除】…っぐぁ………ごぼっ…」

 

身体が重くなり、血を吐いて私も膝をつく

仮面が私の顔に出現し、ぴったりと装着された

出血していた左腕がダラリと力無く垂れる

その傷跡は、力の奔流に耐えきれなかったかのような、ヒビ割れだった

…力が、入らない…か。一時的なものではあるが…エデン条約までに治さなければ……

蹴り飛ばした彼女の銃が、バラバラに砕けている事に気が付いた

 

「…流石の、パワーだな……謝らなければ…銃も、弁償を…っ…ぐ…まだだ……動け、私……!」

 

右手で持ったハンカチで血を拭き取る

このハンカチは…もう使えないかもしれないな

 

「腕の事は……どう言い訳しようか…」

 

その辺りの事は考えていなかったな…

ただ、分かったことは、恐らく私の力を返すだけなら今の私なら数分は持つし、代償も遥かに楽になっている筈だ

ただ、皆の力を借りる…となると…それこそ一分持つかどうか……

体の慣れと私の体の頑丈さが問題だな

元となる【月司サラ】に【錠前サオリ】の能力を上乗せ、そしてこれからは更に一人、上乗せが可能なようだ

心から私が願い、それを対象が許諾してくれた時に発動するこの効果……

 

「神秘重装…か…」

 

そんな事を考えていると、廃墟の方へ置いてきたタイマーが鳴る

 

「試験、終わりだな……」

 

私はふらつきつつ、立ち上がる

ヒフミ達がテストを持って廃墟から出てきた

 

「「……!?先生!!!」」

 

コハルとヒフミが私に駆け寄ってくる

 

「…あの凄まじい気配、先生が………?」

 

アズサは私をじっと眺めつつそう質問してきた

 

「………」

 

ハナコは一言も発さずにテストの紙を見続けて…いや、睨み続けていた

 

「……先生のお馬鹿さん!さっき言ったじゃないですか!なんであの話をしたすぐ後にこんな事をするんですか!」

 

「……すまない…」

 

涙目になりなから怒るヒフミ

正直、返す言葉も無い

 

「う、腕が…!まだ血が出てる!すぐに止血しないと!な、何この傷跡…?ヒビ………?!」

 

まじまじと見られる前に私は少し大きめのタオルで腕をぐるぐると強く巻く

 

「大丈夫だ、死にはしない。さぁ、テストを持って帰るぞ………大丈夫。まだ、なんとかなる。いや、なんとかする」

 

最後の試験、第三次特別学力試験がまだ残っている

そこで90点を取れれば……!

フラフラと立ち上がる私

しっかり、しなければ…私は先生、なのだから…

 

「先生!」

 

「な、なんだ?」

 

少々怒りを孕んだヒフミの声に動きを止める

 

「先生は、生徒の為に頑張って下さります。それは、先生だから…サラ先生が、私達の事を導こうとしてくれるから…先生は、生徒を助けるものだといつも言っていますが、それと同じぐらい、当然な事があります!」

 

「………」

 

「大切な人を助けたい、という気持ちです!私達にとって先生はもう大切な人になっています!そうですよね、皆!」

 

「う、うん!」

 

いつもと違い、力強く頷くコハル

 

「あぁ」

 

静かに同意を示すアズサ

 

「はい♡」

 

普段の調子でニコニコしつつ頷くハナコ

 

「だから、私達を頼って下さい!身を挺してでも生徒を助ける先生を…助ける人が居ないだなんて、そんな事、私は許せません!言って下さい、痛い…って!肩を貸してほしい…って!先生も、私達の事を大切な存在だと思ってくれていますよね!なら、支え合うべきです!今回のテストは…駄目だったかもしれません。でも、私達…先生も含めた補習授業部全員が力を合わせればきっと、乗り越えられます!」

 

ヒフミの力強い言葉が私へ響く

彼女の言葉は、再び私に気付きをくれた

私の悪い癖だ、一度考えが固まると変えることが難しくなってしまう

それを簡単に、言葉だけで氷解させてくれる

……本当に、凄い

 

「………っはは…そうか…そう…だな。皆、本当に…すまない……う……腕が死ぬ程痛いんだ、手を貸しては、くれないだろうか」

 

声が、震えてしまう

脳裏に浮かぶのは、不安

頼っても良いのだろうか…私は先生で…

だが、そんな不安は必要無かった

 

「…はい!」

 

「うん!」

 

「あぁ」

 

「えぇ♡」

 

あぁ…大人だって、教わるものなのだな

 

"この先に続く未来には、無限の可能性があるんだから"

 

……私達は今も、未来への道を歩んでいる

きっといつか、先生のような大人になってみせよう

もっと、変わらなければな

オリジナル生徒について!!!

  • 全然出していいよ!!!!!!!
  • 出さない方が好きだよ!!!!!
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