部屋の鍵が開けられ…ティーパーティーの一人、拘束されている聖園ミカの部屋へと三人程のトリニティ生徒が入ってくる
「お待たせしました!もう自由です!」
「今の状況は把握されてますよね?今こそゲヘナを消し去る絶好の機会かと…!」
「さぁ、今すぐ宣戦布告をして、トリニティ全体に攻撃命令を───」
興奮気味で、饒舌に語る三人
しかし、ミカはその言葉を聴き、冷笑と共に言葉を返す
「そっか、良かったじゃん?私は今そんな気分じゃないし、勝手にすれば?そもそも、今の状況じゃ宣戦布告なんて要らないよね。なのにわざわざ私を引っ張り出して、代わりに怒れって何?」
トリニティの生徒達は予想外の言葉に数秒硬直する
「………な…何を……!?」
「気分…?この絶好の機会を…たかが気分でみすみす見逃すと言うのですか!?」
一人が銃に手を添えつつミカに詰め寄る
しかし、ミカは淡々と言葉を返し続けた
「『たかが』?何言ってるの、気分が一番大事でしょ?私は私の気分で、ゲヘナが嫌いなの。強制されるものじゃない。あなた達も嫌いなんでしょ?勝手にすればいいじゃん。矢面に立つ壁がいなきゃ自分の意志も貫けないし、何もできないの?命令されなきゃ、憎む事すらできないわけ?」
「…この…!言わせておけば……!!」
激昂した3人は、ミカを取り囲み……
「あー…もう…」
響く鈍い音と、銃声
「痛いなぁ……」
ミカが呟いたその瞬間、また違う声が響く
「な、何してるの!?」
ミカが目線を向けると…ドアの方向に少し前に見た顔があった。小柄で、小さな黒い羽
補習授業部の…下江コハルだ
「なんだお前は!!!」
「い、イジメはダメ!3人で囲んでこんな…!こ、こんなの、私が許さないんだから!」
部屋の中に入ってきたコハルは腕を精一杯広げてミカを庇うように前に立つ
「今の状況が分からないの!?」
「緊急の事態なのよ!?」
「退きなさい!!!」
強い語気に押され、少しばかり怯んだが、それでもコハルはその場を動く事はなく…
「い、嫌っ!」
そう拒否した
「…私は馬鹿で、政治とかなんとかは全然分からない…だけど、これは違う!こんなの絶対に駄目!」
声を張るコハルに、ため息をつきつつ
「………聞かないやつだ、それなら…」
一人が、コハルに向けて銃を構える
「待って、この子どこかで……」
一人のその言葉を無視して引き金に指をかけ──
その銃は吹っ飛んだ
「………何を、している?」
聞いた事がある筈なのに、聞いたことがないと錯覚するような冷淡な声
「…君達、少し……話をしようか」
コハルに向けられていた銃を蹴り飛ばした先生が、いつの間にかそこに立っていた
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…少々、遅くなってしまったか
途中、再びナギサから届いたモモトークでミカの事を聞いた時はどうなるかと思ったが……
ミカは脱獄などしなかった
まぁ、正直ここに関しては心配していなかった
それよりも………
私は3人の生徒に目を向ける
「…ひっ…」
一人がそう小さく声を上げる
…怖がらせてしまったのは少し心が痛むが、この子達もこのままではいけないだろう
「……別に、君達の好き嫌いを否定するつもりは無い。…だが、コハルの言う通り…このやり方は違うだろう。それぞれ、ゲヘナが嫌いな理由はあるだろう。ちゃんと話してくれれば、私も納得できる内容なのかもしれない。だが、だとしても…手段を間違えてはいけない」
「……で、ですが私は──」
もう少し話がしたいが…時間が無いな
「…一先ず、君達は拘束させてもらう。…正義実現委員会、頼む」
私の合図でゾロゾロと正義実現委員会が室内に入ってきて3人を取り囲み、拘束する
「なっ…正義実現委員会…!?」
「ナギサは先程からティーパーティーとして皆を統制しているぞ。君達が拘束していたハナコも既に解放され、シスターフッドを纏めている。既に混乱は収まっているぞ。…今は時間が無い、また今度、話をしよう。正義実現委員会、あとは任せた」
「はい、了解しました」
そう頷き、正義実現委員会は3人を連れて部屋を出ていった
「……せ、先生…先生…!」
それを皮切りに、涙目で私に抱きついてくるコハル
「あぁ…本当によく頑張ったな、コハル。流石正義実現委員会のエリートだ」
そう言いつつ私はコハルの頭を撫でる
怖かっただろう。普段は臆病なコハルだから、尚更
だが、コハルは自分の「正義」を貫き通した
これを正義実現委員会のエリートと言わずしてなんと言う
私はコハルの涙目を拭き取り、あとは大丈夫だから安全な場所へ離れているように…と伝えて、頷いて去っていくコハルを見届ける
そしてその後……ミカに声をかけた
「大丈夫か、ミカ」
「…うん…なんというか…久しぶりだね、先生」
「あぁ、そうだな。……ミカはなんで、さっきのチャンスを棒に振ったんだ?」
私はそう質問する
分かりきった質問ではある
私は彼女の事をよく知っているから
だが…この世界のミカはまだ自分について、何も知らない
ならば、先生として知る手伝いをしよう
教える…というのも私の仕事だ
「あー…それは………なんでだろう…?今立ち上がれば…って分かってはいたんだけど…ゲヘナは…今でも嫌いだし……私……私にも…よくわかんないな……あれ…?ちょ…ちょっと待って…」
ミカは何かを思い出したのか、狼狽し始める
……蓋をしていた記憶を思い出し…自分がこれが理由だ…と思い込んでいた理由が後付けだと、気付いたか
…酷な事かもしれない。少なくとも、高校生の少女が抱えられるような事じゃなかったんだ
それでも…前に進む為には、この気付きは必要だ
「わ…私………」
ミカの瞳から涙が落ちる
「…ごめん…セイアちゃん………どうして…こうなったのかな……ごめん…ごめんね……」
この世界でのセイア襲撃事件は…確かにアリウスと軽率に接触したミカにも責任はあるだろうが…別にミカが襲撃を指示した訳でもない
……言われた事があったな。「あなたは私」…
一人で抱え込んでしまうのも…私と、ミカの悪い癖なのかもしれない
オリジナル生徒について!!!
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全然出していいよ!!!!!!!
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出さない方が好きだよ!!!!!