私はとある部屋の前に立ち、ドアをノックする
反撃作戦の前に、彼女に伝えなければならない事がある
「…ヒナ、少し良いか?」
「…先生……えぇ、良いわ。入って」
「そうか、失礼する」
私はドアを開け、中へ入った
そこにいたのは、部屋着で…いつものような威圧感など微塵も感じないヒナ
分かっているつもりだったが…改めて、ヒナも一人の少女で、一人の生徒だということを再認識させられる
「…傷は……大丈夫なの…?」
「あぁ、動くのに支障はない。大丈夫だ」
「………先生、ごめんなさい、守れなくて……先生が此処に来た理由はわかってる。でも…私は……もう…ダメ……ガッカリさせて悪いのだけど……私は…引退したと考えて…」
声も普段と違い、覇気がない
無理を…させすぎてしまったな………
私は口を開く
「違う、ヒナ。私は感謝を伝えに来たんだ」
「感謝を……?…その事についてなら、お礼はいらない…結局…私のせいで先生は怪我を…」
「私に協力してくれた事に対する感謝も勿論ある。だが、それ以上に、普段の頑張りに対する感謝だ。…こんな状況じゃなければ、もう頑張り過ぎなくて良いと、早く言えたのだがな…だから、ありがとう。後の事は私がなんとかする。ゆっくり休むといい。……本当に、よく頑張った。偉いな、ヒナ」
私はそう言って、頭を撫でる
「……ま、待って…なんとかって……私…私は…」
数秒の沈黙の後、ヒナは口を開く
「私は小鳥遊ホシノみたいには…なれない……」
「……ホシノ?」
この世界のヒナと初めて会った時、何か知っているような素振りを見せた事はあったが……
「私はあの…アビドスの副会長みたいな強い人じゃない……アビドスの生徒会長…その遺体を発見したのは、小鳥遊ホシノだった…」
その言葉に私は息を呑む
……アビドスの…生徒会長…そうか…ホシノは…
死者を蘇らせる…どう足掻いても、私には…いや、この世界の誰にも…出来ない事だ
それは…私の手の届くモノじゃない
拳を強く握りしめる
あぁ…先生……この感覚を…先生も味わったのだろうか
「すごく…ものすごく、大切な人だった筈なのに……あれだけの苦しみを味わって尚…彼女はまだアビドスで戦ってる…私にはそんな事出来ない…私は……そこまで強くなれない…あの瞬間私はもう…」
「ヒナ……」
「私だって頑張った!いつも頑張って…!どうにかしようとして…!わかってもらえなくても…それでも……けど私は、大事な所で………先生は、ズルい……私はあの瞬間…もう、ダメで…なのに、そんな事を言って……私だって…小鳥遊ホシノや補習授業部みたいに……先生に構ってほしかった…!褒められたかった…!!」
「…………」
「あっ……ご、ごめん……今のは…その……」
私は、ヒナを抱きしめ、言う
「本当にすまなかった、ヒナ!」
「!?」
驚いて硬直するヒナ
本当に己の愚かさを恥じるばかりだ
無意識のうちに、私はヒナを…私の知る空崎ヒナと少しだけだったとしても混同していたのだろう
彼女だって、本当にただの一人の生徒だ、大人じゃない
私の、守るべき対象でしかない
「ヒナ、色々と解決したら、すぐに会いに来る。そうしたら…そうだな……一緒に美味しい物でも食べに行かないか?…ふむ、シャーレでゆっくりするのもどうだろう?…あぁ、水着パーティーもするか?結構楽しいぞ?ゲヘナの治安維持に関しても、私ももっと色々と手を貸そう」
「え……いや…その………」
「そうだな………アビドスに依頼の名目でお願いしたり…ふむ…ミレニアム製の警備用のロボットの導入も検討するべきか…?後で仕事の割り振りも見せてもらって……スケジュールは此方で組んで…そうだ、美食研究会の皆にも………」
そう呟きながら考え込む私をヒナが見つめていた
しまった、自分の世界に浸り過ぎた
私は慌てて謝罪する
「…あ、あぁ…すまない、急すぎただろうか…そうだな、ヒナの意思を聞かずに勝手にするのは良くないな…」
「…はぁ………ふふっ…」
あたふたする私にため息をつき、少しだけヒナの口角が上がる
「ねぇ先生。戦力が必要なんじゃない?」
「…え?いや…だ、大丈夫だぞ?ヒナはさっき言ってた通り、引退したという事で……」
もうヒナは頑張らなくても…と渋る私
「それは言ってみただけ。少し、皆に甘えてみたかっただけ。…大丈夫、私は行ける。先生」
ヒナに普段の雰囲気が戻ってくる
無理に止めるのも…駄目……か
それは、彼女の意思を無視している
ヒナがやれる…と言うのなら…私は…
「…そうか。なら、頼りにさせてもらうぞ、ヒナ」
その力を、貸してもらおう
「えぇ、任せて」
ヒナは力強く頷いた
オリジナル生徒について!!!
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全然出していいよ!!!!!!!
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出さない方が好きだよ!!!!!