巨大な光からヒエロニムスが顕現する
いつ見ても…凄い威圧感だな…!
すると、パチン、と指を鳴らす音が響き渡った
虚か…?また聖徒会を………!?
そう思い、辺りを見渡すが…聖徒会の姿は見えない
「…なんだ?」
音がした方向に目を向けると、虚が立ってい
さっきのは…虚が指を弾いた音で間違いはない筈だが…
そんな事を考えていると、コハルが大きな声を上げながら走ってきているのを視認する
距離が離れているのでよく聞き取れないため、私達も駆け寄り、話を聞く
「せ、先生!アリウスの皆が……アズサも…!」
「…!?」
本当に何が起こって……
そう考えた瞬間、ヒナが叫ぶ
「………!まずい!先生、私に掴まって!狐坂ワカモもこっちに!!!」
その声に反応し、咄嗟にワカモと一緒にヒナの方へと向かう。すると、ヒナは羽で私達を包みこんだ
ツルギもコハルを抱きかかえて庇う
「コハル!頭を守れ!」
「はいっ……!」
【────────────!!!!!】
ヒエロニムスが、完全に顕現した
発生した衝撃波が私達を襲う
「くっ………!」
「………………!!!」
私達はその衝撃波で吹き飛ばされ…さっき居た位置からかなり距離が離れた場所でやっと止まる
「…ッ…ごほっ…ワカモ!ヒナ!大丈夫か!」
「えぇ。この程度、なんともない。狐坂ワカモも無事」
流石はヒナだ、上手く受け身も取ったようだし…衝撃波程度じゃ掠り傷もついていない
周囲を見渡すと、遠目にヒエロニムスが視認できる
ツルギ達は別方向へ吹き飛ばされたか…見失った
だが、ツルギとコハルなら大丈夫だろう
まずは皆の事だ、ヒエロニムスは危険過ぎる
「ヒナ、ワカモを救急医学部の元へ運んで、一緒にいるだろうアコ達に退避する指示を出すように伝えてくれるか?ヒナ達ならまだしも…一定の基準より下の練度だとアレはかなりまずい」
「そうね、了解。出来るだけ急いで戻る」
ヒナがワカモを抱え、駆け出してこの場を去る
コハルの言っていたことが気がかりだ、私は一度アズサ達の所へと向かおう
かなり距離は離されてしまったが…お陰で攻撃の心配はそこまで無いだろう。少なくともヒエロニムスからの攻撃は来なさそうだ。虚の不意打ちにだけ細心の注意を払おう
そうして駆け出し、アズサ達の元へ辿り着いたが…
「…ぅ…ぁ……!」
「……ッ……!」
「……………………」
『…ぐっ…ぁ……こ…れは……!』
ヒヨリとミサキは壁にもたれかかり、頭を抱えて苦痛の声を漏らす
姫は……黙っているが、その顔が苦痛に歪んでいる
反転した私も額に手を当て、ふらついていた
「…何が…」
困惑していると、ヒフミとハナコが駆け寄ってきた
そして、どうやら軽くアズサも影響を受けているようで、少しぐったりとしていた
「…!先生!あれは……!?いえ、それよりも…さっき音が鳴ってから、突然サオリさん達が苦しみだして………アズサちゃんまで…」
『…っ…こ…れは……生徒会長の…力…だろう……私達は…なんとか…私達は…抵抗できているようだが……知っているだろう…アリウスの…生徒達の異常な様子……』
反転した私のその言葉を聞いて思い出すのは、捕縛したアリウス生徒の事
「そうか、直接的な洗脳……発動の条件の一つが指を弾くという行為…と。ヒフミとハナコは大丈夫か?何か違和感は…」
私の質問にハナコは答える
「私とヒフミちゃんは何も異常を感じていませんね。恐らくコハルちゃんも……待ってください、コハルちゃんは…?」
「吹き飛ばされた時に見失ってしまったのだが…ツルギと一緒だ、当分の間は大丈夫だろう。安心してくれ」
「ツルギさんと…なるほど」
ハナコは一瞬見せた焦りを落ち着かせ、いつもの振る舞いに戻る
「恐らく、アリウスの生徒にしか効果が出ないのだろうな…本当にどういう原理で……」
アリウススクワッドがある程度抵抗できている理由も分からないな…他の生徒と何が違うのか…
それに、ヒエロニムスもどうにかしなくては
……私は…どうするべきだ…?
大人のカードを使うか?
だが、私の正体がバレていいものなのかも分からない
もしも駄目だった場合、どんなデメリットがあるか分かったものではない
反転した私に…アズサ達が居るというのは本当に…どうしたものか…
無論、杞憂の可能性はあるが…
分からないもの…というのはやはり恐怖を感じてしまう
そう考えていると…アズサの背後に漆黒が展開する
「…………ッ!アズサ!」
咄嗟に名を呼ぶが、アズサの反応が鈍い
恐らく動こうとする反転した私もあの状態では間に合わない
武器を取り出している隙も無い…!
虚の姿が出現し、アズサへとその刃を向けられる
私は駆け出し…振り下ろされる刀身に向かって横から渾身の蹴りを放つ
「チッ…!何処までも邪魔を!」
軌道がズレて、地面へと刀を打ち付けた虚は苛立ちのままにそう声を出し、私に向かって刀を横薙ぎに振り抜く
これは……躱しきれないか…!
「っぐ……!」
刃が肌を斬り裂いていく
左腕に決して浅くはない傷を作りつつもアズサを抱いて距離を取る
「…先…生……ごめん…!」
「…いい、気に…っ……するな…」
腕の中のアズサが謝罪してくるが、そう返答する
「先生!」
「すみません先生…!もう少し警戒をしておくべきでした…!」
ヒフミが虚に向かって銃を構えつつ駆け寄ってくる
ハナコも駆け寄ってきて、怪我の応急手当をしてくれた
まぁ、布を使って怪我した場所に巻き付けての止血という本当に簡単なものだが…無いよりはマシだ
「……ぐ……いや…大丈夫だ…この程度は問題無い。手当、感謝するぞハナコ」
まだ動ける、出血のし過ぎで動きにくくなる前に決着をつけなければいけなくなったが……
眼前の虚がため息をつきつつ言う
「本当に諦めの悪い…結局、この世は全て虚しいだけ。何故分からないのでしょう。その抵抗も何もかも…『Vanitas vanitatum et omnia vanitas』全てはただ、無意味なだけなのだということを思い知りなさい」
「………」
ベアトリーチェが混ざっている時点であの虚の人格と話し合いなど不可能だろう
ゆっくりとアズサを降ろし、私は右手に持つ拳銃を構える
左手にも一応ナイフを持つが…あまり頼りにはしないほうが良いな
「殺意、憎しみ……この世界の真実はそれだけ。無意味で…虚しいだけなのです」
「それでも、抵抗する事を辞める理由にはならない」
私は即座にそう返答する
分かっている、このままではジリ貧だ
一先ずヒナかツルギが来るまでの時間稼ぎだけでも…
「先生、その怪我では……先生の技量が凄い事は分かっているのですが…」
ハナコがそう声を掛けてきた
正直に言えば、この傷では流石にハナコの言う通り、戦闘には支障が出てくる
「だが───」
口を開こうとすると、ヒフミが発砲した
虚は銃弾を躱し、接近しようとするが…白い塊に阻まれる。ヒフミのペロロデコイだ
「邪魔ですね!」
ペロロのデコイを刀で破壊したその先には既にヒフミの姿は無く、側面に回り込んだヒフミは再び射撃を行う
あの動き……アズサにでも教わったのだろうか
そういえば、少し前にアズサに色々教わったと言っていたな…
「先生、私…とっても怒っています」
「ヒフミ…?」
次々に展開されていくペロロのデコイ
視界を塞いでいくペロロを切り払う虚は憎々しげに言葉を漏らす
「チッ……!鬱陶しい……!」
「アリウスの生徒会長さん…でしたよね」
「……阿慈谷…ヒフミ…!」
記憶に残っているのであろう名前を呟く虚
「アリウスの生徒さんの事はアリウススクワッドの皆さんも含めて、もう怒っていませんが…あなたについては、まだ怒っています!」
そう言い、ヒフミは真っ直ぐな目線を虚へ向けたのだった
オリジナル生徒について!!!
-
全然出していいよ!!!!!!!
-
出さない方が好きだよ!!!!!