シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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痛みの中

とあるビルの一室。黒服とマエストロが会話していた

 

「やはり我々の最大火力を以てしても、不死を殺すには至らなかったか」

 

「……いえ、確かに虚は死にました。残ったのは狂気に陥った残滓だけです。ヘイロー破壊爆弾の効果はかなり軽減されていたようですし、その時の為の普通の爆薬も…マダムは耐えてしまった。彼女の身体は、完全にマダムに掌握されました」

 

「…そうか。虚が考えていた最悪の結果に至ったと」

 

「クックックッ……少々、不愉快ですね。あれでは我々に何の利点も無い。彼女より遥かに劣っている」

 

「ならばどうする」

 

「虚…彼女は生徒です。……マエストロ、貴方は奇跡というものを信じますか?クックックッ……」

 

黒服は椅子から立ち上がり、その場を後にした

 

─────────────────────

 

……声が聞こえる

 

『──!』『─』『───!』『──!────!』

 

声が聞こえる。様々な体験で、記憶に残っている言葉が

 

『──!』『────』『───!』『「助けて」』

 

今…………のは……

そして、また別の声が聞こえてきた

ノイズ混じりで、聞き取りにくい

 

『……生、先…生…!』

 

小柄で、金髪の生徒が何かを話している

 

『ミカが──…………ぁ…』

 

何かを見つけてしまった、そんな声色の呟きと同時にプツリと声が途切れる

………何が………………

………ミ………カ……

ミカ……が………

ミカが……!?

セイア!一体何が…!

私は跳ね起きる

 

「っは…!待て!私はどれぐら……っ…ゔ…!」

 

不意に走る全身への痛みで完全に目が覚める

窓を見ると、夜中だった

だが、まだ月は昇りきっていない

 

「…目が覚めたんだ。安静にしてなよ。救護騎士団の団長に殴られても知らないから」

 

声がした方向を向くと、ミサキが居た

 

「……それは恐ろしいな。忠告感謝する」

 

私は殴られる覚悟を決めてベット横にある持ち物群を手に取り、部屋を出る

助かったな。救護騎士団は今出払っているらしい

あぁ、そして歩行の痛みも覚悟していれば耐えられる、問題は無いな

 

「ちょっ…!馬鹿じゃないの…!?」

 

すまないミサキ、今は出来るだけ急ぎたい…!

私は歩きからゆっくりと走りにシフトしていく

これで痛みには慣れられそうだ

走りつつ私はシッテムの箱を起動する

どれだけ時間が経ってるか分からないが、頼む…

シッテムの箱の電源が起動し、画面が表示される

 

『先生!!!サラ先生!!!!!うわぁぁぁぁん!!!ご無事……ご無事…………じゃないですね!?!?何やってるんですか!!!なんでこんな怪我してるんですか!!!内部どころの損傷じゃないですよ!!!!……も、もしかして、私…守りきれて…』

 

泣いて、怒って、顔を青ざめさせるアロナ

久しぶりに感じる騒がしさを噛み締めているとアロナの思考が変な方向に向きそうだったので慌てて訂正する

 

「いや、アロナが守ってくれなかったら皆を助けられなかった。だから感謝している。この傷は…その…いつものだ、気にするな。そんな事よりも、今トリニティで起きてる事について記事を集めて纏めてくれないか。起きたばかりで何も分からないが、凄く嫌な予感がしているんだ」

 

『わ、分かりました…!……えーっと…!はい、終わりました!数時間前、謎の巨大で赤い蔦の様なものがとある建物を襲撃、秤アツコさんと槌永ヒヨリさんを連れ去ったようです!』

 

迷路の様な路地裏へ入り、駆け抜ける

赤い蔦、で思い出すのはベアトリーチェだ

だが、ベアトリーチェが何故…ここまでの事は出来なかった筈だ

 

「…続けてくれ」

 

『はい…その数十分後、例の蔦が再び出現して、今度は聖園ミカさんと百合園セイアさんが話をしていた場所を襲撃…例の蔦はミカさんの攻撃により倒されたようですが、錯乱した様子の聖園ミカさんが脱走し、百合園セイアさんが傷だらけの状態で見つかった…と…!』

 

「………そうか」

 

私の世界の記憶が思い返される

経緯は確実に違うだろうが、状況が似通っているな…!

そして行き先はアリウス自治区で確定だろう

恐らく、既にサオリは動いている。動いていない筈がないからな。合流を急ごう

ふと、確認していなかった事を思い出す

 

「そういえば、今日は…?」

 

『エデン条約襲撃事件から、1週間と1日ですね…』

 

「………嘘だろう、そんなに寝ていたのか私は…」

 

阿呆な自分を殴りたくなりつつそんな時間も惜しいので走る

ちゃんと起きていれば、備えられた事もあった筈だ

裏路地を駆け抜けていると……

 

「おうおうおう!誰の───うぐっ!」

 

「うぎゃっ」

 

「ぐふっ…」

 

「すまない!手荒で本当にすまない!」

 

スケバンの子達が道を塞ごうとしてきたので駆け抜けつつ全員纏めて縄で縛り付ける

すまない、今度焼き肉か何かを奢るから…!

その為にしっかり顔を覚えつつ、私は先を急ぐ

 

「……流石に包帯がうざったいな…!」

 

走りつつ足と右腕の包帯を外し、ポイ捨てするわけにもいかないので上着のポケットに突っ込む

左腕と腹部のも正直外してしまいたいが…今でも血が滲んでいる、流石に外さない方がいいな

それにしても、虚………彼女は…絶望した私は…

何故か脳裏に浮かぶのは、夢の中で聞いた言葉

…………あの声は…もしかして……




サラ先生いつも傷だらけの身体で無理してる……
これで生徒には自分の身体を大切にしろなんて言うんですよこの人
アリウスで受けた仕打ちのせいでサラ先生が耐えられる痛みのキャパはバグり散らかしています
別に痛覚が鈍い訳では無いです、我慢強いだけ…
ちなみに虚は更に耐えられる痛みのキャパがバグっています
この世界だと虚のお陰で体罰や拷問がかなり減ったのでこの世界のサオリは人よりは強いぐらいですかね

オリジナル生徒について!!!

  • 全然出していいよ!!!!!!!
  • 出さない方が好きだよ!!!!!
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