「ふむ……なるほど。私が昏睡していて、サオリがアツコ達と引き離されている状況を狙ったのか。判断は早いし的確だが、やはり陰湿と言う他無いな」
「…あぁ。私がもう少し早く気付けていたら…」
「それは結果論だろう。聖園ミカについては何か知っていないか?」
「……?聖園ミカも何か関係しているのか?」
どうやらサオリは姿を見たりはしていないようだ
一応ミサキにも目線を向けるがミサキも何も知らない、と首を横に振る
「ミカの部屋も蔦に襲われたんだ。その蔦はミカが倒したようだが……その場に居たセイアは負傷し、ミカは錯乱した状態で部屋から脱走した…と」
その言葉を聞いたサオリは数秒考えた後、心当たりを見つけたようで話し出す
「それは…私が反転する要因の一つになった、間違った判断をした他世界の自分を何度も体験したから…かもしれない。あれは…私でも気が狂いそうだった」
「……なるほど」
その可能性は大いにあり得る……か
そう思考していると、前方から足音が響いてくる
サオリが大鎌を、ミサキと私は手に持つ銃を構える
目の前に現れたのは、黒いスーツを着た大人の男
「……黒服」
「クックックッ…お久しぶりですね、先生。安心してください。私に害意はありません。少々、『お話』をと思いましてね」
黒服がなんでこんな所に…
それにお話?何の真似だ?何を企んでいる?
意図がさっぱり分からない
困惑していると、サオリ達が声を掛けてくる
「……先生、あの大人は…」
一応、黒服は言った事はある程度は守る。その点ではベアトリーチェよりはマシだろう
……会話の余地はある…か………
他ならぬゲマトリアからの情報だ、私達では分らないことを知っている可能性は大いにある
「……………はぁ…すまない、少しコイツと二人で話してくる。すぐに戻るから本当に少しだけ待っていてくれ。あまりに遅かったら二人で先に行っても構わないが、無茶だけはするなよ」
「……分かった」
サオリはそう言い、壁にもたれ掛かる。流石に疲れが溜まってきていたのだろう
ミサキもその隣に座り込んだ
「クックックッ…では先生、此方に」
仕方無く黒服の後を追い、ちょっと距離が空いた路地裏へと到着する
「で、なんだ?話とは」
「虚についてです」
黒服のその言葉はあまり予想していなかったものだ
「ほう」
相槌を打って話の続きを促した
「虚は…今現在、死んでいます。彼女の身体は完全に元混ざり物……ベアトリーチェに奪われました」
「…そうか。お前達の爆弾では殺しきれなかったと」
「クックックッ…そこまでご存知でしたら話は早いです。私達の爆弾は…殺しはしたのですよ。ただ、死んだのは虚だけでした。混ざり物と虚はあまりにも、別物過ぎたのです。別の存在と認識された結果、一番影響を受けた虚だけが死んだ。そういう事です」
「……なるほどな。それで、何故それを私に話した」
黒服に何のメリットがあるのか、分からない
「クックックッ…先生。ベアトリーチェを殺し、虚を救う手段がある…と言ったら貴女はどうしますか?」
再び黒服から飛び出した予想外の言葉に目を見開く
それを悟られないように素早く言葉を返した
「代償はなんだ?そして、それを私に教えてお前に何の得がある」
黒服を見据え、そう問いかける
………黒服、こいつは……
「クックックッ…是非ともゲマトリアに…と言いたい所ですが、今回は目的が一致しているので必要ありません。得……ですか。そうですね、一つ…上げるとするならば、私の胸に渦巻いている『不愉快』という感情が解消される事でしょうか」
…なるほど…そういう事か。ようやく理解できた
と言うよりも…私が黒服の事を理解しようとしていなかったから時間がかかったのだろう
初邂逅の事でコイツは私には理解出来ない存在だと、そう決めつけていた
「ベアトリーチェ、彼女は虚の代わりにはなり得ません。既に彼女は狂気に堕ちています。ゲマトリアを名乗る資格も無いのです。彼女は利益にもなり得る事はないでしょう。アリウスに巣食い、ただただ無駄な事を行うだけです。アレは、生徒を糧にする。先生もそれは避けたいでしょう」
私とは根本的に違っても…コイツにも情のようなものがあるのだろう
だが…それはそれとして……
「───気に食わないな」
「…えぇ、先生。貴女が私の事を気に入っていないというのは承知しています、ですが───」
「違う…いや違わないな。私はお前の事が気に入らないし、気に食わない。率直に言って嫌いだ。特に今、気に入らないのがそうやって御託を並べて本音を誤魔化そうとしている所だ。言いたい事があるならはっきりと言え。不愉快なんだろう、ベアトリーチェが虚の身体を使って暴走している事実が。助けたいんだろう、虚の事を。お前が最初に上げたのが『利益』ではなく『感情』だ。虚と多少なりとも交友があったのだろう?情のような感情が湧いていたのだろう?はっきりと単刀直入に言え。簡単な事だろう。国語は苦手か?お前ぐらい頭が良いとは言えない私でも1文で済ませられるぞ」
私は黒服を見据え、そう言った
若干の間を空け、黒服が話す
「……クックックッ…先生は、大人に酷な事を求めますね」
「子供に酷な事をしていた奴が何を言うか」
いつもの不気味な笑い方ではなく、苦笑するような笑い方をする黒服にそう皮肉を言い、私は黒服の言葉を待つ
黒服は、口を開いた
「先生。私の仲間を…助けて下さい」
「──あぁ、分かった。任せてくれ」
私はその言葉を、即座に受け入れたのだった
オリジナル生徒について!!!
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全然出していいよ!!!!!!!
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出さない方が好きだよ!!!!!