壁にもたれ掛かりつつ身体を休めていた私は微弱な振動に気がつき、目を開ける
隣に座っているミサキに声をかけた
「……ミサキ」
「うん。何かが…近付いてきてる」
「……なんだ…?」
どんどん近くなっていく振動
何かにヒビが入るような音がした
………上の方から…まずい、振動で柱が……!
修理もされず、かなり劣化していた柱が崩れ落ちてくる
「ミサキ!危ない!」
ミサキを突き飛ばしたその瞬間、目の前に瓦礫となった柱が降り注ぐ
『…げほっ…!リーダー!無事!?』
瓦礫の奥からくぐもった声が聞こえる
なんとか無事らしい、良かった
しかし……分断されてしまったな
また先生と合流しなくては………
「私は無事だ。回り道を探してすぐにでも───」
瞬間、背後で響き渡る轟音
巻き起こる砂煙の中から姿を現した人物を見て私はミサキへの言葉を変える
「………ミサキ、やはり先生と合流した後に救援に来てくれ…聖園ミカが襲撃してきた。話し合いの余地も…無さそうだ」
『なっ…』
ピンク色の髪に立体的なヘイロー、一対の白い羽
壁を砕いてこの場に現れた彼女は私に銃口を向けていた
「あは、やっと見〜つけた…私…私は魔女だから…壊さないといけないの。全部、全部全部ぅ!!!」
手に大鎌を出現させ私は戦闘態勢に入る
「時間が無い、ミサキ!急いでくれ!」
『…っ……!…分かった…!』
うっすらと遠くなっていく足音を聞き届けつつ聖園ミカへ言葉を投げかけてみる
「聖園ミカ、お前がアリウスに恨みを持つのは当然だ。報いも、罰も…必ず受けると約束する。…大切な人を守る為なんだ、少し…時間をくれないだろうか…!」
聖園ミカは虚ろな目をしたまま、地面を蹴る
早い…!
なんとか大鎌の柄で拳を防ぎつつ何かぶつぶつと呟いている聖園ミカの声に耳を傾ける
「………私は…魔女…だから……!!!!!」
「正気を失っているのか…?!私の考えが当たっていたかもしれないか…!」
最悪の未来を見せられ続けて狂ってしまったか
聖園ミカからは言動などに反して、内面的には繊細な人…という印象を受けていた
私はあれだけでもギリギリだったんだ、聖園ミカは…
どうにか正気に戻って欲しいが…!
銃口が向けられ、弾丸が放たれる
「くっ……!聖園ミカ!違う!お前は魔女ではない!己を強く意識しろ!そんなものに囚われるな!」
咄嗟に大鎌で防いだがかなりの衝撃に腕が痺れた
姫、ヒヨリも時間が無いというのに…!
私の呼び掛けなど聞こえていない様子で聖園ミカは攻撃を仕掛けてくる
無駄に傷付けたくはない為、防戦一方になってしまう
今の私の機動力を活かせばゲリラ戦でかなり時間稼ぎは出来るだろう…それに…この力があれば、勝てる。ミカを……倒す事が出来る…だが、それでは…
目の前を掠める蹴りをなんとか躱しつつ、横に転がり体勢を整え、翼を羽ばたかせ上空へ距離を取る
………聖園ミカの攻撃は早く、かなり強力だ
さっきの蹴りも私の後方の壁を粉砕した
だが………乱雑で、ただ力持ちうる力を振るうだけになってしまっている
聖園ミカについても…私に責任がある
放置して…皆の元へ向かうという選択肢、ここで昏倒させて合流するという選択肢もある
だが………そんな…事は………
脳裏に姫とヒヨリの顔が浮かび、私の迷いは更に大きくなる
「………クソっ…!」
彼女の銃から放たれる弾丸を躱しつつ、私は思考を巡らせる
私は……どうするべきだ…?
家族を…守る為に動くべき…なのか…
ふと…銃弾が止んだ
彼女に目を向けると、頭を抱えて苦しんでいた
「う…ぁ……!私…!私は…!魔女…だから…!殺…さない…と…!壊…さない…と……!」
震える腕を押さえ、その綺麗な瞳からは大粒の涙が零れ落ちる
聖園ミカは……元々、アリウスとの和解を望んでいた
あれは…きっと本心だった
トリニティで唯一…我々アリウスに手を差し伸べてくれたんだ
そんな彼女が魔女などと呼ばれて良いものか!
自分さえも自分の事を魔女などと貶めて良い筈が無いだろう………!
姫も、ヒヨリも助ける
そして、聖園ミカも……助けよう
…一度、手を差し伸べてくれた彼女に…今度は私が手を差し伸べなければ…!
伝えられていない感謝を伝えよう
それはきっと……大切な事だ
「聖園ミカ!!!」
「……!」
大声で自分の名を呼ばれた聖園ミカが硬直する
少しだけでも、響いているらしい。ならば…!
私はその間に全力で接近し、腕を掴む
言葉の力は強大だ
その力の強大さを私はよく…知っている
伝えるべき言葉を…伝えよう
私は口を開く
「もう一度言う、お前は魔女ではない。お前は…私達に手を差し伸べてくれた。…すまなかった、ミカ。そして………ありがとう。あの提案を聞いた時…本当に…嬉しかったんだ。あの時、希望を抱けた事は……決して、無駄では無いと…虚しいものでは無いと…私は信じている。だから、己を魔女だなんて呼ばないでくれ。そんな事は絶対に無いのだから」
「ぅ……ぁ…!私…私…………っ…!」
暴れようとするミカの腕を強く握り、なんとか言葉を紡ぐ
この身体は身体能力も少しばかり上昇しているらしい
元のままだと容易に吹き飛ばされていただろう
「アズサ、ミカ、先生……貴女達のお陰で…貴女達が光を絶やさなかったお陰で…私は今、こうして居られるんだ。家族を守る為…大切な物を…守りたい物を守る為、救う為に戦えている。伝えるべき言葉を、伝えるのが遅くなってしまった…すまない」
「……わ…たし…は…魔女じゃ…ない……?」
若干、暴れる為に入れていた力が抜けていくのがわかる
少しずつ、落ち着いてきたか……?
「あぁ、その通りだ。ミカ、お前も見たのだろう。…最悪な…世界達を」
「……そ…う…皆……皆…!居なくなって…!わたし…のせいで……!」
呼吸が浅くなるミカの手を私は強く握る
少し間を空けた後にゆっくりと、私は話した
「ミカ、自分は自分だ。知ったその過ちを…繰り返さない為に私は今、戦っている。私の物語を、私自身の手で紡ぐ為に」
救えなかった数々の家族達
吹っ切れているかと言えばそうではないだろう
思い出すだけでも、酷く心が痛む
だが…今は、私の手の届く所に居る【私の家族】を守るのが私がやらなければいけない事だ
「……私の…物語を……」
「そうだ。この考え方は、他人からの受け売りではあるがな…それでも、大切な事だ。私達は…間違えを知ったんだ」
私は、問いを投げかける
「…ミカ、お前はどうしたい?」
この世界のサオリは自分の本質と向き合い、第一にやるべき事がしっかりと定まっているので結構安定しています
オリジナル生徒について!!!
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全然出していいよ!!!!!!!
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出さない方が好きだよ!!!!!