八本の蔦から放たれた網目状の光線が私達へ迫る
「先生!ミサキ!私の後ろへ!」
サオリが蔦の周囲から離脱し、此方へと降り立つ
いつの間にか手にしていた銀色の鍵が輝き、眼前が闇に包まれた
衝撃が伝わる音が響いた数秒後、闇は崩れていく
防ぎきったようだ
「……サオリ、今のは…」
「この鍵…奇妙な事を引き起こせるようだ。まだ扱い慣れていないからこの程度しか出来ないが…」
「…いずれ力の把握を行うべきだな。何にせよ助かった。あの光線が来た場合、また頼む。蔦単体で出せない筈がない、気を引き締めろ」
「あぁ」
頷いて再びサオリは飛び出していく
あぁは言ったが、正直一番気をつけなくてはいけないのは私だ
負傷しているこの体では反応できるかどうか……
早急に決着をつけたいものだがな…!
私の眼前に蔦が迫ってくる
それを回避し、ハンドガンを撃ち込むが弾丸がつけた傷はすぐに再生された
地面に叩きつけられた蔦にある目が一つ、ジロリと此方を見た
『…!先───』
「ッぐ…!」
その瞬間、光線がアロナの警告より早く私の脇腹を掠める
嫌な予感がして早めに回避行動をしていなければ私は撃ち抜かれていただろう
ハンドガンを使いその目を撃ち抜いて潰し、血が流れる脇腹を抑える
潰した目はすぐに再生していた
「……アロナ。私はあとどれぐらい動ける」
『もう既に危険水準です!傷口が拡大して、出血により血が足りていません…!このままだと10分もあれば先生は…!』
「…なるほど、10分あるのか」
私は口内の血を吐き出す
ベアトリーチェは分かっているのだろう
私が満身創痍な事、そして私が居なければサオリとミサキだけでは突破できないと
だからこうして私が倒れるまで持久戦を行っている
いつも通り陰湿で、それでいて確実な方法
だが、そんな大人だからこそ…そこには慢心、油断がある筈だ
私は地面を蹴り、ベアトリーチェが居る前方へと駆け出す
「先生!?」
サオリの声をかき消すようにベアトリーチェが叫ぶ
【無駄な足掻きだと言っているでしょう!!!】
六本の蔦から光線が放たれる
予測していた私は回避行動をとるが光線は私の肩と右足を掠め、バランスを崩してしまった
そして、私の左足に地面に潜んでいたのであろう細い蔦が巻き付き、物凄い勢いで引っ張られ壁へと叩きつけられる
受け身も取れず、衝撃と痛みで視界が明滅する
ばきりと、何処かしらの骨が折れる感覚がした
「っ…か…はッ……ぁ…」
再び蔦が私の左足を縛り、持ち上げる
逆さまのまま、私はベアトリーチェの眼前に吊るされた
【無様ですね。大人しくどの世界とも同じように後方で指示だけ出していれば良かったものを。あなたのような貧弱な体で戦うなど、ただの無謀でしかありません】
「………」
地面へと血が滴り落ちる
………寒いな。久しぶりの感覚だ
「先…生ッ…!!!くっ…!邪魔だッ!!」
後方からサオリが叫ぶ声が聞こえてくる
恐らく蔦に阻まれて此方に来る事が出来ないのだろう
【あなた達の希望は…光は潰えます。もう既に、意識も失っている。あと数分もすれば絶命するでしょう。錠前サオリ、あなたのその力は面白い。今ならもう一度、チャンスをあげましょう。私に従うのならば、あなたは生かして差し上げます】
蔦の動きが止まる
大鎌を構えたまま、サオリはベアトリーチェへと問いかける
「…姫は、アツコは…ミサキとヒヨリはどうなる」
【あぁ、あなたはそうでしたね。ならばロイヤルブラッド以外は保護してあげましょう。一切、手は出しませんよ】
「…断る」
ベアトリーチェの提案に、サオリはそう答えた
【…本当に、愚かですね。残念です】
私の周囲に赤い球体が現れる
【そこであなた達は見ているといいでしょう。希望の終わりを───錠前サオリ…あと…一人が───!?】
ベアトリーチェの後方、姫とヒヨリが磔にされていた場所でミサキが叫ぶ
「ヒヨリ!今だよ!」
「あ…てま…す……!」
網目状の光線が私達を襲った時、闇の崩壊と同時にミサキは姿をくらまし、ベアトリーチェの後方へと回り込んでヒヨリを助け出していたのだ
磔にされた状態から降ろされたヒヨリがミサキが持ち込んでいたスナイパーライフルを撃ち放つ
私の足を拘束していた細い蔦を見事に撃ち抜き、私は地面へと降り立った
私は意識を保ち、周りの確認もしていたのだが、負傷による動ける筈がないという決めつけ、そして仮面により私が目を開けているかすら分からなかった事で油断を突ける
ベアトリーチェが見てきたであろう数々の先生に今の私と同じ仕打ちをしたとして、意識を守っていられるのは私だけという自負はある…!
私は刀を抜き放ち、眼前のベアトリーチェへ迫る
【馬鹿な、意識が!?何故まだ動けるのですか…!?あなたの体はただの人間…!動ける筈が…!!】
「お陰様で痛みには慣れていてな!!!」
狙うはベアトリーチェの腹部
私の刀がベアトリーチェを穿った
そして………
「恐怖よ、私に力を寄越せ!!!!!」
一瞬でベアトリーチェの後方に回り込んだサオリの大鎌が背中からベアトリーチェを貫いた
サオリのヘイローが蒼く輝き、大鎌も光を放つ
私の突き刺した刀も赤く輝き出した
私は叫ぶ
「助けを求める生徒が居たのなら!助けるのが先生の、大人の責任だ!!『生きろ』!!!虚!!!!!!」
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…………声が、響いてくる
暗い暗い闇の中
私を苦しめ続けていた、奪い取り続けていた何かが消えた
【…………あぁ…そうか…………】
光が差す。私を蝕んでいた『赤』は消えていく
【…どうしても…私を死なせてはくれないらしい】
足が動く、手が動く
【……いや、私は………………】
『サッちゃん……私の分まで…生き…て…』
『死ぬ…なんて…許さ…ないから…』
『…すぐ来ちゃ…駄目…ですよ…』
『ねぇ…サオリ、お願い。あなたは私。だから…私の…代わりに………生きて。夢を…叶えて…?あなたの…為に……祈るね…』
頭上のヘイローが輝きを増していく
いつも明滅していたヘイローが全て輝く
【私は…死ねない…私は…まだ…死にたくない…!】
私の手に、刀が握られていた
いつも使っていた、あの刀だ
黒服達の気配を感じ取る。何かしら弄ったのだろう
【……えぇ。いきましょうか】
私は横薙ぎに刀を振るう
崩壊していく闇の中。私は一歩を踏み出した
オリジナル生徒について!!!
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全然出していいよ!!!!!!!
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出さない方が好きだよ!!!!!