ミカへ助言を送った後
意識を失った私は独特な感覚と共に目を覚ます
この……感覚は…
目を開けると、そこはシャーレの執務室だった
だが、私の執務室ではない。沢山の物が配置されていた
おもちゃ、フィギュア、プラモデル
見渡しつつ、顔についている仮面を取ろうとしてみる
あっさりと、仮面が取れた。これは夢の中…か
…見慣れた物が多いこのシャーレは………
"久しぶりだね、サオリ"
私の後ろから声がする
「…先…生………!」
振り返ると、そこには…私の恩人、憧れの人、その他様々な言葉でも言い表せる気がしない人
一番、近しいのは………大切な人、だろうか
私の世界のシャーレの先生が…立っていた
"アツコ達から話は聞いてるよ、頑張ってるって"
「……先生…私は…」
"うん、話を聞かせて欲しいな"
人の良い柔和な笑顔で先生は微笑んだ
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シャーレのソファに座り、私は話をする
アツコ達からも聞いていただろうが、"サオリ本人から聞きたいな"と言われたので最初から話した
アビドスの事や、トリニティでの事
そして、2人の私の事
"サオリが3人も!?"
流石の先生でもこの事は驚いたらしい
「あぁ、一人はあの世界本来の私だ。もう一人はあの穴のようなものに連れて来られたようだ。そこの経緯としては私と似ている」
"…なるほど……"
どうやら先生は少々心当たりがあるようだ
まず、あの世界本来の私の話をする事にした
「本来の私は一度反転したようだが、恐怖を屈服させて力を制御している…らしい。こう…翼が生えて、大鎌を振るっている」
"恐怖を屈服……そんな事が可能なんだね。それよりサオリに翼と大鎌かぁ!格好良いね!私も見てみたいなぁ!"
テンションが上がりニコニコしている先生に苦笑する
先生は恐らく好きだろうなと思っていたが予想通りだったらしい
"でも、まだ何があるか分からないから、しっかり気にかけてあげてね"
先生の言葉に頷く
「当然だ。あまりにも未知の力で、本人も把握しきれていないようだからな…しっかりと経過観察はしなければいけないと思っている」
虚の話もしておこうと、口を開いた
「もう一人の私は……」
脳裏に一度見た虚の過去がフラッシュバックし、なんと言うべきか、分からなくなってしまう
先生は私の表情で色々と悟ったようだ
"……そっか。私達とは別の世界で…サオリ…"
「…今はゲマトリアに所属しているようだ。虚と名乗っている」
若干先生の表情が険しくなる
"…ゲマトリアに?それは……心配だね"
ゲマトリアに所属している事もそうだが、利用されていないかが心配なようだ
「黒服とも話をした。二回ほどだが…虚の事は仲間だと思っているようだ。これに関しては確実だろう。ベアトリーチェから虚を助ける為に、私に協力を申し出てきた程だ」
私の発言に先生が目を見開く
"あの黒服が?!"
「あぁ、私の仲間を助けて欲しい、とな」
"…サオリはどう答えたの?"
「任せてくれ、と答えた。私は正直に言って黒服は嫌いだが、それは断る理由にはならない。助けを求められれば…私は出来るだけ、手を伸ばしたい……そう、思ったんだ」
"…そっか、偉いね、サオリ"
先生に頭を撫でられる
少々気恥ずかしいが、とても心地良い
先生がハッとした表情になり、慌てて手を離す
…もう少し長くても良かったのだが
"あ、ごめんね、つい前みたいに……"
「気にする必要は無い、先生に撫でられるのはとても嬉しいからな」
先生がほっとした表情で続ける
"そう?なら良かったけど…この前、アズサにも同じ事をしちゃったんだけど「もう大人だから、子供扱いしないで」って言われちゃって"
…なるほどな、容易に想像できる
「確実に照れ隠しだろう。アズサはそういう所がある」
"サオリが言うならそうなのかな…"
うーん、と悩んでいる先生
「言われるだけで振り払ったりはしてないのだろう?アズサは嫌なら抗っているぞ」
"なるほど…!"
先生は納得したように頷いた
"ごめんね、話が逸れちゃった"
「そうだな、話を戻そう」
私は続きを話す
サオリの決断、虚がアリウスの為にやった行為
エデン条約襲撃やベアトリーチェとの決着
全てを話し終えた
「……こんな感じだろうか」
"……なるほど。…ごめんサオリ、一つだけ良いかな"
先生がそう言う
何か気になる事でもあったのだろうか
「?」
"無茶し過ぎじゃないかな!?"
しまった、出来るだけ自分の怪我の状況は話さず、やむを得ない所はサラッと言ったつもりだったのだがバレてしまった
「……あぁ…いや………そう…でもないぞ…?」
頭は無事だしな………
どれも時間をかければ治る程度のものだ
そういえば、今の身体は傷も何も無い
夢の中は凄いな
"話してる途中、自分の状況はサラッと流してたけど全然傷だらけだよね!?"
「まぁ……はい…」
"自分の体は大事にしなさいって───"
お説教が始まりそうだったので私はカウンターを仕掛ける
「待ってくれ先生。先生は自分が怪我をするだけで生徒が助けられるとなればどうする?」
"…それは当然生徒を………"
先生なら確実にそうするだろう
「そうだろう。そういう事だ」
うんうん、と頷く
一瞬納得しかけた先生だが、誤魔化しきれなかった
"なるほど…なるほど……?いや限度があるよ!?サオリは今、私と同じような普通の人間ぐらいの耐久なんだから…一発でも銃弾が当たれば……"
つい、視線が先生の腹部に向く
………………私は…
脳裏に様々な情景がフラッシュバックする
"…サオリ"
声が響く
先生が此方を真っ直ぐ見ていた
ゆっくりと息を吐き、吸い込み…呼吸を整える
「……あぁ、大丈夫だ。私は…私の罪を忘れない。受け入れ、乗り越えて……一人の大人、先生として生徒を導く。…これが、私の見つけた一つの『答え』だから」
"うん、頼もしいね"
にっこりと、先生は笑った
その時、手が薄れ始めている事に気が付く
もう…終わりなのか
話したい事は、まだまだあったのだが
「……先生。私は…あなたに………」
少しでも………
"───大丈夫。これからも、きっと困難は押し寄せてくるけど…絶対に乗り越えられる。私が保証するよ。本当に困った時、どうしようもなくなった時は、助けを求めるんだよ。勿論私も助けに行くからね。同僚を助けるのは当然だよ。それじゃあ、生徒達をよろしくね、『サオリ先生』"
……そうか
私は力強く頷いた
「…あぁ!任せてくれ、先生!」
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ベッドの上。私は目を覚ます
病院か。全身が激しく痛む
至る所に包帯が巻かれていた
欠伸をして目を擦ろうとしたが仮面がある
癖でついやってしまうな……
なんとなく仮面に触れてみる
「………うん?これは…」
仮面の側面に何か以前は無かったであろうボタンの様な物がある
無性に気になり、押してみると………………
カシュッ、という音と共に仮面が顔から落下し、ベッドに落ちる
「…ふむ?」
なるほど…仮面が落下するのか………
「…………仮面が落下したのか!?!?!?」
ベッドに落ちた仮面を手に取る
仮面だ。私がいつもつけていた………
あれだけやって外せなかった仮面が……取れたのか
鏡を見てみる。私だ
ペタペタと自分の顔を触ってみる
……私の肌だ
……………まだ夢の中か…?
しかし、全身の痛みが現実だという事を伝えてくる
「…………これは…」
すると、病室の外から足音が駆けてくる
なんとなく、咄嗟に仮面を再装着してしまう
「先生!大丈夫ですか!?さっき声が…!」
「目が覚めたんですね!大丈夫ですか!?」
セリナとハナエだ、仮面が外れた時の声に気付いたのだろう
「あぁ、大丈夫だ。少々寝ぼけていてな…心配させてすまない」
「なるほど…」
セリナがほっと息をつく
「なんだか嬉しそうですね先生、良い夢でも見ましたか?」
声色だけだというのに理解できてしまうとは、ハナエが凄いのか余程私が分かりやすかったのか…
「…あぁ、とても良い夢を見る事が出来た」
改めて、私の決意は固まった
先生としての責任…果たしてみせよう
そして……
久しぶりに化粧をするのも楽しみだ
150話……!!!
皆さんいつも読んでいただきありがとうございます!
これでエデン条約編はほぼおしまいですかね…!
後日談を数話書いて、その後にちょっと私がやってみたい事(皆さんのお力も借りるかもしれません)をやってから、花のパヴァーヌ編ですかね!
メインストーリーの間にイベントなども挟んでいきたいなと思いつつ…やって欲しいイベントなどあったら、教えてくれればいつか書きます…!
最後に、実は大人サオリが元居た世界の先生は性別決めてないんですよね(虚の世界は男性です)
なので、アンケートで決めようかなと思いまして…
よろしければ、投票お願いしますね…!
大人サオリが居た世界の先生の性別どっちがいいですか!
-
男性!!!!!!!!!!
-
女性!!!!!!!!!!