シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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部活見学、その2

 

救護騎士団の仕事を体験していたミサキを見届け、私と先生は移動した

……移動したのだが…………

 

「……先生、何故スイーツ店に…?」

 

「部活見学の為だと言っているだろう。すまない、これとこれを一つずつ」

 

先生が注文をし、お代を払ってスイーツを受け取り席に座る

テラス席…と呼ばれる、開放的な席だ

先生が目線で早く私の隣に座れ、と伝えてくる

最近、仮面越しでもなんとなく先生の目線が分かるようになってきた

困惑しつつ私は先生の隣の席に座る

先生が買った二つのスイーツ。そのうちの一つを私に差し出してきた

小麦色のスイーツだ

これは確か…シュークリームと言っただろうか

本で見た気がする

……本で見たやつよりも結構大きいが

 

「……先生」

 

「なんだ?…あぁ、初めて口にするだろうが、取り敢えず食べてみると良い。美味しいぞ」

 

先生は仮面の下部分を開け、緑色のケーキを食べていた

………その仮面、口の部分が開くのか

そんな事を考えつつ、シュークリームを食べてみる

 

「………!」

 

中に入っていた何かがとても甘く、とても美味しい

ご馳走と言えば砂糖だった私達には衝撃が強すぎる

……凄いな、これは

これがスイーツか…………

私が衝撃を受けていると…

 

「……ふっ、分かりやすいな、お前は。まぁ、私も人の事は言えないか」

 

緑色のケーキを食べる先生がそう呟いていた

その口角は上がっている

メニュー表をチラリと見てみれば、それが抹茶ケーキと言うものだと分かった

 

「気に入ったのなら今度ミサキ達も連れて来るといい。まぁ、先に誘うのがサオリとも限らないだろうが…」

 

先生の目線の先、そこにはトリニティの生徒と思われる三人組がいた

確か、一度トリニティ本校内で見た気がするが…

話しかけた事や話しかけられた事はない

恐らく学年も違うだろう

確か、その時はあと一人居た気がするのだが……

金髪の生徒が猫耳がある黒髪の生徒と独特な雰囲気を纏う薄いピンク髪の生徒に話しかけていた

 

「ねぇナツ、カズサ。アイリまだ?」

 

「ちょっと遅れるってさ。昨日ティーパーティーとシャーレの先生から部活の仮入部とかの話あったじゃん?それ云々だって。詳しくは知らないけど」

 

「私としてはこの4人で満足しているけど…アイリが凄い乗り気だったから私達は良いよ、って答えたけどねぇ。まぁでも正直、作りたてだし…1年生しか居ないし、名を広める理由もないからほぼ無名だし、私達の部活に仮入部とか───」

 

なるほど、この人達も、部活をやっている様だ

先生は今回、この人達を見に来たという事で良いのだろう

そこに黒髪を靡かせつつやって来る人影が一人

……いや、その後ろに………

 

「ごめんね皆、お待たせ!今日はね、仮入部の人が居るの!」

 

走ってきたのだろう、息を切らしつつそう言うアイリ、と呼ばれた生徒

 

「……居たんだ、仮入部したいって言う人」

 

「マジ?」

 

「意図せずともフラグは立ってしまうもの………見通しが甘かった、スイーツだけにね」

 

私はシュークリームを吹き出しそうになったがなんとか堪えて水を飲む

先生も視界に入ったが口を抑えて肩を震わせていた

色々と遠い存在の様に思えていたのだが、どうやら此処は大人になっても変わらなかったようだ

 

「何下らないギャグ言ってるの」

 

金髪の生徒がそう一蹴する

……あれが下らないギャグ…だと………!?

…トリニティは冗談のレベルまでアリウスとは格が違ったらしい

私が衝撃を受けている間に話は進み……

 

「私達の活動内容的に、1人か2人だけってお願いしたんだけど…丁度1人来てくれたんだよ!」

 

アイリが振り返ってその生徒を呼んだ

よく見知った顔が3人に向かって挨拶をする

 

「あ、アリウス……あ、違…アリウスじゃなくて、トリニティの…つ、槌永ヒヨリ……です…よ、よろしく…お願い…します……」

 

…私は再び吹き出しそうになったシュークリームをよく咀嚼して飲み込んだ

先生の視線が横から突き刺さっている

だ、大丈夫だ…大声を上げたりはしない……

 

「…あの4人は放課後スイーツ部。黒髪でロングの生徒が栗村アイリ、黒髪で猫耳が生えている生徒が杏山カズサ、金髪でツインテールの生徒が伊原木ヨシミ、薄いピンク髪の生徒が柚鳥ナツだ」

 

「…………放課後スイーツ部……?」

 

「その名の通り、放課後にスイーツを食べる事が部活としての活動内容だ」

 

放課後にスイーツを食べる事が部活としての活動内容…?

私の疑問の視線に先生は淡々と答える

 

「ちゃんとティーパーティーに部活として認められているし、部費も支給されている。まぁ驚く気持ちは分からなくはないが…知っての通り、此処はお嬢様学校だしな」

 

「……なるほど…」

 

私は普通の学校も知らない。あるものはあるのだ。そういうものということで納得した

 

「そういえばアリウス分校…?が色々ってシャーレの先生が言ってたね。まぁ細かい事は良いか。アイリが良いって言うのなら、私は文句無いし。ヒヨリ…で良いよね?今日はよろしく」

 

杏山カズサがヒヨリにそう話しかける

 

「は、はい…!ご迷惑をお掛けしないように頑張ります…!」

 

「す、スイーツ食べるだけだけどね?」

 

困ったような笑みを浮かべつつそう補足する栗村アイリ

嘘をついている気配も素振りも微塵も感じられない本当にスイーツを食べるだけなのだな…

 

「シャーレの先生かぁ…私も見た事あるけど、あの人…スタイル良いよね…私もいつかあんな感じになってやるんだから!…今度どうやったら背が伸びるか聞いてみようかな…」

 

伊原木ヨシミはどうやら背の低さがコンプレックスのようだ。確かに、ネットで調べた限り先生は女性として理想的な体型の一つと言える気がする

あまり詳しくはないから、断言はできないが

 

「もう高校生なんだしあの完璧なスタイルはヨシミには無理───」

 

そう言う柚鳥ナツを伊原木ヨシミがギロリと睨む

 

「何か言ったナツ???」

 

息を吸い込んだ柚鳥ナツは露骨に話題を逸らした

 

「な、なんでもない、なんでもないとも……つ、槌永ヒヨリさん、だったね?私もヒヨリって呼んでも?」

 

「は、はい……皆さん、私の事は本当にお好きに呼んで頂ければと……雑巾でも良いです…」

 

いつも通りの調子のヒヨリ

人見知り……というか…話せはするのだが…

私はハラハラしつつも様子を見守る事しか出来ない

 

「ふふふ…ヒヨリくんよ、この場には雑巾なんてものはないとも…私達はこれから甘味を楽しむただのJK5人組……砂糖のように甘い青春をこれから謳歌するのさ」

 

「そうよヒヨリ、私は正直、何があったのかはよく知らないけど、肩の力を抜いても大丈夫だから!仮入部とはいえ、今日はあなたも放課後スイーツの一員だからね!今日は期間限定スイーツを巡る予定だし、さっきテイクアウトしてきたこのスイーツ食べたら出発するわよ!」

 

伊原木ヨシミが手に持っている袋から1人に1つずつクレープ、と言うスイーツを手渡していく

 

「……!…は、はい…!美味しそうです…!」

 

どんよりとした雰囲気を纏っていたヒヨリが目を輝かせて手に持つクレープを見つめる

さっきのどんよりとした雰囲気は何処へやら、期待と興奮でいっぱいのヒヨリを見て放課後スイーツ部の面々は微笑ましそうに眺めていた

 

「い、いただきます…!」

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

笑顔でクレープを食べるヒヨリと放課後スイーツ部

 

「…ふむ、アイリにヒヨリを任せて正解だったな。あの調子なら大丈夫だろう。サオリ、行くぞ」

 

「あぁ」

 

ヒヨリにも、かけがえの無い友人が出来そうだ

…あぁ、それは…とても、嬉しい事だ

大人サオリが居た世界の先生の性別どっちがいいですか!

  • 男性!!!!!!!!!!
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