シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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DJ.SARA

 

シャーレの執務室。私は今日も書類仕事に勤しんでいた

黙々と書類を片付けていく私に、アロナから声が掛かる

 

『先生、連邦生徒会のリンさんから着信が来てます!』

 

「リンから?」

 

直接とは珍しいな。どんな内容だろうか

私は電話に出る

 

「こんにちは、リン。どうした?」

 

『こんにちは、サラ先生。今日は以前説明したシャーレ内に開店予定のカフェについてのお話なのですが…』

 

「…ほう」

 

………そういえば、結構前にそんな事を言っていた気がする。色々と準備の期間が必要なので連絡は決まり次第……とも言われていたか

私がアビドスの事を一段落させ、トリニティに行く前の間だった筈だが…今まですっかり頭から抜けていた

怪我もしてしまったから、連絡を少々遅らせてくれたのだろう

 

『管理も一部先生に担っていただく形になってしまうのですが………』

 

「それぐらいなら構わない、生徒達がリラックスできたり、楽しめたりする空間は必要だし、シャーレに来やすくなる一因にもなってくれるからな。それに、私は結構こういう仕事が得意らしい。それ程負担でもない」

 

単に書類に目を通して云々して処理するだけだ

私は淡々と何かをこなす事は結構出来る方だと自負がある

 

『………本当に、書類仕事を3割ほど請け負って頂いてる事、感謝いたします……』

 

私の方に流れてくる書類仕事でもかなりの量だ。

 

「気にするな。それで、今回の連絡はその報告か?」

 

『あ、それもありますが…先生に1つ聞いておくことがありまして』

 

「聞いておくこと?」

 

『はい、先生がシャーレのカフェ内に設置したい物などがあればそれを設置しよう…と案が出まして。先生はいつも私達の為に奮闘して下さっているので…この程度では恩返しとは言えませんが』

 

「………そうか。…恩……私は仕事をしているだけだからな、そんなに重く受け止めなくても良いんだが…」

 

『いえ、エデン条約……あの事件が死者を出さずに収束したのは先生が大怪我をしながらも事態解決の為に駆け回ってくれたお陰だと、皆さん認識していますよ。…傷は大丈夫ですか?』

 

私は包帯が巻かれた左腕を見つつ答える

その白い包帯にはあまり血が滲んでいなかった

 

「あと1週間もあれば傷は完治するだろう。心配してくれてありがとう、リン」

 

『…それは何よりです。それで先生、話は戻りますが…何か思いつくものはあるでしょうか?ぱっと思いつかないのであれば、またご連絡頂ければ対応いたしますが…』

 

今言っておかないと仕事の邪魔になる可能性もあるか…

とはいえ、私が設置したいもの…………

 

「……あ」

 

私の脳内によぎるとある物

 

『何か思いつきましたか?』

 

リンがそう聞いてくる

しかしこれは………

 

「…あー…いや…うーん……それは…どうなんだ…?…………リン、無理そうだったり駄目だったら全然断って欲しいのだが…思いつきは、した」

 

か、カフェに置くものだろうか…

 

『なるほど…?取り敢えず教えて頂ければ…』

 

リンにそう言われ、私は返答する

 

「……その、私の趣味全開…なのだが。小さめのDJステージなど…」

 

『…………なるほど』

 

……やっぱり駄目だな……

 

「いや、カフェには必要無いな、すまない、忘れてくれリン。また今度までに考えて───」

 

『ではDJステージを設置する方向で動きますね。先生、お時間ありがとうございました』

 

「嘘だろうリン!?」

 

私の驚愕の声を最後に通話は途切れた

………え、いや……まさかな…

多分リンも仕事で疲れているんだろう、他の室長からセーブがかかる筈

うん、そうだ、そうに違いない

 

『先生ってDJ出来るんですか!?』

 

アロナがそう聞いてくる

私は頷いた

 

「…まぁ、趣味でな。皆を笑顔に出来るし、私自身…楽しくて胸が高鳴る」

 

あの感覚は良いものだ

以前の世界でも時々生徒達に披露していた事を思い出す

 

『わぁ…!私も見てみたいです!』

 

「そうか?なら今度、小さめのターンテーブルを買いに行くか。そうしたらアロナの為に演奏しよう」

 

『わぁい!でも、リンさんがカフェに…』

 

「一種の冗談だろう。カフェにDJステージなんて…そんな所あるのか…?私が知らないだけの可能性は十二分にあるがまぁ多分無いだろう多分……今はいいか…仕事に戻ろう。引き続き書類の分類を任せたぞアロナ」

 

『このスーパーアロナの分類パワーにお任せください!』

 

「はは、頼もしいな」

 

そうしてその日は書類仕事をサクサクと片付けたのだった

 

─────────────────────

 

数日後。私は開店予定のカフェの中に居た

色々と準備が終わったので今日が最後のチェックを行うようだ

連邦生徒会の生徒達や他にも様々な人が出入りしている

そして、私の目の前には………

中々なサイズのDJステージが鎮座していた

 

『わぁ!』

 

アロナが目を輝かせる

 

「…………マジか」

 

私はそれしか言葉が出なかった

私はDJステージから目を逸らす

というか結構大人も居るな………

それもそうか、カフェの開店準備だからな

そんな風に考えていると…視界の端に見たくないものが映った気がする

見なかった事にして端の方へ移動するがその人物は私の方へ歩いてきて話しかけてくる

 

「クックック……ご無沙汰しています先生」

 

「出禁だ帰れ」

 

目の前の男、黒服に私はそう返した

 

「なんだ?まだ悪巧みか?敵の本陣に単身乗り込んでくるとは自殺志願者か?良いだろう。お望み通り葬ってやる」

 

動脈の後に心臓。頭も砕いておくか

いや、コイツがまともな生命体かも分からないな

斬り刻むべきか。十七分割ぐらいに

 

「クックック…お待ち下さい先生。一度協力した仲ではないですか。ナイフに手を掛けるのは少し待ちませんか先生」

 

「だから言ったじゃないですか」

 

そんな声と共に黒服の隣の空間が裂かれ、虚空から腰に刀を佩いた白いドレスの生徒、虚が出現した

 

「はぁ、お陰でまた顔を出す羽目になりました。一応護衛を担っているとはいえ……だから大人しく部下に任せておけと…」

 

やれやれ、とため息をつきつつかぶりを振る虚

その白いドレスは血の一滴もついていない

 

「なんだ、虚はまだ黒服と一緒に居るのか。…だが元気そうで何よりだ。カフェが開店したらそのうち来ると良い。事前に言ってくれれば個室は空けておくぞ」

 

「手厚いですね。その優しさを1ミリでも黒服に分けていれば私がこうして出向かずに済んだのですが」

 

虚はなんだか皮肉屋な所があるな

そんな事を思いつつ答える

 

「無理な話だな。アレは私の敵だ。利害は一致したし、頼まれたから協力したし、そのお陰で虚を助けられた事には感謝しているが…それと私の感情では話が別だ」

 

ただ嫌い、それだけでしかない

まぁ、葬るというのは視野内に入れてはいるが正直今はしない。人の目があるしな

何より生徒達が居る。最終手段だ

 

「完全に初手の対応を間違えましたね黒服。相当嫌われてますよ」

 

「クックック………」

 

やはり虚と黒服は交友があったのだろう

黒服は以前の行動から推察できるからともかく、虚も結構黒服を気に入っているようだ

ふむ。十七分割はやめておこう

取り敢えず私は気になった事を聞いてみる

 

「で、なんでお前が此処に居るんだ。悪巧みにしては無防備過ぎるし特に異常な気配も感じない。なんだ?まさか普通に何かしらの責任者としてでも来たのか?」

 

「…鋭いですね先生、言葉も勘も。えぇ、少々新しい事業にも手を出そうかと」

 

黒服の魔の手が他の場所にまで伸びるのか

 

「カイザーとはどうしたんだ」

 

私の質問に虚が答え、黒服もそれに続ける

 

「手を切ろうとしてますが色々と面倒そうですよ」

 

「クックック…彼らと繋がっているメリットより、デメリットの方が多くなってしまいましたからね。早急に対処したい所です」

 

「……………ほう」

 

すると、視界の端でリンを見つける

キョロキョロと辺りを見渡していた

話しかけに行くか

 

「虚は勿論良いが…まぁ、黒服も良いだろう。何かしら怪しい動きをしていたら即刻出ていって貰うが」

 

「ありがとうございます、先生」

 

取り敢えず開店後は監視カメラを増設するか

虚にまたな、と手を振って私はリンの所へと向かった

 

「こうして対面で話すのはお久しぶりですね、先生。DJステージはどうでしょうか、何か不備や不満点などありましたら、すぐに言ってください」

 

「すぐに調整できるように、手配は出来ていますから…!」

 

足音と共にリンと、もう一人が歩いてくる

その隣に居る、ウェーブがかかった金髪と黒い羽の生徒…岩櫃アユムだ

リンとも仕事の連絡をする事もあるが、基本の仕事はアユムとの連絡がメインだ

リンは忙しいからな。一度アユムを通すのが普通だ

 

「リン、アユム、久しぶりだな。DJステージは…あぁ、機材も配置も何も問題ないのだが…本当に良いのか?私の趣味でしか無いんだぞ?」

 

というか、私は小さめのDJステージと言ったのだが結構大きいな…

 

「先生ならきっと、有効活用されるでしょう?」

 

「まぁ…皆を楽しませられるのなら、時々演奏でも披露しようか等と思っているが…」

 

人が集まるかは正直自信無いが。まぁその場合もアロナに披露するから問題は無い

 

「ふむ。少しだけ試してみてもいいか」

 

「えぇ、どうぞ」

 

少し触れただけだが、かなり扱いやすいし手に馴染むような感覚がする

………久しぶりだが、テンションが上がってきた

自分でも自然と口角が上がるのが分かる

そんな様子を間近で見ていたアロナから声が掛かった

 

『先生、楽しそうですね!』

 

「あぁ、最高にいい気分だ…!」

 

久し振りに感じる胸の高鳴りと、もっとやりたいという衝動が抑えられない

い、一曲だけ……

一曲だけ演奏してみるか………

お試しだからな、仕方無いな、何か不備があってはいけないからな!!!!!

ちゃんと演奏しないと分からない問題もあるかもしれないからな!!!!!!!!

よし、やろう!!!!!!!!!!!

 

─────────────────────

 

その後、夜までシャーレがブチ上がったのは言うまでも無い話だった

ちなみに開店は1日遅れた




サオリ先生の好感度は基本
生徒達>大人(普通)>>>>>>>大人(敵)
ぐらいです。黒服は大人(敵)の三段下ぐらいにいます。これでも今回と虚救出の手助けで評価が上がりました。カイザーとベアトリーチェは多分見えないぐらいの遙か下ですね…()
この世界の黒服達は先生大好き要素濃いめって事で多分ちょっと緩くなります。虚も居ますからね

大人サオリが居た世界の先生の性別どっちがいいですか!

  • 男性!!!!!!!!!!
  • 女性!!!!!!!!!!
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