色々ありつつもゲーム開発部の部室に到着した私は、早速モモイから話を聞いた
「先生も来たし、早速廃墟に…」
「待て、廃墟?もう少し最初から説明してくれ」
妙な事を言うモモイを引き止め、私は改めて話を聞く
ゲーム開発部は文字通りゲーム開発を行っていて、モモイがシナリオライター…ゲームの物語を作るのがモモイの役割。ミドリがイラストレーター…ビジュアル全般を担当しているらしい。今は居ないが、部長のユズは企画周りを担当しているそうだ
この3人が、ゲーム開発部
「なるほどな、モモイと、ミドリと、ユズ。名簿との差異もない。……3人か…………3人…?」
確かミレニアムの部活動の規定人数は……
そんな事を考えていたのだが、モモイは話を進める
取り敢えず話を聞くか
「それで、私達は平和に18ビットのゲームとかを作ってたんだけど…ある日、急に生徒会から襲撃されたの!」
色々と引っかかる部分はあるが、続きを促す
「………ふむ、それで?」
「一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最後通牒を突きつけられて……」
「最後通牒…」
するとその時、ガチャリとゲーム開発部の扉が開き、同時に聞き覚えのある声がする
「それに関しては、私が直接説明しましょうか?」
「「こ、この声は!」」
モモイとミドリがそう言う
私もドアの方へと振り返れば、そこにはセミナーの会計、早瀬ユウカが立っていた
後ほど会いに行こうと思っていたのだが、ここで会えるとは思わなかった
「おや、久しぶりだな、ユウカ。少しミレニアムにお邪魔しているぞ」
私は片手を上げて挨拶する
「お久しぶりです、先生。こんな形で会うとは思っていませんでした…」
ユウカはため息をつき、眉間に手を当てている
「出たな、生徒会四天王の一人、【冷酷な算術使い】の異名を持つユウカ!」
びっ、とユウカを指差しそう言うのはモモイだ
「勝手に変な異名を付けて人をモンスターかなにかみたいに言わないでくれる?失礼ね。…先生とは話したい事が色々あるのですが、それはまた後になりそうです」
ユウカがジロリとモモイを見れば、活発だったモモイも流石に大人しくなる
「本当に諦めが悪いわね、モモイ。廃部を食い止めるために、わざわざ【シャーレ】まで巻き込むなんて。でも、そんな事しても無意味よ。例え連邦生徒会のシャーレだとしても…いえ、あの連邦生徒会長が戻ってきたとしても、部活の運営については概ね、各自治区の生徒会に委ねられているんだから」
ユウカの言う事は本当だ。私も頷いておこう
「…そうだな。権限的に覆すというのは私には無理だし、可能だとしても私はそんな事したくない。実行に移す事はないと断言する」
ユウカは私の言葉に少し安堵したような表情で頷いていた
「せ、先生はどっちの味方なの!?」
モモイの言葉に、少し申し訳無さを覚えつつ返答する
「…私は先生。生徒達皆の味方だ」
少しばかり、黙っておこうか
話を進めてもらおう。モモイの主張は少々主観に偏りすぎている気がするからな、状況を正しく認識しなければ
「…とにかく、ゲーム開発部の廃部はもう決まったことなの、これはもう誰にも覆せない」
「そ、そんな事ない!言ってたでしょ、部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活としてそれに見合う成果が出せれば…」
あぁ、やはり規定人数の4人に届いていないのだな…
「それが出来れば良し。出来なければ廃部、部費は勿論部室も没収する。私、ちゃんとそこまで言ったわよね」
ユウカに詰め寄られ、モモイは目を逸らした
「あなた達は部員数も足りない上に、部活としての成果を証明できるものも無いまま何ヶ月も経ってるんだから…廃部になっても、何も異議はない筈だけど?」
「い、異議あり!すごーくあり!!私達だって全力で部活動してる!!!だからあの…なんだっけ、上場閣僚?とかいうのがあっても良いはず!」
多分言いたいことをモモイに教えておく
「…それを言うなら情状酌量じゃないか?」
「そうそれ!多分!!!」
「…全力で部活動してる…?笑わせないで!あなた達が何をしたのか先生にも教えてあげます!校内に変な建物を建てたと思ったらまるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし!レトロゲームを探すとか言いながら古代研究会を襲撃するし!」
他にもあれやこれやと出てくる余罪
「……な、なるほど…………」
正直、聞けば聞くほど、これは………
チラリとモモイを見れば、しどろもどろになりながら並べ立てられる余罪を前に言い訳をしようとしていた
沢山の所業を説明し終えたユウカは肩で息をしていた
…処理が大変だったのだろうな…
そもそもセミナーの会計が大変な仕事だ
様々な物を作ったり、開発したり、研究したりが多いであろうミレニアムなら尚更
今度、労ってあげよう………
「はぁ…はぁ……おかしいでしょう!?「全力」かもしれないけど、部活動としては間違ってるわよ!
それに、これだけ各所に迷惑をかけておいて、よく毎度のように部費なんて請求出来るわね!?真っ当な言い訳ぐらいしてみたらどうなの!?」
……うーん、正論…としか言いようがないかもしれない
ユウカ自体、率先してこんな事をしたがったり言いたがったりする生徒ではないだろうし…
さて、後はモモイ達次第…だな
私は再び見守る事を再開する
「と、時には結果よりも心意気を評価する事も必要…」
「負け犬の言い訳なんて聞きたくない」
「聞きたいのか聞きたくないのかどっちなのさ!」
「無意味な言い訳は聞きたくないって事よ。ミレニアムでは【結果】が全て」
むっとした表情でモモイは言い返す
「結果だってあるもん!私達だってゲームを開発してるんだから!」
「そ、そうですよ!【テイルズ・サガ・クロニクル】はちゃんと、【あのコンテスト】で受賞、も……」
気圧されていたミドリもそう言うが、語気はだんだん弱くなる
「……テイルズ・サガ・クロニクル…あぁ…」
思い当たる節がある名前だ
ゲーム開発部が作ったゲームで、一番有名なゲームの筈
「その様子だと、先生もご存知のようですね」
「ミレニアムについて色々と覚える為、調べている時に、少しな…そこまで詳しい内容までは把握しきれていないが…」
「【テイルズ・サガ・クロニクル】…このゲーム開発部における、唯一の成果です。ゲームそのものもさることながら、レビューが大変印象的でした」
つらつらと並べられるレビューはどれも内容を酷評するもので、逆に興味が湧いてくる程だ
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『私がやってきたゲームの中で、ダントツで「絶望的」なRPG。いやシナリオがとかじゃなくて、ゲームとしての完成度が』
『このゲームに何が足りないかを数えだしたらキリがないけど…まぁ、一番足りていないのは「正気」だろうね』
『このゲームをプレイした後だと、【デットクリームゾーン】はもしかしたら名作の部類に入るんじゃ…って思っちゃうわ』
『ス ト レ ス』
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「わ、私達のゲームは、インターネットの悪意には屈しな…」
「例えユーザー数が無限に居たとしても、沢山の評価が収束すれば、それは真実に一番近い結果よ」
モモイの言葉を遮って、淡々とそう述べるユウカ
「あなた達が持っている【結果】も、【今年のクソゲーランキング1位】だけでしょう?」
ふ、不名誉………
モモイとミドリも押し黙ってしまった
「あなた達の部活がこのまま活動していても、かえって学校の名誉を傷付けるだけよ。それに、その分の部費を他に回せば、きちんと意義のある活動をしてる生徒達の為になる………だから、もし自分達の活動にも意義があると主張したいのなら…証明してみせなさい」
…おや。手段はあるようだ
「証明…って?」
モモイがそう聞き返す
「何度も言ったでしょう。きちんとした功績や成果を証明すれば廃部は撤回するって」
「ふむ。何かの大会で受賞する…とかか」
私の言葉にユウカは頷いた
「その通りです先生。スポーツならインターハイに出るとからエンジニア部なら発明品を公表するとか、そういう類いのもの。ゲーム開発部なら、そういうコンテストも色々あると思うけど……」
若干考えるような素振りを見せたが、ユウカは言う
「とはいえ、出せばなんとかなるとも思えないわね。あなた達の能力は、あのクソゲーランキングが証明済み」
「ぐぅ…」
ミドリが苦悶の声を漏らす
「どうせならお互い楽な形で済ませましょう?今すぐ部室を空けて、この辺のガラクタも捨てて」
ユウカの目線の先には、ゲーム機やカセット入れなどがあった
「………が、ガラクタとか言わないで……!」
モモイが今までになく傷ついたような、怒っているような、悲しんでいるような声でそう言い返す
「………じゃあ何なの?」
しかし、ユウカは冷たくそう言い放つ
「…そ、それは……」
モモイは俯いてしまった
場に静寂が訪れる
「………ユウカ。流石に──」
私が声をかけようとしたその時
「…分かった、全部、結果で示す」
モモイは決意が満ちた表情でユウカを真っ直ぐ見据えていた
「へぇ…?」
「そのための準備だって、もう出来てるんだから!」
モモイが続けてそう言う
「え?」
「ほう」
「そうなの!?」
「なんでミドリまで驚くのさ!?」
ユウカと私はともかく、ミドリまで驚いている
…若干不安になってきた
「と、とにかく、私達には切り札がある!その切り札を使って今回の【ミレニアムプライス】に私達のゲーム……【TSC2】…【テイルズ・サガ・クロニクル2】を出すんだから!」
モモイはそう宣言したのだった
サオリが仮入部する所どっちがいいですか!!!!!!
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正義実現委員会!!!!!!!!!!!
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シスターフッド!!!!!!!!!!!