シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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アリス

 

「お、女の子………?」

 

「眠ってる……のかな…?」

 

この子、確か以前の世界のシャーレで見覚えが……

あまり話したことはなかったが、よく先生と元気よく話したり、撫でてもらったりしていた子だ

しかし、何故か私の本能が警鐘を鳴らす

あれは………なんだ……?

 

(アロナ、もしもの場合の防御を頼む。あの子の解析は今は大丈夫だ、防御に集中を)

 

『は、はい…!』

 

「少し様子を見てくる。大丈夫そうだったら言うから、2人はここで待っていてくれ」

 

「…わ、分かった」

 

モモイはそう言い、ミドリも頷く

私は少しずつ、少女に近付いた

触れられる程の距離に近付いたのだが、特に何も反応は無い

呼吸も脈もない、真っ白な肌

髪はサラサラとしている

 

「…ふむ……二人共、気になるなら来ても大丈夫だ。一応、何があってもすぐに逃げられるようにな」

 

「うん…」

 

モモイとミドリもこっちに来る

 

「なんか……死体って感じでもないね」

 

「電源が入ってない…みたいな?」

 

「………電源…か。精巧に造られた人型の機械…?」

 

人型の機械は幾らでもキヴォトスに存在するが…生徒に似た…というか、こんな機械は……

それこそ、やはり前の世界の事を思い出してしまう

名前はなんだったか…………

……待て、というか…あの子はミレニアムの所属だった筈だ。しかし、名簿にこの子の事は一切載っていなかった

…同一と考えていいのだろうか

まじまじと見ていたモモイが声を上げる

 

「エー、エル、アイ、エス……どう読むのか分かんないけど、これがこの子の名前?………アリス、とか?」

 

「………あ」

 

思い出した、アリス。そうだ、先生がこの子をアリスと呼んでいた

 

「先生?どうしたの?」

 

「…いや、なんでもない。大丈夫だ」

 

モモイにそう返す

 

「お姉ちゃん、それアイじゃなくて1じゃない?AL-1S…が名前かも」

 

「…取り敢えず、服を着せよう。ずっと裸のままというのもな」

 

人じゃないのは分かったが、それでも私の気分的な…

 

「あ、私予備の服があります、サイズも多分入ると思いますし」

 

「助かる。ではそれを着せよう」

 

そして、少女に服を着せ終わったその時

 

【状態の変化、及び接触許可対象を検知。休眠を解除します】

 

パチリと、少女の目が開いた

 

「…!?」

 

「えっ!?」

 

「お、起きた…!?」

 

私は咄嗟にモモイとミドリを後ろに庇う

起き上がり、キョロキョロと辺りを見渡した後、彼女は口を開く

 

「………状況把握、難航。会話を試みます…説明をお願いできますか」

 

「…すまない、私達も状況はあまりよくわかっていないんだ」

 

……なるほど、私の本能が警鐘を鳴らしていたのは、そういう事か…

彼女は……戦う為に造られているのか

 

「……敵対の意志は…無いんだな?」

 

「肯定。接触許可対象への遭遇時、本機の敵対意思は発動しません」

 

その言葉に若干の安堵を覚える

此方からも危害を加えるつもりはないと意思表示をする為、手に取っていたナイフを収納した

ハンドガンはすぐに取り出せるようにしておくが

 

「あなたは何者…?ここはいったい何なの?」

 

私の後ろからミドリが質問する

 

「本機の自我、記憶、目的は消失状態である事を確認。データがありません」

 

初期化された後……か

一応、聞きたいことは聞いてみよう

 

「接触許可対象とは、なんだ?」

 

「回答不可。本機の深層意識における第一反応が発生されたと推定されます」

 

「し、深層意識…?どういう事…?」

 

「恐らく、根底に守らねばならない絶対のルールが設定されているのではないか?それか、感情をそう処理しているだけ…とかだろうか。あまり詳しくはないからそういう事は専門家に聞いたほうが良いな」

 

……さて、謎の声、謎の部屋、謎だらけの少女……

どう…したものか

初期状態故か、攻撃の意思は無いようだが…

しかし、私はアリスの存在を知っている

機械的で、感情の起伏も感じられない少女がどうしてあの天真爛漫という言葉が似合うような少女に…?

別個体の可能性は…ある……のか…?

この少女は、戦う為に造られている。危険は…無いとは言い切れない

 

「工場の地下、ほぼ全裸の女の子、記憶喪失……」

 

私の後ろでモモイがブツブツ呟いている

ハッ、と何かを閃いたようだ

 

「ふふっ、良いこと思いついちゃった!」

 

「良いことが思いつくような要素は微塵も聞こえなかったんだけど……?」

 

「……一応、聞いておこう」

 

「???」

 

─────────────────────

 

戻ってきた……戻ってきてしまった、部室に……

 

「???」

 

少女を連れて………………

 

「この子を部室まで連れてきてどうするの!?」

 

ミドリがモモイに掴みかかる

 

「うっ、苦し…首絞めないで…げほっげほっ!」

 

すぐにミドリは手を離した

 

「し、仕方ないじゃん…そもそもあんな恐ろしいロボットたちがいる場所に置いていくわけにも…」

 

一理……あるが………

あのロボットたちはこの少女を守っていたのではないだろうか…?

まぁ、なんとも言えないか…

考え事をしていれば、視界の端で少女が動く

リモコンを口に入れていた

慌てて私とミドリが駆け寄る

 

「わぁぁっ!リモコンを口に入れないで!ぺってしてぺって!」

 

「それは食べ物ではないぞ…」

 

「……やっぱり、放っておくわけにもいかないでしょ」

 

モモイが真剣な表情でそう言う

 

「だよね、先生」

 

「…………………………………まぁ…な」

 

目の前の少女を見る

部屋をキョロキョロと見渡し、色んな物を手に取っては見つめている

………待て、理性的な判断をしろ、私

庇護欲を抑えろ、私は先生だ。生徒達が傷付かないように決断を…

…いや、アリス、彼女は…以前の世界ではミレニアムの生徒だったな?

もし、何があるかは分からないが、この少女がミレニアムの生徒となるのだったら…

……いや…本当に………どうするべきなんだ

ヴァルキューレ…いや、連邦生徒会に連絡…?

私が考え事をしている間に、モモイ達は話を進めていたらしい

 

「取り敢えず名前は必要だよね、アリスって呼ぼうかな」

 

「本機の名称、アリス。確認をお願いします」

 

「ちょ、ちょっと待って、それ勝手にお姉ちゃんが呼んだ名前でしょ!?本当はAL-1Sちゃんなんじゃないの?」

 

アリスの名前がモモイから出た時に予想はしていたが、やはり名付け親はモモイだったようだ

確かにAL-1Sよりかは、アリスの方が私も良いとは思う

 

「まぁ、機械的な名前よりは私もアリスの方が良いと思うぞ」

 

「ほら、先生もこう言ってるし!どう、アリス?気に入った?」

 

アリスの様子は……

 

「…………肯定。本機、アリス」

 

少しだけ、アリスの表情が和らいだ気がする

こうして、少女の名前はアリスに決まったのだった

サオリが仮入部する所どっちがいいですか!!!!!!

  • 正義実現委員会!!!!!!!!!!!
  • シスターフッド!!!!!!!!!!!
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