「ユズちゃん、探しても見つからなかったのに…いつからロッカーの中にいたの?」
ミドリがユズにそう聞く
「み、みんなが、廃墟から帰ってきた時から…」
ユズはそう答えた
やはり廃墟から帰ってきた時からか
「だいぶ前じゃん!?その時からずっとロッカーの中にいたの?あ、もしかして……アリスちゃんが怖かったから…って、あ…」
ミドリが私を視界に入れ、気付いたようだ
「…あぁ、多分私のせいだ。すまない…私は少し外に出ていよう。丁度用事もあるからな」
突然やって来た自分よりかなり大きい仮面の女など、人見知りの生徒にはとんでもない爆弾だろう
なんならまだアリスの方が自分と背丈が似通っている分マシかもしれない
「分かりました、じゃあ何か進捗があればモモトークでお伝えしますね」
「またね先生〜!」
「あぁ、夜更かしはし過ぎないようにな」
私はモモイとミドリに手を振りながらドアへ向かう
「あ……あの…ご…ごめんなさ…い……」
ユズがそう声をかけてきた
む、気を使われたかと思われたか
まぁ、気を使ったのはそうではあるが…
「気にすることは無いぞユズ。本当に用事があるし…知らない大人が急に部屋に来たら怖がるのは仕方無いからな。私こそ急に来てすまなかった」
手癖で頭を撫でそうになるが意図的に抑える
怖がってる生徒にはあまり安易に触れるべきではないだろう。更に怖がらせてしまいそうだ
「い、いえ…そんな……あの…ありがとう…ございます………」
「ふふ、礼も大丈夫だ。ではな、皆」
私はそう言ってヒラヒラと手を振りつつゲーム開発部の部室を出る
そのまま歩き、ミレニアムの校舎から外へと出つつ私は考える
「ふぅ…さて………何から始めるべきか…ヒマリやリオとも話がしたいが…この時間だ、アポも取っていないからな…流石に迷惑だろう」
となると、やれる事は……
「廃墟…か」
そう、廃墟探索だ。情報があると確定している訳では無いが他を探って何か情報が見つかるとは考えにくい
幸い、今日潜入したばかりなので装備は整っている
これなら早速…と考えたその時
『駄目ですよ先生!せめて生徒さんが一緒ならまだしも、単独であんな危険な場所へは行かせられません!私の防御がある限り傷つけさせはしませんが……あのミサイルの時のように……私の力が尽きてしまうという万が一があるかもしれません!』
ぷんすか頬を膨らませたアロナにそう止められる
とても心配してくれている事は分かるし、気持ちは嬉しいのだが、状況的にそうも言っていられないのも事実。私はアロナの説得にかかる
「む……しかし、何も知らないまま、ゲーム開発部にアリスを放置するわけにもいかないだろう?全てを把握するのは不可能だとしても多少の情報は得ておきたい。責任は負うと言ってしまったしな」
『それは確かにそうですけど…私でさえ構造の把握さえ難しい程でしたし…でもでも、先生が怪我をしてしまったらそれこそ本末転倒ですよ!』
「むぅ…」
痛い所を突かれてしまう
私の戦闘能力に自信はあるが…情報が出揃っているのならまだしも、未知の領域に足を踏み入れ、絶対に無傷で帰って来る事が出来ると言い切れる程私は自惚れていない
話が平行線になりかけた時。私の後方に誰かが降り立った
私がよく感じている気配だ
「………また何か、無茶をしようとしていますよねぇ?先生?」
狐の仮面を外しながらニコリと笑う、神出鬼没な私の生徒であり友人…
「新しい学園に顔を出しに行くと聞き、いつも通…んんっ…偶、然。あとをつけてみればまた面倒事に巻き込まれていらっしゃるようで」
ニコリとした笑み。しかし目は笑っていないし、とても圧を感じる声でワカモはそう言った
地味にストーキングされていた事が判明する
け、気配を隠すのが上手くなったな……
私とした事が全く気付けなかった
出会ってから一ヶ月ほどはすぐに分かったのだが…
というか、アロナのサーチにすら感知されずに私にも勘付かれずについてきていたのか
「こ、こんばんはワカモ……月が綺麗な良い夜だな」
大体何を言及されるか察したので話題を逸らそうとするが流石に自分でも下手過ぎると分かる
「……はぁ…一部始終…いえ、少しの間軽くC&Cに追われていたので一部見ていない箇所もあるのですけれど…先生の事ですし、大体予想はつきます。あの昼間訪れた廃墟に単独で向かおうとされていますよねぇ?」
にっこりと笑いかけられながら問い詰められる
言い訳を考えていたが、これは無理だと悟った
もう正直に話すしかないな…
「………そこまで分かっているのなら誤魔化しても無駄か……その通りだ、私は廃墟に向かおうとしていた。少々気になる事があってな…」
暫くした後、ワカモの笑みが崩れ、呆れの表情へと変わる
「生徒達の事になるとあなたはどうしてこう……とにかく、単独での潜入は駄目です先生。少々危険すぎますわ」
「うぐ……」
予想通りとはいえ困ったな…
ワカモを相手に走力で振り切れる体力も身体能力も自信もない上、ワカモは強い。私の心情的に拘束の為とはいえ無駄に戦闘などもしたくないし……
そう考えていたのだが、ワカモは続けて言う
「……と、言って終わりなら良かったのですけれど……正直、先生なら何かしら策を見つけて廃墟に行こうとしますよね?ですから、廃墟に行く事は許します。ただし、条件として私を連れて行く…という事で如何でしょうか?」
再びにっこりと笑うワカモ
……なるほど…
正直、あまり気乗りはしない。
時間が時間だし…未知の領域だからな……
「……あそこは危険だ、あまり巻き込みたくは…」
「先生の方が危険なの、分かって言っていますよね?先生が強いのは、理解しています。ですが…ですが、一発でも攻撃が当たってしまえば…また、あの時のように……」
私の腹部に目線を向けつつ、少しずつワカモの目が潤んでいき、耳が垂れ下がる
エデン条約での事を思い出しているのだろう
数秒の葛藤の中、私は結論を出す
「………分かった…背に腹は代えられない。力を貸してくれ、ワカモ」
私はワカモの頭を撫でつつそう言う
「…!はい!」
(アロナも、これで良いか?)
『ワカモさんが一緒なら許可します!戦闘能力は勿論ですが、信頼の面もワカモさんなら大丈夫だと思いますから!』
ワカモは私がシャーレの先生となったばかりの最初の最初からずっと交流があるからな。恐らく一番シャーレに来てくれているのもワカモだろう。七囚人とはいえ、ここまで付き合いが長ければアロナもワカモの事は信用しているようだ
アロナからも許可が出たので私は装備を軽くチェックしつつ歩きだす
少し気が抜けた私は思わず…
「…全く…ワカモには敵わないな。姫と話している時と似たような気分だ…………あっ」
そう口走ってしまう
後々になって気付くが手遅れすぎる
「姫……ですか?」
あまり口にしないよう心がけていたつもりだったのだが、廃墟探索に行けると決まり安堵してしまったのが原因か口が滑ってしまった
聞き逃してくれと祈っていたが普通に聞き返される
まぁ…普通に答えるか…下手に言い訳して墓穴を掘るよりはまだマシだろう
そこまでとんでもない秘密という訳でもないし、ワカモになら話しても良い筈だ
「私の大切な人で、私の家族だ。…よし、不備はないな。点検も終わった。行こうかワカモ………ワカモ?」
装備は問題無い。確認を終えたので前を向きつつ歩き始めたが先程まで聞こえていた足音が聞こえないので振り返ると、ワカモは硬直していた
「………はっ…!?は、はい!今参ります!」
私の声に数秒遅れて反応したワカモが仮面を装着しつつ慌てて此方に走ってきた
どこか本調子ではないのだろうか?
そうだったら無茶に付き合わせてしまい申し訳ないな…
ワカモをしっかり気に掛ける事にしよう
そう決めつつ、私達は廃墟へと乗り込んだ
ワカモの脳内(姫!?!?!?!?大切な人!?!?!?家族!?!?!?!?ももももももしかして既にいやでも結婚指輪など見たこともいやそれより私をそんな姫さんと多少なりとも重ねて見てくださっ(思考ショート))
サオリが仮入部する所どっちがいいですか!!!!!!
-
正義実現委員会!!!!!!!!!!!
-
シスターフッド!!!!!!!!!!!