オートマタが徘徊する夜の廃墟群は昼間よりもより一層不気味だ。人によっては足が竦んでしまう程かもしれない……が、正直ほぼ廃墟暮らしだった私としては慣れっこだしワカモもこの程度で怖気づくタイプではない
特になんのリアクションも無く狐耳をピコピコとさせつつ周囲の様子を探っていた
鳴る駆動音で敵の位置の把握をしつつ、死角である物陰から様子を伺っている私とワカモ
最終確認の為にアロナもしっかり周囲を探知している
そして、パッと見ただけでも分かる事が一つ
「…………オートマタ、増えてないか?」
「そうですねぇ…日が出ている時に生徒さんお二人と向かわれた際はここまでではありませんでした」
そう、目に見えてオートマタが増えている
ここはアリスを発見した工場周辺なのだが、工場を囲む様に青色をベースにしたオートマタが大量に徘徊していた
『先生、日中の時の約4倍のオートマタがあの工場の周辺に集まっています……!』
「もう一度あの工場の中を探りたかったが…侵入は少々難しいか」
私がサオリと虚の様に空を飛べたり、瞬間移動出来たのなら話は別なのだが、生憎私が飛ぶとなると大人のカードを使った上でヒナかミカの力を借りなければいけない
そうなると10秒もしないうちに解除したとしても私は半日は動けないだろう
「どうなさいますか?」
「ふむ……少し別の場所を探ってみよう。そこでも何も見つからなかった場合は引き上げる」
「了解致しました」
ワカモとそう会話した後、私達は速やかに隠密移動を開始した
物陰から物陰へ。暗闇に溶け込むように進んでいく
慎重に進んでいき……気付けば結構奥の方へと足を踏み入れていた
「……?あのオートマタ…」
私の視線の先には少し大柄で、大盾を持っているオートマタが居た
「ここでよく見かけるオートマタとは色が違いますねぇ、白色に、所々黄色が入った見た目…」
「…ふむ。他のオートマタとは別種───」
そう言いかけた時、ワカモが銃を構えつつバッと後方を振り返る
『先生!ドローンが接近中です、数は7機!』
アロナの声と同時に私の耳も後方からプロペラが回転している音を捉える
『死角を潰す様に飛行しています、このままでは見つかってしまうかと』
一定の速度でこの死角を飛び回り死角を潰していっているのだろう。日中は運が良かったようだ
ふむ、死角を潰されるのは中々困る。ずっと逃げ回るのも面倒だ
選択肢は一つだな
「先手を取って迅速に始末するぞ」
「はい、先生。4機はお任せを」
「了解だ、残りの3機は私がやろう」
私とワカモは散開する
幸い、この周辺にはオートマタが2機程しか居ない上に距離も中々離れている。面倒な奴らを始末するには丁度いい。ただ、オートマタの1機はあの白いオートマタなのが少し気になるか
『射程内に入るまで、3…2…1…今です!』
「行くぞ」
ワカモと私が飛び出す
狙いをつけ、サプレッサー付きのハンドガンで3発射撃。1発目の弾丸は1機目のメインカメラを貫通して致命的なダメージを与え、その機能を停止させる
2発目の弾丸は……少々狙いがズレたか、墜落させる事には成功したがまだ駆動音がする
とはいえ、仕留め損ねた場合を考慮していない訳が無い
私は素早く持っていたナイフを投擲してメインエンジンを破壊した
3発目の弾丸は3機目にしっかり命中していたようだ。1機目と同様に一撃でその機能を停止させた
ワカモの様子は………
丁度、最後の1機に銃剣を突き刺した所だった
ワカモの周囲には同様の方法で破壊されたのか、銃剣で貫かれたドローンの残骸が転がっている
『ドローンの反応、全機途絶えました!今回は援護も呼ばれていませんが…破壊音を僅かに感知したのか、近くのオートマタ2機が此方に向かっています!』
「オートマタが2体来ている。始末してしまうぞ」
「はい、お任せ下さいな…!」
ワカモが再び飛び出して行った
1機はワカモが迅速に処理してくれるだろう
さて、此方は………
「…あの白いオートマタか」
『急いで解析中です…!』
アロナがそう言いながら色々と弄くっている
通常とあまり変わっていないとは思いたいが万が一…という場合もある
白いオートマタは大盾を持ったまま、此方に接近してきていた。死角に隠れて様子を伺う
動きは大盾を持っている上に装甲が少しばかり分厚いからか鈍重だが、パワーと防御力は凄まじいだろう
とはいえ、パワー系の相手は私の得意とする所だ
何処ぞのお姫様や何処ぞの伝説のスケバン並のパワーがあるのであれば話は別だがな…!
探知されるギリギリまで接近された所で私は死角から飛び出し、先手を取る
盾を構えられる前にゼロ距離まで接近し、頭部にあるメインカメラにナイフを突き刺し、ついでに数発射撃する
あらぬ方向に盾を構えつつ銃で射撃する白いオートマタを見てメインカメラの破壊成功を確認し、私はそのまま背後に回り込んで持ち込んでいた装備の一つ、電磁パルスをお見舞いする
【───!!!】
携帯型なので威力は落ちるとはいえ、目的は応援要請の妨害だ、それさえできれば…と思っていたのだが予想以上に効いたのか脚部の動きが停止する
『色々厳重で解析遅くなりました…!このオートマタもメインエンジンは胴の中心辺りです!ですが、他よりも装甲が分厚いかと…!』
アロナの声を聞き、ハンドガンで背中側から胴にあるメイン動力を狙いマガジンに入っている弾を全て射撃するが装甲にヒビが多少入っただけだ、流石に威力が足りない。リロードは少し手間だし次のマガジンの弾全て撃ち込んでも破壊できる確証がない
パルスの足止めもそろそろ限界か、もう脚部が少しだけ動いているのが分かる
まずい、焦ったな。これでは………そう思考しかけたが、此方に駆けてくる足音を聞き取る
私はヒビが入った部分にナイフを全力で突き刺し、バックステップでその場を飛び退いた
「頼む、ワカモ!」
「せやぁっ!!!」
もう一体のオートマタを始末し、全力で駆けてきたワカモがその勢いのまま白いオートマタの背中側に突き刺さったナイフの持ち手を蹴り飛ばす
とんでもない推進力を得たナイフは背面の装甲を貫き、メイン動力源を砕いて尚止まることは無く、正面の装甲さえも穿って飛び出し、廃墟の壁にザクッと突き刺さった
オートマタは……完全に破壊されているな
ふぅ…と息をつき、私はワカモに話しかける
「流石だなワカモ。助かった。私では少々威力が足りなくてな」
「いえ、少しばかり遅れてしまいました…」
しゅん、と耳を垂らすワカモ
目標が高いワカモに苦笑しつつ頭を撫でる
「十分速かったと思うのだがな。まぁ、結局倒せたのだから問題は無い、応援も…」
『はい、呼ばれてません!電磁パルスの妨害が上手く効いていたようです!』
そう報告してくるアロナの声に安堵する
日中でも使うべきだったが、その前に倒しきれると思ってしまったからな……
それで間に合っていないからあれは失敗だった
「…呼ばれていないようだ。先程の私の意図を汲んでくれた蹴りは勿論だが、ドローンを始末した時の銃剣捌きも凄かったぞ」
あの一瞬で4機も貫いたのはかなりの早技だ
「あ、ありがとうございます…鍛錬を行った甲斐がありました。近距離での戦い…というのはあまりしてこなかったもので…少し前にある程度は出来なくてはいけないことを思い知らされましたし」
「ワカモの武器は中距離から遠距離向きだからな、不慣れなのは仕方無い。ただ、近距離も銃剣で対応できればワカモの強さは更に盤石になる筈だ。その鍛錬、私も今度お邪魔しても良いか?何かしらアドバイスが出来るかもしれない」
「ぜ、是非…お願い致します…!」
今のうちから色々と考えておくか、と思考する
ワカモの取り柄は多少の指揮も可能で自分自身もかなり戦えてトラップの扱いも上手い所だ
……これ、私が色々教えるのが最適解だな?
良いアドバイスが出来るように頑張ろう、と思いつつ取り敢えず意識を目の前の廃墟に移す
「さて、折角邪魔者は排除した事だし、ここの近辺を調べてみようか。何かしらあれば良いのだがな…」
もうこれはほぼデートなのではないか?筆者は訝しんだ
廃墟デート、斬新ですね()
ワカモは最初この世界でサラ先生としての一番のお友達枠として置くつもりだったんですけどなんか思ったより脳焼かれてますね…
そして色んな章に出張って来てますね……
でもワカモだから全然あり得ると思うんですよ…
サオリが仮入部する所どっちがいいですか!!!!!!
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正義実現委員会!!!!!!!!!!!
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シスターフッド!!!!!!!!!!!