シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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登場、便利屋68

ワカモに見守られながら筋肉痛をゆっくりと治し、かなり症状も改善した翌日、私はアビドスに来ていた

 

「対策委員会、会議を始めるわ!!!」

 

セリカがそう高らかに宣言する

 

「それは良いが…体は大丈夫か?無理はしていないか?痩せ我慢なんてするんじゃないぞ?」

 

凄くアロナに見られている気がする

なんなら今だけテレパシーが使えそうなぐらい意図が読める視線だ

 

「大丈夫よ!もう元気いっぱい!それで、結局借金については何も解決していないでしょ?」

 

「はい、そうですね…やはり、今のままだとかなり…大変です」

 

アヤネの言う通り、とても通常の学生が払える値段では無いだろう。うーん……借金、悩ましい限りだ

 

「ここらで一回ガッポリ稼がないと!一生終わらないわ!」

 

「それで案を出し合う為の会議、と」

 

「そういう事!」

 

その後、皆で色々と案を出し合った結果……

 

他校の生徒の拉致

マルチ商法

銀行強盗

アイドル活動

 

……癖が強いな

 

「悪いが、上3つはどうかと思うぞ。となると一番いいのはまぁ…アイドル活動……だが……」

 

やりたくない人が居るのなら正直控えたいな…

無理にやらせても続かないし、本当にやりたいと思っている人しかやっていけない気がする

まぁ、そこまで詳しくはないが…

 

「ホシノ先輩…シロコ先輩…セリカちゃん……ちゃんと………考えて下さい!!!!」

 

おお、ちゃぶ台返し

アヤネも怒ると怖いんだな…

飛んできたちゃぶ台を避けながらそんな事を考える

普段優しい人が怒ると怖い…というのはよく聞く言葉だが、正直そんな機会は滅多に無い

私は、一度だけ見たことがあるが…

危害を加えた私に協力してくれる程優しい先生がマダムに言い放ったあの言葉

あの時は、私達の為に怒ってくれた先生が本当に理解できなかったが…

今なら理解できそうだ

 

「マルチ商法だとか、銀行強盗だとか、そんな事できるわけ無いじゃないですか!」

 

そんな風に感慨に浸っていると、アヤネのお説教が本格的に始まった

長くなりそうだな、これは……

 

お説教は昼食の時間まで続き、一度落ち着いたアヤネ

私達は昼食をとるために、セリカはバイトのために柴関ラーメンまで足を運んだ

 

「ごめんってばアヤネちゃん〜ラーメン奢るから〜怒らないでよ〜」

 

「怒ってません。」

 

「お口拭いてあげますね〜」

 

「赤ちゃんじゃありませんから!」

 

「ん、アヤネ。チャーシュー食べる?」

 

「ふぁい」

 

皆してアヤネのご機嫌取りをしていた

私もなにかした方が良いだろうか

などと考えていると、柴関ラーメンの入口が空いた

 

「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

「こ、ここで一番安いメニューはお、おいくらでしょうか…」

 

聞き覚えのある声。思わず振り返る

目に入ってきたのは…便利屋68の一人、伊草ハルカだった

ここで会えるとは!予想外の邂逅に心が踊る

便利屋68にはとても世話になった。裏社会のやり方は彼女達から学んだと言っても過言ではない程だ

大人になった後も、友人として交流を続けていた

ハルカ一人…というのもあまり考えにくい。アル達も来ているのだろうか?

 

「580円の柴関ラーメンです!看板メニューなので、美味しいですよ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

そう言って一度出ていき、帰ってきた

今度は四人、姿が見えた

 

「やっと見つけた、600円以下のメニュー!」

 

「ほらね?何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」

 

「さ、流石社長です……!」

 

「ならせめて4人分ぐらい食事代を用意しておいてほしいんだけど」

 

よく知っている顔だ

陸八魔アル、浅黄ムツキ、鬼方カヨコ、そしてさっきの、伊草ハルカ

便利屋68の4人だ

 

「ん、新しく入ってきたお客さんばっかり見て、どうしたの?先生。知り合い?」

 

「あ、いや…知り合い、という程では無い。私が一方的に知ってはいるのだが…」

 

…正直、この仮面にはかなり助けられるな。思わず表情に出てしまう事が多々ある

今だって、自分でも少々口角が上がっているのが分かる

 

「あ、こっち来るよ〜」

 

セリカと色々と話して、席へ案内されたようだ

アル達は、私達が座っている席の隣に座った

 

「アルちゃん〜正直、忘れてたんでしょ?食事代残しておくの」

 

「……………ふふふ」

 

などという話し声が聞こえてくる

私の憧れの対象ではあるが、アルは少々抜けている所がある。大方、今回もお金を使い過ぎて金欠…とかその辺りなのだろう

数分後、セリカがラーメンを運んできた

 

「はい、お待たせしました!お熱いので気を付けて!」

 

………大きくないか?

思わず二度見してしまった

運ばれてきたラーメンは、超大盛りで並盛りとは比較にもならないサイズだった

 

「な、並のサイズじゃ無いんだけど!?」

 

「お、オーダーミスでは…?私達、払えません…」

 

あわあわし始めるハルカとアルにセリカと大将はにっこり笑いつつ返答する

 

「いえ、並の柴関ラーメンですよ!ね、大将!」

 

「あぁ。ちょっと手が滑ってな、量が増えちまった」

 

思わず此方までにっこりしてしまう

セリカは本当に良い子だし、大将も紛れもなく良い大人だろう。あぁ、先生以外にも良い大人は…居るんだな

私はまだ、少々世間知らずなのだろう

私が関わってきたのは、傭兵として暮らしている時に関わったブラックマーケットの狡賢い大人に…シャーレの手伝いをしている時に出会った生徒を利用しようとする悪い大人達だった

うん、知らない事は知っていけば良い。いつまで経っても、人は学ぶ事が出来る。私は私なりに、教えられる事を教えよう

 

「い、いただきます……!」

 

「………!美味しい!」

 

アル達が麺を啜り、目を輝かせていた

 

「こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて」

 

ムツキも驚いているようだ

確かに、柴関ラーメンはアビドスの中でもそこそこ辺境に店を構えている

 

「でしょう?美味しいでしょう?」

 

ノノミがいつの間にか向こうの席に顔を出していた

 

「あれ、隣の席の……」

 

「ここのラーメンは本当に最高なんです!遠い場所からわざわざ足を運ぶ人も居るんですよ!」

 

ふむ、ラーメン通からしてみれば、隠れた名店…のようなものなのだろうか

 

「えぇ、わかるわ。色んな場所で色んなのを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの」

 

確かに便利屋は色んな場所を転々としつつ仕事をしているので、色んなものを食べているだろう

そんなアルでもこのラーメンは美味しい、というのだから本当に凄いのだろうな

 

「その制服、ゲヘナ?随分と遠くから来たんだね」

 

気付けば、シロコ達も話しかけに行っていた

 

「他校の人達にも認めて貰えてると、私達も嬉しいです!」

 

ムツキとカヨコが、シロコ達の制服を見て、何か気付いたような様子を見せていた

ふむ……仕事関係の事だろうか

 

「うふふふっ!こんな所で気の合う人達に出会えるなんて。想定外だけど、こういう予想できない出来事こそ人生の醍醐味じゃないかしら」

 

ニコニコと笑みを浮かべつつそう言うアル

やはりアルの考え方は素晴らしいものだ

私が出会った人の中で、便利屋68は最も大人に近い生活を送っていると思っている

学校には行かずに自力で会社を運営し、仕事をして生計を立てている

故に私が学ぶ所も多かったし、苦難を前にしても仲間達と一緒に乗り越えようと奮闘するアルを見て、私もそう在りたいと憧れを抱いたのだ

 

「えっ、学校にそんなに借金があるのに、五人で!凄いのね!あなた達!」

 

「いえいえ、返済の目処も立っていませんし…」

 

「それでも諦めないのは凄い事よ!」

 

楽しげにシロコ達と会話するアルをやはりカヨコとムツキは何かしらを話しつつ眺めていた

笑顔のムツキとため息をつくカヨコ

………あれは何かしら問題が発生して、気付いてないアルで遊んでいる時の反応だな…

当のアル本人はそんな事になっているとはつゆ知らず、呑気に笑顔で会話を続けていた

花のパヴァーヌ編一章を飛ばしてエデン条約編を進めて良いか(パヴァーヌ編は一回飛ばすことになったらエデン条約編の後に一章、二章と続けてやります)

  • だめです!!!!!!!!!!!!
  • いいよ!!!!!!!!!!!!
  • 本編の順番通りがいい!!!!!!!!!
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