シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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利息返済と情報整理

 

「ふむ…便利屋………難儀だな………」

 

そう考え事をしつつアビドスへの道を今日も進む

先日の便利屋68の襲撃は乗り切ったが…かなりの消耗だ。正直もう戦いたくはない

アル達もそうだろうが……

 

「あ、先生!おはようございます」

 

そう声をかけられ、顔を上げる

声の主は、アヤネだった

 

「ん?あぁ、おはようアヤネ。どうしたんだ?こんな朝早くから。登校時間には早すぎる気がするが…」

 

少し前に日が昇りだしたぐらいの時間帯だ

早朝と言って間違いないだろう

 

「今日は利息の返済日なんです。色々と準備がありますし、今後の計画も見直さないとなので……」

 

「そうか、アヤネは偉いな。なら、私も一緒に行こうか。準備も計画の見直しも手伝おう」

 

一人よりは二人の方が捗るだろう。力仕事は…一般人としてはそこそこできる方だと思ってはいるが…

 

「先生…ありがとうございます」

 

「気にするな。先生なのだから当然だ」

 

アヤネと並んで道を進む

 

「あ、先生。昨日の方々の情報が見つかったんです。後ほど学校で詳細をご確認いただけますか?」

 

「あぁ、了解だ。…便利屋68……ふむ…」

 

そんな会話をしつつ進んでいると、ふと声がかかった

 

「あっ、アビドスのメガネっ娘ちゃんと怪しい仮面の先生じゃーん!おっはよ〜!」

 

あ、怪しい仮面の………

噂をすれば…というやつなのだろうか

現れたのは便利屋68の室長、ムツキだった

ムツキはそう言いつつ私に密着してくる

 

「な、ななっ!」

 

「ちょっ…歩きにくいのだが…」

 

「あはは!我慢我慢〜!」

 

昨日の今日でこの対応ができるのはムツキの凄い所だろう。というか、何故こんな場所に?

 

「は、離れて下さい!」

 

ムツキを引っ張るアヤネ

 

「あー、引っ張らないでよ〜」

 

「どういう事ですか?いきなり馴れ馴れしく振る舞って……あと、メガネっ娘ちゃんじゃなくて、アヤネです!」

 

「私達、別にメガネっ娘ちゃん達のことが嫌いなわけじゃないし、会社で請け負ってる仕事だからさ。それ以外の時は仲良くしたっていいじゃん?」

 

……ムツキらしい理論だ

アヤネのことを気に入っているのだろうか?

 

「今更公私を区別しようという事ですか!?」

 

「別にいいじゃん。それに、【シャーレの先生】はあなた達だけのものでは無いでしょ?」

 

………なるほど。それはそうだ

 

「そうだな。例外無く、生徒達の為の私だ。…だから、喧嘩は控えてくれると私は嬉しいんだが」

 

「あはは、それは無理かな〜アルちゃんがモチベ高くてさ〜てきとうにやると怒られちゃうから」

 

まぁ、無理な相談か

アルが目指しているのは……アウトローだったか?

私はアウトロー、というものはよく分からないが、夢に向かって奮闘するのは良い事…だと思う

他の生徒に危害を加えるとなると私は止めに行かなくてはならないが

 

「今度、先生も便利屋に遊びにおいでよ、アルちゃんも皆も、きっと喜ぶから!それじゃ、またね〜!」

 

「あぁ、またな」

 

そう言って、ムツキは去っていった

 

「…嵐のような方ですね………」

 

「元気なのはまぁ…良い事だ」

 

ため息をつくアヤネと一緒に再び学校に向かって歩き出した

学校に到着し、お金を準備しつつ計画を立てていると、皆ぞろぞろと学校に登校してくる

全員が揃った数十分後、銀行員がやってきて、利息を確認し、受け取って去っていった

 

「今月もなんとか乗り切ったね〜」

 

「……完済まで残りどれぐらい?」

 

「えっと…残りは…」

 

「言わなくて良いわ!結局一生返してても返しきれないんだから!」

 

口々にそのような事を言う皆

 

「アヤネ、現金を用意していたが…もしかして、カイザーローンは現金しか受け付けていないのか?」

 

「はい、何故かは…わかりませんが…」

 

それは準備に時間がかかるわけだ。正直、疑問が残るばかりだが………

 

「……………」

 

ふと隣を見ると、シロコが現金輸送車をじっと眺めていた

何か考えているのだろうか

 

「シロコ先輩、あの車は襲っちゃ駄目だよ」

 

「ん、わかってる」

 

「計画もしちゃダメ!」

 

「ん………」

 

しょんぼりとするシロコ。計画は立てていたのか…

……シロコは結構手段を選ばない…というか思いついた事を実行しがちなのだろうか

 

「ま、取り敢えずは目の前の問題のことだよね〜教室に戻ろう」

 

ホシノの言葉に頷いて、教室に向かった

 

「さて、色々と情報を整理しようか」

 

皆でテーブルを囲み、座りつつ私はそう言う

 

「はい。まずは、昨日の襲撃の件ですね。私達を襲ったのは、便利屋68という部活です。便利屋68というのは…依頼された事はなんでもこなすサービス業者で、リーダーはアルさん、社長と名乗っているようです。彼女の下には3人の部下がいて、それぞれ課長、室長、平社員の肩書があるとの事です」

 

アヤネの情報を集める能力もかなり高そうだ

少々驚いたが、私はそれに続ける

 

「彼女達は知っての通り、かなりの手練れだ。今はアビドス自治区に潜入している…と考えて良いだろう。少しの間は、また来る…というのは無いだろうが…」

 

…またいつか相対する事になるだろう

 

「うへ〜本格的だぁ〜」

 

「ゲヘナでは起業が許可されてるの?」

 

ホシノはそんなのびのびとした感想を述べ、シロコがそう聞いてくる

 

「いや、何処の学校も基本駄目な筈だ。あのゲヘナでも、校則で禁止されていると聞く」

 

「はい。なので、校則違反者として問題児に数えられているようです」

 

「つまり、彼女達はゲヘナの治安維持組織に追われている…という事だ。まぁ…それは仕方の無い事だろうな」

 

ゲヘナの治安維持組織、風紀委員会

正直に言って、今もあまり得意ではない

…………風紀委員長には、負い目が、あるからな…

 

「先生?次の話に行っても大丈夫でしょうか?」

 

「あ、あぁ、すまない。大丈夫だ」

 

気を取り直そう。思考を現在に向ける

 

「セリカちゃんを襲った方達の黒幕についてです!武器を調べた所、今は取引されていない武器だということが判明しました」

 

なるほど。そういう事か

 

「生産が止められてるって事?」

 

「どうやって入手したのかしら」

 

ホシノとセリカの疑問は妥当だろう

だが、キヴォトスには殆ど何でも手に入る場所がある

 

「…ブラックマーケット、だな」

 

「はい。中退、休学、退学…色んな理由で学校から離れた生徒達が居る、危険な場所です。連邦生徒会が承認していない、非公認の部活も多く存在しているようで…」

 

あの場所は、そんな生徒達の受け皿として機能している面もある……というか、私はそれに正直助けられていた

 

「それと、便利屋68はそこで何度か騒ぎを起こしているようで…」

 

「ブラックマーケットが重要なんですね…」

 

ノノミが悩ましいといった顔で眉を顰める

当然だ。あそこは危険だし、普通に過ごしていて関わるべき場所じゃない

 

「この2つの物事の関連性を調べるのも、手段の一つ…ですね」

 

しーん、と静まり返る部屋

皆色々と考えているようだ

真っ先に沈黙を破ったのは、ホシノだった

 

「よし、ブラックマーケットを調べよう」

 

「ホシノ、あそこは危険だ。それでも行くのか?」

 

「立ち止まってても、何にもならないからね〜。先生も、手伝ってくれるんでしょ?」

 

そう言って、私を見上げるホシノ

その目線には、少々の信頼が感じられた

中々、嬉しいものだな

 

「……あぁ、当然だとも。任せてくれ」

 

「皆もそれでいい?」

 

ホシノの呼びかけに、シロコ、アヤネ、ノノミ、セリカが頷いた

 

「じゃあ決定だね。ブラックマーケットを調べてみよう。意外な手がかりがあるかもしれないしね」

花のパヴァーヌ編一章を飛ばしてエデン条約編を進めて良いか(パヴァーヌ編は一回飛ばすことになったらエデン条約編の後に一章、二章と続けてやります)

  • だめです!!!!!!!!!!!!
  • いいよ!!!!!!!!!!!!
  • 本編の順番通りがいい!!!!!!!!!
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