シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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ブラックマーケット

 

「わぁ☆とっても賑わってますね〜」

 

「ん、まさか街一つの規模とは思ってなかった」

 

ノノミとシロコがそんな感想を漏らす

私達はブラックマーケットを訪れていた

 

「うへ〜私達は普段アビドスにいるからね〜学区外には変な場所が多いんだよ〜」

 

「ホシノ先輩はここ、来たことあるの?」

 

先程の口振り的にはそうかもしれないが…

 

「いんやー、初めてだよ〜。でも他の場所にはへんちくりんなものがいっぱいあるんだってさ。ちょーでかい水族館もあるんだって。アクアリウムって言うの!」

 

少々興奮したような口調でそう語るホシノ

アクアリウム……通りがかった事は稀にあるが、私もまだ一度も入ったことは無い

 

「いつか行ってみたいな〜お魚…お刺身…うへ」

 

「…よくわかんないけど、アクアリウムってそういうのじゃないと思うんだけど…」

 

「まぁ…そうだな…」

 

あそこは確か魚を見る場所だった筈だ

セリカのツッコミに苦笑いしていると…

ダダダダダッ、と銃声が聞こえた

 

「銃声?…すまない、一度様子を見に行きたいんだが…」

 

「おっけー、任せて先生。後ろからついてきてね〜」

 

盾を展開し、武装するホシノ

こういう時、本当に頼もしい

皆で走り、銃声が聞こえている場所へ到着する

 

「まずっ、まずいです〜!つ、ついてこないでくださ〜〜い!!!」

 

聞こえてきたのは、聞き覚えのある声

………ッ、この声は…!!

声の方向へ目を向けると、チンピラから逃げる少女の姿が見えた

特徴的なペロロのバック……間違い無い。トリニティの阿慈谷ヒフミだ。……ペロロの為ならブラックマーケットでさえ足を運ぶ…自称平凡な生徒

 

「わ、わわっ、どいてくださーい!」

 

こっちに逃げてきたヒフミは、シロコとぶつかって転倒した

 

「大丈夫?な、訳ないか。追われてるみたいだし…」

 

「なんだお前達?私らはそいつに用があるんだ!退きやがれ!」

 

ヒフミを追いかけていた二人のチンピラがそう怒鳴りつけてくる

トリニティはマンモス校の一つで、所謂お嬢様学校だ。つまり、お金持ちが沢山居る

 

「……大方、身代金目当てだろう?それなら、見過ごす訳にはいかないな」

 

「なんだ?お前達も参加するか?なら─」

 

シロコとセリカが発砲した

銃弾はクリーンヒットし、二人のチンピラは倒れた

 

「悪い奴らはやっつけないとね!」

 

「うん。当然」

 

「セリカ、シロコ、流石だ。ありがとう」

 

礼を言いつつ、未だに状況が飲み込めていないヒフミに手を伸ばす

 

「ヒ……いや、トリニティの生徒の君。大丈夫か?怪我は?」

 

「あ、いえ、ありがとうございます…私は無傷です」

 

私の手を取り、立ち上がってパンパンとスカートについた汚れを払うヒフミ

 

「あ、改めてありがとうございます皆さん…学園からこっそり抜け出してきてたので、もし問題になっていたら…あうぅ…想像しただけでも……あ、自己紹介が遅れていましたね…トリニティ総合学園の生徒、阿慈谷ヒフミです。助けていただき、ありがとうございます!」

 

こっそり抜け出して……

目的の物はいつも通りのアレだろうか

 

「それで?トリニティのお嬢様がなんでこんな危険な場所に?」

 

そんな事を考えていると、ホシノがそう聞いていた

 

「実は、捜し物がありまして…この場所なら取引されているらしくて…」

 

「戦車?」

 

「違法な火器?」

 

「科学武器とかですか?」

 

「え、えぇっ!?ち、違います!私が探しているのはペロロ様の限定グッズなんです!」

 

やっぱりか。なんというか…行動力がとんでもないな…

トリニティ総合学園の生徒、阿慈谷ヒフミ。彼女とは元の世界ではアズサという共通の友達を持つ者として、結構関わりがあった

彼女も、私に大切な事を気付かせてくれた一人だ

よく、彼女とアズサに引き連れられてペロロの映画だとか、カフェだとか、色んな場所に連れて行かれた事がある

お陰で、私もそこそこペロロに詳しくなってしまった

楽しく笑い合ったり、目を輝かせているアズサとヒフミはなんとも幸せそうで、私も見ているだけで嬉しかった

そんな事を考えていると、周囲の音が消える

 

【貴女は、それを壊したのに?】

 

そんな声が聞こえ、ふと気がつくとそこは暗闇の中

私の眼の前には…私が居た

身に着けた白いドレスは血濡れていて、虚ろな目をしている

 

「………誰だ?お前は」

 

【私は貴女。貴女は私。私は貴女の罪そのもの】

 

「そうか。唐突に何の用だ」

 

罪は問う

 

【貴女の大事なヒト。奪いかけたのは、失いかけたのは誰のせい?】

 

「私だ。マダムに従う事で、多くの人を傷つけ、姫達を守る事を選んだ」

 

【貴女が奪おうとした居場所、命。何を許された気になっているというのですか?アズサも、ヒフミも、その他、貴女が傷付けた人々は、貴女を許す事は無い】

 

「…そうだな。私も許されたと思った事は無いさ」

 

【私は幸福な貴女を否定する。罪は貴女を縛り付ける。幸せ?寝惚けるな。お前は───】

 

「それは私が掴んだ未来だ。足掻き続けて、答えを見つけた。無論、赦されたなどとは思っていない。だが、罪の清算はそれとこれとは別の問題だ」

 

【………貴女はもう動くべきじゃない。辞めておきなさい。無意味、どころか、貴女の判断は事態を悪化させる。間違え続けてきた貴女が。私が。今度は正しい道を選べる?そんな筈が無い。全てはただ、虚しいだけ】

 

「随分と饒舌だな。そんなに私を否定したいか?ハッ、それに、その口調、格好。マダムの真似事か?その程度で私が萎縮すると?……悪いが、私はもう『猟犬』じゃ無い。利口な『駒』では無い。今を生きる『人間』だ。生徒を導く『先生』だ」

 

手に持った拳銃を空に向けて放つ

暗闇が崩壊し、光が差し込んで来た

 

【………貴女は、必ず間違える……!】

 

「あぁ、そうだとも。人は間違える生き物だ。だが、間違えたらそこで終わりでは無い。先生に、教わったからな。さらばだ、『私』ではない『私』」

 

光の中、私は目を閉じた

 

音が戻り、目を開ける。ブラックマーケットだ

 

「先生?どうかした?」

 

シロコが私を見上げていた

 

「いや、なんでも無い。ヒフミとノノミは…何を話しているんだ?」

 

「ん、モモフレンズ仲間だったみたい」

 

「あぁ、それで意気投合しているのか…」

 

それぞれ好きなキャラクターの事などで大いに盛り上がっていた

ひとしきり話が落ち着いてから、次の事を考えようか

……私ではない私。いつか、出会えたのなら…

私は、お前も助けよう

 

─────────────────────

 

繋がった。別の私に、私の罪に

教えてあげましょう、答えを、正解を

一人、また一人、罪は別の私を押し潰す

幼い私。乱暴な私。嘆く私。壊れた私。

 

【貴女は私、私は貴女】【貴女は私、私は貴女】

【私は貴女を否定する】【私は貴女を否定する】

 

今日もまた、繋がった

暗闇の中、立っていたのは…影

私じゃない。私である筈なのに、私という存在ではない。別の存在の中にその私は居る

………言葉を、掛けた

 

「……ぁ…」

 

静寂の中、目を開ける。アリウスのバシリカ

 

「……足掻いた所で…救いなんて」

 

フラッシュバックする記憶

血、血、血、血、血

真っ赤に染まった私

 

「何の意味も………無かったでしょう?」

 

伸ばした私の手。届くことは無く。掴みかけたものは全てすり抜けて行く

 

「……ふざけるな。間違ったらそこで終わりではない?『先生』…だなんて、あの人が。私が撃ったあの人が。救いの手を差し伸べてくれたとでも?自分を害した対象を助ける筈が無い。虚無の中、狂ってしまったのでしょうか。何処の私かは知りませんが、必ず思い出させて差し上げます」

 

私という存在の根底を

 

「Vanitas vanitatum et omnia vanitas───」

花のパヴァーヌ編一章を飛ばしてエデン条約編を進めて良いか(パヴァーヌ編は一回飛ばすことになったらエデン条約編の後に一章、二章と続けてやります)

  • だめです!!!!!!!!!!!!
  • いいよ!!!!!!!!!!!!
  • 本編の順番通りがいい!!!!!!!!!
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