『シャーレを相手にするのです。このくらいあっても困らないでしょうし…大は小を兼ねるとも言いますからね』
そんなアコの言葉にカヨコは顔を顰める
「包囲は抜けたと思ったけど、二重だったか…」
『はい、そうです。それにしても、流石はカヨコさんですね。先程の話は正解です。いえ、得点としては半分ぐらいでしょうか?確かに私はシャーレと衝突するという最悪のシチュエーションも想定していました。ですが、今の状況は意図的に作り出したものではありません。………仕方ありませんね、事の経緯を説明しましょう』
私達は黙ってアコの説明を聞く
『きっかけはティーパーティーでした』
「…?トリニティの生徒会が?」
『はい。そのティーパーティーが、シャーレに関する報告書を手にしている…と、そんな話がうちの情報部から上がってきまして』
ふむ、恐らく、ハスミが作成したものだろう
ヒフミとも共に行動したが、あの時起こった事は報告できる事じゃない
『私もシャーレについては全く知りませんでしたが、ティーパーティーが知っているのなら私達も知る必要があります。そこで、チナツさんが書いた報告書を確認しました』
私がチナツの方を見ると、チナツは呆れたような顔をしていた
確認するのが遅くないですか…?等と思っているのだろう。まぁ…忙しかったんじゃないか…?
『連邦生徒会長が残した、正体不明の組織…大人の先生が担当している、超法規的な部活…どう考えても怪しい匂いがしませんか?』
「何を起こすか分からないから、大人しくしていてもらおう……と?」
『よくお分かりですね。シャーレという組織は、とても危険な不確定要素に見えます。これからのトリニティとの条約にも、どんな影響を及ぼすかわかったものではありません。ですからせめて、条約が締結されるまでは、先生を私達風紀委員会の庇護下にお迎えさせて頂きたいのです』
………なるほどな
理解はした、正直その行動に出るのも納得だ
しかし、私はそれを受け入れる事が出来ない
「エデン条約…締結まで拘束…か。すまない。生徒の要求には出来るだけ答えたいが、それだけは不可能だ。この場にいるアビドスの皆も含め、私には救わなければいけない生徒がいる」
そうだ。私が動けなくては、きっとあの条約は…
そして、姫達も………
「先生………」
『そうですか。では……仕方ありませんね』
アコの指示で風紀委員達が一斉に銃を構えた
「皆、戦闘準備!」
しかし、この数相手だ。どうにかするとなると…
「よっし、便利屋!挟み撃ちするわよ!この風紀委員会、コテンパンにしてやらないと!!!」
セリカがそう声をかけていた
正直、驚いた。セリカはだいぶ感情的な部分がある。私が便利屋との協力を提案しようとしていたが、一番最後まで渋ると思っていたのだ
まだまだ、皆の事を知れていないな…
「ん、先生の盾になってもらう」
「皆で先生を守ります、良いですね?」
「話が早いな……」
カヨコも私達が協力を提案するとは思っていなかったようだが、抗うつもりではあったらしい
「ふふっ…あはははは!当たり前よ!この私を誰だと思っているの?心配は無用!」
先程まで結構静かだったアルが宣言する
「信頼には信頼で報いるわ!それが私達便利屋68のモットーだもの!」
「は、はい……頑張ります……!!」
アルはいつもの調子を取り戻したらしい
毎度の如く、味方となると心強い事この上ないな
「感謝する、便利屋68。でも、お説教は無くならないからな。心の準備はしておくように」
事実は消えないが、多少…軽めにはしてあげよう
「うっ……」
「くふふ!うわ〜先生怒ってるよ〜?アルちゃんがあんな事するから〜」
「ううっ………」
流石にアルも、そのつもりはなかったとはいえ、かなり負い目は感じているらしい
「よし、では…戦闘指揮を始めようか。シロコ、セリカ、ハルカ、前進!」
「は、はい!」
「ん、包囲を突破する」
シロコが飛び出して行き、そこにセリカ、ハルカも続く
「ノノミとアルは別方向から来る敵の牽制を、アヤネは前線の3人の物資の補給を。カヨコは私の護衛と補助を頼む」
「了解」
「分かったわ!」
周囲は囲まれている。一先ず、一方向だけでも突破しなくては
「ムツキ!用意は良いか?」
「おっけ〜!いつでもいけるよ!」
「よし、なら合図したら頼むぞ」
シロコ達に敵を一箇所に追い込むように指示を出し、そのまま指揮を続けつつ、ノノミとアルへの指示を任せていたカヨコに確認をする
「カヨコ、後方と左右の敵の様子はどうだ?」
「社長とノノミさんの牽制で思うように進めてはない。でも、ちょっとずつ確実に近づいてるから、結構時間の問題かも。そもそも距離が近かったし」
先行してきた遊撃隊を迎撃しつつ、そう返してくるカヨコ
「了解だ。よし、シロコ、セリカ、ハルカ、下がれ。ムツキ、派手に頼むぞ」
「くふふ〜!了解!」
ムツキはバックを投擲し、固まった風紀委員達を爆発で吹き飛ばした
『一方向、突破しました!』
「先生!後方からイオリが来てるわ!」
「まともに相手したくはないな…一旦、そのまま牽制を。シロコ、セリカ、ハルカはこっちへ戻って来てくれ」
至近距離であれだけショットガンに撃たれてまだ動けるのか…流石…という他無いな
「ノノミ、アル。牽制を止めて攻撃を開始。ムツキも今からは前衛に参加だ。アヤネ、まだ補給に余裕はあるか?」
「はい、まだ全然大丈夫です!」
「よし、シロコ、セリカ、ハルカ、ムツキ、次は右の部隊だ、頼んだぞ」
戦力的には問題が無さそう…だが、これだけで終わる気はしないな……
増援も予想しつつ動く必要がある
頭を回せ、考えろ。こんな所で掴まって動けなくなるわけにはいかないのだから