交戦開始から1時間、かなりの風紀委員を撃退したが……さらに追加の風紀委員の部隊がやってきた
「はぁ…はぁ……まだ来るの!?」
まずいな、此方の体力はじわじわと削れているが、相手は元気な状態の新しい兵を出してくる
この調子だと押し負けるか……
「た、大した事ないわよ!まだまだ戦えるんだから!!」
アルも口ではそう言っているが、表情に疲労が見て取れる。他の皆もそうだ
「それはそうだとしても……これはもう、アコの権限で動かせる兵力を超えてる…という事はこの襲撃…」
「…風紀委員長の指示の可能性がある…か……」
参ったな、流石にそうなるとどうしようも無くなってしまう
奥の手は…あるが…生徒相手には使えない…正確には、使いたくない…だが
「えっ!ヒナが来るの!?無理無理!逃げるわよ!」
「さっきの威勢は何処に行ったアル……と言いたい所だが、正直そうなるのも分かるな…でも、確定した訳では無い」
「うん、先生の言う通りだから落ち着いて社長…」
補充され続ける戦力に、今の状況。これに加えて風紀委員長までも?冗談じゃない…
「……!先生!」
「どうしたアヤネ?」
「通信を!」
ノイズと共に、何者かが通信に接続してきた
『アコ。』
この声は……空崎ヒナ!?
驚いていると、違和感を感じ、周囲を見渡す
……逃げたな、アル…
便利屋68は忽然と姿を消していた
はぁ…今度会ったら、だな
『……え?ひ、ひ、ヒナ委員長!?』
アコが素っ頓狂な声を上げていた
アコの反応的に、やはりアコの独断で、風紀委員長は関係無いという事で間違いなかったようだ
『アコ、今どこ?』
『あ、えっと…その…ゲヘナ近郊の市内の辺りで、風紀委員のメンバーとパトロールを…その、ヒナ委員長は出張だった筈では……?』
『今帰ってきた』
『そ、そうなんですね…その、私は、今少々立て込んでおりまして…』
『立て込んでる?パトロールで?珍しい。何かあったの?』
『あ、いえ…それは…』
『「他の学園の自治区で、委員会のメンバーを独断で運用しないといけないような事が?」』
……ん?待て、声が…二重……
一つは、通信から聞こえたノイズ混じりの声
もう一つは…別の方向から聞こえた、よく通る声
声が聞こえた方向に振り向くと、居た
ゲヘナの風紀委員会の委員長…空崎ヒナ
「「「「!?」」」」
私達も酷く驚いたが、それ以上に驚いているのは風紀委員達だった
「い、い、い、委員長…!?一体いつから!?」
『え、えぇっ!?!?!?!?』
「……アコ。この状況、きちんと説明してもらう」
以前対峙した際にも思ったが、やはり威圧感が物凄い。小柄な体格な割に、彼女が纏う雰囲気はトリニティの戦略兵器、剣先ツルギにも引けを取らない
『そ、その…これは、素行の悪い生徒を捕まえようと…』
「便利屋68の事?何処に居るの?私にはシャーレとアビドスと対峙しているように見えるんだけど」
『え、便利屋ならそこに………』
便利屋はヒナの声を聞いた瞬間に逃げたぞ、アコ…
『え、えっ!いつの間に!?い、委員長…全て説明いたします…』
「………いや、もう良い。だいたい把握した。察するに、ゲヘナにとっての不安要素の確認及び排除、そういう政治的活動の一環ってところね」
『……』
流石、頭の回転も早い
「でもアコ、私達は風紀委員会であって、生徒会じゃない。シャーレ、ティーパーティー、連邦生徒会、そういう事は万魔殿のタヌキにでも任せておけばいい。詳しい話は帰ってから。通信を切って自宅で謹慎していなさい、アコ」
『はい…』
アコが通信を切り、場を静寂が包み込む
「……じゃあ、改めてやろうか」
そんな事を言い出すシロコを私とアヤネは必死で止める
「待て、待ってくれシロコ。それは得策じゃない」
「そうですよ!キヴォトス屈指の戦闘力を持つ人と戦闘だなんて…ここは下手に動かず、一旦交渉するのが吉です!どうしてそんなに戦うのが好きなんですか!」
「……ん、ごめん…」
しょんぼりしてしまったシロコを宥めて、私とアヤネで交渉に向かう事になった
空崎ヒナはゲヘナの中でも一二を争う程に話が通じる。…その、私のような事をして来た相手だとしても、仕事に私情は挟まず、きちんと必要な事は話すし、普通に対応してくれた。きっと大丈夫だと思いたいが………
「ゲヘナの風紀委員会の委員長、空崎ヒナ…だな?初めまして、私はシャーレの先生、月司サラだ。そしてこっちが…」
「アビドス対策委員会の奥空アヤネです。初めまして。この状況については理解されていますでしょうか?」
空崎ヒナが私達の方を向いて、アヤネを見た後に私を見上げる
私の仮面を見て少々驚いたようだ
「あぁ、この仮面は…気にしないでくれ、少し、事情があってな。此方の方が皆を驚かせないと思い、装着させてもらっている」
「……そ、分かったわ。状況についても理解してる。事前通告無しでの他校の自治区による無断兵力運用、及び他校生徒達との衝突」
一呼吸おいて、続ける
「けれど、そちらが風紀委員会の公務を妨害したのも事実。違う?」
「……っ!?」
「……事実だ。それは認めよう」
アヤネは少々気圧されてしまっているようだ
「それはそう」
「それで?」
「私達の意見は変わりませんよ?」
シロコ達がいつの間にか隣に来ていた
「み、皆さん…落ち着いてください…!!あぁもう…こんな時にホシノ先輩が居れば………」
確かに、ホシノが居れば上手く纏めてくれただろう
「……ホシノ?アビドスのホシノって……もしかして小鳥遊ホシノの事?」
「ふむ?そうだが…知っているのか?」
私の質問にヒナが口を開きかけたその時
「うへ〜こいつはまたなんだか、大変な事になってるじゃ〜ん」
噂をすれば、というやつだろうか
ホシノが姿を表した
アンケート的に、エデン条約編に突入してもいいよ、という方が多かったので、恐らく花のパヴァーヌ一章は後回しにさせて頂きます…ストーリーを本編通りの順番で進めて欲しかった方々はごめんなさい……!
あと、新しいアンケートも作ったので此方も投票してくれると嬉しいです…!