シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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喧嘩?

 

アビドスへ戻ってくると、校門の辺りにノノミが居た

 

「あれ?先生?思ったより早かったですね☆」

 

「あぁ、大将も傷が浅そうだったし、すぐに退院できるだろう。ノノミは…掃除か?」

 

箒を持ち、地面を掃いて掃除をしていたようだ

 

「はい…なんだか、じっとしていられなくて。柴大将も無事なようで何よりです。落ち着いたら、シロコちゃんとホシノ先輩と一緒に私もお見舞いにいかないといけませんね」

 

「あぁ。柴大将も喜ぶだろう。体の方は大丈夫そうで私も安心していた所だ」

 

「体の方は…という事は他に何か問題があったのですか…?」

 

「……鋭いな、ノノミ」

 

よく周りを見ていて、気遣う事が出来るノノミだからこそ…なのだろう

 

「戻ってきたのが先生だけでしたから。アヤネちゃんとセリカちゃんが戻ってきたら、その辺りの話を聞かせてもらいましょう」

 

「そうだな。正直、私もよく分かっていないから、説明を待つとしよう。では、私も掃除を手伝おうか」

 

アヤネ達が戻ってくるまで、やる事も無いしな

近くに立てかけてある箒を取ってきて地面を掃く

ノノミも掃除を再開した

 

「……先生がいらっしゃってから…急激に色んな事が変わった気がします。沢山の良い事が、嬉しい事がありました」

 

「ノノミ?」

 

突然、ポツポツとそう零すノノミ

 

「補給も確保できて、様々な事が解決できました。でも、次々に色んな事が私達の前に立ち塞がって…」

 

「………」

 

確かにそうだ。私が来た事で様々な事が変わったのだろう。アビドスの現状、ヘルメット団、便利屋、風紀委員会、カイザー…借金の真実…色んな事が判明して、色んな所と戦った

……私は………

 

「すみません、暗い話をしてしまいました。それでも私達はアビドスのために進むしかありません。……先生も、一緒に居てくださいますか?」

 

…私は何を迷っている?生徒が必要としてくれているのなら私は、先生は、そう在ろう。生徒に求められる先生として、全力を尽くして生徒の願いに応え、助け、導こう。そう決めたじゃないか

息を整え、ノノミに返答する

 

「あぁ、当然だ。一緒に…乗り越えよう」

 

「ありがとうございます…!先生にそう言ってもらえると、心強いです!」

 

安心したような笑みを浮かべるノノミ

色々と起きて、少し不安になってしまっていたのだろう

少しでも気分が晴れたようで何よりだ

そんな事を考えつつ箒で集めたゴミをちりとりで回収し、ゴミ箱へ捨てる

 

「ふう、掃除は終わり、だな」

 

仮面の下部分を開けて、ペットボトルの水を飲む

すると、シロコがやってきた

 

「ノノミ、先生」

 

「おや、シロコ。こんにちは」

 

「シロコちゃん、こんにちは〜」

 

ん、と返事しつつ私達の方へ近寄ってくる

 

「ホシノ先輩は?」

 

シロコがそう聞いてくる

そういえば、まだ姿を見かけていないな

 

「また何処かでお昼寝かと……」

 

ふむ、お昼寝。………疑っている…と言う訳ではないが、正直、彼女…ホシノは何かを隠しているようには見える

危ない事では無いと良いが

 

「先生、大将の容態はどうだった?」

 

「あぁ、柴大将は大丈夫そうだった。あと数日もすれば退院できるだろう」

 

「それは良かった。じゃ、先に教室に行ってるね」

 

そう言って走っていくシロコ

ふむ…………?

 

「……先生も気付きました…?」

 

「あぁ、なんだか…少し変だった」

 

「はい…不安そう…と言いますか…焦っていると言いますか…気の所為だと良いのですが…」

 

ノノミが眉を下げてそう言う

やはりノノミは皆の事をよく見ているな

私はシロコがなんだかいつもと違うのは分かったが、理由まで推察するのはできなかった

 

「…掃除も終わったし、私達も教室に入ろうか」

 

「は、はい、そうですね…」

 

そう会話しつつ私達が学校へ入ると…

ガタン!バタン!と激しい物音が聞こえた

 

「!?」

 

「い、急ぎましょう先生!」

 

ノノミと一緒に走り、物音がした方へ向かうと、今度は声が聞こえてくる

 

「いたた…痛いじゃ〜ん、どうしたのシロコちゃん」

 

「……いつまでしらを切るつもり?」

 

ホシノと…シロコの声だ。喧嘩…だろうか?珍しい、特にこの二人の喧嘩だなんて…

急いでドアを開けて入っていくノノミに続いて私も教室内へ入る

 

「うへ〜なんの事を言ってるのかおじさんよくわからないな〜〜……」

 

「…噓つかないで」

 

「嘘じゃないって〜………うん?」

 

少々張り詰めた空気の中でシロコがホシノに何かを問い詰めていたようだ

 

「ホシノ先輩!シロコちゃん!どうしたんですか!?」

 

「何があったんだ?」

 

私達がそう聞くと、シロコは少し言い淀みつつ答えてくれた

 

「…ん…その………ホシノ先輩に用事があるの。悪いけど、二人きりにして」

 

「う〜ん、それは駄目です☆」

 

即答でそう返すノノミに私は少し驚く

 

「対策委員会に『2人だけの秘密♡』みたいなものは許されません。なんと言っても、運命共同体ですから」

 

「……でも…」

 

ノノミら反論しようとするシロコにずいっと近付いて行き、唇に人差し指を当てる

 

「ですので、状況の説明もしてくれない悪い子には……おしおき…しちゃいますよ☆」

 

「う、うーん……」

 

そんなやり取りを見ていると、私の視界の端にピンク色のアホ毛が映る

そろりそろりと私達が入ってきたドアから出ていこうとするホシノの首根っこを掴み逃走を阻止した

 

「話、聞かせてもらうからな」

 

「うへ〜〜〜……」

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