現在、私達5人…ホシノ、シロコ、ノノミ、セリカ、私はアビドス砂漠を進んでいた
アヤネは学校からの遠隔支援だ
「ドローンにオートマタが徘徊している…情報通りだな…強行突破で構わないか?」
『はい。急いで進みましょう』
「了解だ。では、指揮を始めよう。アロナ!」
『分かりました!』
シッテムの箱を起動し、戦闘指揮を開始する
そしてどんどん進んでいき………
「見つけた。ホシノ、見覚えはあるか?」
「……いや、初めて見た。つい最近できたものだと思う」
砂塵の中…姿を見せたのは何かの施設
「……っ!先生!」
私の背中側から銃声が聞こえ、ホシノが盾で庇ってくれた
「すまない、妙な施設に少々気を取られていた。ありがとうホシノ」
『正体不明の兵力が接近中…!気をつけて下さい!』
アヤネの報告の少し後に足音が響き、姿を見せたのは統率の取れたオートマタ兵士達
………あの武装、カイザーか…!
「今は戦闘が先だ。皆、頼む」
私の声に応じ、皆が戦闘態勢に入り戦いが始まった
「ホシノ、どんな感じだ?」
前線で耐えているホシノにそう問うと
「うーん…強くはないかな。でも面倒!」
ふむ…面倒…戦術の問題だろうな…
そんな事を考えつつノノミ、シロコ、セリカにも指示を出して掃討する
「お疲れ様。ホシノが面倒…って言っていたが皆もそれらしい感想は抱いたか?」
私の質問に皆が頷く
「風紀委員より厄介だったかも」
「統率が取れているんだろうな…さて……あのマーク…アヤネ、確認を」
『は、はい!あのマークは…カイザーPМC…!カイザーコーポレーションの系列社で…」
私の記憶はしっかり合っていたらしい。となるとやはり此処がカイザーが何かやろうとしている場所…なのだろう
「何処行ってもカイザーカイザーカイザー!何なのよ!」
セリカがそう叫んでいる
私もそろそろカイザーには辟易してきた
「それにPMC…という事は…」
ノノミがそう呟く
あぁ、そうだ…PМC……面倒だな本当に
「え、何かまずい言葉なの…?」
ハテナマークを浮かべるセリカに教える
「あぁ、PMC……民間軍事会社だ」
「軍……!?」
そうセリカが驚いていると、地面が揺れ出す
「……戦車か。皆、体力は大丈夫か?」
「ん、皆まだまだいける」
シロコの返事に頷いているので大丈夫と信じよう
「じゃあ、戦闘開始だ。行こう!」
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「………まぁ本拠地だから想定はしていたが…」
「うん、キリが無い」
「はぁ…はぁ…ちょっと前もこんな事した気がするんだけど!?」
次から次へと押し寄せてくるオートマタにドローン、稀に戦車まで
「あぁ、風紀委員会のアレを思い出すな…」
「うへ〜大変だったみたいだね〜」
そういえばホシノは居なかったな…
ホシノが居る分、今回はかなりマシではあるが…無尽蔵に思える程の量のオートマタ達を相手するのはかなり骨が折れる
「アヤネとの通信も不安定だ。さて…どうしたものかな………」
『先生!包囲されてしまっています!』
アロナがそう報告してくる
さっさと抜け出すべきか…
「……一点を全力で突破───おや?」
方位の一部を開けて、何者かが歩いてくる
ふむ…責任者か?妙に横にデカいな……
「もうちょっと運動した方が良いんじゃないか?」
おっと、思った事をそのまま口に出してしまった
「……な、なんだ貴様は……ごほん、襲撃と聞いて見てればアビドスではないか」
ふむ。私の事はあまり知られていないようだ
それにしても、私の嫌いなタイプだな。あの大人は
警戒を強める
いざとなれば………切り札を使わざるを得ないか
「お前は…あの時の……」
ホシノはこの大人を知っているようだ
「ふむ…確かゲマトリアが狙っていた生徒会長…いや、副生徒会長だったか?」
……は?……ゲマトリアが?ホシノを?
…待て。感情のままに動くのは危ない
冷静に、冷静に。
深呼吸し、今にも動き出しそうな足を抑える
「お前がカイザーの責任者…という事で良いか?」
「そうだとも。私はカイザーコーポレーションの理事を務めている者だ。そして、君達が借金をしている者でもある」
……ふむ
シロコ達も息を呑む
今は戦闘をする気がないようなのでシロコ達を庇うように一歩前に出る
「口の効き方には気をつけた方が良い。お前達は今、不法侵入しているのと同じなのだから」
まぁ、そうなるか。ここは権利的にはカイザーの土地だ。……面倒な…
「此処に来たのは私達が此処で何をしているのか気になったからか?どうしてアビドスの土地を買ったのか、その理由を知りたいからか?」
バレているか。なら素直にそう言うとしよう
「あぁ、その通りだ。いくら考えてもよく分からなかったからな。一目見れば分かるだろうかと思い、ここまで来た」
「それならば教えてやろう。私達はアビドスの何処かに埋められているという宝物を探しているのだ」
何?宝物………?
ポカンとする私
「いい歳して何言ってるんだ?…まぁ、考え方…趣味嗜好は人それぞれか…すまない……それで?この武力はなんだ?宝探しに必要か、これが?」
「…………何処かの集団に妨害された時に使うのだ。アビドス用でもなんでもない。君達なんて、いつでも、どうとでもなるのだよ」
このように…と何処かに電話をして、何かを伝える
………さてはコイツ………!
「残念なお知らせだ。どうやら君達の学校の信用が落ちてしまったそうだよ」
信用の低下、金利の上昇……あぁもう面倒な!
正直私も詳しくはないが、簡単に言えば借金が増えてしまったのだろう
「くっくっく…これで分かったかな?君達の首にかけられた紐が今、誰の手に渡っているのか」
敵の目的は判明したが、払った代償は正直大きいか…私が以前のように戦えれば……
生徒達が良いように弄ばれているのは気分が悪い
我慢……我慢………
「9億円の借金に対する補償金も支払ってもらおうか。1週間以内に、3億円を我がカイザーローンに預託して貰おうか。しっかり借金を返せると証明して貰わなくてはな」
「「「「……!!」」」」
『そ、そんな……』
アヤネの通信も復帰したようだが…
ううむ…私の行動も軽率だったか………
いや、反省は全てが終わった後だ。今は気にしている場合じゃない
「不可能なら、自主退学して、転校でもすれば良いだろう。これは個人の借金ではないのだから」
……正直、これはその通りではある
そうするだけで、借金から逃れる事が出来るし、転校したその学校で普通に日々を過ごせるだろう
でも…
「そんな事、出来る訳ないじゃないですか!」
「そうよ!見捨てられる訳ないじゃない!」
「アビドスは私達の学校で、私達の街」
シロコ達がそう言っている
ならば私がやる事は一つだろう
「だそうだ。ならば私は生徒を助ける為に動く。諦める事は無い」
「ならばどうする?借金を返せるというのか?シャーレを味方につけた所で───」
「よく喋る口だ。もう結構」
そう、私は生徒達の為、生徒の願いを叶える為に動く。しかし、厳密には私は先生では無いのだろう。先生の教えを受け、救済され、憧れただけ。私の本質は別にある。ならば取る手段も異なるとも
『先生』という役を、『月司サラ』という役を羽織っているだけなのだから
「言っただろう。私は生徒を助ける為、救う為に動く。どんな手を、使ってでも……な」
「ッ…!」
仮面の奥から真っ直ぐ相手を視線で射抜く
カイザーの理事が怯んだ
『先生』には出来ないが…『私』には出来る事
『私』は知っているぞ?
手段も手口も……必要な、道具も
「私は私の方法で生徒を護る。よく、覚えておけ」
息を吐き、皆の方へ振り返る
「……帰るぞ、皆」
「うん、これ以上話しても無駄なだけ」
私の言葉にホシノも同意する
「え、あっ……はい…」
「ん…」
「わ、分かったわ…」
「送迎は不要だ。では、また」
私は生徒達を連れてカイザーPМCの拠点を去った