シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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苦境

 

「皆さん、此方へ!」

 

「ここのシェルターを使って下さい!」

 

私とアヤネが声を張り上げ、避難誘導する

 

「シロコ、そっちは大丈夫か?」

 

『うん、先生の指揮が無くてもなんとか』

 

『先生のあの的確な指示は経験に基づいたものだったんですね〜☆』

 

「まぁ………そう…だな」

 

ノノミの発言はその通りだ

スクワッドのリーダーの経験…傭兵として働いていた時の経験…先生の助手…のような事をしていた時は先生の手が回らない方の指揮を任された事もある

そして、市民の避難が終了する

 

「こっちは終わった、合流出来そうか?」

 

『ん、そろそろ制圧完了。いつでも合流できる』

 

「よし、アヤネ。合流を急ごうか」

 

「はい!」

 

アロナとアヤネに索敵してもらいつつ身を潜めて合流ポイントへ急ぐ。あまり前線は得意ではないアヤネを無理させる訳にはいかないからな

そうしてシロコ達と合流し、またやってきた兵士を相手に戦闘する

 

「毎度の如く、キリがない」

 

「なん…っでこんなに対多数の状況になるのよ!」

 

「あはは…人手が足りないからですね…」

 

基本の戦法が数を用意して叩く、だからな…

とんでもないイレギュラーでも無い限りこれで基本は事足りるのだ

今の状況だとそのとんでもないイレギュラーが私達なのだが

 

「……待ってください、この反応…!カイザーの理事が接近しています!」

 

「……ほう」

 

自分でも声が冷たくなっているのが分かった

咳払いをし、深呼吸して気持ちを落ち着ける

銃撃の音が止み、足音が響く

相変わらず横にデカいカイザーの理事がやってきた

 

「ほう、学校まで出向こうと思っていたが…出迎えとは感心だ」

 

「これは何の真似だ?」

 

戯言を抜かす理事へ私はそう問う

 

「学校はまだアビドスのものです!侵略は不法行為!連邦生徒会に通報しますよ!」

 

「くくっ…連邦生徒会に通報だと?やるのならやってみると良い。今まで、連邦生徒会が、他の学校が、お前達の為に動いた事があったか?」

 

「……!」

 

……ふむ…私から連絡すれば、一応動いてはくれるだろうが…距離もある上に、そこまでの兵力も動かせないだろう

悔しいが、あの余裕にも理由はある…か

 

「アビドスの最後の生徒会メンバー、小鳥遊ホシノが退学した。君達はもう、何者でもない」

 

「それは違うな。対策委員会が残っている」

 

…まさか、こんなに早く役に立つとはな

 

「……何?」

 

「対策委員会が公的な、アビドスの生徒会だと言っているんだ。これは、連邦生徒会が保証する」

 

そう、リンへ頼んでいた事。対策委員会を生徒会として正式に認めてもらう…という事だ

アコの発言等でも度々引っ掛かっていたし、結局この5名しか居ない上に生徒会代理としての機能はしっかり果たしている

ならば連邦生徒会に認めてもらい、公認の生徒会にしてしまおうという算段だ

少々無茶はさせてしまったようだがな…この分の埋め合わせはしっかりとしておこう…

 

「いつまでも目論見通りに行くと思うなよ。さて、どうするカイザーの理事」

 

「………ふん、理解出来ないな。いったいどうして、あんな努力をしている?何のために?」

 

本当に理解出来ないモノを前にした時のような声色でそう聞いてくる理事

 

「本当に、借金を100年以上かけて返すつもりか?駄目だった時に『でも頑張ったから』と言い訳する為に、程々に頑張っていると思っていたのだが─」

 

「アンタ、それ以上喋ったら───」

 

「撃つよ」

 

セリカとシロコが銃口を向けた

彼女達の表情にも怒りが浮かんでいた

 

「お前では、私達を理解する事は出来ないさ。根本から、何もかもがお前達と私達では異なる。理解し合える事は無いだろう。だとしても、いい加減…腹立たしいぞ」

 

私はここまで短気だっただろうか

いいや、今はそんな事はどうでもいい

生徒を馬鹿にされて黙って居られるわけが無い

 

「はっ、凄んだ所でこの状況は変わらない!最大の戦力である小鳥遊ホシノはもう居ない!この数をお前達だけで相手できるのか?」

 

私達の周囲を取り囲んでいるカイザー兵士が一歩、歩を進める

……ぐっ…手が足りないのは事実か…!

 

「皆…迎撃準備を──…」

 

「………今ここで戦って、何かが変わるんでしょうか?」

 

「…アヤネ?」

 

私の後方でポツリと、アヤネが呟いた

 

「今も尚、次々にカイザーの兵士が此方へと向かってきています…例え戦って勝ったとしても……それからは、どうすれば良いのでしょう……」

 

「あ、アヤネちゃん!?」

 

「アヤネ……」

 

「土地も無い、借金は減ったとはいえ…ホシノ先輩は居なくなって尚、まだ残ったままです…」

 

「…………」

 

皆、俯いてしまった

確かに、絶望的な状況だ。心が折れかけてしまうのも理解できる。私は…どうすれば良いのだろう。未だに…借金を返せる目処は無い。そしてカイザーも、やられてばかりでは無いだろうし、これからもきっと様々な策を仕掛けてくるだろう

だが………

私は口を開く

 

「……それでも…私は君達の願いを覚えている。学校を守る、アビドスを守る。君達の…居場所を。私は…先生として!諦める訳にはいかない!」

 

先生という役を、月司サラという役を羽織っている者として。例え本物にはなれなくても、私はその役割を全力で遂行する!

私が決意のまま、そう叫んだその瞬間

二つの方向から爆発音が響き渡った

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