シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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アンケートでホシノが一番多かったのでホシノから…!


対策委員会編キャラクター 絆エピソード
絆エピソード ホシノ


 

対策委員会顧問としての仕事は落ち着いたので、私は基本シャーレでの勤務へと戻った

シャーレの仕事部屋にて、書類仕事を終えた私は伸びをする

 

「うん、痛みもかなり引いてきたな。血を吐くことも……ぐっ…ごぼっ…少なくなった……と言いたかったんだが…」

 

仮面の欠点がここで出てしまうな…血を拭き取るのが面倒だ

アロナは……寝ているか

……すまないな、心配をかけて

 

「いっそ、仮面の下の部分は常時開けておく…という手もあるが…そうなると妙に落ち着かない…っと?」

 

モモトークに着信音

スマホを起動し、確認する

 

「ホシノか。こんな時間まで…」

 

【夜は危ないからねぇ〜?先生も気をつけなよ〜?夜なんて早く寝るに限るんだから〜】

 

【それにしては、ホシノはこんな時間帯まで起きているんだな。眠れないのか?】

 

【いやぁ〜ちょっとおじさんには事情がね〜】

 

【そうか、ホシノ、早めに寝るんだぞ?】

 

【はいは〜い】

 

………ふむ…

少々、出かけるか

最低限の物だけ持ち、私はシャーレを出た

向かったのは、アビドス自治区の市街

 

「おぉ…以前もこの辺りを走り抜けたが、やはりじっくり見るとなると違うな。夜だからな…いつも以上に人が居ない…」

 

ポツリポツリと見かけはするものの、やはりDUシラトリ区などと比べると遥かに少ない

すると………

 

「うわぁっ!ひったくりだ!誰か!」

 

私の後方でそんな声が聞こえた

何者かが私の方向へと走ってくる

後ろを確認するのに必死で、私には気付いていないようだ。なら…

私がひょいと足だけを出して転倒させる

それと、突然飛び出した小さな影がバッグを取り返したのは殆ど同時だった

 

「あ」

 

「えっ」

 

「どわぁっ?!」

 

私より小さな影……そう、ホシノだ

ひったくり犯は盛大に転び、顔面から地面へとダイブする

 

「……ホシノ、コイツは任せてくれ。バッグをあの人に」

 

「うへ。わかったよ〜」

 

息を切らしながら此方へ走ってくる人にバッグを返しに行くホシノ

転倒して、立ち上がりかけていたひったくり犯の足に蹴りを入れて再び転倒させる

 

「うわぁっ!」

 

「そら、大人しくしろ」

 

ロープを使い、手早く拘束する

パンパンと手を払い、息をつく

 

「そ、そちらの方もありがとうございます!」

 

そんな声に振り返ると、ホシノと一緒に来たのであろうバッグを取られた人がペコペコとお礼をしてくれた

 

「気にするな。困った時はお互い様。それに、その場に居たのにみすみす犯罪者を見逃すわけにもいかないからな」

 

「それでもです!このバッグ…大事な物だったので…本当にありがとうございます…!」

 

その人はペコペコとお礼をしながら帰っていった

うん、人助けはやはり気持ちが良いな

ばいば〜いと手を振るホシノへ視線を向ける

 

「で、ホシノ?何でこんな時間に外に居るのか、聞かせてもらおうか?」

 

「うっ……い、いやぁ…たまたま…というか…」

 

「クソッ!今日に限って『小さな影』に出くわすなんて!」

 

うん?

 

「…なんだそれは?『小さな影』?」

 

「ちょっ…」

 

「気になるな。話を聞かせてくれないか?」

 

縛り付けたひったくり犯へ近づく

 

「誰がお前なんかに…ヒッ……!」

 

人の顔を見て悲鳴を上げるなんて失礼な奴だ

いや、この仮面か

暗いから視界が悪くて私の仮面に気づいていなかったのだろう

しかし、これは好都合だ

 

「話を、聞かせてくれないか?」

 

もう一度距離を詰める

すると、観念したのか話し出した

 

「お、俺達の界隈じゃ有名なんだよ…アビドス自治区、深夜に犯罪をすると何処からともなく現れた影に蹂躙される…って…」

 

「ほう?」

 

「ピンクの長い髪で、小さいのが特徴だって…」

 

「へぇ?」

 

チラリとホシノを見る

どう言い訳しようか考えているのだろう

ため息をつき、取り敢えず口を開く

 

「はぁ…取り敢えず、お前はヴァルキューレに連行してもらう。来るまで、大人しくしていろよ?もしも逃げ出そうとしたら…」

 

「わ、分かった!大人しく捕まる!捕まるから!」

 

その言葉に頷き、ヴァルキューレへと連絡をした

ひったくり犯はこれで良いだろう

ホシノの方へ向き直る

 

「よし。さてホシノ…実はシャーレにもアビドスの生徒と思われる子が助けてくれたとの情報が多数入っていてな。………ずっと、夜はパトロールしていたのか?」

 

「いやぁ…まぁ……」

 

ポリポリと頬を掻くホシノ

 

「…………寝る時間まで削って、無理をするなよ?まだホシノは学生なんだから」

 

人助けは良い事だ。良い事だが…自らを犠牲にする必要は基本無い

ホシノからじーっと見つめられる

 

「……」

 

「ホシノ。今、『無理をするなとか、先生がそれ言う?』とか考えただろう」

 

「えっ、いや…か、考えてないよ〜?それに、おじさん寝るの大好きだし、別に無理はしてないから大丈夫〜」

 

「そうか?なら…良いんだがな。ふむ……これからも絶対に、無理はしないと約束してくれ。この前の時みたいな事もしないって」

 

「……うへ〜…分かったよ〜」

 

ホシノは頷いてくれた

 

「うん、それで良い。おっと、来たか」

 

ヴァルキューレがやって来て、事情を説明し、ひったくり犯を捕らえていった

 

「一件落着、だな。……ふむ、沢山の人を助けている偉い子にはご褒美が必要だな?」

 

まだ生徒なのにも関わらず行っている善行、そして、アビドスの為の努力。ならば大人として、相応の『報酬』を与えるべきだろう

別の目的の副産物だったとしてもな

 

「うへ、ご、ご褒美?おじさん別にそういうのは…」

 

「明日、空いているか?良いものがあるんだ」

 

まぁ、連れて行ってあげたいと思っていたので、単なる口実でしかないのだがな

私の口角が上がっているのが声色で分かったのか、ホシノは何故だろうと不思議そうな顔をしていた

 

─────────────────────

 

「こ、ここって…!」

 

「あぁ。アクアリウムだ。ブラックマーケットに行った時、色々と話していただろう?」

 

翌日。今日は土日なのでお休みだ

ワイワイガヤガヤと賑やかな人の波

私達はアクアリウムへと足を運んでいた

今は列に並んでいる所だ

 

「ほらホシノ。逸れると面倒だ。しっかり私の手を握っているといい」

 

「う、うへ〜。ちょっと恥ずかしいんだけど…」

 

「仕方無いだろう。ホシノは小柄なんだし、人混みの中じゃ無理矢理…って訳にもいかないんだから。それともなんだ?私が抱き抱えて行こうか」

 

「お、おじさんをからかって楽しいか〜!?」

 

そう言いつつ、手を伸ばしてきたのでその手を取る

 

「ははは、すまないな、私もアクアリウムは初めてで正直テンションが上がっているんだ。ほら、パンフレットがあるぞ。見たいものを決めておくと良い」

 

手の届く場所に置いてあった何があるかのパンフレットを取り、ホシノへ手渡す

向こうの世界でもあまり娯楽には触れていなかったからな…様々な場所に行ってみる…というのはしなかった。まだまだ経験不足だな、私は

そんな事を思いつつ、ホシノを見ると真面目な顔で、でも目を輝かせながらパンフレットを読み込んでいた

 

「次の方〜」

 

私達の番だな。チケットを手渡し、中へ入る

 

「おわ、あれって無料券?何処で手に入れたの?」

 

「あぁ、少し前にショッピングモールで買い物していたら福引券を貰ったから使ったらペアチケットが当たったんだ。A賞らしい」

 

そのうちホシノを連れて来ようとは思っていたし、普通にお金を支払って入ろうと考えていたのでラッキーだな。いいきっかけになった

 

「うへ〜運がいいね、先生」

 

「そうだな。さぁ、行こうか。見たいものだけ、どころか、全部見てやろうじゃないか」

 

「そうだね!」

 

カラフルな熱帯魚が見られるエリアにある大きめの水槽で鮮やかな魚達が優雅に泳ぐ様を見てはしゃいだり、幻想的なクラゲのエリアにて可愛いなこのクラゲ…等と思っていたら、とんでもない猛毒持ちだった事が説明で分かって2人揃って恐れ慄いたり、薄暗く珍妙な姿をした深海魚が見られるエリアでは地上じゃほぼ見かける事が無いであろう奇妙な生物達じっくりと観察したり…と、隅々まで見て回り…

 

「おぉ…これは……」

 

そこは巨大で、透明なトンネルだった

上下左右全て水と泳ぎ回る魚達に囲まれている

ふと、私達に影が差す

上を見上げると、巨大な体を持つ魚が私達に届く光を遮っていた

 

「あれが鯨ってやつなの〜?本物だ〜!」

 

目を光らせつつ笑顔でその様子を見つめるホシノ

 

「き、巨大だな……水の中だからこそのあの大きさなのだろうか」

 

「鯨って厳密には魚じゃ無いんだってさ〜!」

 

「ほう?驚いたな、大雑把にヒレがついてる魚っぽいフォルムをしているなら魚だと思っていた」

 

そんな事を言いつつ、別の方向も見て回る

 

「あれ見て!あはは、可愛い!」

 

ホシノが指を差した方向を見てみると、なんだか妙な表情をしているように見える魚を発見した

 

「…ふふ、変な顔に見えるが、確かになんだか可愛らしいな」

 

ふと、ホシノを見ると、楽しんでいるのはそうだが、少々表情に陰りが見えた

 

「私一人……こんなに楽しんでて良いのかな…」

 

そうポツリと零すホシノ

 

「…良いに決まっているだろう。ホシノはアビドスの為…頑張っている。なら、これぐらいの報酬でも足りないぐらいだ。勿論、他のアビドスのメンバーにも、私は『報酬』を与えるつもりだからな?ホシノが一番最初だった、ってだけだ」

 

そう言いつつホシノの頭を撫でる

 

「さぁ、そろそろイルカショーが始まるんじゃないか?ほら、行くぞ!実は私も楽しみにしていたんだ」

 

「………うん!」

 

笑顔を取り戻したホシノの手を引き、アクアリウム巡りを再開する

その後は、イルカショーで最前列に座り、水をかけられてびしょ濡れになったり、のんびり泳ぐウミガメを見ながら昼食を取ったり、アクアリウムのありとあらゆる場所を見尽くした

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので──

私達が外へ出る頃には、既に夕暮れ時だった

 

「新鮮な体験だった。興味深いな、海というものは……どうだホシノ、楽しかったか?」

 

「…うん!楽しかった!アンコウの餌やり体験も面白かったし、夜光クラゲもちょっと眩しかったけど格好良かった!皆へのお土産もばっちり!」

 

手に持っている荷物を上げてにっこりと笑うホシノ

 

「それは何よりだ。そんなホシノに、本日最後の『報酬』を渡そうか」

 

私は私が買ったものを袋から取り出して手渡す

 

「こ、これって…!」

 

「ピンク色の鯨の抱き枕らしい。これを見つけた時、目で追っていただろう?」

 

売店に入る前、目立つ場所に鎮座していたこれを数秒間見つめていたからな

でも、ホシノは皆へのお土産を沢山買うと、それだけで売店からは離れてしまった

しかし、自分の記念品の一つや二つは必要だろう。思い出を形として残すのは大切だ

 

「い、良いの?アクアリウムに連れてきてもらっただけでも、私はもう十分…」

 

「良いとも。それぐらい、ホシノは頑張っていたんだから。なんなら私はこれでも足りないと思っているが……」

 

「い、いやいや!これ以上は…でも…これは受け取っておくね。……ありがとう、先生!」

 

「あぁ、どういたしまして、ホシノ」

 

その後、帰りのバスの中で眠ってしまったホシノを自宅まで送り届け、私はシャーレへと戻ったのだった

うん、充実した休日だったな

 




絆エピソード編は基本こんな感じになると思います
基本サラ(サオリ)先生はノーマル先生よりも更に生徒に甘いし敵に厳しいです。自分がやられて嬉しかった事を自分にできる範疇で全力でこなそうとするので、生徒を庇うし、敵(特に汚い手を使う大人)にはキレます。自分の趣味も仮面であまりできない上に、散財するタイプでもないのでお金は有り余っていて、生徒の為ならバンバン使います
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