とある教室にて、私はヒフミに質問する
「で、ヒフミ………一応聞くが、テスト…どうしたんだ?」
「そ、その…やむを得ない事情がありまして……ペロロ様のゲリラ公演が…ですね?」
「だろうな」
知ってた、としか言えない理由だ
ヒフミは優秀だ。成績も別に悪くない…のだが
ペロロの事になると途端に頭のネジが吹っ飛ぶ
ブラックマーケットには来るし、テストはサボる
「好きな物に全力なのはまぁ…良い事だとは思うが…その、限度があるからな…?」
「あ、あうぅ…ごめんなさい…」
しゅんとするヒフミ
でも多分またペロロの事になると頭のネジは弾け飛ぶだろう
「まぁ、ヒフミなら次のテストは大丈夫か。サボったからこうなったわけで、サボらなければ普通に解けるんだろう?」
そう、ヒフミは受けなかったからこうなったのであって、テストを受けさえすれば恐らく普通に補修は終わる
「は、はい。勉強はそこそこしていますので…あ、あと、ナギサ様から先生のサポートをするように…とも言われています」
「なるほどな。なら、サポートは頼む。では…他のメンバーを集めに行くか」
教室を出たその時
「だ、誰かその人を捕まえてくださーい!」
という声が聞こえてくる
廊下を見ると…白い影が駆けてきていた
ここでの初邂逅はこんな感じか…
声を上げていたのは…正義実現委員会の生徒
その後方にも沢山居た
仕方無い、捕まえようか
「退いて…………ッ!?」
フェイントをかけ、私を躱そうとする白い影を私は掴んで確保する
…この世界でもその癖は変わっていないようだな
「…アズサ……」
思わず声に出てしまった。気を抜かないようにしようと決めたばかりだろうに…
私の言葉に目を見開くと、私にアズサは聞いてきた
「………何処かで会ったか?」
私が名前を知っていたからの質問なのか、アズサ自体が私に既視感を覚えたのか…それは分からないが、どちらにせよ私はいいえ、と答える他無い
「…いや、初対面だ。名前は……私はトリニティの全生徒の名前を覚えているからな」
アズサが疑わしそうな目線を向けてくるので追いついて来た正義実現委員会の生徒数名の名前を言う
「あ、合っているのか?」
驚きつつ問うアズサの言葉に頷く正義実現委員会の生徒も驚いていた様だった
「信じてもらえたか?それで…なんで逃げてたんだ?」
そこが一番の疑問だ。先程まで突然自分を捕まえた私にアズサは気を取られていたが、私の言葉で今の状況を思い出したらしい
「はっ!ぐぐ…ぬ、抜けられない…!」
無論、対策はしてあるが
「どれだけ力があろうと抜け出せないように拘束してあるからな。それで、どうしたんだ」
「わ、私が話します…」
正義実現委員会の生徒の一人がそう言って申し出てきてくれたので感謝しつつ話を聞かせてもらう
「つまり……攻撃を受けたと正義実現委員会に通報が来て、確保しに行くと暴れに暴れて籠城し、追い詰めたと思ったら今度は逃げつつずっと正義実現委員会と戦っていた…と」
「はい…」
その子にお礼を良い、私は考える
ふむ…当然、湧いてくる疑問だが…
「アズサ、なんでこんな行動を?」
「…気に入らない奴が目障りだったから」
確保され拗ねているのか、妙に素直に話さないアズサに私は言葉を続ける
「気に入らない奴、の事をもっと詳しく言うんだ。例えば…数に物を言わせて弱い対象を虐げる行為…端的に言うなら…いじめ…またはそれに類する行為をしている奴。とかな」
「……!」
「!?」
アズサは再び目を見開き、正義実現委員会の生徒達も驚く
アズサが気に入らない奴と言い切るなんて、そういう理由しか考えられない
「当たっていたか?その生徒に聞いてみればわかる事ではあるが、アズサが今回暴れたのも事実だ。少しの間だ、そのまま拘束されておけ」
「わ、私少し事情を聞いてくる!」
正義実現委員会の一人がアズサに虐められていた子の事を聞き、走っていった
「自己紹介が遅れたな。私はシャーレの先生、月司サラだ。よろしく頼む、アズサ」
「………先生?」
「あぁ、そうだ。どうかしたか?」
「あの動き、……知っている者しか出来ない動きだ。何者なんだ、先生は」
流石にそうなるか…
私は少々考え込み、なんとか言葉を返す
「……たまたま、運が良かっただけだろう。見切れなかったし、偶然動いた方向にアズサが来たから咄嗟に捕まえただけだ」
怪訝そうな顔をしていたが、いや、でも…と考えるアズサ
「……本当にそうなのか?うぅん…」
……今のうちに次のメンバーにも会いに行こうか
丁度正義実現委員会も居るし…
「すまない君達、下江コハル…という生徒を探していてな。何処に居たか…とか知らないか?」
「コハルちゃんは今部室に居る筈ですよ!丁度、アズサさんも一応部室に連れて行かなくてはいけませんし…私達が案内しますね!」
私達だけではアズサさんが逃げ出した時捕まえられませんしね、と苦笑いする正義実現委員会の生徒
「助かる、ありがとう」
「はい!では、こちらです!」
「ほら、行くぞヒフミ。いつまであわあわしているんだ」
「は、はい!え、えーっと、分かりました!」
一気に様々な事が起こって混乱していたのだろうか
ずっと私は何をすれば…とあわあわしていたヒフミに声をかけると、慌ててついてきた
「アズサも。もう逃げようとはするなよ?」
「くっ…無念……」
アズサは項垂れて渋々歩き出した
………それ私も以前言った気がする…