「キヒヒヒヒ……」
「失礼する…おや、ツルギ」
「ギヒ…?…せ、先生。何か用事が…?」
正義実現委員会の部室に入ると、そこには数名の生徒。その中には、ツルギも居た。コハルは…見当たらないな
椅子に座っていたツルギはドアが開く音に反応し、私を見つけると立ち上がる
そんなツルギに私はコハルの事を聞く事にした
「下江コハル…という生徒を探しているんだが、部室に居ると聞いてな」
「…コハルに?コハルなら、先程向こうの押収品管理室に行っていましたよ。」
「そうか、情報ありがとう。あぁ、それとアズサの事だが…」
「事情は報告を受けています。今現在、ハスミ達が調査していますし、そろそろ戻って来る頃かと。私もこの後、通報した者達の取り調べに同行しますので」
つ、ツルギが同行……通報した生徒達が誤った行いを改めてくれるといいが…そのうち先生として、話を聞きに行かなくてはな
「流石。優秀だな、正義実現委員会は。いつも治安の維持、感謝する。生徒を守るのも私の努めだが…流石に、手も力も足りないからな。それでは、私はこれで。今度は差し入れを持ってくるから楽しみにしておいてくれ」
そうして私はヒフミを連れて押収品管理室に向かう
「し、失礼します………」
「失礼する…と、居た」
小柄でピンクの髪をした生徒
正義実現委員会の1年生、下江コハルだ
突然部屋に入ってきた私達に驚いたようで、此方を怯えたように、警戒するように見ている
ヒフミに目線をやった後、私に目線を送り、私の顔……いや、仮面を見ると更に怯えと警戒を強めたようだ
「こんにちは、コハル。少し良いか?私は──」
「な、なんで私の名前を知ってるの!?不審者!?」
「いや、違───」
「嫌!近寄らないで!」
「話を──」
「ヘンタイ!ストーカー!」
やめてくれ、それはどっちも心当たりがあるからやめてくれ。いや、どっちも不可抗力だったが!
私が口を開く度にそう言って距離を取るコハル
「……すまないヒフミ、私は外に出てるから、事情を説明してくれないか?」
「は、はい、分かりました」
「では、任せたぞ」
そう言ってドアを開けると…
「あら♡」
「………なんで?!」
「「!?!?!?!?!?」」
思わずそんな言葉が口から出てしまう
目の前に何故か水着の生徒…
最後のメンバーである浦和ハナコが立っていた
状況が混沌としすぎている…
「ちゃんと牢屋の鍵閉めたのに!?」
「ろ、牢屋に入ってたのかハナコ…」
「いえ、開いてましたよ?普通に出られそうだったので出てきました♡ところで、貴女は確かシャーレの先生、でしたか?」
ハナコは頭が良い事は知っている。世界が赤く染まったあの日、私達に的確に指示を出してくれたし、原因解決にも一役買ったのだと聞いた
アズサという共通の友人を持つ者として、時々話す事もあったが…非常に聡明な人だ、と感じた
そんな彼女が補習授業部…この頃のハナコは私の知らないハナコなのだろうな
「あぁ、そうだ。月司サラと言う。よろしく頼む。丁度良かった、ハナコにも用事があるんだ」
「あら、私にですか?はっ…!もしかして…私にあんなことやこんなことを……♡」
「……コハルも落ち着いたようだし、話させてもらおうか」
頬を染めて体をくねらせるハナコをスルーしつつ私は用事を伝え………る前に
「その前に服を着てくれハナコ」
「あら♡何か問題でも?」
「あるに決まってるでしょ!なんで学校を水着で徘徊するのよ!プールで着なさいよプールで!」
ごもっともな意見を言うコハル
しかし、ハナコは食い下がる
「ですが、学校の敷地内にあるプールでは皆さん水着になられますよね?そしてここも学校の敷地内…あ、もしかして下江さんはプールで水着を着ないタイプでしたか?」
「え、あ、は!?」
「……はぁ、取り敢えずこれを着ていろ。体を冷やしてしまうだろう。風邪を引くぞ」
私はシャーレの制服の上着を脱いでハナコに渡す
「お優しいんですね、先生♡」
「早く着なさい」
「仕方ありませんねぇ…」
渋々と言った様子でハナコは上着で身を包む
「それで良い。じゃあ、用事について話すが…二人共、今日から補習授業部に参加する事になる」
「!?」
「あら」
驚く二人に事情を説明した
「と、言う訳だ。部長はヒフミ、顧問は私。あと一人補習授業部のメンバーが居るが…」
「先生、ツルギからこちらに向かったと聞いたのですが、いらっしゃいますか?」
おや、ハスミの声
ドア越しに聞こえたその声に返事をする
「あぁ、お邪魔させてもらっている」
ドアが開けられ、ハスミともう一人…確か、正義実現委員会の1年生、静山マシロ…だったか
そのマシロ、そしてその後ろにアズサ
そんな3人が部屋に入ってきた
「あっ、ハスミ先輩、マシロ」
コハルが少々嬉しそうな声を上げる
「こんにちは、コハルさん」
マシロがそんなコハルに言葉を返していた
「アズサさんの事なのですが……おや?ハナコさんはどうして此処に?確か牢屋に…」
「脱走…というか…不注意というか…取り敢えず、私はハナコに用事があったから、話をしていた所だ」
「用事…というものは、何か聞いても?」
「あぁ、良いぞ」
そうして私はハスミに補習授業部の事、そのメンバーが此処にいるヒフミ、アズサ、ハナコ、コハルだということを伝えた
「なるほど…そういう事でしたか。残念です、お手伝いになるような事があれば良かったのですが…私達ではあまり力になれなさそうですね」
「気持ちだけでも嬉しい。感謝する。アズサとハナコを連れて行っても良いだろうか?」
そう聞くと、コハルが声を上げる
「はぁ!?駄目に決まってるでしょ!?絶対ダメ!凶悪犯なのよ!?」
「アズサはともかく、ハナコは水着で徘徊しただけだがな…」
「そうですよ、私はちゃんと学校指定の水着を着ています!」
「校則的に問題はなくても常識的には問題があるぞハナコ」
そう呟く私に続いて言うハナコ
冷静にそう返答しておく
一応、暴れたアズサよりはマシ…マシ……か?
そもそも比較対象ではないかもしれない
「凶悪犯よ!エッチなのは駄目!死刑!」
「罪状が重いな!?」
そうなるとハナコは何回死刑判決を下される事やら
「コハル、先生はティーパーティーの依頼を受けて補習授業部の顧問になりましたし、規律上の問題はありませんよ」
「……せ、先輩がそう言うなら…」
ハスミにそう言われると納得したのか、引き下がるコハル
なるほど、コハルはハスミに懐いているんだな
「そういえば、アズサの事で私に何か用事があったんじゃなかったか?」
「そうでした。先生の見立てはどうやら合っていたようで…ツルギを目の前にしたらすぐに全部吐いてくれました」
駄目な事をした生徒達ではあるが…同情してしまうな…これで懲りてくれると良いんだが
「そうか、お疲れ様だな。アズサも、誤解が解けて良かった」
うん、一段落…だろうか。まぁ、すぐに次は始まるのだが…
「よし、色々あったが、これで全員だな。取り敢えず場所を変えよう。そして、補習の開始だ。アズサ、コハル、ヒフミ、ハナコ、行くぞ」
「ちょ、ちょっと!」
「は、はい…」
「あぁ」
「はい♡」
「まずは制服を着てこいハナコ…」
ぜ、前途多難だな……