シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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これから

 

押収品管理室から空き教室へと場所を移し、私は座っている生徒4人…苦笑いをしているヒフミ、ムスッとした顔のアズサ、普通の制服に着替えてきたハナコ、机に突っ伏したまま何かを呟き続けているコハルに声を掛ける

 

「さて…そういう事で、改めて自己紹介をさせてもらおう。私は月司サラ。シャーレの先生で、君達補習授業部の顧問となる。よろしく頼む。それで、これからの事だが…ヒフミ」

 

「は、はい。えーっと、ここからが本当の問題なのですが…」

 

「ふふっ♡何をすればいいのでしょうか?阿慈谷部長?放課後の教室に素行の悪い生徒と大人が…始まってしまいそうですね?」

 

含みのある言い方をするハナコ

 

「補習がな?」

 

それ以上も以下もないぞ、と返答する私

 

「つれない人ですねぇ、先生♡」

 

その隣でアズサは…

 

「……やっぱりあの道を引き返すべきだったか?いや、それよりもっといい隠れ場所…逃走ルートがあった筈…あぁ、あそこにあった爆弾は使っておくべきだったか…」

 

反省会をしていた

机に突っ伏しているコハルは……

 

「死にたい……本当に死にたい…………」

 

ずっとそう呟いていた

 

「…………せ、先生ぇ…」

 

涙目になったヒフミがこっちを見てくるので取り敢えず仕切り直すことにしよう

 

「……うん、まずは皆自己紹介するか」

 

そうして、皆簡単に自己紹介をし、話を進められそうだったのでヒフミが進行する

 

「い、一応部長なので…わからない事や質問したい事があったら聞いて下さいね」

 

「大丈夫、これからは普通の授業に加えて放課後に特別訓練があるって事でしょ」

 

アズサがそう言う

やはり育ちは抜けないものだな…

 

「まぁ、ほぼ授業と変わらないが…そういう認識でも構わないだろう」

 

ヒフミが言葉を続ける

 

「私達の目標はこれから行われる特別学力試験で、『全員同時に』合格する事です。先生も手伝ってくださいますし、私もできるだけ頑張りますので、皆で頑張って落第を免れましょう…!」

 

「試験は3回、そのうちの1回でも全員同時に合格できれば補習授業はそれで終わりだ」

 

「なるほど、理解した。この集まりは、各自のリタイアを防ぐための措置…私としては、サボタージュする気も理由もない」

 

アズサは結構やる気のようだ

 

「アズサちゃんは、確か最近転校して来たばかりでしたよね?あっ、そういえば…転校生が来た数日後にその転校生が大怪我をしたって噂…」

 

ヒフミの言葉は聞き逃がせないものだった

 

「……何?」

 

「……………あぁ、それは私だ。最近はやっと治ってきたんだが…」

 

袖を捲り、アズサが腕を見せると…その細い腕は包帯でぐるぐる巻きにされていた

どういう事だ?最近…大怪我……セイア襲撃の時…か?いやでも…セイアの死は偽装、使ったのはただの爆弾だった筈。ただの爆弾なら、こんな怪我…

まさか、使ったのか?ヘイロー破壊爆弾を…?

いや、その場合、アズサが爆破に巻き込まれるなんてヘマはしないだろう

つまりは……第三者による干渉…だろうか

…考え込むのは後にしておくか

 

「そんな怪我をしておいてあんなに戦闘していたのか…止められて良かった」

 

「…?何故先生が安堵している?私達は今日会ったばかりだし、特に親しくもない」

 

不思議そうに首を傾げるアズサ

親しくもない…か。そうだ、私は月司サラ。このアズサとは……いや、それでも…

 

「……あぁ、そうだな。だが、アズサも私の生徒の一人。生徒の心配をするのは先生として当たり前だ」

 

そう言って、私はアズサの頭を撫でた

 

「そういうものなのか…?」

 

「そういうものだ」

 

数秒撫で、私は手を離す

 

「話が逸れたな。取り敢えず、アズサはあまり勉強する時間が取れていなかったという事だな?」

 

「うん、そうなる」

 

「なるほど、では教え方を考えておくとするか」

 

アズサは地頭が良いし、要領も良い。しっかり教えればその分伸びるだろう

 

「先生、一つ良いでしょうか?」

 

「……どうした?ハナコ」

 

ハナコが挙手したので返事をする

 

「補習授業部では、あまり先輩、後輩などはあまり関係ないようにしませんか?」

 

おや、ハナコの意見も一理ある

 

「ふむ、良い考えだな。そうしようか」

 

私は頷いた

 

「では、私は皆さんの事、ちゃん付けで呼んでも良いですか?」

 

「私は構わない」

 

「わ、私もです」

 

アズサ、ヒフミが頷く

 

「…………」

 

コハルは……ハナコの事を凄い顔で見ていた

 

「では、アズサちゃん、ヒフミちゃん、それからコハルちゃん。ふふふふ、なんだか良い響きですね」

 

そう言って微笑むハナコは本当に楽しそうだ

あまりこういう事が…無かったのかもしれない

 

「あら、そんな憎悪に満ちた目で、どうしたんですかコハルちゃん」

 

ずっとハナコを睨んでいたコハルが口を開く

 

「言っておくけど、私は認めないから!」

 

……………セリカと同じタイプなのだろうか?

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