シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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ナギサの計画

 

私はドアを開け、中へと入る

 

「………失礼する。こんな時間まで残っているとは、お疲れ様だな、ナギサ」

 

そう、ここはティーパーティー…生徒会室

椅子に座っているナギサにそう声をかけた

 

「あら、お疲れ様です、先生。補習授業部の方は如何ですか?とはいえ、もう報告は届いております。1回目は駄目だったようですね。ですがまだ2回、チャンスはありますので」

 

「あぁ。……それは?」

 

ナギサの手元を見ると、何かがある

チェス……だろうか?

 

「これですか?チェスですよ。あまり見ない種類かもしれませんね」

 

「…一人でやってたのか?」

 

「はい。今日はうるさいミカさんも居ませんし」

 

そう淡々と話すナギサ

い、言い切るな……

 

「それより、今日は先生にお伝えしておきたい事があったのですが…先生の方から何か言いたげな事があるように見受けられます」

 

ナギサがそう言うなら遠慮なく聞くとしよう

 

「では聞かせてもらう。3回不合格になったら…ヒフミ達はどうなる?」

 

「………小耳に挟まれたのでしょうか?出処は…ヒフミさん…ですかね。彼女はそういう所がありますからね…そこが良い所でもありますが」

 

ため息をつくナギサへ私は再び問う

 

「……どうなるんだ」

 

「…質問にお答えしますと、簡単な話です。試験で不合格を繰り返す、落第を逃れられそうにない、助け合う事もできない──ならば、皆さん一緒に退学してもらう他ありません」

 

ナギサの言葉に私は目を見開く

 

「退学……!?そんな事…校、則が………」

 

校則でそんな事不可能だと一番理解しているのはナギサだ。そのナギサがこうも断言するという事は…

そして、私は一つの結論に至る

 

「……そうか。私…いや、シャーレの超法規的権限を…!やってくれたなナギサ……補習授業部は…生徒を…ヒフミを、アズサを、ハナコを、コハルを…退学させる為に作ったものか…!」

 

ナギサも私の言葉に少々目を見開いた

 

「まさか、そこまで理解されるとは。少々先生の事を見縊っていたかもしれません。では、私の目的はお分かりですか?」

 

「……危険分子の、排除…エデン条約を前にして、妨害される訳にはいかないから…だろう」

 

「正解です。正確には…あの中にいる【トリニティの裏切り者】を排除する為です」

 

トリニティの裏切り者……これに関しては私はもう知っている。ナギサが完全にノーマークな…あの生徒

知っている…が、此処でナギサには伝えられない

知っているが故に、私は下手に動けない

信じてもらうのも正直難しいだろう

 

「その裏切り者の狙いは、エデン条約締結の阻止。エデン条約については、既にご存知でしたね」

 

「…あぁ。よく…知っている」

 

「説明が省けて助かります。そして、あの補習授業部の4名は…その、裏切り者である可能性が限りなく高い方々です。裏切り者はきっとそこに居る…ですが、誰なのかはわかりません」

 

紅茶を飲み…ふぅ、と息を吐くナギサ

ティーカップを置き、再び話し出す

 

「であれば、いっそ纏めてしまいましょう。もしもの時、丸ごと捨てられるように。先生には、その箱の制作にご協力頂きました」

 

「ッ…!」

 

失敗したな…私が少々軽率だった。シャーレの権限を意識して使う…という場面があまり無い為、正直シャーレが持つ超法規的権限の事を甘く見ていた

それに、先の事を見過ぎて今が疎かになっていた

そう考えていると…

 

「………ごめんなさい」

 

「…ナギサ?」

 

ナギサが頭を下げ、謝ってきた

 

「こんな、血生臭い事に先生を巻き込んでしまいました。先生の行動、活躍から生徒を大事にする方だとは理解しておきながら、こんな事を…私のことは罵っていただいても構いません」

 

ナギサは、根本的には良い子なんだろう。エデン条約の事や裏切り者の事……セイアが、殺された事で…恐怖と焦り、他にも様々な感情が渦巻いているから普段より過激な手段を取ってしまっている

 

「……はぁ、本当に利用する気なら、今こうやって話していないだろう。それに、ナギサも私の大事な生徒の一人だ。罵ったりはしない。それで、私に伝えたい事…はそれだけか?まだ、あるんだろう?」

 

「…流石先生ですね。はい、その通りです。先生、【トリニティの裏切り者】を、探していただけませんか?」

 

もう知ってはいるんだがな…………

しかも、補習授業部の中には居ない

 

「見つけ出せば、他の生徒を退学させる必要は無くなる…と。……私は、私のやり方で……やらせて貰う」

 

私は立ち上がり、ドアへと向かう

そんな私にナギサが声を掛けてきた

 

「そうですか…分かりました。ですが、先生。ゴミを細かく選別して捨てるのが難しい時は、箱ごと捨てる…というのも手段の一つ。……そう思いませんか?」

 

「……ナギサ、そろそろお説教だからな」

 

それだけ言い、私はドアから退室した

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