シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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大掃除

 

「よし。…このぐらいで軽い掃除は終わりか。おーい、皆、キリが良い所で集まってくれ」

 

廊下に向かって声をかけると返事が帰ってきたので少々待っていると、皆戻ってきた

 

「軽い掃除はこのぐらいにして、本格的な掃除に入ろうか。一応、動きやすくて汚れても良い服装……そうだな、体操着にでも着替えてきてくれ」

 

「分かりました…!」

 

「動きやすくて汚れても良い服装…ですね」

 

「ちゃんと持ってきてる」

 

流石だな、と言った後、皆が着替えるので私は外に出ようと背を向けると、アズサに問われた

 

「…?先生も女性だろう、何故外に出る必要がある?」

 

振り返った私の胸部を指差してそう言うアズサ

いやまぁ…女性か男性かで判別するのにここは結構頼りになる判断材料ではあるが…

 

「そうではあるが…着替えを見られて良い心地はしないだろう?その…特殊な人でも無い限りは」

 

「そ、そうよ!生徒の着替えを覗くなんて変態!死刑!」

 

「ほらな」

 

予想通りの反応をするコハル

 

「先生、あんまり褒めないでください♡」

 

「言うと思ったぞ」

 

ハナコへ冷静にそう言いつつ私は外に出るのだった

 

─────────────────────

 

廊下で壁にもたれ掛かりつつ待つ事数分、ヒフミ達が出てきた

 

「お待たせしました」

 

「準備万端」

 

「ハナコ遅くない…?いやでも、ちゃんと体操着に着替えてたし…」

 

確かにコハルの言う通りハナコが居ないが…

嫌な予感がしたその時、再びドアが開いた

 

「すみません、遅くなりました♡」

 

そこには、やはり水着姿のハナコ

 

「アウトーーーーーー!!!!!」

 

コハルがそう叫ぶ

 

「さっき一回体操着に着替えてたでしょ!わざわざなんで脱ぐの!?」

 

「……………確かに動きやすいし汚れても良い服装だが、肌が傷つくかもしれない。着替えてきなさい」

 

「はい♡」

 

再びドアを閉めて体操着を着て出てきたハナコ

あれをやるためだけにさっき水着で出てきたのか…

 

「気を取り直して、本格的に掃除を始めようか」

 

トリニティ本校から結構離れた場所にあるとはいえ、ほぼ普通の学校と変わらない気がするな…

教室に体育館にキッチン兼簡易食堂…プールまで

泊まれる所がある小さめの学校という感じだろうか

雑草抜きに箒で埃を掃いてモップがけ等、場所に合った掃除の仕方でサクサクと効率的に掃除を進める

ヒフミとアズサは指示通りに的確に動いてくれるし、ハナコはいつも通り色々と知識が深い。コハルはいつもやっているようで掃除はとても得意なようだったので頼もしかった

 

「ふぅ……このぐらいか。あと残っているのは…プールだな…さて、どうする?」

 

正直、この合宿にはほぼ関係無い場所だが…

 

「さっき見たけど、だいぶ大きい。いやそもそも補習授業に水泳の科目は無かった気がするし…」

 

「ならそのままで良いでしょ、掃除する必用無いじゃん」

 

ふむ、コハルとアズサはあんまり乗り気ではないようだ

そこでハナコが口を開いた

 

「いえいえ、よく考えてみてください、コハルちゃん。キラキラと輝く水で満たされたプール、楽しい合宿、はしゃぎ回る生徒達……楽しくなってきませんか?」

 

そういえばハナコは楽しさを重視している気がする

………そうか、優秀が故に…こういう普通の…友人との青春に憧れを抱いていたのかもしれないな。トリニティでは派閥やら何やらが大変だとミカから聞いた

 

「……!?え、何!?分かんない、何か私に分からない高度な話してる!?」

 

コハルがそう言っているが深読みし過ぎだな

というかコハルって相当脳内ピンクなんじゃ…

いや、うん。やめておこう

 

「単純に、面白そうという話だろう。今日はまだまだ時間もあるし…うん、やろう。いっそ、水も入れてみるか?」

 

「…先生、ありがとうございます」

 

ハナコが私にお礼を言ってきた

少々気を使ったのがバレたか?

 

「気にするなハナコ。ははっ、私も少々気分が高揚してきた。さぁ皆、濡れても良い服装に着替えて来てくれ。プールも綺麗に大掃除だ!」

 

「「「「はい!(了解)」」」」

 

とは言ったものの…私は今水着なんて持ってないしな…流石にシャーレの制服は駄目だし…

まぁ、普通に私服のTシャツで良いか

 

─────────────────────

 

手早く着替え、一足先にプールで皆を待っていると…水着に着替えたヒフミが他の皆より早くやってきた

 

「お待たせしま……って、あーーーーっ!せ、先生それって…!」

 

私を視界に入れ、私の服に視線を向けた瞬間、ヒフミが一瞬で私に接近してきた

 

「ど、どうした!?うん?あ、あぁ…そういえばこれ…」

 

私の胸部の辺りにあるのは、印刷されたペロロ

一番上にあった服をなんの確認も無く引っ張り出して来たのは流石にミスだったか…

 

「それ!限定品なんですよ!私、結構急いだんですが買えなくて…」

 

しょんぼりするヒフミ

いやしょんぼりどころじゃないなこれ、世界の終わりみたいな絶望のオーラを醸し出している

 

「本当にヒフミはペロロが好きなんだな…まさか今になるとは思わなかったが…ほらヒフミ、これ」

 

私は荷物から袋を取り出す

 

「……?こ、これ…!?」

 

「サイズがそこまで合ってなかったらすまないな。私より小さめなのではあるが…少々大きいかもしれないがTシャツだし多少大きくてもまぁそれぐらいが長く使えて良いだろう。限定品…と見かけて一応買っておいた甲斐があった」

 

以前、私がいた世界で、ヒフミとアズサがボヤいていた

 

『このTシャツ、全く再販されないんですよね…』

 

『良いデザインなだけにその頃あんまりモモフレンズに興味を抱いていなかった自分を悔やむ限りだ…』

 

と、無理矢理アズサに連れ出されたモモフレンズのイベント帰りにスマホでデザインを見せつつ私にそう言っていた

外を歩いてる時見覚えのあるデザインを見かけたのでここは一応過去なのだと再認識したな

一応、3着は買ったんだが…アズサはまだモモフレンズに目覚めてはいないらしい。いつ頃からなんだろうか?

 

「あ、ありがとうございます!!!このご恩は一生忘れません!!!先生!!!!ありがとうございます!!!!!」

 

「あ、あぁ…喜んでもらえたようで良かった…」

 

さっきの雰囲気とは一転、歓喜の幸せオーラで場が満たされる

うん、まぁ…良い子……なんだが…うーん…

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