シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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プール掃除と水遊び

 

一回ペロロの印刷された服を置きに部屋に戻ったヒフミを待ち、戻ってきたので…

 

「よし、皆集まったな。では、プール掃除を始めようか。まずは内側からやっていこう。水を入れるのには時間がかかるし、先にやって外を掃除しながら貯まるのを待とう」

 

「ペロロ様が汚れちゃいます!!!」と言われたので無地のTシャツに着替えた私、水着に着替えた補習授業部……一人を除いて

 

「先生!?ハナコこのままやらせるの!?」

 

「私はもうツッコミ疲れたんだが…?」

 

「あら、お休みになられた方がよろしいのでは?先生♡」

 

「今こそ水着で来れば良いだろう…」

 

そう、ハナコは何故か制服で来た

プール掃除なんてハナコが散々着てた水着の本領発揮なんだが?

 

「でも先生が濡れても良い服…と…それに先生も普通のTシャツじゃないですか」

 

「私は水着を持ってきてないからな。ハナコは持っていただろう」

 

というか一回着て出て来た所を見ている

そんなハナコにまた食いかかるコハル

 

「いや制服は濡れたら駄目でしょ!」

 

「コハルちゃん、これは各々の美学の問題かもしれませんが…」

 

「び、美学…?」

 

あぁもう駄目だな、ハナコのペースに乗せられた時点で終わりだ

 

「水着と制服…どちらの方が水に濡れた時に『いい感じ』になるでしょうか?」

 

「は、はぁ!?」

 

「ふふふ、半分は冗談です。実は中に着てるんですよ、お小遣いで買ったビキニの水着♡」

 

合宿になんてものを持ち込んでるんだハナコは

 

「…はぁ、まぁ良いだろう。早速取り掛かるぞ」

 

「はい!」

 

「了解」

 

「は〜い♡」

 

「ほんとにこのままやらせるの!?」

 

そうして皆プール内部の掃除に取り掛かった

 

─────────────────────

 

洗い流す用の水を汲みにアズサと一緒に向かい、水を汲んで戻ろうとすると、アズサがプールの方をじっと見ていた

 

「よっ…と。水はこれぐらいでいいか。大丈夫か?アズサ」

 

「…ん?あぁ、大丈夫」

 

「少しボーっとしていたか?具合が悪いなら休憩しようか」

 

「……いや、このプールも、以前は活発だったのかと思って。そんなプールが、今はこんなに放置され、汚れている…」

 

「虚しいと思うか?」

 

アズサが目を見開いた

 

「……先生は…」

 

「確かに、その事実は虚しいのかもしれないな。でも、私の…大事な家族に教えてもらったよ。『それでも…』とな。辿り着く最果てが虚しいものだとしても、過程は違うかもしれない。私達は今を生きている」

 

「……………うん、例え…Vanitas vanitatum et omnia vanitas───全ては虚しいものだったとしても、それは今日、最善を尽くさない理由にはならない」

 

…やっぱり、アズサはアズサだな

 

「うん、そういう事だ。ほら行くぞアズサ。ささっと掃除を終わらせてしまおう。遊ぶ時間も減ってしまうぞ」

 

「待って先生、最後に一つだけ」

 

「うん?」

 

「あなたは、誰?」

 

そう問うアズサの目線はまるで仮面を貫くようで…体が強張る

喋り過ぎたな。理性でなんとか気をつけようとはしているが、やはり目の前にすると少々気が緩む

だが……私の正体なんて言えるわけもない

 

「忘れたか?月司サラ。シャーレの先生だ」

 

それだけ言い、一足先に皆の元へ戻った

 

─────────────────────

 

「ホースも繋げてきた。バケツにも水を汲んできたから汚れたブラシはこれで洗うと良い」

 

ホースの先をハナコに渡す

ホースから出る水をばら撒くハナコ

 

「きゃっ、ハナコちゃん、冷たいですよぉ!」

 

ヒフミにかかり、そう声を上げているが楽しそうだ。ハナコも楽しそうに話す

 

「ここの水道は近くの綺麗な湖から繋げてきているので飲んでも大丈夫ですよ!」

 

「うう…どうしてこんな事に…」

 

コハルはそう言いながらゴシゴシとブラシで床を綺麗にしていた

 

「楽しんだ方が得だぞ、コハル」

 

そう言いながらコハルの肩を叩き、私もブラシで床についた汚れを取る

 

「こちらのブロックから始める、短期決戦で終わらせる!」

 

合流したアズサがブラシで床を擦りつつ隣を駆け抜けていった

 

「…あんな風にな」

 

「転けそうだから私はいいや…」

 

まぁ滑って転けて頭を打つと痛いからな…

私がしたら多分今の身体だと打ち所が悪かったら死にかねない

一瞬アズサと一緒にブラシと共に床の汚れを落としつつ走ろうかと思ったが大人しくコハルと一緒に汚れを落とすことにした

そして、数十分後

 

「うん、綺麗になったし水も入り始めた。あとは外側も掃除しつつ貯まるのを待とうか。ただ、貯まり終わる時は夕方も近くなるだろうから遊ぶのは少しだけだな。まずプール掃除からすれば良かったかもしれないが…まぁ、仕方ないだろう」

 

こればかりはどうしようもない。流石に暗い中入るわけにはいかないからな

 

「少しだけだとしても遊べるだけで十分です。掃除自体も楽しんでいましたし…ありがとうございます」

 

「気にするなと言っただろう?明日からの補習、頑張るんだぞ。皆もな」

 

そうハナコに返事しつつ、掃除をして…プールが貯まったので日が完全に暮れる直前まで私達は水遊びを楽しんだのだった

 

「ふぅ…いっぱい遊んでしまいました…!」

 

「そういえば先生。仮面のまま水に潜ってたけど大丈夫なの?」

 

「そういえばそうだな。なんか大丈夫らしい。私も今日初めて知った」

 

「えぇ…それぐらい事前に把握しておいたら…?」

 

「やってみないと分からない事ってありますよね〜」

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