シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

8 / 189
シャーレの先生

 

出入り口付近で待機していたユウカ達に声をかけ、無事だということを伝えた

サンクトゥムタワーが復旧した事を確認し、ユウカ達はそれぞれの学園に帰るようだ

スズミは会釈した後、一足先にトリニティへ帰っていった

自警団として、今日もパトロールをするらしい

自主的に、正義実現委員会とはまた違う視点で治安を守ろうと尽力するその精神は本当に凄いものだ

 

「それでは、私達もそろそろ戻ります」

 

「あぁ、ここまで本当に助かった。感謝する」

 

彼女達がいなければシャーレまでの道のりはもう少し厳しいものになっていただろう

私が礼を言うとハスミが返答した

 

「当然の事ですので。では、私はこれで。近い内に、トリニティ総合学園に立ち寄って下さい」

 

「あぁ、そうさせて貰おう。困った事があったらなんでも相談してくれ。私が出来る範囲で尽力しよう」

 

トリニティ総合学園の困り事となると真っ先に私の脳裏に浮かぶのは、エデン条約に関する事だ

私にエデン条約を…どうにかする事が可能だろうか

ミカやアズサ、ヒヨリ、ミサキ、姫

そして………私

他にも様々な生徒達や、人々

あの計画は、本当に多くのものを傷つけた

止めなくては。幸い、私には記憶がある

かと言って、先生としての仕事を疎かにするつもりは無い。多少無理をする事にはなるだろうが…

 

「私も風紀委員会に報告に戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねて下さい」

 

「ミレニアムサイエンススクールに来てくださればまたお会いできるかも?先生、ではまた!」

 

二人が声を掛けてきた

…仮面を付けていて助かったな。表情が見えていたら酷く難しい顔をしていた事がバレていただろう

 

「あぁ、またな。二人も困ったことがあれば気軽にシャーレに連絡してくれ」

 

そう言ってそれぞれの学園へ帰っていく3人を見送った

 

「さて……これで正式に私は【シャーレの先生】、という事か。一先ず、今日はどうしようか……」

 

『先生、お休みは大事です!色々ありましたから、少々疲れているように見えますよ!』

 

アロナがシッテムの箱から私に呼びかける

疲れている、か。先生としてのこの体、かなり以前の私の体から身体能力や体力が落ちている事が今までの行動で分かった

だが、私の本領は力任せではなく技術を使った戦闘だ

今まで培ってきた技術は覚えているし、少々違う部分もあれど、かなりの部分を流用できる

戦闘能力については、耐久力の一点を除けば殆ど変わらないと言っても過言では無いだろう

まぁ、その耐久力が最大のネックではあるのだが…

話を戻すが、確かに疲労は溜まっている。肉体的な疲労もそうだが、精神的な疲労の方が大きい

 

「…そうだな、少しゆっくりさせて貰うか」

 

そうして私はシャーレの仕事部屋へ戻る為に歩き出す

私が知っているのは、エデン条約等のトリニティ関連の事ばかり。私が知らない事件や問題は他の学校でも大量に起きているだろう

先生がその事件や問題を収束させたというのはよく聞いていたが…もう少し詳しく聞いていれば良かったか…

いや、今更そこを後悔しても遅い。私は、私に出来る事をしよう

しかし私が介入することで事態が悪化する可能性も…

 

『あっ先生、前!』

 

「前?あ」

 

アロナの声に反応して前を見るも既に遅く、ゴツン、と壁に頭をぶつける

 

「…いっ……」

 

痛み。かつての私なら歩きながら壁にぶつかった程度なら本当に何も感じなかったがこの体はどうやらそうはいかないらしい

仮面にも姫の仮面のような防護能力は無いようだ

…今日は馬鹿みたいな行動をしてしまう事が多い気がする

やはり疲れているのだろうか………

 

『せ、先生?考え事ですか?考え事なら一先ず座ってからにしませんか?』

 

「…ごもっともだ。そうしよう」

 

そうしていつの間にかすぐ近くとなった仕事部屋に入り、椅子に座った

ゆっくりとしてアロナと雑談しつつ気になった事を聞いてみる

 

「あぁ、アロナ。一つ聞きたい事があるんだが…」

 

『はい、なんですか?』

 

「この仮面について、何か分かるか?」

 

そう、この仮面。息がしづらい…だとか、見にくい…だとか、サイズが合わなくて取れそう…だとかの問題点は微塵も無い。が、取り外せないという致命的な欠点を抱えている

食事すら取れないのでこのままでは餓死一直線だ

この仮面、オーパーツの一種だったりするのだろうか

 

『すみません、此方で色々と調べてみてはいますが……あ、でも一つだけ分かったことがあります!』

 

「分かったこと?」

 

『はい!下の部分にボタンがありますよね?』

 

「あぁ、コレか」

 

以前ワカモと話していた時に気付いたものだ

 

『そこを押すと口の部分だけ開閉するようになっています』

 

開閉する?つまり………

押してみると、小さな駆動音みたいなものが鳴って、口の部分が変形し、素肌が少し見えるようになった

 

「食料はこうやって食べろ、という事か」

 

就任後、数日で餓死…だなんて事にならなくて済むのなら良かった

食事の問題が解決したのならこの仮面に殆ど欠点は無いと言っていい気がする

 

『今はこのぐらいしかわかりそうにありません。そろそろ日も落ちますし、今日は終わりにして、明日からも頑張りましょう!』

 

「十分な情報だ、ありがとうアロナ。もう一日の終わりか。まだ書類仕事も回ってきていないし、確かに明日から、だな。生徒達のために尽力するとしよう」

 

シャーレの居住する事が出来る場所に行く前、食事などを買うためコンビニに寄ったのだが、そこで働く見覚えのある子に小さく悲鳴を上げられてしまった

まぁこんな見た目をしていればそうなるだろう

向こうの彼女も元気にしていると良いのだがな…

花のパヴァーヌ編一章を飛ばしてエデン条約編を進めて良いか(パヴァーヌ編は一回飛ばすことになったらエデン条約編の後に一章、二章と続けてやります)

  • だめです!!!!!!!!!!!!
  • いいよ!!!!!!!!!!!!
  • 本編の順番通りがいい!!!!!!!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。