その後、もう少しだけ雑談をし、クロとマリーは日が落ちる前に帰らせ、勉強をして今日も1日が終わろうとしていた
「さぁさぁ、洗濯をしましょう。制服や靴下や下着など洗う物は全部この籠に入れてください」
ジャージに着替えたハナコが籠を用意して皆にそう言う
「助かる、ありがとう」
バサッと躊躇無く洗濯する物を入れていくアズサ
「はい……はいっ!?し、下着もですか!?」
「なんで!?下着は各自でいいじゃん!」
つられてヒフミも入れそうになるが、あと一歩の所で気がついたようだ。毎度の如く、コハルも抗議する
「洗濯はまとめて一緒にしたほうが水と洗剤の節約になる。ハナコの言ってる事は間違ってない」
論理としては正論なのでアズサはハナコに同調する
「うん…まぁ……正しくはあるが…」
「あうぅ…では…お願いします…」
「えぇ…私がおかしいの…?」
渋々籠へ入れていくヒフミとコハル
「はい、ありがとうございます♡あ、先生は…」
「遠慮しておく」
即答するとハナコは苦笑しつつ籠を持って洗濯機の方へ向かっていった
するとヒフミがこっそりと話しかけてくる
「先生、その、今日もお邪魔していいでしょうか?その、ハナコちゃんの事…なんですけど…」
私は頷き、ハナコが戻って来るのを待った後、皆へ労いとしっかり寝るよう伝えて、部屋に戻った
「……凄く美味しいな、これ。今度は私がお礼をしなくては」
クロから貰ったサクサクとしたクッキーを食べつつ、私は書類を作成する
生徒からのお礼の贈り物、という美味しさを100倍に引き上げる情報を抜きにしてもこれは美味しい
姫のクッキーに匹敵するレベルだな
思わず口角が上がってしまう
私も今度やってみるか、お菓子作り
そんな事を考えていると、ノックの音がしたので椅子から立ち上がり、ドアを開ける
そこに居たのは、水着姿のハナコ
「こんばんは、先生♡」
??????????
なんだ、幻覚か。ドアを閉め、開ける
変わらず、水着姿のハナコ
「………なんで?」
どうにか捻り出した言葉はただただ、純粋な疑問だった
「ふふ、こんな簡単に開けちゃうなんて♡不用心ですねぇ♡」
ニコニコとした笑みを浮かべるハナコ
もう気にしない事にしておくか…
「……それで、どうしたんだ?」
「あら、この格好にはもう言及しないんですか?」
「聞いても恐らくパジャマです、とか言うだろう。私の部屋を訪ねてきたんだ、何か相談か?」
そう、ハナコがわざわざ訪れたんだ、流石に何かがあるのだろう
ハナコが頷き、真剣な表情で話し出す
「はい、アズサちゃんの事なのですが───」
その瞬間、ガチャリとドアが開いて…
「し、失礼します…!先生、いらっしゃいますか?ごめんなさい…昨日よりも遅く…」
ヒフミが入ってきた
「え」
「あら」
「あっ……」
まるで時が止まったのかのような数秒間
私達は硬直していた
真っ先に再起動したのは、ヒフミだった
「ほ、本当に失礼しましたぁ!?ご、ごめんなさい!私、そんな事とは知らずに…!ぜ、全然知らなかったんです本当です!え、一体いつから!?」
「…いや待てヒフミ!誤解!誤解だ!!落ち着いて話を──」
「ヒフミちゃん、昨日より遅く…って言いましたね!?つまり昨晩も来てたって事ですよね!?そうなんですね!?」
「ちょっ…止まれハナコ!事態をややこしくしないでくれ!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!?また後で、は駄目ですよね!?どうすれば良いですか今晩はやめた方が良いですか!?知らなくてごめんなさい間に入ってごめんなさい空気壊してごめんなさいっ…!?」
「待ってくださいヒフミちゃん、詳しく教えてください!昨晩はお二人で何をしていたんですか今晩は何をする予定だったのですか!?是非説明を、いえいっそ今から私の前で再現を……!!」
「……本当に落ち着いてくれ二人共…」
この後、数十分かけてどうにか誤解を解いた
ついでにハナコはヒフミに怒られて水着からジャージに着替えてきた
「………落ち着いたか?」
「は、はい…ごめんなさい…」
「ハナコも、さっき説明した通りだ。ヒフミとはただ補習授業部の事で相談を受けてただけ。分かったな?」
「はい、私も少々熱くなりすぎてしまいました…」
少々……?と思ったが口には出さないでおく
「ハナコちゃんも、相談があって来てたんですね。い、いや…それにしてもなんで水着なんですか水着がパジャマってなんですか!?」
「ふふふ♡」
ヒフミの言葉を軽く受け流すハナコ
「それで、ハナコ、さっきの話は…」
「……アズサちゃんの件、ですよね。はい、ヒフミちゃんにも聞いてもらえればと思います。先生はご存知でしょうけれど、アズサちゃん、毎晩の様に出かけて…夜明けまで帰ってこなくて…」
「…そう、だな……」
ハナコも気付いたのか…
「今日なんて、よく見ると薄く隈が見えた気がして…何をしているのかは分かりませんが、そろそろ休ませてあげないといけないのではないかと思いまして…」
「アズサちゃん…」
「最初は慣れない場所で寝れないのかと思っていましたが…どうやら違うようで…それに、今日…朝起きた時に見てしまったのですが、自分の手を眺めているアズサちゃんの顔が……酷く悲しそうで…挨拶すると、すぐにいつもみたく振る舞っていたのですが…」
「………」
私では、アズサが負った傷を埋め切る事は不可能だ
かと言って、それはすぐに取り戻せるモノじゃない
「そうだな、アズサはそろそろ休ませないと…倒れかねないからな、分かった。教えてくれてありがとう、ハナコ」
夜の密会(意味浅)はまだ続く