日が昇り始めた頃、意識が浮上する
やはりここ………か。夢だったりしないか、等と思っていたが、この不思議な現実は未だに私を取り巻いている
ただ、夢だったとしても、現実だったとしても、私は全力を尽くして生きていこう
それでも、と足掻く事に決めたのだから
ベッドから起き上がり、朝食を食べて服を着替える
そろそろ仕事部屋に向かうか…と思い、昨日からずっと起動し続けているシッテムの箱に目を向ける
どうやら充電すら不必要らしい
そこに写っているアロナはすやすやと眠っていた
『んん……むにゃむにゃ………たい焼きは…爆破しない方が美味しいです…』
それは本当にどういう寝言なんだ?
アロナが見ている夢に少々興味が湧きつつ仕事部屋に向かった
──────数時間後──────
「…中々………大変な量だな」
連邦生徒会が処理しきれず、シャーレに回ってくる書類を次々と片付けていくが、一向に減る気配が無い
「連邦生徒会長の失踪、やはりかなりの大事なんだな…トップが突然消えた、となれば当然だが…」
『お疲れ様です先生、椅子にずっと座ったままだと体に悪いですよ!そろそろお昼ですし、休憩にしましょう!』
アロナが私にそう声をかけてくる
時計を見てみると既に書類仕事を始めて数時間経っていた
「…そうだな。昼食でも買いに行って食べるとしよう」
財布等が入った小さめの鞄を手にシャーレを出る
すると、入口でウロウロしていたワカモと鉢合わせた
「…ワカモ?どうしたんだそんな所で右往左往して」
「あっ、せ、先生…な、なんでもございません!失礼いたしました!!!!」
「ちょっ、ワカモ?!」
そう言って走り去っていくワカモ
今の私の身体能力では到底追いつける速度では無い
昼食をまだ食べていないのなら一緒にどうか、と誘うつもりだったのだが…次はもう少し早く言う事にしよう
『今のは…七囚人の狐坂ワカモさんですね、先生は面識があるんですか?』
「あぁ、私の生徒だし、友人だ。ワカモがどう思ってくれているかは私には分からないが…」
嫌だとは思われていないだろうか
少々不安だが、今私にできる事は特に無いので気を取り直して昼食を食べに行く事にした
「ふむ…シャーレの周辺に来た事はあったが、この辺りで外食をした経験はあまり無いな。まぁ、適当に目に入った飲食店で良いか」
そう思い、近くの店に入ろうとドアを開けると、4名の生徒とすれ違った
羽や角、ゲヘナの生徒だろうか
……いや、あの生徒達…見覚えが…?
「ッ…!先生!」
店内に足を踏み入れようとしたその時、カチッ、というスイッチを押すような音と同時に全力で駆け寄ってきた誰かから強い力で襟首を掴まれて後方へ引っ張られる
次の瞬間、目の前で店が木っ端微塵に爆発四散した
私に駆け寄って来て後方へ引っ張ったのは、先程別れたばかりのワカモだった
着いてきていたのだろうか
「先生、少々手荒になってしまい申し訳ありません、ですが危険でしたので……」
「ゲホッ、いや、助かった、ワカモ。君が居なかったら大怪我していただろうからな…」
すれ違ったゲヘナの生徒、思い出した
美食研究会の4名だ
味や値段や態度によって店を爆破する事すら厭わないゲヘナの中でもトップクラスの問題児
ゲヘナだけではなく、他にも様々な自治区に襲来する事もあるため、風紀委員会も、他の自治区の治安維持組織も手を焼いていると聞いたことがある
シャーレでも時々見かけていた
あの店は何かしらが駄目だったのだろうな……
そして、改めて私を助けてくれたワカモに礼を言う
「本当に助かった。感謝する、ワカモ」
「い、いえ……その…友人同士は、助け合うもの、なんですよね…?」
幸い、嫌だとは思われていなかったようだ
過度に安堵と歓喜に湧く心を抑えつつ、私はワカモに返答する
「あぁ、そうだな。友人と言ってくれて嬉しいよ、ワカモ。折角だ、一緒に昼食にしないか?」
「は、はい…!」
ワカモを連れてその辺りの飲食店に入ると面倒な事になりそうなので、ワカモには外で待機してもらいつつ、適当にテイクアウトできる所で弁当を買った
「はいこれ、ワカモの分だ」
人気の無い公園でベンチに並んで座りつつ、ワカモに買ってきたお弁当を渡す
「ありがとうございます…あの、食事は取れるようになったのですか?」
「ん、あぁ、方法が見つかったんだ」
その問題点はワカモと一緒にいる時に気がついたものだったな。あの時はどうしようかと悩んでいたが次から次へと色々忙しいせいで昨日アロナと話した時まですっかり忘れていた
仮面についているボタンを押し、口の部分を露出させる
「ほら、これで私も食事ができる」
「不思議な仮面ですねぇ……」
その後もワカモと談笑しつつ食事をし、私も、ワカモも弁当を全て食べ終わった
「じゃあ、私はそろそろ仕事に戻る。またな、ワカモ。いつでもシャーレには来てくれて構わないからな」
「は、はい…分かりました!」
ひらひらと手を振りつつ、ワカモと別れた
これからは気軽に来てくれると良いのだがな…
そう思いつつ仕事部屋に戻り、書類仕事を再開する
「ふむ、アビドス…か」
書類を捌いていると、目に止まった書類の一つ
支援の要請がかなりの量来ている
「生徒数が…5名…うん?これは……」
名簿に付属してある顔写真
あれは、阿慈谷ヒフミの救援に来ていた……
「……覆面水着団?」
そうか、アビドスの生徒だったのか
砂漠化に、多大な借金…そして、生徒不足
自治区の自治すらままならない状況だろう
それでも彼女達は足掻いている
先生として、放っておけないな
情報を漁りつつそう考えているとアロナから声をかけられた
『先生、アビドスに向かうんですか?』
「あぁ、近い内にな。一先ず話を聞いてみようと思っている」
『道などを調べておきますね!深刻な砂漠化が進んでいますので、遭難でもしたら大変です!』
「ありがとう、アロナ。助かる」
アビドスの事もそうだが、更にもう一つ、私にはやるべき事がある。さて、今日は長い夜になりそうだ
花のパヴァーヌ編一章を飛ばしてエデン条約編を進めて良いか(パヴァーヌ編は一回飛ばすことになったらエデン条約編の後に一章、二章と続けてやります)
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だめです!!!!!!!!!!!!
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いいよ!!!!!!!!!!!!
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本編の順番通りがいい!!!!!!!!!