店から駆け出していく皆を追いかけつつ私はシッテムの箱を起動し、アロナへ声を掛ける
「アロナ、今回も頼むぞ」
『はい先生!……うーん…なんだかとっても久しぶりな気が…』
「……?昨日の夜も今日の朝も話しただろう」
勉強の事はアロナにも色々と手伝ってもらっているし、朝のおはようも毎日している
『そ、そうですよね……あれれ……?』
首を傾げながらむむ?となっているアロナ
「まぁ、今は指揮が先だ。補助を頼むぞ、アロナ」
『はい!分かりました!』
アロナとそんな会話をしていると、アズサから報告が入る
「目視で対象を確認した。4人組……いや、5人居るぞ?一人だけ、猿ぐつわされて運ばれてる人がいる」
「…あれは…」
目線を上げ、私も美食研究会を視界に入れる
確かに、5人居るな…あの猿ぐつわされてる小柄なゲヘナ生は…
『ゲヘナ学園の給食部所属、愛清フウカさんですね!』
「給食部…なるほど、恐らく…奪ったゴールドマグロを新鮮なうちにフウカに料理をしてもらおうという考えか…?今回の騒動に巻き込まれただけだろうし、あまり狙わないであげてくれ」
「了解。交戦を開始する」
そう言って駆け出していくアズサ
「ヒフミはアズサと一緒に前線を任せる。アズサと一緒にいれば大丈夫だ。ハスミは後方から狙撃を、コハルはハスミのサポートを。ハナコは私の補助を頼む」
「わ、分かりました!」
「了解しました」
「う、うん!」
「はーい♡」
生徒のやりたい事を止めるのは少々心苦しいが、それによって困る人が多く出るのなら致し方ない。止めさせてもらうぞ
アズサが美食研究会達に追いつき、交戦が開始される
「ねぇハルナ!なんか黒いセーラー服の子達とはまた違う人達が来たんだけど!あと仮面の怪しい大人も居る!これヤバくない!?」
「仮面の……あぁ、最近話題のシャーレの先生ですね。これは…少々まずいかもしれません」
「おや、あの白髪のちっちゃい子、かなり強いですよ、どうします?」
「ねぇいつこのマグロ食べられるの?さっきからヒレにビンタされ続けてるんだけどぉ…っていたぁい!」
私達と交戦しながらワイワイガヤガヤ騒いでいる美食研究会の4人
『美食研究会は黒舘ハルナさん、赤司ジュンコさん、鰐渕アカリさん、獅子堂イズミさんの4人で構成されています!』
焦っているのがジュンコ、指示を仰いでいるのがアカリ、マグロを抱えているのがイズミ、そして捕縛したフウカを抱えながらリーダーとして取りまとめているのがハルナだ
「相手の戦力はほぼ2人だけ。短期決戦で行こうか」
ハルナはフウカを抱え、イズミはゴールドマグロを抱えている
銃で撃ってきているのはアカリとジュンコだけだが…それでも副委員長と委員長抜きとはいえ正義実現委員会の生徒達から撤退しながらやりあえるほどの実力を持っている
あのゲヘナで問題を起こし続けているだけの事はあるな…
「あの狙撃手から…っ…良い妨害ですね!」
アカリがハスミを狙おうとしていたが、すかさずコハルがグレネードを投げてアカリを回避させる
その間にハスミが射撃を放つという連携でどんどん追い詰めていく
接近するアズサを迎撃しようとジュンコが銃を向けるが、アズサとジュンコの間に突如白い物体が現れる
「えっ、なにこれ…ってうわぁっ!」
「気を取られ過ぎだ。……仕方無いとは思うが」
ペロロのデコイを横へ回って回避し、弾丸を撃ち込むアズサ
突如現れた白い物体は…そう、ヒフミが起動したペロロのデコイだ
確かに遮蔽としても優秀な上、唐突な出現は相手を混乱させられる。結構便利だな…
「この調子で追い込んでいけば行き止まりです。ですが、彼女達がバラバラに逃げる可能性もありますから、そこも考慮しつつ…となると、このルートに戦力を配置しておくべきでしょう」
「トリニティの地理にも詳しいんだな、ハナコ。助かる。アズサ、一度下がれ。ハスミはそのまま射撃を継続。ちょっと無線を借りて良いか?」
「了解」
「ええ、どうぞ」
このまま4人で逃げていくのなら行き止まりで捕らえられるだろうし、バラバラに逃げる場合もルートの予測もハナコがしてくれている
私は無線を起動させ、場所を伝えてそこで待機するようにお願いする
美食研究会は…バラバラに逃げる事を選んだらしい
しっかりハナコが予測した方向だ
「ハルナはあそこで…イズミは…居た。ハスミとコハルはイズミを。ハルナはアズサとヒフミと私で捕まえる」
「了解。あの二人はどうするんだ?」
「あぁ、残りの2人は…ちょっと可哀想かもしれない…」
そう、ジュンコとアカリが逃げた方向には……
「きえぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!ごめんなさいぃぃぃぃ!!!」
そんな絶叫が聞こえてきた
あぁ…まぁ、いつもあれだけやっているのだ、トラウマには…ならないだろう。多分…
…っと、追い付いたか
アズサが取り押さえているハルナを縄で拘束する
「あら…捕まってしまいました」
「これ以上の抵抗は無意味だ、大人しくしていろ」
「えぇ、どうしようもありませんので」
こんな時は聞き分けが良いな…
そして猿ぐつわされているフウカを解放する
「ぷはっ!た、助かった……あ、ありがとうございます………」
「怪我は…なさそうだな。災難だったな…お疲れ様…」
「はい……」
あのゲヘナで給食部というだけで大変だろうに、美食研究会まで襲ってくるのだから本当に凄い心労だろう。今は時間が無いが、今度時間がある時に会えたら労ってあげたい
そう考えていると、コハルが駆け寄ってきて報告してくれる
「先生〜こっちも捕まえた!マグロも無事みたい。今は仮の水槽に入れてる!」
「水から取り出されてだいぶ時間も経っているし、あの銃撃戦を乗り越えて無事だったのか!?凄いなあのマグロ………」
これで取り敢えずは解決…だな
美食研究会の処遇はどうするのだろうか?
まぁ、妥当な所だとゲヘナに引き渡しか?
何事もなく終わればいいが…