シャーレの先生だ、よろしく頼む   作:桜花=サン

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生徒の味方

 

ハルナとイズミが拘束されている所に、ツルギがやってきた。ジュンコとアカリが拘束されて運ばれている

 

「あ、ハルナとイズミ、あんた達も捕まったんだ。なんだ、誰一人として逃げられてないじゃん!」

 

「えぇ。私は10メートル程頑張ったのですが」

 

「私は5メートルぐらい?」

 

「みじか…」

 

そんな風に会話するジュンコと何の反応も無いため気絶しているであろうアカリを仮に設置されている牢屋へと入れるツルギ

 

「急にハスミの無線を借りて指示を出したというのにすぐに対応してくれてありがとう、ツルギ」

 

「…いえ、此方こそありがとうございます。先生の予測していた通りの行動でしたから…では、私はこれで」

 

そう言ってツルギは戻っていった

入れ替わるようにまた正義実現委員会の生徒が話しかけてきた

 

「噂の先生…っすよね?私、仲正イチカっす!ハスミ先輩から話は聞いてて、会ってみたかったんすよね!」

 

「ハスミと無線で話していた生徒か。シャーレの先生、月司サラだ。よろしく頼む」

 

人の良い笑みを浮かべるイチカ

気さくで優しそうだ。後輩達に慕われるのも頷ける

 

「えへへ、挨拶できて嬉しいっす!そういえば先生、あのツルギ委員長を制御できるなんて凄いっすね。普段はハスミ先輩ぐらいじゃないと止められなくて…」

 

そうボヤくイチカ

逆にハスミは止められるのか…やはり強い信頼関係があるのだろう

 

「その場合はツルギが出向けばさっさと済む場合なのだろうな。まぁ…威圧感が相当なものだから止めたいのは分かるが…」

 

「そうなんすよねぇ…」

 

そんな会話をしていると、ハスミから呼ばれた

 

「多分あの美食研究会達の処遇について…っすかね?それじゃあ、私の事は気にしなくて大丈夫っすよ!またいつか会えたら嬉しいっす!」

 

「あぁ。またな、イチカ」

 

イチカと別れつつ、私はハスミの元へと向かった

 

「すみません、お話中でしたか?」

 

少々申し訳無さそうにするハスミ

フォローしつつどういう用事かを聞く

 

「いや、構わないぞ。それで、どうしたんだ?」

 

「はい。あの方達の処遇についてです。本来ならば此方で決めるのですが…今は時期が時期ですので、ゲヘナの風紀委員会へ引き渡そうかと。そこで、この風紀委員会の引き渡し…の部分を先生にお願いしたいのです。シャーレが生徒を引き渡す。この形であれば私達にとってもゲヘナにとっても政治的な憂慮が

だいぶ減るのです」

 

ハスミはエデン条約の事は締結を望んでいるのだろう。

 

「なるほどな……分かった、任されよう」

 

「ありがとうございます。今から合流場所へと向かうので、引き渡しの時、私達は後ろで控えていますね」

 

お礼を言い、ペコリと頭を下げるハスミ

 

「先生として当然だ、気にするな。ほら、ハルナ、イズミ、ジュンコ、アカリ。無駄な抵抗はしないようにな、今から風紀委員会に引き渡す」

 

「うげ、風紀委員…はぁ…だからやめようって言ったのに」

 

「美食のためです、致し方ありません。まぁ、捕まってしまったら元も子も無いのですけど」

 

「まぐろ〜〜〜」

 

肩を落とすジュンコと、ふふっと笑うハルナ

そんな彼女達に歩きながら声を掛ける

 

「…自分の好きな事を追い求めるのは悪い事ではないし、私個人としては良い事だと思っている。食事は良いものだしな。美味しい物…というのは食べるだけで幸せになれる。しかし、他人に迷惑をかけてはいけないぞ。そうなると、私は君達を止めないといけない」

 

「…初めて言われたかも」

 

「皆さん、私達の事は敵、としか見ませんから。…なるほど、先生…ですか」

 

ジュンコとハルナは少々驚いているようだ

アカリは気絶したままで、イズミは…余程マグロが食べたかったのか放心状態だな

私の事は知っているようだが…一応彼女達にも名乗っておこう

 

「シャーレの月司サラ。名前は覚えなくても、先生…という存在だけでも覚えてくれると嬉しい。私も美味しいご飯は好きだ。釈放されたら美味しいご飯が食べられる場所を教えてくれないか?」

 

「…はい。お任せくださいな!」

 

「いいよ〜!私イチオシの場所教えてあげる!」

 

ハルナとジュンコがにこやかに笑う

良い返事が聞けて嬉しい

爆破は……少しだけでも控えてくれると嬉しいが…

 

「あと、フウカにも謝っておくといい。酷く疲れて今は眠ってしまっているから、釈放された後にでもな。目に薄っすらと隈が出来ていたぞ。働き過ぎでフウカが倒れてしまったら皆も困るだろう。それで、もしフウカが料理をしなくなってしまったら……」

 

後方で優しく抱えられて運ばれるフウカはすやすやと寝息を立てていた

辛い思いをするのなら…と料理を辞めてしまう事も普通ならあり得なくはない。それでも、彼女はゲヘナで給食を作り続けているのだからそんな事はあまり考えていないのかもしれないが…ハルナ達への説得には有効だろう

 

「…!そう……ですわね…はい。フウカさんには…謝っておきます。彼女が量を用意する為ではない時に作る料理は美食と呼んで相応しいもの…それを失うなんて事はあってはなりませんから!」

 

結構素直なんだな…と思ったが、自分の欲にも素直なのだから、根本からそうなのだろうな。…なるほど、ちゃんと話せば…分かってくれるものだ

やはり対話というのは大切だな

これで少しでも破壊活動等はやめてくれると嬉しいが…まぁ、それは無理筋だろう

フウカの負担が少し減り、少しでも被害が少なくなれば良いが…

 

「あぁ、分かってくれて嬉しい。ありがとう、ハルナ」

 

「いえ、私こそ、少々視点を狭め過ぎていました。気付かせて下さり、感謝します。先生」

 

ハルナがそう言って頭を下げる

 

「生徒を導くのが私の仕事だからな。今回はこんな形だったが、困った事があったらハルナ達も私を頼ってくれて構わないぞ」

 

そう言うと、ジュンコが話しかけてきた

 

「ねぇ、なんで先生ってそんな親切なの?」

 

「うん?私は先生で、生徒の味方だからだ。善も悪も関係無い、生徒の味方。味方だからこそ、生徒が悪い事をしようとしていれば止める。そういう事だ」

 

「ふ〜ん……なるほど…」

 

そんな会話をしながら歩き、私達は風紀委員会との合流場所へと辿り着いたのだった

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