Blue Archive -鋼鉄のイェホーシュア-   作:NJ

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メイドモモイとミドリ、当たりませんでした(血涙)
これは全てゲヘナの不良が悪い…!

よってこの怒りはゲヘナにぶつけます(理不尽)



2:ウルトラ上手に消毒(やけ)ました〜!

 

 

 20XX年!ゲヘナは粛清の炎に包まれた!

 

 

 温泉は涸れ…飲食店は破壊され…あらゆる生命が死滅したかに見えた…。

 

 だが───!生徒は死滅していなかった…!

 

 

 ───ゲヘナ自治区 某所

 

 

 パパン!

 ドォンッ

 

「オラオラオラァー!とっととアタシらのシマから出ていきなーー!」

「うるせぇ!そりゃコッチの台詞だボケがー!」

 

 今日も今日とて、ゲヘナ生は飽きもせず抗争に明け暮れていた。

 

 だが、今この時をもって彼女達の日常も終わりを告げるのであった。

 

 

 ───ヒュルルルルルル…

 

 

「ん?なんだこのお───

 

 次の瞬間、抗争の場は閃光と爆音に塗りつぶされた。

 閃光が収まると、そこには焼け野原と玩具箱をひっくり返したように散らばる不良達。

 

「うぅ、一体何が…」

「おっ、おいアレ!」

 

 意識を取り戻したスケバンの1人が指さした先、そこには瓦礫の山からこちらを見下ろすロボットや獣人などを主とした大人の一団。中にはヘイローを持った女性もちらほらと見受けられた。

 

 それだけならば、キヴォトスでもメジャーな一般人と大差ない…。

 

 モヒカンに肩パッド、さらに一般生徒では手に入らないような高火力装備で身を包んでいなければ…だが。

 

 極め付けは、彼ら一人一人の体と旗に刻印されたシンボルマーク。

 歪に折れ曲がった十字架の中央で髑髏が笑う、不吉なマーク。

 

 彼女達は、それがなんなのかをよく知っていた。

 それこそ悪夢に見るほどに。

 

「す、髑髏十字(スカルクロス)の旗…」

「げ、ゲヘナ凄鬼死団(せいきしだん)だ! 生徒指導部が帰ってきたんだ!」

 

 襲撃者が何者か理解した途端に、先程までの暴れっぷりが嘘のように震え上がる不良達。

 

「聞いてないぞ!先公(センコー)らは今学園長と一緒に出払ってんじゃなかったのかよ!?」

「に、逃げろー!」

 

 我先にと蜘蛛の子を散らすように無様に尻尾を巻いて走り出す不良達。

 

 だが時すでに遅し、隊長と思われるロボットの合図と同時に教師達による『指導』が始まった。

 

 ガガガガガガガガ!!

 

「ぐわ!」

「ぎゃあー!?」

 

 車両に備え付けられた機銃掃射でバタバタと倒れゆくスケバン達。

 

「ひぃぃぃぃ!もう終わりだぁぁぁ!?」

「あきらめるな!この先に停めたバイクがあれば逃げ切れる!」

 

 それでも撃ち漏らしが現れる…が、当然それも織り込み済みだった。

 

 

 

「───削除」

 

 

 

 頭上に鎖のようなヘイローを浮かべ、背中から黒い翼を生やし、黒いノートを持った隊員の一人が、ボソリと呟きながらページに記された名前に勢いよく斜線を入れる。

 

「よし!逃げられ───

 

 ───グッパォン!!

 

───ぎゃあああ!?」

 

 瞬間、乗り込もうとしたバイク諸共逃げ延びた不良達が吹き飛ばされる。

 

「削除、削除、削除」

 

 次々と名前の上に引かれる斜線。

 

 ヒュルルル───ドンッ!

 

「うわぁああ!?」

「ほ、砲撃だ!」

「どこからだ!?」

 

 そして、芸術的なまでに正確かつ絶妙なタイミングで繰り出される砲撃が不良達の逃げ道を塞いでいく。

 

「な、なんだこの砲撃!? まるでアタシらの行く先々を予知してるみたいだ!」

「この正確さ…! “狂信者”のテルだ!学園長直属のゲヘナOGのひと───「削除」

 

 ボボォンッ!

 

 トドメの一撃、天高く聳え立つ爆炎。

 

「つ、強すぎる…」

「あ、悪魔だ…」

 

 後に残るのは死屍累々と積み上げられた生徒たちの山。

 惨劇という他ない光景が、ゲヘナに広がっていた。

 

 そうして不良達は瞬く間に鎮圧されたのだった。

 その速さ、まさに電光石火の如し。

 

「ヒャッハッハッ!クレジットだぁー!」

「オーパーツもたっぷり持ってやがったぜ!!」

 

 その後、イナゴのように残骸に集り、壊滅させられた不良達の溜まり場の物資を次々に没収(りゃくだつ)していく教員達。

 

「やめてくれぇー!そのニムルドレンズだけはー!」

「あ、アンティキティラ装置だけはどうか!頑張って貯めたんです〜!」

「うるせぇ! へへ、安心しな…オメェらが溜め込んだ素材は全部俺達生徒指導部が有効活用やるぜー!」

「うぅ…ひ、酷い。なんて仕打ちだ…!」

 

 そうしていると、隊員の一人が落ちていた箱の中にある紙の束を拾う。

 

「こ〜〜〜んな物まで持ってやがった」

 

 帯で束ねられたそれは紙幣。

 どっかの銀行から強盗して手に入れたのだろう。

 

ゲヘナ(ここ)じゃケツ拭く紙にもなりゃしねぇってのによぉ!」

 

 ギャハハハハハ!

 

 嘲笑と共にばら撒かれる紙幣。

 

 それらは風に舞い、遥か彼方の学園にまで飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───ゲヘナは、再び暴力が支配する時代になっていた…!!

 

 

 

 

 

 

 

 ───ゲヘナ学園、校庭

 

 

ギィーンゴォォンガァァンゴォォォォン!!

 

 

 唐突に校内に響き渡る不吉な音色のチャイム。

 それは、全校生徒に絶望の始まりを告げる鐘の音であった。

 

 即ち…

 

「全校集会の時間じゃあ〜〜〜!!」

「列に並べガキどもぉ〜!」

 

 教員達がガンガンと銅鑼を鳴らし、タタタンッとARを空に向けて乱射しながら怒号を飛ばす。

 

 普段は真面目に団体行動など取らないゲヘナ生徒も、今だけはいそいそと校庭に向かい足並み揃えて整列していく。

 

 今、常日頃ゲヘナを品性のない野蛮人と侮蔑しているトリニティの生徒が見たら間違いなく目を疑うだろう光景が広がっていた。

 

 ───ヒソヒソ

 

「学園長が帰ってきたってマジ…?」

「マジマジ、帰るついでに美食研究会。その後に見つかった温泉開発部がやられたって…」

「今週のさわやか惨組で見たよ。なんかマコトとかいう人もついでに地下送りにされてた」

「うわーカワイソー…よりによって活動再開したと同時に帰ってくるとか呪われてんじゃない?」

「てかマコトって誰?」

「ほら、学園長によくいびられてるあの可哀想な…」

「あぁ、イブキちゃんの付き人か」

 

 雑談に耽る一部の生徒に、教員の目が光る。

 

「私語は慎まんかぁ!」

「お前らも指導されてぇかぁ〜〜?」

 

 銃口を突きつけられ、慌てて口をつぐむ生徒。

 

「やべっ」

「もう黙っとこう…」

 

 教師が銃で生徒を脅す。

 控えめに言って異世界どころではない世紀末ぶりだが、キヴォトスでも普通に異常な光景なので安心していただきたい。

 

「はぁ〜全校集会?」

「なんでゲヘナに転校までしてそんなかったりー事やんなきゃいけねーんだよ!」

 

 しかし、そんな中で一部の生徒が反発し始める。

 つい最近転校した、他校の自治区からの流れ者であった。

 

「ちょっ…アンタ達!?やめなって!」

 

「うるせぇ!アタシらは前の学校のルールが嫌でゲヘナに来たんだよ!」

「それなのに学校行事だのなんだのでキチョーな時間を潰されてたまるかってんだ!」

「せっかくゲヘナに来たんだし温泉入りに行こーぜ」

 

 周囲の制止を無視してフケようと列を外れて歩き出す不良達。

 

「よ、よすんだオマエ達…ッ!命が惜しくないのかァーーーッ!?」

 

 彼女達を救おうと先輩の一人が叫んだのと、教員のグラサンがギラリと妖しく光るのは、全く同時だった。

 

 

 

「汚物は消毒だ〜〜〜!!」

「ぎゃああああああああああ!?」

 

 

 

 モヒカンの火炎放射器が炸裂し、まとめて消毒される違反生徒達。

 

「ぎぃやあああああ!?」

「あっつぁあああ!!」

 

「い、言わんこっちゃない…」

 

 火に巻かれて悶え苦しむ生徒達。

 キヴォトス人でなければ間違いなく事件である。

 

 ──ドルルルルルル…

 

「学園長様の入場だぁ〜〜!」

 

 そうしていると荒々しいエンジン音を響かせながらグラウンドに侵入する、後輪が二輪の、更にその上に大仰な玉座が備え付けられた大型バイク。

 

 

 遂に───ゲヘナの学園長がその姿を生徒の前に見せる時が来たのだ。

 

 

 髑髏がふんだんにあしらわれた玉座の上で不遜にも足を組んで頬杖をつき、衣服のサーコートにもまた隊員と同じ髑髏十字(スカルクロス)の刻印。

 

 全身を包むその衣装もまた特徴的だが、何より目を引くのはその貌。

 

 

 その男の貌は───(どくろ)そのものだった。

 

 

 髑髏を模した、鈍色の金属製のヘルメット。

 

 ゲヘナのシンボルを連想させる、イバラのような刺々しい王冠。

 

 底知れぬ闇を湛えた眼孔の奥で輝くは、煉獄の蒼き焔。

 

 この男こそがゲヘナに君臨せし魔王。

 

 『外』よりキヴォトスに訪れて以降、数多くの伝説と惨劇を歴史に刻んできた…ゲヘナの『歩く怪談』。

 

 名を───

 

「よ、ヨシアキ学園長だ…」

「帰ってきたんだ…魔王が…」

「短い平和だったなぁ…」

 

 絶望に暮れる生徒達。

 そんな生徒達の悲嘆で更にいい気になったのか、先程の教員が笑いながら火炎放射器を振りかざす。

 

「わははは土下座しろ!! 消毒されてぇかー!」

 

 が、彼の有頂天は一人の生徒の横槍によって終わりを迎える。

 

「ぐべら!?」

 

 背後からの鮮やかな足払いで顔面から転ぶモヒカン。

 ガシャン!と手元を離れて転がる火炎放射器。

 

「な、なんだテメェ!教師に楯突こう……って、のか…?」

 

 起き上がったモヒカンは下手人に怒り心頭で噛み付く…が、間もなくその赤ら顔は死人のように青ざめる。

 

 何故なら、先程の火炎放射器が自分に向けられていたからである。

 

 

 

 

「あなたの言う通りね…」

 

「───汚物は消毒すべきだわ」

 

 

 

 

 風紀委員長、空崎ヒナの絶対零度の眼差しが、男を見下ろしていた。

 

「えっ…わっ!そ…そんな、ちょっとアンタボゥ!うわぢゃ〜〜〜〜!?」

 

 今度は自身が火に包まれるモヒカン。

 実に汚いフランベである。

 

 ───ぎぃあああああああ!

 

「…ん?」

 

 当然、一連の出来事は凱旋中の学園長の目にも入り、車両がヒナの前で止まる。

 

 目の前で転がる汚い鶏の丸焼きに微塵も興味を持たず、静かに背を向けて学園長に振り向くヒナ。

 

 不思議と、目の前の彼女の姿を認めた学園長の顔は、ヘルメットで隠されているにも関わらず楽しげに笑っているように見えた。

 

 

 

 

 

「ほぅ…思ったより早かったな───空崎」

 

「───学園長…」

 

 

 

 

 

 ゲヘナ学園長とゲヘナ風紀委員長。

 

 

 

 

 

 『最狂』と『最強』が、今ここで対峙した。

 




※これは全校集会での出来事です。
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