Blue Archive -鋼鉄のイェホーシュア-   作:NJ

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おもしれー女しか居ないミレニアムイベント
セイア「追い詰められた狐はジャッカルより凶暴だ!!」



4:EXECUTION OR DIE!!

 

 ゲヘナ学園・反省室

 

「う、うぅ…」

 

 ゲヘナの違反生徒を収容するそこに、彼女達は閉じ込められていた。

 

「こんなの、あんまりですわ…」

 

 牢の中で両手をついて四つん這いになりながら肩を振るわせる彼女…美食研究会部長・黒館ハルナ(アフロ)は腹の底から慟哭する。

 

「こんな、こんな────!」

 

 彼女が嘆く理由、それは…

 

 

 

 

 

「目玉焼きにかける調味料がソースしかないだなんて…!」

 

 

 

 

 

 

「こんなの、美食に対する冒涜ですわーーーー!!」

 

 至って平常運転な(しょうもねぇ)理由だった。

 

「そうだよ!こんなのあんまりだよ!」

 

 それに続く暴食野郎Aチームの一員、獅子堂イズミ(アフロ)。どこぞの魔人探偵の相方ばりの見境なしな食欲故に、仲間内にすら若干引かれている程の悪食っぷりを誇る生徒である。

 

「調味料にハバネロもヨーグルトソースもないなんて残酷すぎるよぉー! うわーん!学園長の鬼畜ー!」

「いや、目玉焼きにそんな調味料いらないでしょ…」

 

 そこに冷静なツッコミを入れる小柄な赤髪の少女、赤司ジュンコ(アフロ)。このイカレポンチ共の中でも(比較的)常識人な彼女は、目の前で喚き散らす馬鹿共を他所に最後の一人に声をかける。

 

「ていうか、アンタは大丈夫なのアカリ? さっきから静かだけど…」

「ふふ、私は大丈夫ですよ♪ 食事の量は十分ですから…」

 

 最後のメンバーである鰐淵アカリ(アf(ry)の返事に、なら大丈夫か…と、思いかけてジュンコは違和感を覚える。

 

 あの大食いのアカリが目玉焼き一つで満足?

 

 そう思い、咄嗟に振り向くとそこには…

 

「ただこのおやつの綿菓子、あまり味がしないんですよね…」

「あ、アカリィィィィ!? それ綿菓子違う!座布団!座布団の中身だからーー!!」

 

 虚ろな目で牢屋にあった座布団を破き、中の綿を口に入れようとする同胞をジュンコは悲痛な叫びを上げながら制止する。

 

「もう、ダメですよジュンコ? いくらお腹が空いたからって横取りは…あ、こんな所に動くチョコレートが…」

「それはもっとダメ!◯キブリ!ゴキ◯リだからそれ!」

「目玉焼きはキッ◯ーマンの醤油以外あり得ないというのに…こんな仕打ち、残酷すぎますわ…!」

「せ、せめてチリソースを…!」

 

 もう色々とカオスだった。

 そんな牢屋の前に、意外…でもない来客。

 

 制服の上からエプロンで身を包んだ家庭的な装いのその生徒は、ハルナ達もよく知る親友(と一方的に決めつけている)その人であった。

 

「はぁ…相変わらず懲りないわね。あなた達…」

 

「───あら? フウカさんではありませんか」

 

 給食部部長、愛清フウカ(Notアフロ)。

 小柄で華奢な見た目とは裏腹に、このゲヘナ学園の食堂をほぼ一人で運営し、教師も含めた学園関係者数千人の胃袋の面倒を見ている厨房の鉄人である。

 

 その腕はあの学園長すら一目置くほどであり、当然と言うべきか美食を追求するハルナもまた絶対的な信頼を置いており、故にこそ彼女を尊敬して友と呼んでいるのだ。

 

 毎度毎度彼女達のテロによる被害を被っている本人からすれば腐れ縁もいいとこだが。

 

「あの番組(さわやか惨組)を見た時、どうせこんな事になってるだろうと思って差し入れを持ってきたのよ」

 

 そう言ってため息混じりに牢の前にトレイを置く。その上に並んでいたのは…。

 

「食べ物!?」

「わぁ、ご飯だー!!」

 

 おにぎりに焼き魚、香ばしい湯気をたてる味噌汁。

 

 至って定番だが、故にこそ愛される理想の朝食がそこにあった。

 

 危うく餓鬼道(じごく)を彷徨う亡者になりかけていた彼女達は、釈迦の垂らす蜘蛛の糸に縋りつくカンダタの如くご馳走に群がった。

 

「おいしー!」

「うぅ、もうまともな食事なんて摂れないと思ってた…」

「ふふ、このような形でフウカさんの手料理を食べられるとは…案外この状況も役得なのかもしれませんわね」

その髪型(アフロ)で口説かれても面白いだけだからね?」

 

 まるで数日にわたってアビドス砂漠で遭難したような必死さで食事を胃に流し込んだハルナ達(アフロ)を呆れた目で見やるフウカ。

 

「何度も言うけどいい加減学習しなさいよアンタ達…毎度毎度学園長を説得して食事を運ぶのも苦労するんだから」

 

「───残念ですが、フウカさん」

 

 遮るように丁寧な所作でパチリと箸を置き、口元をハンカチで拭うハルナ。

 

「この不肖黒館ハルナ。 どうしても許せない三つの事柄がありますの」

 

 人差し指を立てる。

 

「一つ目、それは蓋を開ける時に高確率で破れるカップ麺」

 

 続けて中指を立てる。

 

「二つ目、それは湯切り口の接着が甘く、流し台でお湯と一緒に盛大に中身が溢れ出るカップ焼きそば」

 

「(カップ麺ばっかり…)」

「(私はUF◯が好きですね)」

 

 後ろでそんなことを考えるジュンコとアカリを他所に薬指を立てるハルナ。

 

「そして何より大事な三つ目、それは人々の食に対する礼節の欠如─────即ち、美食への冒涜の横行ですわ!」

 

 そこまで言うと怒りに震えるようにぐっと拳を握り、高らかに吼えたてる。

 

「食品衛生を軽んじる年季の浅い寿司チェーン! 生産地偽装で私腹を肥やす卸売業者! 一流を謳い高級食材を扱いながら肉の焼き加減も確認せず自分のやりたいようにしか料理しないレストラン!」

 

「腐った枝は大木すら揺るがす…故にこそそれら全てを裁ち切り、剪定するまで(わたくし)達は止まるわけにはいきませんわ!」

 

 そしてフウカが持ってきた料理を載せたトレーの裏側に手を伸ばしながら続ける。

 

「ねぇフウカさん。あなたは台所の蛇口が開けっぱなしになっていたら、ちゃんと一滴も溢れないよう締め切るでしょう?」

 

 そこまで聞いて、ハルナがトレーの裏に張り付いていた“ブツ”を手にした所で、ようやくフウカは気づいた。

 

「ちょ、ハルナ…!? アンタまさか私を利用し───」

 

 手にあったのは、現実でもテロ等の破壊工作に多用される粘土型爆薬。

 

 ニトロやワックスなどを混合して作られるセムテックス────つまりC4爆薬であった。

 

「誰だってそーしますわ。 私だってそーしますわ」

 

 瞬間、牢は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 ドッカァーーーン!

 

「? なんなのこの音…」

「何事だ?」

 

 ちょうど学園長室で話し合っていた風紀委員会と学園長の耳にも爆音が届き、全員が不思議そうに外を見る。

 

 よく見ると、遠くの建物から煙が上がっていた。

 

「あっちって確か…」

 

 ヒナが言い切る前に勢いよく扉が開け放たれ、教員が慌てた様子で報告に来た。

 

「報告!美食研究会が反省室より脱獄! 現在給食部部長と共に逃亡中です!」

「────何?」

 

 ヒナ達がまたアイツらかとげんなりした顔をする反面、学園長はワナワナと肩を震わせながら立ち上がる。

 

「ふ、フフ…フハハハハハハハハハハ!!」

 

 そして狂ったように笑い始めたかと思うと、机の黒電話をとって受話器に向けて大声で怒鳴り散らす。

 

「棗ェ! 虎丸を出せッ、大至急だ!」

『えぇ、またですか学園長…この前貸して屑鉄になったのをやっと修理したばっk「三十秒で支度しろ! 遅れた時間分課題が増える事を忘れるな!!」

 

 ガチャン!!

 

 叩きつけるように受話器を置き、ヒナ達に目もくれずズカズカと外に出ていく学園長を風紀委員が慌てて追いかける。

 

 外に出ると、待っていたようにガラガラとキャタピラ音を響かせながら戦車がやって来る。

 

 戦車が学園長の前で止まるとガコンとハッチが開き、赤く巨大なくす玉のようなものがズモモ…と狭い出入り口から必死に抜け出そうと蠢いていた。

 

 ───すぽんっ!

 

「ふぅ」

 

 やがて、間抜けな音と共に戦車から脱出を果たしたくす玉の正体は、某鼻毛使い顔負けのアフロ頭の少女…棗イロハであった。

 

「学園長、言われた通り全速力で整備して来ましたけど…」

 

 疲れ切った様子の彼女とは対照的に学園長はまるで遠足前の子供のようにウキウキとした様子で無線機へ怒鳴りつける。

 

「全校の生徒指導部に告げる! 野良犬の群れが檻を食い破って野に駆け出した!これより『狩り(ハンティング)』を始める!」

 

「獲物を横取りされたくなければ急ぐ事だな! 遅れる者は誰だろうと置いていく!!」

 

 そこまで言うとブツリと無線を切り、ポイっとアコに投げつけるように渡して戦車に乗り込もうとした───その時だった。

 

「たっだいま〜〜〜〜!」

 

「ん?」

「あ、あの子は…!?」

 

 無邪気な声でトテトテと駆けながら学園長達のもとまで駆けつける小さな影。

 

 金髪の上に学帽を被り、体格と不釣り合いなコートに身を包み、ダボダボの萌え袖でARを持ち、腰に愛らしいクマさんバッグ(防犯ブザー付き)を引っ提げた少女…というか幼女。

 

 その正体は、ゲヘナに於いて生徒会長を上回る知名度を誇る…というかなんなら一部では本物の生徒会長(ゲヘナバカマコト)を差し置いてゲヘナのトップと勘違いされてすらいる皆のマスコット。

 

 その名は…

 

「「「「イブキ(ちゃん)!?」」」」

 

 ゲヘナ学園生徒会・万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)所属───丹花イブキ。

 

 元初等部の11歳でありながら、その能力を見込まれて飛び級入学を果たした才媛である。

 まぁ、その可愛さに骨抜きにされた万魔殿議長が日常的に可愛がるために無理矢理編入したという噂もあるが。

 

「丹花ァ! よく帰って来たなぁ!!」

「あっ学園長だ! おはよーございます!」

「よぉーし良い挨拶だ!!」

「えへへー♪」

 

 子供らしい元気な挨拶に学園長も気をよくしたのか、ぐりぐりと学帽の上から撫でくりまわす。

 そんな幼女を撫でくりまわす髑髏頭の大男というシュールすぎる絵面にヒソヒソと囁き合うヒナ達。

 

「(流石にイブキちゃんには優しいんですねあの人も)」

「(寧ろイブキにまで一般生徒と同じ対応だったら私も本気で軽蔑するわよ…)」

「(1000分の1でも良いからあの優しさを訓練の時に分けてくれないかな…)」

「(そうしたら私達医療班の苦労も減るんですが…)」

 

 遠い目で弱音を吐くイオリやチナツをよそに、イロハ(アフロ)もイブキに話しかける。

 

「遠足は楽しかったですか、イブキ」

「うんっ楽しかったよー! ところでイロハ先輩、なんでアフロになってるの?」

「なんでもありませんよ。 名誉の…いえ、不名誉な負傷という奴です」

「???」

 

 キョトンと首を傾げるイブキ。

 

 キキィーーーー!!

 

 そこに勢いよくドリフトをかけながら学園長達の間近で急停車した車両の数々。

 

 髑髏十字の刻印が刻まれたそこから顔を出すのは、生徒指導部所属の教師や生徒達(モヒカン)であった。

 

「学園長! 生徒指導部、集結しました!」

「遅いぞ馬鹿者ども! さっさと出発するぞ!!」

 

 それを見たイブキがパァッと金の瞳をいっそう輝かせて学園長に駆け寄る。

 

「おでかけ!? イブキも行きたーい!」

 

 学園長はフッと軽く笑ってイブキの頭にポンと手を置き、今度は諭すように語りかける。

 

「丹花よ───我らの活動の素晴らしさに惹かれる余り気が逸るのは致し方ないが、今のお前を我ら凄鬼死団の列席に加えるにはまだ早い…幼子に体験させるには奥が深過ぎるのだ」

「えぇー! イブキ、仲間はずれなの…?」

「一応R-15指定だからな」

「(そういう基準とかちゃんとあったんだ…)」

 

 意外そうな顔でボソリと呟くイオリをひと睨みで黙らせながら、哀しげに下を向いて落ち込むイブキと目線を合わせるようにしゃがみこむ学園長。

 

「嘆く必要はない。 言っただろう、『今の』お前にはまだ早いとな」

 

 そして見せつけるように目の前でグッと拳を握りながら宣言する。

 

「然るべき時がくれば貴様にも見せてやろう! 我ら生徒指導部の活動が織りなす素晴らしい世界をなっ!!」

 

 それを聞いて一転、イブキの顔に明るさが戻る。

 

「ほんとっ!? イブキも大っきくなったら一緒に連れてってくれるの!?」

「当ぉー然だ! ゲヘナの教師はトリニティのカス共と違って嘘はつかん!」

 

 ガッハッハ!と豪快に笑いながら拳を掲げ、その腕にしがみ付きぶら下がりながらわーい!と喜ぶイブキ。

 側から見たら父と娘の微笑ましいやりとりに見えなくもなかった。実態を知るイロハとヒナ達は冷や汗ダラダラで気が気じゃなかったが。

 

 特にイロハは「それだけはやめてくださいお願いしますなんでもしますから」と土下座したい気持ちでいっぱいだった。

 

「学園長ー! そろそろ行きましょうぜー?」

「『リマ』や『テルコ』に先越されちまいますよー!」

 

 凄鬼死団の急かす声に学園長も気を取りなおす。

 

「ン、そうだな───では出発するぞ!愉快な遠足の始まりだ!」

 

 ───Yeahhhhhhhhhhhhh!!

 

 イブキを下ろし、虎丸に乗り込むと隊員にゴーサインを出し、歓声をあげながら生徒指導部が我先にと発進する。

 

 そして学園長も虎丸を発進させようとする直前───ハッチを閉める前にヒナに顔を向ける。

 

「じゃあな空崎。約束した通りシャーレの『先生』とやらの対応は任せたぞ」

 

「張り切り過ぎて体を壊さんように気をつけろよ?───相手(せんせい)の体をなァ!!」

 

 ギャハハハハハハ!

 

 けたたましい哄笑を残して、勢いよく発進する虎丸。

 

 後には、不気味なほどの静けさだけが残った。

 

「まったね〜〜〜!」

 

 ……訂正、無邪気な天使(こあくま)の声だけ残っていた。

 

「えへへ♪ イブキもいつか学園長の『せいとしどう?』っていうの手伝ってみたいな〜」

「イブキ。それよりイブキが帰って来た時の為にプリンを取っておきましたから、一緒に食べましょうか」

「プリン!?食べるー!」

「まずは手洗いうがいをしましょうね。外で遊んできたばかりなんですから」

「はーい!」

 

 うまいことイブキを誘導して万魔殿に連れ戻しつつ、ヒナ達に「では、私達はこれで。任務がんばってください」と言い残し帰っていくイロハ達。

 

「マコト先輩とも一緒に食べれるかなー?」

「すみませんイブキ、マコト先輩は今お仕事で居ないんですよ」

「そうなの?いつ帰ってくるかなー」

「さぁ…いつでしょう…」

 

 そして、今度こそ静寂に包まれる職員棟前。

 

「───さて、私達もそろそろ行くとしましょう」

「い、委員長…今更だけど本当にやるのか?」

 

 キュッと手袋を付け直し、任務に向けて気を引き締めるヒナに、イオリは迷いを含んだ問いを投げる。

 

「当然よ。学園長に啖呵を切った以上、他に道はない」

「で、ですが…いくらなんでも何の罪もない人間を…」

「殺したりするわけではない。 少々乱暴な手段を取るかもしれないけど、平和的に済ませるよう全力を尽くすつもり」

 

 イオリに続いてアコも異を唱えるが、ヒナの決意は固かった。

 チナツも居た堪れない様子で俯いていたが、何も言えずにいた。

 

「学園長に目をつけられた以上、先生とやらの身を守るにはこうするしかない。……学園長が手を出すまでもない小物だったと伝えれば、あの人も納得するでしょう」

 

 風紀委員長として、ヒナはここに宣言した。

 

「始めるわよ───

 

 

 

 

───シャーレの先生を、キヴォトスから排除(ついほう)する」

 

 

 

 

 これが、新たなる抗争の火種になることを、ヒナは知る由もなかった───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでチナツ。あなた、吐き気はもう大丈夫なの?」

 

「え? あっ──────ゔぇ

 

「ち、チナツーーーー!?」

 

 そして、一人の少女の尊厳をかけた壮絶な戦いも始まったのであった。

 




今イベントにおける作者の現在の戦績
セイア 入手(天井)
アスナ 失敗
ネル 入手(30連ぐらいで)
リオ これから挑戦

またモモトークを消化する日々が始まる…
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