初めての投稿なので震えが止まりまえん(´;ω;`)
クロスギーツが忘れられなくて書きました
皆様に面白いと思ってもらえたら幸いです
「ふ~んふふふ~んふふふ~ん」
満月に輝らされながら、黒い狐を連想させるようなスーツを着て、両手に持った黒い剣を振り回している彼は、崩れ落ちた瓦礫の中を道化のように舞っていた。
その側で、黒い狐に向かって動画を撮っている、目を閉じている銀髪の少女。
すると、突然、黒い狐は舞うのを止め、少女が持っていたカメラに向かって目線をやると、両手に持っていた剣をポイッと投げ捨て、カメラに向かってタブルピースを突き出した。
「ど~も〜クロスギーツで〜す!!!」
テンション爆上げな挨拶をする。
「よし!次はお前の番だぜ〜?今回は目茶苦茶テンション上げていけよ〜!!」
クロスギーツに指示をされた少女は、クロスギーツを撮るのを止めて、カメラを回転させ、自分を映した。
「イエ~イ!みんな見てる〜?クロスギーツのカメラマン&相棒のクロエちゃんだよ〜」
カメラに向かって目を閉じながらピースとぎこちない微笑みをこぼし、無理やりテンションを上げたような様に、画面の向こう側に挨拶をする。
「NO!NO!NOー!クロエよ〜もっとテンション上げていかないと〜画面の向こう側のお友達には、今の楽しさは伝わらないぜ〜!!ほら貸せ!!」
「はい」
クロスギーツは、クロエに近づき彼女からカメラをスゥっと取り上げると、自分が映るように覗く。
「イエ~イ!このカッチョいいクロスギーツ様が画面いっぱい!これで!高評価は間違いなしだぜ〜!」
クロスギーツはカメラを前後に揺らし自分の顔をこれでもかと撮影する。
そんな中、画面の中では、コメントが次々と流れる。
『画面揺らすな!』
『クロエちゃん映せや!』
『クロギツの顔が画面いっぱいとか何の罰ゲーム?』
『クロエちゃんしか勝たん。クロギツはオマケ』
『クロエちゃんだけでこの配信は成り立っていると言っても過言ではない。あと画面揺らすな!』
『瓦礫の事は誰もツッコまないの草』
『吐きそう(2つの意味で)』
苦情の嵐である。
「おい!おい!おい!おい!!お前ら流石にひどくね〜か?!…………お?」
そんなコメントで傷ついた様子はなく、おちゃらけた様子でコメントに答えるクロスギーツだったが、途中で何かに気づいたように空を見上げる。
「やっとお出ましか〜………おいクロエいつも通りよろ〜」
「かしこまりました」
とクロスギーツはカメラをクロエの方へポイッと投げ渡し、瓦礫の中から二本の黒い剣を拾い上げる。
「さぁ〜!視聴者の諸君!ここからがショーの見せ所だぜ〜〜!!」
意気揚々と剣を振り回し、空から接近して来る複数の何かに向かって歩き出すクロスギーツ。
「クロエ〜。ちゃんと撮れよ〜俺のカッチョイイ姿をよ〜!」
クロスギーツは決めポーズをしながら空に向かって二本の剣を突き出し、クロエに最後の確認をする。
だが、当のクロエはと言うと
「はい良く撮れてますよ〜」
クロスギーツそっちのけでカメラに向かってピースをしながら、自分を撮っていた。
「イエ~イ」
『そうだな。よく撮れてるよ。クロエちゃんの可愛いお顔が』
『カワイイ』
『クロエちゃんの流れるような嘘。俺でなきゃ見逃しちゃうね』
『ついにクロエちゃんがメインになったか』
『カッコつけているであろうクロギツ可哀想(笑)』
『結婚しよう』
「もう、皆さんったらそんなに褒めなくても、いつかは私がこの配信のメインに成りますからご安心ください」
片手を頬に当て、照れるように頭を左右に振ってコメントに返しているクロエ。
「あっれ〜?クロエちゃ〜ん、きちんと俺のこと撮っているよね?俺から見えるコメントがクロエ一色だし、それにすげー意味深な事が聞こえたんだけど?」
流石に異変に気づいたのか、顔だけをクロエの方へ向けてクロエに問いかける。
「いえいえ。そんな、きっと幻聴でしょ」
「全然信じられねーよ!コメントからでも丸わかりだ!!」
『コメント見るな変態』
『俺達のコメントは全てクロエちゃんの為に有る』
『邪魔すんな』
『クロギツ?誰それ?』
「俺に味方わいねーのか!!!」
「そんなことより」
「そんなことより!?」
「後ろ気をつけたほうが良いのでは?」
「後ろ〜?」
クロエにもコメントにも見放されている彼をよそに、クロエはクロスギーツの後ろを指さしていた。
後ろを振り向くクロスギーツ。
「?」
無数のミサイル
「わ~おFantastic」
ー山田真耶ー
私は、何でこんな所にいるんだろう?
何か悪い事でもしてしまったのかな?
それとも、日本の代表候補になれて浮かれていたのがいけなかった?
思い返せば私の人生って、結構、幸せだったのだと思える。
少し辛いこともあったけど、程々に充実した毎日だった。
そうだ。最近、高校生になって、そのまま日本の代表候補生にもなって、余りにも幸せが続いたのがいけなかったのだ。
朝早く上層部の人達に呼び出された時、電話から聞こえてくる声は、いつもより真剣なもので嫌な予感はしていた。
言われた軍基地に着くと、私以外にも沢山の人が居た。
その中には日本人以外の人も居て、みんな私と同じ様に何で集まったのか分からないようだった。
結局、何も聞かされないままISを装着し終わると、私達の前に軍服を着た人が数名立った。
「君達には今から黒狐、通称クロスギーツを抹殺してもらいたい」
(え?)
その一言で頭の中が空っぽになった。
「奴は現在、我々が所有する研究所を攻撃している。今こそ、奴を向かい打つ」
クロスギーツ自体は知っている。
テロリスト系配信者として、ありとあらゆる国にテロを強攻している、研究所を破壊したり国家機密を勝手に全世界に放送したりしているテロリストのとこだ………
だが、いきなり集められてそのテロリストを殺して欲しいなどと言う軍の人達に、私は、ただただ立ち尽くす事しか出来なかった。
「あ、あの?」
「何だ?」
すると、私の近くに居た同年代の娘が指令官に震えた声で喋りかけた。
「わ、私まだ実践経験なんて有りません。軍人でもまりませんし、そもそも私まだ、こ、子供ですし」
その娘が涙目で消え入りそうな声で発言した。
「だから何だ?」
顔色を一切変える事なく司令官は一蹴した。
「君達が装備している物は兵器だ。使うのは当たり前だろう?そのぐらいの覚悟無くては困る」
彼らは、私達を人ではなく、兵器として見ていた。
「奴は、世界の安全と平和を脅かす存在だ。確実にここで消さねばならん。だから………頼むぞ、IS所有者達よ!」
残酷な事に、私達にはISを所有している以上、逆らう、と言う選択肢は与えられていなかった。
私は現実を目の当たりにして、ISなんかに関わるんじゃ無かった、と初めて後悔した。
きっと、これはツケが回ってきたのだろう。
女尊男卑の世界に成って、女が生きやすくなり、そんな世界で幸せに生きて来たツケが。
体がガクガク震える。
嫌だ!怖い!死にたくない!殺したくない!
普通に生きて行きたかっただけなのに!!
私が過去の後悔と怒りを抱いている最中、誰かの声で現実に引き戻される。
「目標確認!」
「は、はい!」
刹那。
「撃てーーー!!」
クロスギーツに無数のミサイルが撃ち込まれていた。
「ミサイル着弾を確認しました!」
「皆、油断するんじゃないわよ!」
「はい!」
他のIS乗りが撃ったミサイルが打ち終わり、目標に着弾した事を確認している中で、とんでもないものが視界を過る。
「あ、あの隊長」
「何?今は作戦中よ。手短にね」
「さ、さきほど目標の近くにISも何も着けていない子が見えたのですが……」
私が震えた声で隊長に問いかけると、隊長は顔色を変えず、当たり前だと言わんばかりに言った。
「相手はテロリストよ。仕方ないわ」
その一言で、人を殺す事に振り切ってしまう人達が怖かった。
「霧が晴れてきました!」
「全員!戦闘態勢!目標を確認次第、第一部隊は奴に接近戦を仕掛けろ!第二部隊は距離を保って、第一部隊のサポート!」
「「「「「了解!」」」」」
「りょ、了解!」
怖気づいている私をよそに、時は着々と進み続け完全に霧が晴れる頃、そこには……
「こんにちは~」
カメラをこちらに向け手を振っている銀髪の少女しか居なかった。
「いや初手でミサイルぶっ放すとか流石に驚きすぎてチビッちまう所だったぜ」
え?
私達が困惑している中、後ろから声がし、とっさに振り返えろうとした瞬間、体中を激しい痛みが襲う。
意識が朦朧とする中、聞こえた、せせら笑う声……
「are you ready?」
心底、楽しそうに剣を構えるクロスギーツと奴に立ち向かって行く隊長達が見えた。
体中に痛みが襲う中、意識が回復する。
何かが聞こえる
爆破する音
鉄がぶつかる音
空を飛行するISの音
そして
「わはははははは!!!!!」
………男の楽しそうにたか笑う声。
数分経ち、周囲が静まり返った時、私は痛みに耐えながら体を起こした。
ぼやける視界のまま周りを見渡すと、想像を絶する光景が広がっていた。
「え?」
夥しい数の仲間達が、地に倒れている姿だった。
この作戦では何十人というIS乗りの人がいて、その中には私と同じ国家代表候補生や国家代表生も何人も居たのだ。
なのに……コレでは、まるで……
「ま、負けたの?」
敗北
そんな言葉が脳裏を過った。その時……
ドーーーーン!!!
「キャ?!」
眼の前に突然、何が落ちてきた。
「こほこほ、一体何が落ちて!?」
確認すると、そこには、土煙の中から見知ったISを着た女性が倒れていた。
「た、隊長!だいじょうっ……!?」
倒れているのが隊長だと気づき、私が隊長の方へ駆け寄ろうとした瞬間。
「おいおいおい〜これで終わりとか流石に呆気なさ過ぎたぜ〜もっと楽しませろよな〜」
隊長が倒れているその先から男性の声がした。
誰かなんて、分かり切っている。
隊長から目線を外し、声がする方へ震えながら目を向ける。
「ま、俺が強過ぎるのがいけねーのかな〜?」
無傷のクロスギーツがそこに居た。
「お~い?マジで終わっちまったのか〜?」
奴は軽い足取りで倒れて居る隊長の方に近づいてきた。
何をやっているんだ私!
隊長が危ないんだぞ!
立て! 立って戦え私!
立ち上がろうと体全体に力を入れる。
………入れているはずなのに
…………何で、私の体は動かないの?
……………………分かってる。私はただ怖がっているんだ……頭の中に恐怖がこびり付いて、体の震えが止まらない。
嫌だ、怖い、逃げたい、逃げ出したい!
立ち上がりたいのに、体を縮こませてしまう。
「良し!撮れ高も結構撮れたし、そろそろ帰るか!」
そんな中、再び奴の声が聞こえた私は、奴を見ると、私達に背を向け帰ろうと歩いている姿が見えた。
終わった………やっと帰れるんだ
私が奴の去る姿を見て安堵していると……………そんな時
「これで」
満身創痍な状態のまま隊長は立ち上がり、光り輝く剣を構えていた。
「今度はなんだ~?」
隊長の重さを変える単一仕様能力[ワンオフアビリティー]
「終わりだぁぁぁぁぁーーー!!!」
「ちょおぉぉぉぉーーー??!!!」
振り返る奴へと隊長はスラスターを全開にし加速したまま、特大に重くなった光剣で渾身の一撃を確実に奴へ叩き込んだ。
「勝て……たの?」
砂埃が舞い、奴の姿は確認出来ないが、あんな凄い一撃が入ったんだ、きっと奴もただではすまないはずだ。
「ハァハァハァ」
全力を出し切った隊長は疲労困憊の状態で、自らの剣を支えに立つっているのがやっとに見えた。
せめて、戦いきった隊長のもとへ行き、体を支えようと思った瞬間。
「おねぇ~さん、やるね~」
え?
悪夢は終わっていなかった。
「いや~、一日に二回も、こんなに驚く事が起きるなんて、嬉しぃぜ………そっちも、驚いてる様だけどさぁ?何で無傷なんだよ、とかは言うなよ〜?当たり前過ぎて呆れちまうからよ」
砂埃の中から、無傷で陽気に歩て来る奴を見て、私は信じられなかった。
隊長のあの一撃は確かに奴に届いていた筈なのに、どうして?
「おねえさんの頑張りに免じて、ちょっと良いもの見せちゃおっかな〜」
そう言い奴は、両手に黒い剣を持ったまま右手を横へ広げ左手を腰にあるハンドルの様な物握ると、それを捻った。
[HYPER BOOST VICTORY]
電子音が流れた瞬間、奴の二本の剣は青黒い炎に包まれ、そのまま両腕を広げる。
「さぁ、来な!!」
「わあぁあぁぁぁぁ!!!!!」
「た、隊長!?」
現実を受け入れられないのか、隊長は我武者羅に走り出し、奴へと斬り掛かった。
そして、隊長の剣が奴に届く寸前。
「せい!」
奴は、左で持っていた剣で隊長の剣を跳ね返した。
「イエス!!!」
そのままの勢いで回転し、右手の剣でがら空きになった隊長の腹から肩までを切り裂き、吹き飛ばした。
「そ、そんな」
何度目になるか分からない絶望が、また私を襲って来て、思わず体を縮こませる。
止めどなく溢れる涙が、瓦礫に零れ落ちていく。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。何も出来なかった私を許してください。
頭の中で何度も……何度も何度も謝る。
その時、トントンっと肩を叩かれる。
ビクッとなり反射的に頭を上げる………上げてしまった。
「は~い、ジョージ」
「…………」
奴は私を見下す様に立っていた。
……………終わった
「そう震えるなよ。さすがに泣いてる女痛め付けるわけ……………」
「ひっ!」
奴は途中で喋るのを止めると、剣を投げ捨て勢い良く座り込む。
「………………」
「な、なに?」
奴は黙ってじ~っと舐め回すように私を見つめて来ると突然、はっ、と気づいたように時が止まった。
「………………まさかお前………」
「は、はいぃ」
弱々しく返事をする私に、奴はドスの利いた声で喋りかけきた。
不安と恐怖で頭の中が一杯になる中、次の台詞で全て消し飛ぶ。
「俺の運命の相手か!!??」
「はい!……………はい!!??」
「はい?!じゃねーだろ、お前!!こ〜んなカワイイ童顔しておいて、何だ〜その狂気的なまでのおっぱいは!?舐めてんのか!!あぁ!!!」
「あ、貴方には関係無いでしょ!」
「関係大有りだ!!」
「どこが!!??」
すると奴は勢いよく立ち上がった。
「俺の好みにどストライクなんじゃぁぁぁぁ!!!!」
夜空へと高々に叫んだ。
…………へ?
「童顔巨乳が!!特に巨乳が!!!大好きなんだぁぁぁぁぁーーーー!!!!」
何………言っているのこの人?
「もう俺には、この薬指と君の薬指に赤い糸が繋がっているのが〜見える!」
奴はそのまま自身の小指を私の顔の前まで近づけて見せてきた………それに薬指って
そして叫び終わった奴……嫌コイツは次に膝をつき紳士的に私に手を差し伸べてくる。
「と言う事で、お嬢さん!俺と結婚を前提に結こんべら!!!」
そして吹き飛んだ………………吹き飛んだ!!??
…………もうワケ解んない
そして、奴がもともと居た場所には、奴を吹き飛ばしたであろう大きなピンクのハンマーを振り終わった体制の綺麗な銀髪の少女が居た。
すると少女は、ハンマーを無造作に置くと私を方を見てくる。
その少女の目蓋は閉じていたが、眉間にシワを寄せ、どこか不機嫌に見えた…そして
「チッ」
舌打ちされた
「……え?」
すると、少女は自身で吹き飛ばした奴の方へ歩き出し、倒れている奴の首根っこを掴み上げた。
「ぐえ」
「帰りますよ」
「ちょっ、ま、待つんだクロエ!!」
少女は奴を掴んだまま引きずって、歩き出した。
「離せ!離すんだクロエ!!クロエーー!!HANAHE!!!」
奴は引きずられながら子供のように駄々をこねるが、少女はそのまま歩き続る。
すると少女の眼の前に黒い霧が発生し、少女はその霧の中に入って行った。
「せ、せめて、せめてお名前だけでもーーーーーー!!!!!」
最後に聞こえたのは、情けない男の叫び声だった。
黒い霧が無くなると、初めからそこに居なかったのではないか、と思うほど綺麗に2人は消えてなくなってしまった。
「……………」
……………自分の体から力が抜けていくのが分かった。
改めて周りを見渡す。
そこには沢山の人が倒れており、戦闘の形跡がそこら中にある。
そんな残酷な景色を見ても、今の私の頭の中に浮かんだのは一つだけだった。
………………家に帰ろう
これがクロスギーツと私の、初めての出会いの話であり、非日常の序章に過ぎなかった。
ー山田真耶ー
ークロエー
【もう使われていない地下施設】
「諸君。俺の名前は、黒鐘 柊(くろがね しゅう)!艶めく黒髪と紫の瞳をもつイケメンだ!だが、その正体は世界的なテロリスト!クロスギーツとなり配信者をやっている者!」
「いきなり何を言っているんですか?」
「イヤ視聴者に早く俺の事を教えたくって、つい」
私と柊様が、薄暗く足場に困るぐらい散らかっている部屋で先程撮った動画の編集している最中、何も無い空間へと自己紹介をし始めるという、意味不明な事をやり始めた……………ま、いつものことか。
「それにしても、あんな可愛い娘と付き合えたらな〜!!!」
何時もの奇行の次は、先程、柊様が気持ち悪い方法で告ろうとした、緑髪の女の話をし始めた。
「な〜?クロエ〜あの娘、俺の彼女にできね〜かな〜」
柊様が作業を止め、聞いてくるが…………は~何故、柊様は、そんな分かり切った事聞いて来るのだろうか?
「いや無理ではないでしょうか」
「いやいや、決めつけは良くないぜクロエ?」
まだ言うか
「何度か告白すりゃ〜いつかは成功して、あの娘が俺の彼女になるかもしれないだろ?」
「無いです」
「無いの?!!!」
「断言します」
「そこまで?!!」
そこまで、です。
そもそも柊様に彼女など不要です。
それに、柊様はもっと身近に居る人を好きになるべきです…………………わ、私とか………
「てか、さっきからクロエさ〜機嫌悪くね〜か?」
「いえ、そんな事はありませんよ」
柊様のせいです
「それより柊様?」
「へいへい何だ〜?」
「このままだと編集、進みませんよ?」
「編集?………編集な〜したいんだけどな〜」
私が指摘すると柊様は椅子にもたれ掛かり椅子ごと回転し始めた。
「どっかの誰かがカメラぶっ壊しちまったからな〜」
「そうですね、一体全体、何故、壊れてしまったのでしょうか?」
と首を傾げながら目の前にあるバキバキに割れたカメラを見る私に、柊様は椅子から勢い良く立ち上がり指を指してきた。
「オメーだよ!オメーが壊したんだろうが!!!」
声を荒げ、柊様は私に怒鳴ってくるが、私にとっては仕方のないことだったのです……………柊様には言いませんが。
「そんな、どうでもいい事より、柊様」
「いや、全然どうでもよくねーよ!?コレ結構、頑丈に作ったんだぞ!?どうやったらこんなに綺麗にブッ壊れるんだよ!!?」
「次の動画のネタってちゃんと有りますか?」
「こいつ俺の話全然聞いてねー!!!」
と頭を抱える柊様ですが…そもそもカメラが壊れたのは柊様のせいですよ?
何ですか?いきなり出会ったばっかりで、しかも乳しか取り柄のないような女に対し、あの気持ち悪い告白まがいの行動は……
あれですか?おっぱいですか?おっぱいさえあれば柊様はぞっこんラブなのですか?変態なんですか?
きっと、アレさえ無ければカメラを握り潰さずに……………コホン、コホン、手を滑らせて壊してしまう事も無かったというのに。
ま、今更そんな事を柊様に言ってもどうにもなりませんが…………馬鹿ですし。
「何かスゲ~馬鹿にされた様な気がしたんだけど?」
「しましたよ」
「だよな、したよな……………したの?」
「そんなの良いですから早く次の動画のネタでも探して来て下さい」
「お前、時々俺より狂人だよな?」
失礼な柊様よりはマシですよ
「あ~、ネタなーどっかに落ちてね〜かな」
「どちらにいかれるので?」
すると、柊様は自身の外出用のバッグを持ち、出掛ける準備をし始めた。
「クロエ。俺にいつも計画性があると思うか?」
「フフフ、何を今更」
そんな柊様の問い掛けに、私は思わず笑ってしまった。
柊様がもし計画性のある方だったら、もうそれは柊様では無いと言い切れるぐらい無計画な方ですから。
「クロエ。俺、ちょっくら出かけてるつわ〜」
「どちらに?」
準備を終えた柊様は、ドアの前に立ちそこから私の方へ振り返る。その顔は……
「ナ・イ・ショ♡」
いつもの様に笑顔で満ちていたが、どことなく変態チックな顔であった…………………まさか
「!?」
瞬間、私は先程、柊様が触っていたパソコンの画面を覗き見る。
[山田真耶の顔写真、住所、電話番号]
そこには、先程まで会っていた緑髪の牛女がパソコンの画面に映っていた。
…………………殺す
私は、パソコンの電源を閉じ、そぉ〜っと白い銃を取り出し、柊様を猛ダッシュで追い掛けた。
『ぎゃぁぁぁぁーーーーー!!!!!』
このあと、黒鐘柊は二度とクロエに黙って他の女に会いに行かないと誓ったという。
面白かったですか?(/ω・\)チラッ