偽・ウマ娘ZERO ~不滅の桜~   作:風見ひなた(TS団大首領)

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第5話「歓迎! チーム・ポルックス」

「ここがカストルの本拠地……!」

 

 

 テスコスールはプレハブ小屋の扉の前で、すうっと深く息を吸った。

 姉が所属し、活躍した……彼女にとって最も輝かしい伝説が生まれた場所。

 

 美浦寮のほど近く、プレハブ小屋が建ち並ぶ一角にチーム・カストルの部室はあった。念のために事前に送られてきた手紙の中にあった手書きの地図と照合して、場所を確認する。……よし。この小屋で間違いない。

 他のプレハブ小屋と同じような外観だが、ここがかつて姉が所属した場所だと思うとなんだか光り輝いて見える気すらする。

 ついに自分は姉と同じ栄光への一歩を踏み出すのだ……このチームで!

 

 テスコスールは指先が震えるのをなんとか押さえつけてドアをノックし、緊張で引き攣る喉を張り上げた。

 

 

「ご、ごめんくださいッ!!」

 

 

 ……しーん。

 

 

 思わず逃げ出したくなるのを我慢してしばらく待ってみたが、まったく返事がない。

 ドアの向こうに人がいる気配もないようだ。

 

 留守なのでしょうか?

 いや、でも手紙には始業式の後のHRが終わったら来るように書かれていたし。

 手紙に書いてある以上は、忘れてるってこともないはず……。いや、でもあの人のことだしもしかしたら……。

 

 

「ご、ごめんくださ~い」

 

 

 テスコスールは再びドアをノックして、遠慮がちに声を上げてみた。

 ……やはり返事はない。

 ドアにウマ耳をくっつけてみるが、ドアの向こうは静寂に包まれていて物音ひとつしない。

 

 テスコスールは恐る恐るドアノブに手をかけ、ゆっくりと回してみる。

 いや、開くわけないか。

 

 

 ガチャッ。

 

 

 ……開いちゃったよ。

 

 ドア越しに覗く小屋の中には誰もいない。電灯の消えた室内は、窓からの光が差し込んでいるため真っ暗というわけではなかったが、それでも人の気配はなかった。

 

 テスコスールはごくりと唾を飲み込むと、ドアを押して一歩を踏み出してみた。

 

 

「あの……誰かいませんか……?」

 

 

 その瞬間パァン!!!と両耳のそばで左右から大きな音がして、テスコスールはしっかり5センチほど飛び上がった。

 

 

「ぎゃあああああああああああっ!?」

 

『歓迎ッ! ようこそ新入生ッッ!!!』

 

 

 ……ドアの死角に隠れていた上級生のひとりが、手にしたクラッカーから飛び出たテープまみれになったテスコスールを見て、心配そうに眉をひそめる。

 幾条もの真っ赤な紐を束ねた髪飾りで黒髪をポニーテールにした、気風の良さそうな姉御肌の生徒だった。

 

 

「……あ、あれ? もしかしてやりすぎちまったか?」

 

「ぎゃははははは! 引っかかった引っかかった! なあ、びっくりした? びっくりした? オレたちのクレェ~イジ~な新入生歓迎はどうよ?」

 

 

 同じくドアの死角に隠れていたもうひとりの上級生は、惨状をまるで気にした風もなくケラケラと笑っている。

 茶色い髪をセミロングにした小柄な少女で、ちらりと覗く八重歯が快活そうな印象を添えていた。悪戯が成功したのが嬉しくて仕方ないのか、とてもウキウキした様子だ。

 

 そんな二人の視線の前では、頭からテープまみれになったテスコスールがへたり込んでピヨピヨと目を回していた。

 黒髪の上級生は眉をひそめ、テスコスールのそばにしゃがみこんだ。

 

 

「なあダイナ、やっぱこれ新入生歓迎にしては荒っぽすぎたんじゃねえか?」

 

「んだよエース、お前だって面白そうだって言ったじゃんか」

 

「耳元でクラッカー鳴らすのはさすがにまずかったんじゃないかなあ。ごめんなキミ、大丈夫か? 音聴こえてる? 立てる? 立てそうにないならあたしの手を掴んでくれ」

 

「すまねえな! オレの手も握っていいぞ」

 

「え、ええ……。ありがとうございます」

 

 

 テスコスールは頭を振り、左右に差し延ばされたふたりの手を取った。

 その瞬間、ごとりと音を立てて八重歯の少女の腕が床に転がった。

 

 

「オ、オレの腕がああああああああああああ!!!」

 

「ぎゃああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

 八重歯の少女が苦悶の表情を浮かべて絶叫する姿に、スールが悲鳴を上げる。

 

 黒髪の上級生はすぱぁん!と八重歯の少女の頭をはたき、顔を近づけた。

 

 

「おい、ギャロップダイナ! このイタズラは聞いてねえぞ!」

 

「イヒヒヒヒ! 言ってたらサプライズにならないだろ、カツラギエースよぉ」

 

 

 ギャロップダイナと呼ばれた上級生は、笑い転げながらにゅっと袖口から本物の腕を伸ばす。そのまま床に落ちた腕をつかみ、付け根側についているハンドルを握ると、手がかぱかぱと動いた。

 

 

「苦労したんだぜぇ~、こうやってクラッカーを握れるように調整するの。わざわざこんなオモチャまで用意するなんて、手間がかかっててクレェイジ~だろ?」

 

「これで新入生が逃げたらどうする気なんだよ」

 

「大丈夫大丈夫。だってコネ入部だろ、新入生ちゃん。どんだけびっくりさせても逃げられないもんな。イヒヒ、脅かしがいがあるぜ~」

 

「はぁ……ダイナの提案なんか乗るんじゃなかったな。ごめんな、びっくりしたろ」

 

 

 呼吸を整えたテスコスールは、胸に手を当てて頷く。

 

 

「有体に言って寿命が10年縮みました。卒業しても毎年お正月には年賀状を送ってください。早死にしたらそれで住所見て先輩がたの枕元に立ちます」

 

「……ほんとごめん」

 

「イヒヒ、おもしれー返しをするじゃんか! 気に入ったぜオマエ!」

 

「気に入らなくていいです。チームの先輩として最低限の接触しかしないでください」

 

「ウィヒヒヒヒ!!」

 

 

 テスコスールのツンドラの大地のごとき零下の視線を受けて、何が嬉しいのかギャロップダイナは大喜びしながら床でタップダンスを始めた。

 ……相性がいいのか悪いのかわかんねえな、とカツラギエースは脱力する。

 

 

「こほん。ともあれ、ようこそチーム・ポルックスへ。キミがチーフの言ってた新入生だな。あたしはカツラギエース、1年上のクラシックだ。そっちのは同期のギャロップダイナ」

 

「イヒヒ、よろしくな! ダイナパイセンって呼んでいいぞ」

 

「アタシたちは別にチームの先輩の命令には絶対服従なんて言うつもりはないから、ゆるくやっていこう。ただ、チームのルールがいくつかあるから、チーフが帰って来る前にアタシの方から説明を……」

 

「ちょ、ちょっと待ってください」

 

 

 テスコスールは左手で額を抑えながら、カツラギエースの言葉を止めた。床でくるくる回り続けているギャロップダイナからは極力目を背けている。

 

 

「チーム・ポルックス? ここはチーム・カストルの拠点じゃないんですか?」

 

「カストル……?」

 

「すみません、部室を間違えたようです」

 

 

 首を傾げるカツラギエースを見て、テスコスールは即座に踵を返した。

 そんな彼女の前にギャロップダイナがしゅたっと立ち上がって道を阻み、両肩を抱いてまあまあまあまあと食い止める。

 

 

「合ってる合ってる。オマエ、チーフの旦那が言ってたテスコスールだろ? カストルはアタシらが入る前に解散したんだよ。そんで当時のサブトレがチーフ(代表トレーナー)に昇格して、新しく新チームのポルックスを立ち上げたってワケ」

 

「あなた、普通に喋れたんですか……。いえそれより、そんな話まるで聞いてませんけど!?」

 

「そりゃそうだろ、言ってねえからな」

 

 

 突然話に割って入った男性の声に振り返ると、戸口にひょろりと背の高い男が大きなクーラーボックスを手に立っていた。年の頃はおそらく30歳を少し過ぎたくらい。特にこれといった特徴のない男だが、ただ一点挙げるとすれば銀縁の眼鏡をかけており、そのレンズの奥の眼光は異様に鋭い。

 その横にはキャップ帽を前後逆に被った20代前半ほどの年頃の長身の女性が、男よりもさらに大きなクーラーボックス2つを両肩に背負っている。茶色い髪に赤いメッシュをいくつも入れており、ニコニコと微笑みながらテスコスールを見ていた。

 

 テスコスールは女性の姿に一瞬毒気を抜かれたが、すぐに男の方に視線を向けて食って掛かる。

 

 

「兄様! これはどういうことですか!!」

 

「ここでその呼び方はやめろ。俺はこのチーム全員のトレーナーだ。チームの奴なら誰であれ親よりも親身に面倒をみるつもりはあるが、お前だけを他のメンバーより贔屓するつもりはない」

 

 

 眼鏡の男は悠々とテスコスールの横を通り、机の上にごとりとクーラーボックスを置く。そして彼女の方を振り向いた。

 

 

「ダイナが説明した通りだ。チーム・カストルはもうない。ここはその後継となるチーム・ポルックスの部室で、今は俺がチーフトレーナーを務めている」

 

「……お……あなたがチーフ、ですか。てっきり今もサブトレーナーかと思っていました。カストルのチーフや他のサブトレーナーはどこに?」

 

「チーフが引退して解散になった。他のサブトレはそのときに散り散りになったよ」

 

「そうですか……。でも、あなたが残っていれば問題はありませんね。お姉様と同じくご指導、ご鞭撻をお願いします」

 

「ああ。だがその前にお前にはやらねばならないことがある」

 

「私に?」

 

 

 きょとんとした顔のテスコスールに、チーフはうむと頷いた。

 

 

「今、ポルックスは定員割れを起こして廃止の危機にある。ちょっとそのへんの生徒を2人ほど勧誘してきてくれ」

 

「……ちょ、ちょっと待ってください……。定員割れ!? そこのカツラギエースさんとギャロップダイナさん以外の部員は!?」

 

「おらん。先月で2人引退したから、今このチームにいるのはエースとダイナの2人だけだ。5人いないとチームとして認可されないから、お前を含めて新入生3人が必要だ」

 

 

 くらっ。

 テスコスールの視界が思いっきり揺れた。

 

 

「……失礼ですが……。カツラギエースさんとギャロップダイナさんのご戦績は? 寡聞にして存じませんが、阪神JFと朝日杯FSは勝たれていませんよね? 弥生賞は?」

 

「あたしは弥生賞出てないけど、3勝はしてるし皐月賞だって出るよ!」

 

「オレはメイクデビュー1着で勝ったぞ! それ以降4連敗して1勝クラスだがなっ! わははは!!」

 

「帰ります」

 

 

 踵を返そうとしたテスコスールの肩を、まあまあまあまあとカツラギエースとギャロップダイナががっしりと握った。

 

 

「なんだ、不満そうだな」

 

「私はここに勝ちに来たんですよ!! なんなんですか、このチームは! 現役部員は2人だけで、片方は1勝クラス! ポルックスなんて名前も聞いたことがありませんし、新興の弱小チームもいいとこじゃないですか!!」

 

「あはは……痛いことを言うね」

 

 

 テスコスールの暴言に、カツラギエースは苦笑いを浮かべる。

 一方、ギャロップダイナはフンと鼻を鳴らし、唇を吊り上げた。

 

 

「目先のニンジンしか見えない愚物の分際がよく吠える……!!」

 

「な、なんですか……。目先って、何かこのチームに展望でもあるんですか?」

 

「オレもエースも、今はぱっとしない三流ウマ娘かもしれねえ。だが、それはまだオレたちの出番じゃないだけだ。桜花賞や皐月賞は確かに八大競争、勝てれば栄誉だ。だが天皇賞・秋や有馬記念だって同じく八大競争じゃねえのかい?」

 

「……それは先輩がたがシニアになれば、秋天や有馬記念で1着になれるとでも?」

 

「可能性はッ! 無限だーーーーッ!!」

 

 

 空気をビリビリと震わせるかのような勢いで、ギャロップダイナが言い放った。

 テスコスールは腕を組み、しばし宙を見上げ……。

 

 

「……いや、勢いで騙されませんよ。何も確証のあること言ってないし、可能性が無限だっていうなら負ける可能性もあるってことじゃないですか」

 

「チッ。冷静に突っ込んでくるんじゃねーや。そこは騙されてろよ」

 

「まあまあ……」

 

 

 同期の無茶苦茶な言動に苦笑しながら、カツラギエースは言葉を続ける。

 

 

「でも、あたしらは負けるなんて思ってないよ。今は無理でも、いつか必ず勝つ。……あたしらのチーフトレーナーの指導の下でなら、いつかきっと誰もが驚くような大金星を挙げられるって信じてるんだ」

 

「なるほど……」

 

「あっ、エースいいこと言うじゃん! そうそう、オレもそれを言いたかったの!」

 

「それは嘘です」

 

「ウィヒヒ! だけどよぉ、『鶏口になれど牛後となるなかれ』って言うだろぉ? 道ってのは自分の手で切り拓くからこそ楽しいんだ。他人が作った道をそのままなぞって目的地に着いたってつまんねーよ。今ならこのチームの道は未開拓だぜ、オレたちと切り拓こうじゃん」

 

「…………」

 

 

 無言になるテスコスール。その下でん? ん? とギャロップダイナは飛び跳ねて顔を覗き込んでくる。うっぜえ。

 

 

「どうしたどうした~? オレが良いこと言うからあまりの感銘にシビれちまったか~? ヘイヘーイ! ピッチャービビってるぅ~?」

 

「急にIQ上げてくるから面食らっただけですけど?」

 

 

 テスコスールは腕を組みながらはぁ、と溜息を吐いた。

 

 

「まあ、いいです。おに……チーフのいるチームに入ると約束したのは私ですから。それに考えてみれば、お姉様とカブラヤオーさんが入る前のカストルもかなりの弱小だったはず。私の手で盛り立てるのも、お姉様の軌跡を辿ることになります」

 

「……そうか。ならば歓迎しよう」

 

 

 重々しく頷くチーフトレーナー。

 その後ろで、何か言いたげなギャロップダイナをカツラギエースとキャップの女性が抑えつけていた。ダイナがこれ以上茶々を入れると話が進まないから仕方ないね。

 

 話がまとまったところで、チーフはぽん、とテスコスールの肩を叩く。

 

 

「じゃあそういうわけで、勧誘頼んだぞ」

 

「……それって私一人でやるんですか? そこの先輩がた2人は何もされないので?」

 

「ああ、どうにもうちのチームは強い弱い以前に悪評があってな。クラシック期以降の生徒は近寄らんのだ」

 

「悪評?」

 

「……近づくと心底脅かされてトラウマを植え付けられる」

 

「ダイナさんのせいじゃないですか! くそっ! 一瞬でもまともなことも言うんだと思った自分がバカだった!!」

 

「イヒヒ……まだまだ青いな! 青りんごのように!」

 

「うるさいですね! 貴方のせいで私が苦労するんですよ!!」

 

 

 反り返って踊るギャロップダイナをふしゃーっと威嚇するテスコスール。

 もはや教室で見せたクールさの片鱗も残っていなかった。

 

 

「はいはい、いいから早く行ってこい。スカウトはきっちり2人で頼むぞ、それ以上いても面倒は見切れんからな」

 

「ああもう、無茶ぶりするくせに注文が多いですね……!」

 

 

 

 

 

 

 ぷりぷりと怒りながらテスコスールが部室を出て行った後、カツラギエースは部室の扉を心配そうに眺めていた。

 

 

「……チーフ、一人で行かせて良かったのか?」

 

「なんだ、エース。スールが気になるのか?」

 

「ああ。その、ダイナがやばい奴だと思われて同学年から避けられてるのは本当だが」

 

「イヒヒ! クレェイジ~なオレです! よろしくお願いします!」

 

 

 もたれかかってくるギャロップダイナを面倒くさそうに押しのけながら、カツラギエースは言葉を続ける。

 

 

「あたしは別に怖がられてるわけではないし。というか、ダイナ個人がやばいと思われてるだけで、ポルックス自体はそこまで印象は悪くないだろ? だから別にあたしが手伝っても良かったんじゃないかと思ってさ。クールな子みたいだし、スカウトとか無茶ぶりだったんじゃ」

 

「いいんだよ。一人でやらせた方があいつのためになる」

 

「というと?」

 

 

 小首を傾げるカツラギエースに、チーフは淡々と応える。

 

 

「あいつはクールとかじゃなくて、ただのコミュ障だ」

 

「ぶははははははははは!!」

 

 

 ゲラゲラと笑い転げるギャロップダイナを無視して、チーフは言葉を重ねた。

 

 

「どうにもスールは周囲が見えてなさすぎる。ウチの練習スタイル的にも、他のメンバーと協力してのトレーニングが主軸なんだ。あいつが勧誘してきた新入生となら、少しは打ち解けられるかもしれんと思ってな」

 

「ああ、なるほど。そういう意図があったのか」

 

「コミュ障なんて直せるなら早い方がいい。できれば学生時代、まさに今がベストのタイミングだ。あれは矯正できるコミュ障だ、こうなる前に手を打った方がいい」

 

 

 そう言いながら床を転がる物体を指差すチーフに、カツラギエースはああ……と頷いた。

 

 

「確かにこれは手の打ちようがねえな……」

 

「あれあれ? もしかしてオレ、コミュ障と思われてません? こんなにも気さくに後輩に接してるのに?」

 

「へんてこな仮面(ペルソナ)越しにしか他人と接することができない奴はコミュ障だぞ。自覚があるならとっとと直せ」

 

「突然の死……!」

 

 

 ギャロップダイナはぴたりと回るのをやめた。死んだのだ。

 そんな彼女を大股でまたいで、カツラギエースは部室の扉へと向かう。

 チーフは眼鏡を光らせると、その背中に声を掛けた。

 

 

「なんだ、それでも手伝いに行くのか?」

 

「後輩を頑張らせて、先輩は知らぬ存ぜぬってのは違うだろ。大丈夫だよ、雲行きが怪しくなるまでは遠くから見てるだけだから」

 

「……待て、一人で行くな。経過を観察するのはトレーナーの仕事だからな。俺も遠くから見ておこう」

 

 

 いそいそとテスコスールを追いかけ、部室から出ていく2人。

 

 

「……師弟揃って過保護な奴らだぜ、まったくよぉ」

 

「ふふっ」

 

 

 むくりと体を起こしたギャロップダイナの呟きに、様子を見守っていた逆さキャップの女性が笑みをこぼす。

 

 

「それで、貴方はどうするのかな?」

 

「オレも行くに決まってんだろぉ。こんな面白そうなことを見逃すかよぉ!」

 

 

 

=======

 

 

 

基本的に1983年当時のレース名表記に準拠しようとしてるんですが、たまにウマ娘ワールドでは表現しようがないレース名があるので、そこは大目に見てください。

 

例)

「朝日杯3歳ステークス」⇒「朝日杯FS(フューチュリティステークス)」

「阪神3歳ステークス」⇒「阪神JF(ジュベナイルフィリーズ)」

「京成杯3歳ステークス」⇒「京成杯ジュニアステークス」

「共同通信杯4歳ステークス」⇒「共同通信杯」

「報知杯4歳牝馬特別」⇒「フィリーズレビュー」

 

 

〇歳、が含まれるレース名は基本的にアプリ版でも使われている表記にしています。自分で書いてみると、スタッフの苦労がしのばれます……。

 

 

ちなみにトリプルティアラの条件として作中でエリザベス女王杯を挙げてますが、これは当時はまだ秋華賞がなかったためです。

かつての牝馬三冠は「桜花賞・オークス・エリザベス女王杯」で、1995年に秋華賞が設立されたことでエリザベス女王杯が条件から外れました。

 

 

 

〇テスコスール

 

クール系だが対人経験値を全然積んでないので、おだてられるとすぐ調子に乗るし、ぺらぺらと自分の事情を話しちゃう。

 

 

 

〇カツラギエース

 

ほぼほぼアプリ版と変わらない性格。

ただしこの物語では中学2年生なので、アプリ版より容姿は幼い。

とっても面倒見がいい。

 

 

 

〇ギャロップダイナ

 

ゴルシ枠のコミックリリーフ。

八重歯がトレードマークのロリ枠いたずらっ子。

クレイジーとイヒヒ笑いが口癖。

人を驚かせることが大好き。

 

 

 

〇チーフトレーナー

 

眼鏡のお兄さん。

第1話に出てきたお兄さんと同一人物。

8年経ってかなりやさぐれた目つきになっている。

いろいろあった。

 

 

 

〇逆さキャップのお姉さん

 

謎の人物。




<補足>
ウマ娘のアプリではジュニア級でメイクデビューしか走ってなくても皐月賞だろうが桜花賞だろうが出られますが、実際の競馬ではクラスというものがあり、クラスに応じたレースにしか出走することはできません。

で、作中でギャロップダイナが「自分は1勝クラス」と言ってますが、時代考証的にはこれはおかしい発言です。
この時代には現代のように1勝クラス、2勝クラス、3勝クラスといった勝ち数によるクラス分けはされておらず、収得賞金によってクラス分けがされていました。
レースを走って得られた賞金が累計でいくらになったかによって、出られたレースが決まったわけですね。

でもこれがすっごくめんどくさくて、時代によって額面が変わるわ、収得賞金と獲得賞金(本賞金)があるわで、書いてる側も処理が大変です。

ここに関しては申し訳ないのですが、作中の「トワイライトシリーズ」では現代と同じように1勝クラス、2勝クラス、3勝クラスと勝ち数によって出られるレースが変わるという設定にさせてください。

一応作者もわかってないわけじゃないよ、というお話でした。
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