ひとまずどーにゅーだけ。
〇月 Χ日 晴れ
今日は良く晴れた良い一日だった。
散歩しに公園に行けば、子どもたちの楽しそうな声が良く聞こえる。いつからか…私はあのような純粋さを失ってしまっているのでは
「何、書いているんですか?」
耳元に声が走る。何処となく緊張が抜けるようなダウナーボイス、恐らくそろそろ絡んでくるだろうと分かっていたが、やはりドキドキするもんだな。……色んな意味で。
「……課題だよ。しかも、今さら時代錯誤といってもいい日記だ。」
本当に先生は何を考えているのだろうか。
夏休みや冬休みでもないというのに、日記なんて…
正直、馬鹿げてるとしか言い様がない。
学級日誌で良いだろう、学校のことを書くのは。
そもそも日記なんて今どき小学校低学年でも出ないのでは?
なんて愚痴を吐いていてもしょうがない。
出たものは終わらせなければ、無駄に溜まっていくのは明らか。
そんな心情を持ってして、いざこの課題に手をつけたのだが……
「ははーん…?ちょっと見せてください。」
いうがいなや、彼女は書きかけの日記を奪い去った。
まだ、数行しか書いてないのに…
絶対笑うに違いない。
「ふふっ…なんですかこれ」
ホレみたことか。爆笑じゃないだけマシなのか?
「アナタ、今まで散歩なんてしてたんですか?そんな気配は無かったんですけど。思ったよりアウトドア派でしたか?」
彼女の声色は、嘲るようにも、尋ねるようにも……どちらともつかないものだった。
最も、恐らく彼女の中では答えはもう出ている。
しかし、念のための質問…というとこか?
ニヤニヤしてるしな、コイツ。
「散歩してるのはホントさ。ただし、その日は散歩はしてない。そんなことでも書かなきゃ書く内容もないもんでな……怒るか?」
この質問も彼女には分かりきったものだろうと思いながら問いかける。
「まさか、自分のことならいざ知らず。……他人のコトまで口出しはしませんよ…」
だろうな。
そういう彼女はもっていた日記に視線を落とす。
そして、次に言葉を噤むまでそう時間はいらなかった。
「じゃあ…私たちのコトを書くのはどうです?」
表情は今日一番明るい。
さながら、イタズラが成功した子どものような無邪気さだなと思った。
そして、同時に、それは思考を数秒止めた。
「ハァッ!?」
何をいうとるのでしょうか?この女。
「良いでしょう?良くあるじゃないですか…一夏の恋ってやつが。」
いや一夏の恋にするにしても後、数カ月は待って欲しいね。
「それに…せっかくこっちに着てから全く振り返る時間も、余裕も無かったんですから良い機会と思いませんか?」
……確かに、ちょっと最近は色々と忙しかった。
そしてこの日記は、今までのコトを振り返るにはまさしく彼女の言うとおりピッタリだ。
なるほど……幾ら頭の回転が遅い俺でも…ここまでお膳立てされて分からない程馬鹿じゃない。
「仕方ないな…いささか面倒だが」
おっと…口癖が移ったか?
ふと見れば、やっぱり笑ってるし
さて、彼女とのことを書き始めるには、まずこの言葉がいるな。
「今晩は、良い月ですね?」
プリン頂けますか?と続けて聞いてきたあの日。
その日から、俺と彼女──棗イロハとの日常は始まったのだった。
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駄文なのは分かりきってますが…