人は光を求める生き物である   作:カバー

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初試合の興奮

 

 

 

シャルロット視点

 

 

 

ハーマイオニーと、友達になるという気まずい約束をした後、彼らは満足げに出て行こうとした。

すると、扉が開いてまた生徒の一団が入ってきた。先頭は…ドラコだ。プラチナブロンドの髪が日光に当たって光っている。

彼はハーマイオニー達を視界に入れると、薄いグレーの瞳を細くして突っかかった。

 

「おい。なんで薄汚いマグル生まれが居るんだ?恥の概念もなかったのか?」

 

 

そして私を顎で指し示すとハーマイオニーを侮蔑するように言った。

 

「お前らのせいで彼女が大怪我を2回も負ったのはもう忘れたってわけかい?」

 

 

 

そう苛立った様子でドラコが煽ると、ウィーズリーとハリーも顔を赤くして応戦した。

 

「黙れよマルフォイ。そんなに殴られたいのか?」

 

すると、マルフォイの後ろに控えていたクラップとゴイルが腕を鳴らしてウィーズリーとハリーの前に歩き出た。

 

 

 

まさに一触即発だ。どうしよう!私が止めなければ。すると、肩を怒らせたマダム・ポンフリーが椅子から立ち上がって彼らに歩み寄って怒鳴った。

 

「いい加減になさい!それ以上ここで騒ぐなら、ミネルバとスネイプ先生にお伝えしますよ!」

 

その脅しはかなり効いたらしい。ドラコはふんと鼻を鳴らすと、ハリーに肩をぶつけて私のベットへと歩み寄ってきた。

クラップとゴイルもそれに続いた。

後ろからはダフネがついてきていた。

 

私の包帯まみれの姿を目にすると、流石に心配の方が勝ったらしい。ドラコは気遣わしげに尋ねてきた。

 

 

 

「おい、大丈夫なのか?思ったより酷そうだな。全く。何でマグル生まれと女子トイレになんて居たんだ?」

 

私は苦笑いしてドラコにそのままを説明することにした。もしかしたらドラコも今回の一件で私の思想に共感するかもしれない。そうなればいいな。

 

 

 

「いえ。ネビルからハーマイオニーが女子トイレに篭って泣いていると聞いたので。慰めていたんです。」

 

その答えに、ダフネは呆れたように肩をすくめてため息をつき、ドラコは何なんだこいつと言わんばかりの目を向けてきた。

 

 

「だと思った。あなた本気で変人よね。私がどれだけ心配したと思ってるのよ。」

 

そうダフネは綺麗な緑の瞳で私の顔をじとーと覗き込んで言った。

ドラコはそれよりも冷えた声音で呟いた。

 

「君は、父上の言った通りの考え方をするんだな。どうも良くないぞ、それは。」

 

「…何がです?」

 

私が若干ドラコの言い草にムッとしながらも問いかけると、ドラコはさらっと何でもないことのように答えた。

 

「そういう馬鹿馬鹿しいマグル生まれへの優しさのことさ。父上がよく仰っていたよ。」

 

「君のご両親がもう少し我々のように、マグル生まれなんて相手にしないようになれば、あんな無駄な死に様じゃなかったろうに。」

 

 

 

 

……………………………は?

 

私は一瞬ドラコが何でもないことのように告げた言葉の意味を理解することができませんでした。

無駄な死に様?誰が?

 

「ドラコ…。」

 

ダフネが嗜めるようにドラコの名前を呼んだが、ドラコは素知らぬ顔だった。

私はふつふつと腹の底から湧き出るような怒りを段々と自覚し始めた。

私は思わず大声で怒鳴っていた。

 

 

「私の両親は無駄な死に方なんてしていない!命懸けで私を産んだ!最後まで純血の誇りを捨てなかった!」

 

「取り消しなさい!!」

 

 

その私の大声に話についていけていないらしいクラップとゴイルはおろおろと私とドラコを見ていたが、ドラコは目をさらに細めて呟いた。

 

「嫌だね。事実だ。ダンブルドアなんかの戯言に耳を傾けるからそうなるんだ。父上がそのせいでどんなに悲しんだか…。」

 

私は皮肉げに笑顔を作って見せて、今度はやり返して見せた。怒りで冷静な思考が失われていた。

 

「へえ。それで例のあの人の後ろで腰巾着として震えてたわけですか。それでおめおめと服従の呪文にかかっていたと証言したわけですか。私の両親とは違って命乞いが上手いですねえ。」

 

 

 

私の嫌味ったらしい攻撃は明らかにドラコに効いたらしい。彼は不快そうに顔を歪めると、大声で怒鳴った。

 

「違う!!父上は腰巾着なんかじゃなかった!僕の父上を愚弄するな!」

 

私も頭に血が昇って、何も考えずに応戦した。

 

「先に侮辱したのはそっちでしょ!あなたが取り消しなさい!!」

 

私たちはそう言い合うと、互いに睨み合っていた。

どちらも先に謝るつもりがないのは明白だった。

すると、いつの間にか近くにまで来ていたマダム・ポンフリーが私とドラコを怒鳴りつけた。

 

 

「いい加減になさい!!!あなた!出ていきなさい!スネイプ先生に報告しますからね!!」

 

そう退去宣告をされると、ドラコは私を睨みつけながらクラップとゴイルと肩を怒らせて出ていった。クラップ達は心配そうにこちらを見ながらも出ていった。

 

ダフネはまた深いため息をつくと、私の額にデコピンした。そして慰めるように優しい声音で呟いた。

 

「全く…頭を少しは冷やしなさい。今のはドラコが悪いけど、あなたも言いすぎたわね。言われっぱなしでいられないのも分かるけど。」

 

そう言われると、私はダフネを困らせてしまったと急速にドラコへの怒りが萎み、代わりに落ち込みがやってきた。

挙げ句の果てに医務室で騒いでしまった。純血にあるまじき行いだ。恥だ。

 

「………すみません。ダフネ。」

 

「私は別にいいけど。戻ってきたらドラコとさっさと和解した方がいいわよ?」

 

そう伝えて彼女はお見舞いにと綺麗な宝石の散りばめられた箱に入った高級なチョコレートの菓子を置いていってくれた。

 

…やってしまったな。そう私は頭を抱えたのでした。

 

 

 

*********************

 

 

医務室から出てホグワーツでの生活に戻ると、もう外はすっかり11月の冬の気候だった。

廊下は冷たい風が吹くたびに体が震え上がりますし、遠くの灰色の山達は見ているだけで底冷えするようでした。

 

スリザリンの寮は地下にあることもあり、談話室では皆が暖炉の近くに固まって寒さを凌いでいました。

私はこの時期の寮の窓から見える冬の湖の魚達も実に幻想的で見事だったので、寒さも和らぐ気がした。

 

私が戻ってきても、暫くはドラコは私と目も合わせませんでした。

その影響で同じ部屋のパンジーもどこか私によそよそしい態度を取って、少し寂しく感じた。

 

だが、そのドラコの不機嫌さもすぐに吹き飛ぶような時期が訪れた。クィディッチシーズンの到来です。

 

私たち一年生が朝起きて談話室に出てくると、背の高く実に凛々しいスリザリンのクィディッチ・チームが練習を終えて戻ってくるところでした。汗を拭いている姿も様になるほど立派な人達です。

 

「わあ、見ろよ。フリント先輩も含めて、みんな立派な体つきだよ。…グリフィンドールのヒョヒョロ共とは違うな。」

 

「ああ。全くだ。こりゃあのハリーポッターなんて吹き飛ばせるぜ。」

 

そう楽しげにドラコとザビニが先輩方を見て声を弾ませている。

あまりそりが合わないこの二人も、クィディッチのこととなると意見が合うようだった。

ノットは然程興味がないようですが…。

 

 

 

私も尊敬の目で彼らを眺める。

彼らはこの誉あるスリザリン寮を代表する箒乗り達なのだ。

キャプテンはもちろん聖28一族の純血であるマーカス・フリント先輩だ。

野生み溢れる顔立ちで、その立派な体つきも含めてまさに立派そのものだ。

 

そのほか周りと比べると小柄ながらも燻銀なプレーが光る、エイドリアン・ピュシー先輩。黒髪を後ろに流した美形な顔立ちで、ラフプレーをほぼしないフェアなプレイスタイルから、密かに練習を見る中で私の一番期待する選手になっていました。

 

私はおずおずとピューシー先輩に近寄ると、瓶詰のアイスさくらんぼのシロップソーダと緑の蛇の刺繍の入ったタオルを差し出した。

 

「あの、よかったらこれ使ってください…。」

 

彼は少し驚いたようだったが、にこやかに微笑むと、頷いてタオルで汗を拭いた。そして喉が渇いていたようでシロップソーダの蓋を開けて一気に飲み干した。

 

「ありがとう、助かったよ。タオルは後で洗って返すから。君、確かシャルロット…だよね。話題になってたよ。寮の得点の稼ぎ頭だって。」

 

「どういたしまして。先輩方に知っていてもらって嬉しいです。試合、頑張ってくださいね!」

 

「うん、もちろん!」

 

それを見ていたドラコも負けてはいられないと思ったのか、鞄から見るからに高級そうな色とりどりの砂糖菓子を取り出すと、ザビニなどの他の生徒達もギリーウォーターなどの飲料水を差し入れんと集まってきた。

 

フリント先輩はドラコの砂糖菓子を一口頬張ると、嬉しそうに叫んだ。

 

「お前達!こんなに甲斐甲斐しい応援をしてくれる後輩を持ったんだから、土曜日は負けられないぞ!」

 

そう。土曜日にいよいよ始まるのだ。スリザリンのクィディッチチームの初陣である、スリザリンvsグリフィンドールが。

 

ドラコも私が差し入れの先陣を切ったのに感心したようで、声をかけてきた。

 

「あー…シャルロット。僕と君は色々あったが、取り敢えずクィディッチチームの応援もあるんだし、そろそろ仲直りしないか?」

 

私は少しムッとするところはあったものの、ここは大人の対応をするかと心を落ち着かせて、笑顔で頷いた。

 

 

****************

 

 

ついに全校生徒が待ち望んでいた土曜日が来た。

誰もがそわそわと準備をする中、私は誰よりも誉あるスリザリンを応援せんと奮っていた。

 

朝6時に起きると、やっと届いた緑の滑らかなシルク生地を杖で魔法を振るって、蛇の紋章が入った大きな応援旗にした。銀色の糸をふんだんに使った私の自信作だ。

そして魔法で加工して銀色の蛇が七色に光るようにもした。

 

側にはこう書いた。

 

 

『誉高き純血の寮、スリザリンを応援しよう!』

 

当然この字も綺麗に光るようにした。

旗は大きすぎて私が振ることはできないが、まあクラップとゴイルにやらせればいいでしょう。

 

そして顔にもペイントを施した。緑の蛇のペイントだ。そして当然全身を緑のマフラーや帽子で覆い、全てに蛇と応援のメッセージを魔法で刻んだ。

 

9時ごろにダフネが起きてきて私の姿を見ると、吹き出してツボに入ったようで一通り笑うと謝りながら言った。

 

「ご、ごめんごめん!うん!それぐらいスリザリンを応援したいのよね!分かる分かる!でも…ぷっ…ご!ごめん!」

 

私はなんとも言えない気持ちになりました。

 

 

そして、午前11時になると、スタジアムは生徒でごった返していました。私たちはクラップとゴイルを先頭にやって、スリザリンの生徒が固まっている場所へと辿り着きました。

 

そしてクラップとゴイルが息を荒げながら『誇り高き純血の寮、スリザリンを応援しよう!』の旗を振った。

 

対してグリフィンドールの応援席では、同じくチカチカと光る文字で、『ポッターを大統領に!』と書かれた獅子の旗が振られていた。

…残念ながら、レイブンクローとハッフルパフもグリフィンドールの旗を振っていた。

えー…?スリザリンってこんな嫌われてるんですか?私は少々ショックに感じざるを得なかったが、気を持ち直して応援の声を上げた。

 

そして、両チームの選手達が入場してきた。

赤と緑のユニフォームが風に靡いて猛々しく選手達を着飾っている。

 

マダム・フーチが銀色の笛の音を響かせた。

そして、15本の箒が空へと駆け出した。

 

『さて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました。…何て素晴らしいチェイサーでしょう!その上かなり魅力的であります。』

 

「ジョーダン!」

 

その実況に対して、パンジーやミリセントがスリザリンの上級生達とブーイングをあげた。

マクゴナガル先生も止めているようだが、彼女も実況もグリフィンドールなのは流石にどうかと思います。

案の定偏向的ですし。

 

『アンジェリーナ…キーパーのブレッチリーが飛びつく!しかし躱した!グリフィンドール先制点!』

 

私は落胆してため息をつく周りを鼓舞して、応援の声を送った。

私はそれと同時に、ハリーポッターの飛行技術の高さに感嘆してもいた。

 

凄まじい勢いのブラッジャーを華麗に躱すと、箒で見事に飛行している。とても一年生の飛行技術とは思えなかった。

それに比べて私ときたら…

純血として恥を感じながらも、スリザリンを懸命に応援した。

 

 

が、しかし。スニッチを即座に見つけたハリーポッターが、スリザリンの先輩のテレンス先輩よりも早く飛び出して、限りなく同時だったが接戦の末に…危ない!辛うじてフリント先輩が妨害に成功した。

 

スリザリンからは歓声が上がり、グリフィンドールからは罵声とブーイングが飛んだ。

 

『えー、誰がどう見ても胸糞の悪くなるインチキの後…』

 

「ジョーダン!」

 

実況も罵声を飛ばしている。流石に露骨すぎないかな…

 

私はその惨状にため息をついた。スリザリンはラフプレーが多い。それは確かにそうです。私もどうかと思っているが、この実況を見てもいかに寮が分断されたのか分かる気がしました。

 

興奮した様子の私の隣にいるダフネは私に話しかけてきた。

 

「どうしたの?なんだか落ち込んでるみたいだけど。」

 

「いえ。スリザリンはどうもラフプレーが多いなと。あとグリフィンドールの実況もふざけてますよね。」

 

そう答えると、ダフネはきょとんとして私に何でもないように答えた。

 

「それがうちの強みでしょう?勝てばいいのよ。勝てば。まあ実況はうざったらしいけど。」

 

「ピュシー先輩はラフプレーなんてしてませんよ。」

 

 

 

私の言葉に、ダフネは口笛を鳴らして揶揄うように言った。

 

「何?あの先輩に惚れてるの?シャルロット。そう言えば前も差し入れしてたわよね。」

 

 

 

今度は私がきょとんとする番だった。不思議に思って答えた。

 

「いえ?単にプレイスタイルがかっこいいってだけです。それ以上の感情は特に。」

 

ダフネは外れたかとつまらなさそうに試合に視線を戻した。私もそうした。そして何気なくハリーを見かけると、違和感に気付いた。

 

ドラコがハリーを望遠鏡で除いて、げらげらと声を上げて笑った。そして私達に大声で言った。

 

「見ろよ!あのポッターの無様さときたら!」

 

確かに今のハリーは変だった。箒のコントロールを完全に失っているようだった。激しく箒に振り回されて、今にも箒から振り落とされそうだ。

 

…変ですね。彼が急に箒に乗るのが下手になるとは思えなかった。だが箒に干渉できるのなんて高度な呪いだけだ…。

 

私はドラコの高そうな望遠鏡を借り受けると、(彼は渋々だったが。)観客席を見渡した。

すると、一人ハリーポッターの箒を見つめて一心不乱に呪文を唱えている人物を見つけた。

それは…

 

「クィレル先生…?」

 

私は呆然と呟いた。いや、まさか。

だが間違いない。あの口の動き方は完全に呪いをかけている。

周りは気づいていないのか?どうやら周りも試合に目がいって気づいていないようだ!

私は慌ててドラコに望遠鏡を返し、教員席へ向かう。

すると、教員席でボヤ騒ぎがあったようで、私が行く必要はなくなったようだ。呪いには強い集中力がいるのです。

 

…何せ、ハリーがスニッチを見事な飛行で口でキャッチし、グリフィンドールの勝利が決まったのですから。

 

私は負けで激しく落ち込んで、とぼとぼと皆と寮に帰った。

ドラコなんてただでさえ白い顔が真っ青になっていた。

スリザリンの敗北。せっかく頑張って応援の準備をしたのに…。

そんな中で私は、スネイプ先生にクィレル先生のことを伝えねばと職員室に立ち寄ることにした。

 

ふらふらとした足取りで歩いていくと、職員室の中から怒鳴り声がした!驚いて耳を澄ませると、スネイプ先生の声だった。

 

「貴様のしでかしたことは分かっている!誰の差金だ!さっさと吐け!」

 

すると、か細いクィレルの反論が聞こえてきた。

 

「い…いえ!滅相もない!私はそんな…ッ」

 

…なんだ。スネイプ先生はとっくに分かっていたですね。クィレル先生がハリーの箒に呪いをかけたことを。

私が来る必要もなかった。きっと来週にはクィレル先生は消えているだろう。

 

私は見つからないようにそろそろと下がると、落ち込んだ気分で寮へと歩き始めた。

 

 

 

 

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