人は光を求める生き物である   作:カバー

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歪んだ交流

 

 

 

 

 

シャルロット視点

 

 

 

それからはぐっすりと眠ることができた。やはり飛行訓練でのてんやわんやの疲労が溜まっていたらしい。正面の窓から私の顔に朝日が差し込んだのを感じ、目を覚まして起き上がる。

 

ベッドの横の机に置いてあった水差しからありがたくコップに水を注ぎ、朝一番の乾いた体で飲み干した。段々と意識が覚醒してくる。

 

少しするとマダム・ポンフリーが来て、地面にぶつけた頭を中心に私の体中を調べた後、大丈夫だとは思うが一応様子を見たいから昼までここで安静にしているようにと言われた。

 

マダム・ポンフリーは少しすると、焼きたてのトーストとカリカリに焼けたベーコン、そして目玉焼きを乗せた皿を持ってきた。まだ湯気が立っている。

 

…ホグワーツの屋敷しもべ妖精は優秀なようですね。後で言えるならお礼を言っておきたい。

そんな風に思いながら、ベッドから起き上がって丁寧にナイフとフォークで朝食を食べ終わり、また横になった。

 

…暇ですね。

手持ち無沙汰で指を何となく絡ませる。

本でも読めれば良いのだが、そんなものを持ってくる時間など無かったのだ。

 

マダム・ポンフリーにわざわざそんなことを頼むのも迷惑でしょうし。

頭の中で生ける屍の水薬の制作手順を思い返しながら黄昏ていると、医務室の扉が音を立てて開けられた。

 

そこに居たのは、栗色の手入れのしていない長い髪が特徴的な女の子に、丸顔のぷっくりとした男の子の二人組だ。

彼らはマダム・ポンフリーと何かを話すと、こちらに歩いてきた。

 

男の子…ネビルは俯いてとぼとぼと歩いているのに対して、女の子…確かハーマイオニーは堂々と歩いてきた。そして、私に声をかけてきた。

 

 

 

「知ってるとは思うけど、ハーマイオニーよ。ハーマイオニー・グレンジャー。貴女のお見舞いに来たの。」

 

私は不思議に思って尋ねてみる。なぜグリフィンドールの彼らが?スリザリンの私のお見舞いに?

お世辞にもグリフィンドールからスリザリンへの態度は良いものではなかった。

それはお互い様なのですが…。

 

「はぁ…それはどうも。私はシャルロット。シャルロット・スラグホーンです。」

 

私はつい不思議に思って彼女達に尋ねる。

 

「あの、何で貴女達が私のお見舞いに?ネビルはともかく、貴女とは特に面識もないですよね。」

 

その言葉に、ハーマイオニーはそうねと答え、分かっているとばかりに淡々と話を続けた。

 

「私はただの付き添いよ。ほら、ネビル一人だと迷うかもしれないから…。」

 

さらっと失礼なことを言うが、私も否定できないのが辛いところだ。このホグワーツ魔法魔術学校は、複雑怪奇な構造をしていて、挙げ句の果てには階段が動いたり消えたりするのだ。

 

ネビルはお世辞にも機敏とは言えないし、迷う可能性は高いように思えた。

 

「まあ、それは建前だけど。本当は貴女と話してみたかったの。」

 

「私と話?」

 

何だろう。本当に予想ができない。接点がない彼女から私に話すことがあるとはあまり思えないけれど…

 

「ええ。貴女、その…他のスリザリン生とは違うみたいだから。」

 

なかなか微妙な気持ちにさせることを言ってくれますね。いや、ちょっと浮いてるのは理解してますけども。

 

「ネビルを助けたのもそうだけど、他のスリザリン生みたいにくだらない嫌がらせをしないもの。それに、とっても優秀。」

 

…随分と歯に衣着せぬ物言いをする人ですね。まあ事実だからしょうがないですけど。グリフィンドールも大概スリザリンに冷たい感じしますけどね。

 

そこまで言い切った彼女は、少し照れたように顔を赤らめて呟いた。

 

「その…初めてなのよ。私ぐらい勉強ができる人って、自慢じゃないんだけど。」

 

 

「事実だから。だから、負けたくないのは勿論だけど、有意義な話が貴女とはできるんじゃないかと思って。暇な時にでも。」

 

…要は、一緒に勉学に励もうということらしい。

それならば歓迎ですね!

私は唇に笑みを乗せると、明るい口調で答えた。

 

「もちろん構いませんよ。私でお教えできることがあるなら、ぜひ。」

 

その答えに、彼女はよかったと笑顔を浮かべたが、それと同時に少し不服そうに答えた。

 

「…そう!嬉しい!ありがとう。でも、ただ教えてもらうわけじゃないわよ。互いに教え合うのも有意義だって、マクゴナガル先生も仰っていたわ」

 

それはできないだろう。私は純血で、彼女はマグル生まれだ。パンジーのように彼女を軽蔑するわけではないが、どうしても純血の優秀さには敵わないだろう。

だが、それ故に彼女を教え導くのも私の役目の一つだ。

 

彼女は"マグル生まれにしては"優秀な生徒だと思う。なら、私が導いてあげれば、きっと優秀な人物になれるはずだ。

 

ただ大っぴらにそう言っても恐らく受け入れられないだろう。人とはそういうものだと何となく学んできた。

だから、遠回しに彼女を導いていこう。

そう私は決意したのだった。

 

 

話が終わると、彼女は後ろで未だ青い顔で俯いているネビルに声をかけた。

 

「ほら、ネビル。そうしてても何も進まないわ。話さないと。」

 

「う、うん。そうだよね。」

 

そう呟くと、まるでアズカバンに向かう罪人のように、この世の終わりとでも言わんばかりの顔で私の前にまでネビルは歩み寄った。

 

「そ、その。ちゃんと謝りたくて。僕のせいで、君が酷い目に…本当に、ごめんよ…。」

 

そうネビルは深々と頭を下げた。

まあ予想はしていましたけど、やっぱりそういうことか。

別に気にしなくて良いのに。私は純血として当然のことをしたまでだ。

ただ、真面目な彼としてはそうもいかないのだろう。

そこが彼の良いところのようですね。

私は震える彼の俯いている顔を両手で掴み、上向きにしてじっと彼の顔を覗き込んだ。

そして満面の笑みで言葉を返した。

 

「大丈夫です!私は見ての通り元気ですし、貴方のお見舞いのおかげで気も晴れました!」

呆然と私の顔を見上げる彼に、出来うる限りの励ましの言葉を畳み掛ける。

 

「何も気にしないでくださいよ。私はただ当然のことをしたまでです。…貴方は優しいんですね。ありがとう、見舞いに来てくれて。」

 

「…いや、僕はそんな!…その、ごめんね。それと、ありがとう。君こそ優しいんだね。」

 

 

 

そう柔らかになった表情でネビルは答えると、何やら顔を赤くしながらもお詫びの印としてカエルチョコレートを数箱置いて帰っていった。

 

うきうきしながら上機嫌で箱を開けてカードを取り出すと、ゴドリック・グリフィンドールの勇ましいカードが一枚と、サラザール・スリザリンの厳粛そうな顔つきのカードが一枚。

 

そして、アルバス・ダンブルドアのカードが二枚出てきた。

 

私も密かにカードをコレクションしているが、どれも集めたことのあるカードばかりだ。

少しがっかりしながらも、跳ねようとしているカエルチョコレートを口に放り込んだ。

 

何気なくアルバス・ダンブルドアのカードをぼんやりと眺めていると、彼のキラキラした青い瞳が、半月型の眼鏡ごしにお茶目にウインクした。

 

だが、どこかその海のように底の知れない瞳を見ていると、昨日の彼からの忠告を思い出した。まるで、全てを悟られているかのようで…。

私はなんとなく胸がザワザワして、無造作にそのカードを机に放り投げた。

 

 

 

昼食前の時間になると、マダム・ポンフリーがまたやってきて、寮に帰ってよろしいと許可が出た。

この時間なら大広間で昼食を先に取りに行く方が賢明だろう。

 

 

 

医務室は四階なので一階まで階段を降りないといけない。

…慣れてはきたが、回転したり急に消えることもある階段を使って3階分移動するのは病み上がりには少々骨ですね。

 

私はローブと服に杖を振って制服とローブの汚れを落とし、薄緑色の寝巻きから着替えると、ベッドから起き上がった。

 

****************

 

 

大広間は、相変わらず生徒達で賑やかな様子だった。机いっぱいにチキンやローストビーフ、ポテトなどが一杯の皿が出ており、流石に少し味がくどいのではないかと見ていて思うほどだ。

 

私は扉を潜り、スリザリンの机へと歩んでいく。すると、ローストビーフを切り分けてパンと食べていたダフネが、安堵したような息を吐くと、呆れた声音で話しかけてきた。

 

「よかった、もう大丈夫そうね。お見舞いに行こうと思ったんだけど、かえって邪魔かと思って。」

 

「ありがとう、ダフネ。ええ。もう絶好調ですよ。恥ずかしいところをお見せして…。」

 

 

 

改めて私は箒から振り落とされた無様な姿を晒したことを思い出して顔を赤くする。

それを見てくすくすと笑いながら、彼女は答えた。

 

「別にいいわよ。前にも言ったけど、完璧な魔法使いなんて居ないんだし。スリザリンで一番の稼ぎ頭なのは変わらないんだから。」

 

そうやって可愛らしいダフネと雑談していると、クラップとゴイルが山盛りのえさ…料理を頬張っているのを苦い顔で眺めていたドラコが話に入ってきた。

 

「そうだな。あの後でフーチがスリザリンに5点くれたんだ。」

 

スリザリンに5点!?私は自身の身も守れなかったのに…不幸中の幸いと言うべきだろうか。ドラコは少し小馬鹿にするような顔になると、グリフィンドールの机の方を指さして言った。

 

「流石スラグホーンだ。あのうすのろスクイブで点を取るなんて、君は天才じゃないか?おかげでキズモノポッターまで追い出せたんだ。」

 

「どういうことです?」

 

私はドラコの私の友達への差別全開の発言はひとまず聞き流すことにして、(言っても無理だと半ば諦めかけていた)気になったハリーの話の続きを促した。

 

すると、彼は得意げに話した。

ドラコがネビルの思い出し玉を奪って箒で木の上に置いて嫌がらせしようとしたこと。

するとハリーが箒に乗ってドラコを追いかけたこと。

上手くドラコはハリーの飛行をマクゴナガル先生に目撃させて、自身は難を逃れたこと。

つまり、ハリーは退学間違いなしだということ。

 

全てを聴き終わると、私はため息を吐かずにいられなかった。思わず皺のよった眉を手で揉む。

その反応が気に食わなかったらしい。ドラコは怪訝そうに問いかけてきた。

 

 

「何だ。不満そうだな。言いたいことでもあるのか?」

 

「山ほどあります。ねえドラコ、純血は尊いものですよね?」

 

その疑問にドラコは当たり前だと言わんばかりに無言で頷いた。ならばと私は言葉を返した。

 

「ネビルだって純血ですよね。なら、彼も尊い私たちの仲間じゃないですか。なぜそんなことが出来るんですか?」

 

言っても無駄だとは思ったが、それでも言わずにはいられなかった。随分と頭に血が昇っていたと思う。

ドラコは苦虫を噛み潰したような顔をして忌々しそうに答えた。

 

「僕たちが?あんなグリフィンドールのスクイブと同じだって?勘弁してくれよスラグホーン。」

 

そこに、ドラコの横にいたパンジーも加わって私に言葉を投げかけた。

 

「そうよ。あんなおデブちゃんと一緒なわけないじゃない。どうしちゃったのよシャルロット。」

 

私はさらに頭に血が昇り、今度は立ち上がって大声を出しそうになる。すると、その前に私の横にいたダフネが私の頬を指でつっついた。

 

「…そこまでにしときなさいシャルロット。スリザリン生同士で言い争ってどうするのよ。」

 

「………わかり、ました。」

 

私はそれから苛立ちを食欲にぶつけることにした。デザートの糖蜜パイに豪快に食らいつく。

その様子を、ドラコはどこか困惑して眺めていた。

 

 

 

****************

 

 

 

私は午後の初歩的な魔法薬学の授業を終えると

(完璧な調合だとしてドラコと私はそれぞれ5点貰った。)

先生に質問に行くからと、ダフネ達と別れて外に出て、森番の小屋へと向かった。

遠くで暴れ柳が不気味に蠢いている。

 

…私は結局、魔法生物について学ぶ為に森番のハグリッドの元を訪ねることにしたのだ。

当然、その前に図書室の本であらかた勉強しようと思った。…だが、どうしても独学で勉強するのには限界がある。

 

特に魔法生物飼育学は実地研修をするのとしないのとでは、大きな知識の差が出てくる。

本では伝わらない生の天馬の毛並みや、パフスケインのもふもふした柔らかさ、そういったものを知りたいのだ。

 

まあ、そういった魔法生物とただ触れ合いたいという欲求がないかと言えば嘘にはなるのですけど。

それ抜きでも、森番の彼なら得難い知識を私に伝えてくれると思ったのだ。

 

 

 

フリットウィック先生の紹介なら間違い無いだろう。彼は小鬼の血が混じっているが、"それなりに"優秀な先生だとは実感していた。

 

マクゴナガル先生も認めているのだ。ならば問題ないだろう。それに、彼が果たして私の疑惑通り半巨人なのか、それとも純血なのかということも確かめたかった。

 

スリザリンでの彼の評判は決して良くない。

鈍臭く、汚らしくて、ただ図体ばかりでかいダンブルドアがなぜか置いているだけの男。

 

それが大体の総評だった。

私も別に異論があるわけではない。ただ、ダンブルドアのあの言葉が妙に心に残った。

 

「信じたくないのは分かる。じゃがの、正しい知識から目を塞ぎ、闇に走れば、必ず痛ましい結末となるのじゃ。シャルロット、まずは目を開き、価値観に縛られずに知ることからじゃよ。」

 

…私の純血思想が揺らぐことはない。両親から受け継いだ私の誇りは決して消えない。

だが、全てが『知ることから』という点については同意見だった。

 

もしかしたら、ハグリッドも純血の魔法使いなのかもしれない。単に、彼が少し大きいだけなのかも…。

 

そんな風な疑問が頭によぎったのだ。

しばらく歩いていると、禁じられた森の前に、森番の小屋が見えてきた。

…なかなか野生みのある木の小屋だ。その前で、ハグリッドが大きな手で斧を握って薪を割っていた。相変わらずの髭もじゃな顔だ。

 

私が近づいていくと、怪訝な顔でこちらを見て疑問を問いかけてきた。

 

「お前さん誰だ?スリザリンのイッチ年生が俺に何の用だ?道でも迷ったのか?」

 

その疑問には若干険があったような気がするが、私は明るく丁寧に自己紹介をした。

 

「初めまして、お察しの通りスリザリン生のシャルロットです。実は魔法生物について先んじて学びたいのですが、フリットウィック先生から貴方が適任だと聞いたので伺いました。今お時間よろしいですか。」

 

そう私が言い切ると、彼はキョトンとした顔で黙り込んだ。そして嬉しそうに首を縦に振ると、弾むような声で答えた。

 

「フリットウィック先生が?…そうか。うん。そりゃ嬉しいが…俺なんかを?分かった。うん。せっかく訪ねてきてくれたんだ。時間ならあるとも。」

 

彼はそう言うと斧を地面に置き、戸を開けた。すると、素早く何かが出てきて私に飛びかかってきた。押し倒されて地面に私は仰向けに倒れる。

 

「ひあっ!?な、なに!?」

 

その黒い塊はベロベロと私の耳を舐めてきた。…段々と冷静になると、それが犬だということが分かった。

巨大な黒いボアーハウンド犬だ。人懐っこく私の耳を舐めてくる。

 

「こらっ!ファング!退がれ!」

 

ハグリッドは慌ててその犬の首輪を掴んで私から引き剥がした。…冷静に見ると大きくて厳ついが、可愛い犬だ。

ハグリッドは申し訳なさそうに私に謝ってきた。

 

「すまんな。どうもこいつは人懐っこくてな…すぐにそうなっちまう。許してくれ。」

 

私はおずおずとファングの頭を撫でた。気持ちよさそうにごろごろと喉を鳴らしている。

 

「…いえ、大丈夫です。その…可愛いですね、この子。」

 

そう答えると、ハグリッドは微笑んでそうだろうと頷いてみせた。

改めて小屋の中に入ると、中は大きな一部屋だけだった。ハムやキジ鳥が天井からぶら下がり、部屋の脇には私のベットの3倍ほど大きなベットがある。

 

「くつろいでくれや。」

 

椅子に私を座らせ、ハグリッドは大きなコップにお茶を淹れて、私に訪ねてきた。

 

「腹は空いちょるか?ケーキがあるが。」

 

「いえ、結構です。ありがとうございます。」

 

私はチラリと見えたゴツいケーキを見てさっと答えた。

どうにも私には合わないケーキな気がした。

 

お茶も何だか大雑把な味だ。それでも彼が善意で淹れてくれたことが分かるので、味は褒めておいた。

 

「それでは早速ですけど、ニーズルの生態についてなんですが…」

 

そこから私は彼に次々と魔法生物についての質問をした。驚くべきことに、彼は確かに凄まじい知識量を持っていた。

生息地から生態に、本にも載っていないような豆知識…そして何より、

 

「俺がマンティコアと初めて出会った時には度肝を抜かれたもんだ。誤解されちょるが、扱いは難しいな。かのニュート・スキャマンダーの時代には、アークスターク刑務所で罪人の処刑にも実質的に使われちょった。じゃが看守が殺されて…ああ、マンティコアは悪くないんだがな?明かりを維持すれば死ぬことはなかった。」

 

「だが俺もうっかり明かりを切らしちまってな。ニュート・スキャマンダー考案のダンスで…」

 

 

 

彼の話は鮮烈で、刺激的で、躍動感に富んでいた。私は思わず夢中になって話を聞いた。

時間を忘れてそうしていると、ハグリッドがハッとした顔で窓から外を見て言った。

 

「いかん。もう日暮れだ。お前さんももう寮に帰れ。改めて来たらまた続きを話そう。」

 

私は慌てて外を見ると、確かに日暮れだった。私はお礼を言って立ち上がり、外に出ようとする。が、その前にハグリッドに語りかけた。

 

「本当に参考になりました。ありがとうございます。」

 

「…俺の話で為になったんなら何よりだ。また聞きに来てくれ。お前さんは飲み込みが早い。」

 

彼は嬉しそうにそう答えた。本当に分かりやすい人柄だ。私は彼に好感を抱き始めていた。だからこそ、聞いておきたかった。

 

 

 

「その…不躾な質問だとは思うんですが、ハグリッドさんはその…純血の魔法使いなんですか?杖をお使いになられないみたいですが。」

 

その質問に、ハグリッドは朗らかな雰囲気から一転して冷たい雰囲気になった。ふんと鼻を鳴らすと、私に言葉をぶつけてきた。

 

 

 

「お前さん達スリザリンはいつもそれを気にしちょるが、そんなに大事なことか?やれ血がどうだの…俺はマグル生まれでも優秀な魔法使いを沢山知っちょるぞ!」

 

彼もダンブルドアと同じ意見らしい。説得しても無駄だろう。私はやんわりと謝罪してまた問いかけた。

 

「…すみません。無礼でした。でも、聞いておきたいんです。単なる好奇心ですが。」

 

彼は黙りこくると、やがてぶっきらぼうに答えた。

 

「俺の両親は両方とも魔法使いだ。これで満足か?杖はまあ…色々あって今は使えん。…もうこの話はしたくない。今度からはせんでくれ。」

 

私はそれで安堵した。そして彼にお辞儀すると、戸を開けて部屋を出ていった。

良かった!彼は純血だった。

道理で優秀な魔法生物飼育学の知識を得ているはずだ。

 

これで心置きなく彼から知識を学べる!

 

 

弾むような足取りで、私は寮へと戻った。

 

 

 

 

 

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