翌日、ジュピターの部室にてアイネス達のトレーニングの準備をしているとー
先輩「よぅ!お前にお客様だぞ!」
先輩がそう言うと俺は直ぐに、誰が来たのか理解していた。
アイネス「ベルちゃん!!」
フラッシュ「いらしてくれましたか」
ドーベル「…………。」
「待ってたぞ、ドーベル」
ドーベル「っ、別に、私はただ…!ただ、っ……勝ちたいの。勝てる様に、なりたい…!次の模擬レースが……トレーナーに勝利を挙げられる、きっと最後のチャンスだから…!!」
「任せろ!!絶対に強くさせる!!必ず.勝とう」
ドーベル「…………うん。」
そして、ドーベルと共に、模擬レースに向けた猛特訓の日々が始まった。
本来、彼女の素質としては素晴らしいものを備えている。それもあって、能力自体は日々順調に伸びていっている。
ドーベル「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」
フラッシュ「良いタイムですよ、ドーベルさん」
ドーベル「そう。…でも、さ。」
アイネス「どうしたの⁇ベルちゃん。」
ドーベル「大勢の前でも…レース本番でも、この走りができるかどうか。……そこなんだよね。ーもう一本、走ってくる。タイムお願い。」
フラッシュ「分かりました。」
アイネス「私も走るの!」
取り繕う様に言って、駆け去って行く。確かに、彼女がメンタル面で抱える問題はとても根深い。
「(小さいなんでもいい、何かきっかけがあればな……。何か……、…………?。)」
ドーベル「はっ、はっ、はっーーーーー!!」
アイネス「はっ、はっ、はっ!!」
「(そう言えば、ドーベル。今まで一回も……)」
『模擬レース当日】
テン「ほっほ〜〜〜!!随分凄い数のお客様がいらっしゃっていますね〜!!」
先輩「チーフの引退の件が、既に噂になっているからな。メジロドーベル獲得に動き出したトレーナー陣が来ているのもある」
エース「レース出走に難を抱えてる件は既に知られているけど,アルダンと同じ【メジロ】のウマ娘だ。注目はされる」
アイネス「……、ベルちゃん、大丈夫かな…?あの子、無理ばかりするから…心配なの……!」
アルダン「……それは心配ありませんよ、アイネスさん。きっと、大丈夫ですね」
フラッシュ「えぇ!今日のドーベルさんは、覚悟が違います。」
チーフ「ベルちゃん…………」
先輩「大丈夫よ、チーフ。あいつが側にいましたから、きっと……」
ドーベル「(トレーナー……きっと、見に来てくれてるよね。…勝ちたい。勝ちたい、勝ちたい、今日そこ……!。でも、っ…ダメ、また、心臓が……うるさくなって……!!)」
「ドーベル!!俺を見ろ!!」
ドーベル「っ、………ー!!(あ……見,ちゃった……観客席……)」
【遡る程数日前】
ドーベル「……普通、そうじゃない?走ってる時は、レースに集中すべきでしょ。」
「『見ない』意識が強すぎるなのもある」
あの時に思った事、ドーベルは【観客席を、絶対に見ようとはしない】ことだった。むしろ『絶対に見まい』とする、その強固すぎる意識が逆に集中を削き、走りを固くなる原因になっていると俺はドーベルに伝える。
ドーベル「っ……それは……。」
「だがら,次のレース出走前に…」
ドーベル「出走前に……何?」
「一瞬だけでもいい、観客席を見ろ」
ドーベル「は!?ま,無理…!!だって、私はー」
「俺がそこで、ドーベルを見てるからの」
ドーベル「っ、でも…」
「『強い』ドーベルを、俺は見てるから」
ドーベル「…………!」
【時を戻して】
ドーベル「(いる……あそこにー!!)
大勢の観客席の中に、強いドーベルを信じているトレーナーを見つける。
「ドーベル!大丈夫。お前は強いドーベルなんだから」
ドーベル「っ……何回言う気よ、バカ……//」
小さく呟くとそれに気付いたのかドーベルはこっちを見ながら、少し微笑んだ。それを見た俺は、頷きドーベルに向けて、拳を突き出した。するとドーベルも同じ様に拳を突き出す。
そして、チーフが見守る最後の模擬レースが始まる。
(ーガコンっ!!)
ドーベル「はっ、はっ、はっ、はっー」
「大丈夫だ…大丈夫。ドーベル」
ドーベル「(……正直、トレーニングど 通りの走りができてる訳じゃない。人前は嫌い。皆んな、弱い私を笑ってる様にしか見えなくて…)でも、っ……ぁあああああああああっ!!。」
ドーベル「(でも,それでも!あそこにいる!いるんだ!私の事…強いって、信じてる人が!)」
「(最終コーナー)行け!!ドーベル!!見せつけろ!!強きドーベルを!!」
ドーベル「私は強いっ……私は強い、私は強い!!私は!!強い、ウマ娘なんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、ドーベルは最後まで走り抜き、一番乗りでゴール番の横をすり抜けた!!
観客【ワアアアアアっ!!】
「よっしゃぁ!!!!」
チーフ「1着…!!ベルちゃん…素晴らしい走りだったわ……!」
先輩「たくっ、本当にやってくれるなら…あいつ…流石だわ」
模擬レース終了後、チーフを連れて部室にて戻り,チーフの引退パーティーを行おうとしていた。
ドーベル「トレーナー。今日は…本当に、来てくれてありがとうございました。」
チーフ「ふふ、お礼を言うのはこっちよ。貴方の勝つ所が見られて、嬉しかったわ……おかげでもうなーんにも、心残りはありません。」
「ちょっ、チーフ…」
先輩「チーフ、まだ残っているでしょ」
チーフ「あっ、そうそう。…ベルちゃん、貴方はこれからどうするのかしら?」
ドーベル「私は、……(……!)この人達と一緒に、やって行きます。」
アイネス「ベルちゃん、それって!!」
フラッシュ「ふふっ」
ドーベル「……今更『イヤ』とか言わないでよね?トレーナー。」
「言わねえよ!!お前を強きウマ娘に絶対にしてやる」
チーフと先輩に見守られながら、ドーベルと担当契約を交わし、チーフトレーナー引退兼ドーベル担当祝いパーティーが始まり、部室内は大はしゃぎの中、テンポがやらと俺とドーベルをくっつけようとしている。