PERSONA ラブライブ    作:ぱら15874

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ペルソナ能力は従来のゲームのような能力ではなく。
ジョジョのスタンドに近いです。



ペルソナラブライブ

4月25日。 

朝 教室。

 

ときめきがない。

 

高校2年になり、クラス変えもしてみんなもう新しい友達を作り始めている。

 

なのに、私は一年の時と同じように1人ぼっちで朝のホームルームが始まるまで、スマホをぽちぽちして時間を潰している。

 

クラスメイトのみんなは放課後どこ行くとか昨日のドラマの話とかで盛り上がっていて。

 

私は同じ空間にいるけど、同じ空間にいないみたいだ。

 

切り離されて1人ぼっち。

 

小学生の時も中学生の時も私は人との交流がどうも苦手だった。

 

だから私はこうして誰とも喋らずに学校が終わるのをただ待つだけ。

一日、喋らない日なんて珍しくもない。

 

厨二病乙と言われてしまえば何も言えないのだけど、私の居場所はここじゃない気がする。

 

なんだろう。

なんで?と聞かれてもはっきりとした答えは出てこないし、ただ漠然とそう感じているだけなんだけど。

 

私の居場所。いや、世界はここじゃない。

 

物心ついた時から私は常々そう思っていた。

物心ついた時から斜に構えてしまっているから私はいつも1人ぼっちなんだ。

 

特にいじめられていたとか家庭環境が複雑とか特別な理由なんてないのに、私はずっと絶賛厨二病。

 

それに比べて、私と真反対の・・・。

 

歩夢「あはは、うけるー!!!」

 

クラスの人気者の上原さんが眩しい笑顔で大笑いしている。

上原さんとは小学からずっと一緒だ。

会話もした事はある。

 

こんな暗い自分語りを朝から脳内で繰り広げている私と違って、上原さんは明るくて皆んなの人気者で友達と多い。

 

私とは真反対のカースト上位の人。

 

でも、私の思い過ごしだと思うんだけど。

上原さんとは目が合う事がかなり多い。

 

今も私が視線を送っていると上原さんはチラチラと私を意識しているのか目がよく合う。

 

ただの私の勘違いかどうかは分からない。

上原さんからはなんだか見られている気がして落ち着かないんだ。

 

かといって、よく目が合いますね?なんて聞いたら気持ち悪いに決まってる。

まるで、ストーカーの第一声みたいだ。

 

また、上原さんと目が合う。

私はいつもそらしてしまう。

 

もう一度チラッと上原さんを見る。

上原さんはこっちをずっと見ている。

 

思わず、顔をプイッと背けた所でホームルーム開始のチャイムが鳴り。

皆んなしぶしぶ自分の席へと戻っていく。

 

4月25日。

昼 教室。

 

ようやく、半分が過ぎた。

あとは、ご飯を食べて午後に備えるだけだ。

 

机の横にかけてた鞄からパンを2つと水筒を取り出す。

 

あんぱんとクリームパンだ。

年頃の女の子なら気にするカロリーの暴力。

ただ、私は食べても太らない体質なのでカロリーとか気にするような事がなかった。

 

大人になれば気にするようになるのかな?

 

封を開けてあんぱんを頬張りながらそんな事を考える。

 

帰ってから何しよう。

特にやる事ないな。

 

バイトでも初めてみようかな。

でも、欲しい物ないしな。

 

パンをあっと言う間に食べ終えて、またスマホをぽちぽちする。

 

色々な話が聞こえてくる。

 

今日の同好会どうする?とかだ。

 

この学校は同好会が盛んで何百もの同好会がある。

 

大体、みんなはどこかの同好会に属しているんだけど私はどこにも入ってない。

 

いくつか、入りたいなと思った所はある。

ホラー映画同好会にオカルト同好会、超常現象同好会にUFO同好会。

 

私は昔からそう言う超自然現象やホラー映画が好きで、よく暇さえあれば見ている。

 

見すぎて怖いなぁと思う事が無いぐらいだ。

 

最近の話題といえば、世界各地で起きてる行方不明や不可解な殺人事件。

日本でも、あちこちに未解決事件が起きてる。

 

マイナーなオカルトを扱うネットの掲示板には世界の終焉が近いとも言われている。

 

でも、世界の終焉なんて昔から言われていたし。

有名なノストラダムスの予言もなんて事は無かったから信じてはいない。

 

だけど、最近の各地で起きてる事件はどれも本当に不可解で不快で不気味で恐ろしい。

 

こんな映画や小説で起きてるような事が現実でも起きてるから驚愕の連続だ。

 

最近では、カナダの自動車工場の職員が何者かにより全員惨殺され。

 

世界各地で前触れも無しにずっと眠ってしまう奇病が多数確認されて。

 

アメリカの湖に数十人の死体が見つかった。

 

ここ日本でも、一家絞殺事件が起きてる。

しかも、東京でだ。

 

私はオカルト好きだけど飽くまで常識の範囲内でのオカルト好き。

 

こんな事が起きてワクワクもしなければ楽しんだりしない。

 

創作物のオカルトが好きなだけで、こう言う事件には心が擦り減ってしまう。

 

一家絞殺事件なんかはここから割と近いから、現場を見ようと思えば行ける距離にあるのだが、非常識な事はやりたく無い。

 

悲惨な事件を餌に非常識を味わいに行くような事はしたくないんだ。

 

ふと、スマホの時計を見ればあと5分で昼休みが終わる所だ。

 

ふわり、といい匂いがした。

とても柔らかな香り。なんだか懐かしい気持ちになる香りだ。

 

歩夢「ねぇ、高咲さん」

 

顔を上げる。

ずっとスマホを見て俯いてたせいか首の骨がポキッと鳴る。

 

侑「・・・はぅ!」

 

目の前に上原さん。

 

思わず息を呑んでしまう。

 

歩夢「なに、そんな幽霊でも見たってリアクション」

 

侑「ご、ごごごごめんない」

 

歩夢「いいっていいって。んで、話があんだけど・・・。今からはそんなに話出来ないか。放課後時間ある?」

 

侑「ほ、放課後ですか?」

 

歩夢「どうして敬語なん?とりま、あけといて、よろ」

 

侑「は、はひぃ」

 

間抜けな返事をしたあと、いい香りを漂わせながら上原さんは嵐のように去っていた。

 

胸がドキドキしてる。

 

上原さんと話ちゃった。

クラスの人気者で可愛くていい香りのする上原さんと・・・。

 

胸がドキドキしてる。

ときめきている。

 

上原さんいい匂いがする。

いい匂いがする。

 

4月25日

放課後 教室

 

授業中、私はずっと心ここにあらずの状態だった。

あの上原さんから放課後お誘いがあった。

 

みんなに人気で容姿端麗でいい匂いがする上原さん。

 

こんな根暗な私に何があるんだろうか?

 

クラスメイト達は殆ど教室を出ており、私は上原さんが友達とお話が終わるまで机でポツンと待っている。

 

いつもはそそくさと教室を出るからなんだか不思議な気分。

 

歩夢「あ、うん。まったねー」

 

上原さんは友達と挨拶を交わし、真っ直ぐ私の方へて歩いて来る。

 

歩夢「やっほー。高咲さん」

 

侑「あ、い、いえ。そ、その」

 

歩夢「まぁまぁ、教室でよっか。ほら」

 

上原さんは私の手を握ってグイッ引っ張る。

 

歩夢「行こっ」

 

どこに?と聞く間もないまま。

私は上原さんへと手を引っ張られる。

上原さんの手は柔らかくて暖かい。

 

歩夢「ごめんね。なんかいきなり誘っちゃって」

 

先頭を歩く上原さんが言った。

勿論、まだ手は繋いだままだ。

 

侑「い、いえ・・・」

 

歩夢「いえって私、先輩じゃないんだし。同じ年でしょ?敬語はいいって。敬語使っちゃうぐらい私が怖いとか?」

 

侑「そ、そんな事はないです・・・」

 

歩夢「もぅ!また敬語」

 

握っていた手をパッと離され、両手でほっぺを優しくつねられる。

 

歩夢「敬語使っちゃう口はこの口?」

 

侑「ご、ごめんなひゃい」

 

両頬をつねられたまま上下に動かされ、思うように喋れない。

 

歩夢「ふふっ。謝んなくていーって。私、高咲さんとずっと喋ってみたいと思ってたんだ」

 

侑「わ、私と?」

 

歩夢「そ。だから敬語やめてもっと親しく行こうよ」

 

侑「う、うん。わかった」

 

歩夢「ふふ。合格。とりあえず学校出て近くの公園にでも行こっか」

 

侑「う、うん」

 

ほっぺたから手を離し、再び私と手を繋いで引っ張られる。

 

私が男の子なら好きになってただろうな。確実に。

 

学校を出て公園に着くまで、それはもう申し訳ないぐらいに私は相槌マシーンになっていた。

 

最初は天気の話から始まり私が何も返せずにいると、次は上原さんが観ているドラマの話。

 

また、会話に詰まると次はゲームの話。

 

上原さんは休みの日は意外にずっと家にいる事が多いらしく。

休日は家でゲームばかりやっているとの事だった。

 

インドアなタイプだったんだと思い、親近感を感じた。

 

上原「ここに座ろっか」

 

高咲「う、うん」

 

公園に着くまでの間も私達はずっと手を繋いでいて、今ようやく解放された。

 

ここに来るまでの数分しか手を握ってた。

徐々に上原さんの手の温もりが抜けていって、なんだか寂しかった。

 

歩夢「高咲さん」

 

侑「な、なに?」

 

歩夢「どうして今日、私が高咲さんに声をかけたかわかる?」

 

しばらく考えるもなんでなのかは分からない。

 

歩夢「私の居場所はここじゃない」

 

侑「・・・え?」

 

唐突に上原さんは常日頃から私が抱えている思想と同じ事を言ってびっくりしてしまう。

 

歩夢「なんだろう。いつもの場所。いつもの友達。でもなんか違うなって・・・。もっと私には別の人生があったはずってそう思う事ってない?」

 

侑「別の人生・・・?」

 

私の居場所はここじゃない。

そう、頻繁に考える事が少なくはないが、別の人生があったはずとは考えた事もなかった。

 

歩夢「上手くは言えないんだけどね。私のこれまでの人生なんか違うなって」

 

侑「哲学的な話?」

 

歩夢「現実的な話。高咲さんって私と同じこと目をしている事があって。前から気になってたの。多分、私と同じ思想の人かなって」

 

あぁ、だから上原さんは私の事をチラチラみてたんだ。

 

侑「私っていつも学校で1人でね。私が人見知りって言うのもあるんだけど、もう一つ理由があって。上原さんと同じでここに私がいていいのかなって。この場所は本当に私の居場所なんだろうかって考えた事はある」

 

歩夢「でしょでしょ?あぁ、良かった。やっぱりそうだったんだ。夢、みたりしない?」

 

侑「ゆ、夢・・・?三億円当たったらとか?」

 

歩夢「違う違う。寝たら見る夢の事」

 

侑「あぁーそっちか」

 

歩夢「私は結構みるんだ。その夢では私はアイドルでひらひらのかわいい洋服を着て歌って踊っている。観客が振っているサイリウムの光が波打って、海のようでめっちゃ綺麗なんだ。私はあの光景を現実でもみたい」

 

侑「う、上原さんならアイドルになれるよ!かわいいもん!」

 

歩夢「あ、ありがと。でもね。そう言う話じゃなくて。私はあの光景を見た事がある。夢じゃなくて現実でちゃんと私自身がステージに立って歌って踊りながら・・・。私や多分高咲さんも何か忘れている事があると思うんだ」

 

侑「忘れてる?」

 

歩夢「この、居場所はここじゃないって感情はそんな簡単に切り替えれる感情じゃないと思うんだ」

 

上原さんは立ち上がる。

 

歩夢「私はあのキラキラなステージに立ってみたい。みんなを笑顔にして私も笑顔で歌って・・・」

 

私も立ち上がる。

上原さんの手を取って、真っ直ぐ見つめる。

 

侑「わ、私も手伝いたい!」

 

手をぎゅっと握り返してくれた。

 

歩夢「ありがとう!」

 

そして、上原さんは私を引き寄せて抱き締めた。

 

いきなりの事だったので引き寄せられた際に足がもつれてしまってバランスを崩す。

 

手を前に突き出すように倒れ、上原さんが私を受け止めようとするも上原さんまでバランスを崩してしまい。

 

私は上原さんに抱き締められたまま倒れてしまう。

 

ビチャっと嫌な音がした。

 

私達が倒れた先は芝生の上のはずなのに今日は雨が降っていないから地面は濡れていないはずなのに。

 

私達2人は緑色のカーペットの上に倒れていた。

景色がガラリと変わり、黄ばんだ壁紙。

天井には蛍光灯が不規則に並んでいる。

その中のいくつかはチカチカと瞬きしているかのようについたり消えたりしている。

 

ぶぅーーんとどこからか音も聞こえる。

 

[newpage]

 

 

Backrooms level 0

【lobby】

 

歩夢「いてて・・・」

 

湿ったカーペットから起き上がり辺りを見渡した上原さん。

 

歩夢「わ、私達公園にいたよね?」

 

侑「う、うん」

 

私も起き上がる。

カーペットは結構湿っていて体のあちこちが濡れてしまった。

 

それにこの匂い。

例えるなら生乾きの衣類の匂いだ。

辺りに充満している。

きっとこの湿ったカーペットのせいだろう。

 

侑「ここって・・・」

 

私にはこの光景に見覚えがあった。

この緑色のどこまでも続く通路と部屋。

湿ったカーペットに不規則にぶら下がる蛍光灯。

ネットで見た事がある。

 

侑「いや、そんなまさか・・・」

 

歩夢「ど、どうしたの?」

 

理解出来ないこの状況下。

私は今どこにいるのかを理解した。

 

いや、そんな事あるわけがない。

 

侑「だって、創作物なはず。現実にこんな事起きないはず!」

 

歩夢「高咲さん分かるの?今のこの状況」

 

侑「バックルーム。レベル0ロビー」

 

私達は異空間に飛ばされた。

 

なんで?さっきまで私達は公園で話てただけなのに・・・。

 

歩夢「バックルームってなに?これ、どう言う事なの?」

 

侑「わ、私も今起きてる事。信じられないんだけど・・・。説明は出来る」

 

歩夢「お願い」

 

上原さんはこの非現実的な状況下でも冷静でいる。

 

私も最初こそは驚愕していたが、不思議と落ち着いている。

 

後にそれはただ非現実的過ぎて逆に現実を受けいられていないだけだと思い知らされる事になる。

 

侑「バックルームはね・・・。インターネットで有名な都市伝説」

 

私は自分もこの状況をちゃんと整理出来るようにバックルームがどんなのかを説明する。

 

『The Backrooms

 

ネットで有名な都市伝説。

簡単に言えば、現実から外れ落ちた先の世界がバックルームと言われている。

 

ゲームの壁抜けってあるでしょ?

それを現実世界でやると辿り着く先がこのバックルーム。

ゲームのバグでよく暗い空間に行けたりするのとよく似てる。

 

このバックルームは何層もの階層で出来ていて、まず現実世界で壁抜けを行うと最初に辿り着く階層がここレベル0ロビー。

 

レベル0があるって事はレベル1やレベル2と階層がある。

最下層はあるとも言われてるし無限に続いてるとも言われてる。

 

階層には危険度があって0から5まで振り分けられてる。

0は安全1は少し危険2から危険度が跳ね上がり、5はもう絶対死ぬ。

 

このレベル0ロビーは危険度1。

少し危険。

でも、充分に注意をした方がいいと言われてる。

 

危険度1からエンティティと言われてる生物がどこかに潜んでいるかもしれない。

 

エンティティはゲームで言う所の敵みたいな物で、何種類もいる。

 

RPGとかだと、普通の攻撃をして来る敵もいれば麻痺状態にしてきたりとか、魔法攻撃したりだとか、毒攻撃をしてきたりとか、そう言う敵沢山いるでしょ?

そんな感じ。

 

有効的なエンティティもいるけど大体は攻撃的。

 

その敵がうじゃうじゃいるRPGの世界にただの女子高生がいきなり放り込まれたって言ったら分かりやすいかな。

 

武器もないし魔法も使えない。

エンティティに出会したら最後、死ぬか逃げるかしかない。

 

ただ、一つオブジェクトっていう物があって。

これも色々ある。

またRPGで例えると回復効果のある薬草や毒消しみたいな道具が落ちてるって考えたら分かりやすいかな。

 

でも、中には悪影響な道具もあるから迂闊に手を出せない。

 

大体、バックルームの説明はこんな感じ』

 

侑「上原さんゲーマーだから分かりやすくRPGとかで例えてみたんだけど分かったかな?」

 

歩夢「RPGって言うよりもローグライクによく似てるね。敵が出てきてアイテム拾って活用してって次の階層を目指すみたいな感じかな」

 

侑「ローグライク?」

 

歩夢「ほら、不思議のダンジョンってあるよね?あれだよ。入る度に地形が変わるーみたいな。1000回遊べるーみたいな」

 

侑「あぁー!そんな感じ!あ、でもね。不思議なダンジョみたいなゲームは1階だったら次の階層は2階になるよね?このバックルームはどの階層に行くか分からないんだ」

 

歩夢「例えばここからレベル100に行く事もあるって事?」

 

侑「うん。いきなり危険な階層に行ったりとかもあるみたい」

 

歩夢「なにそれ、クソゲーじゃん」

 

侑「うん。それに何度も言うけどこのバックルームはネット上の創作物。色々な人が考えて掲示板に投稿して様々な階層やエンティティが作り上げていってるんだ。そんな創作物でしかない都市伝説が本当にあるだなんて・・・」

 

歩夢「口裂け女もトイレの花子さんも本当にいるのかもね。こうなってしまったら。一番大事な事聞くね?脱出する方法はあるの?」

 

侑「ほぼ無いって言われてる」

 

歩夢「ほぼって、あるにはあるの?」

 

侑「う、うん・・・。でも、かなり複雑だし私もよく覚えてないし分からない」

 

歩夢「そんな・・・」

 

上原さんはもう一度この緑色の空間を見渡す。

 

歩夢「夢なら覚めて欲しい」

 

私も同じ事を思った。

今はまだこの世界を受け入れてない冷静にいられてるし発狂したり絶望したりせずにいられる。

 

歩夢「なんで私達がこの異世界に来ちゃったの?」

 

侑「多分、倒れた事が原因かも。よくわからないけど倒れた事が壁抜けのトリガーになってこの世界に来てしまったんだと思う」

 

あぁ、きっと私のせいだ。

楽しくお喋りしてたのに、あの時私がバランスを崩さなければ・・・。

ここに来る事も無かった。

 

きっと上原さんも私の事を恨んでる。

 

本当に夢なら覚めて欲しい。

 

上原さんと仲良くなった事も全部無かった事にしていいから。

 

こんな非現実、現実じゃない。

私は・・・私達は死ぬかもしれない。

 

歩夢「あ、ねぇ。また2人で倒れてみたらどう?」 

 

侑「・・・」

 

歩夢「聞いてる?高咲さん?」

 

侑「あ、ごめん・・・」

 

ダメだ。

何を考えても最悪を考えてしまう。

 

もう、元の世界には戻れない。

そんなの嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

 

歩夢「また2人で倒れてみようよ」

 

侑「やらない方がいいかも・・・。何も起こらないか、別の階層に行くかだと思う。もし、その階層が入ったら即アウトの階層だったら・・・」

 

歩夢「・・・私のせいだ。ごめん高咲さん」

 

侑「・・・え?」

 

歩夢「私があの時、ちゃんと受け止めてれば。こんな所に来なかった」

 

侑「ち、違うよ!私が倒れたからだよ!」

 

歩夢「・・・夢の中の私だったら。アイドルの私だったら高咲さんをちゃんと受け止めてあげれたのかな」

 

侑「違うよ・・・私のせいだよ」

 

栞子「はわわ~。久しぶりに来たら生存者さんだぁ。めずらしー」

 

私達以外の声が聞こえて、ほぼ2人同時に声の主を見る。

 

栞子「どうも~栞子ちゃんでーす」

 

声の主は両手でハートを作り、決めポーズをしていた。

 

歩夢「高咲さん、私達以外に人が!」

 

栞子「初めまして~。2人共、かわいい~。チューしたーい」

 

栞子と名乗ったこの人は不適な笑みを浮かべた後に投げキッスをした。

 

歩夢「あ、あの!私は上原歩夢!こっちは高咲侑です!いきなりこの場所に来て何が何だか分かりません。元の世界に帰る方法ってありませんか?」

 

栞子「あるよー。でも、タダー?何かちょーだい」

 

侑「な、何かって・・・」

 

栞子「ほらほら~。2人が持ってる鞄の中。何入ってるのー?栞子ちゃんに教えて欲しいな」

 

元の世界に帰れるなら、と私達は同時に鞄を漁る。

 

歩夢「私は学校のジャージに文房具。あとペットボトルのミルクティーとチョコレートとグミ。あと化粧品とスマホに生理用品」

 

侑「えーと、私もジャージ。それに焼きそばパンとクロワッサン。お茶にノートと文房具。あとスマホとイヤホンと小説。のど飴も入ってる」

 

栞子「んー?どれどれみせてー?」

 

彼女は近付いて私達のバックを見る。

 

栞子「特別珍しい物入ってないかなー?ライターとか懐中電灯とか欲しかったんだけど・・・どれもいらないかなー」

 

彼女は残念そうに背を向けた。

 

歩夢「い、いらないって事ですか?」

 

栞子「うん、いらなーい。欲しくないもーん。これってぇ、どういう事かわかる?」

 

私達と距離を取った後、彼女は振り返る。

八重歯を除かせてまた不適な笑みを浮かべる。

 

栞子「現実に帰る方法。教えてあげないってこ・と!あはははは!」

 

侑「そ、そんな・・・!」

 

歩夢「な、なんで!?全部あげるから教えてください!バックルームから帰る方法を教えて!お願い!何でもしますから!」

 

栞子「わぁ!バックルーム知ってたんだ。ネットとかYouTubeとかで知ったのー?本当にあるの驚いちゃうよね~」

 

侑「そもそもこの人本当に知ってるのかな?もしかして知らないんじゃ・・・」

 

栞子「知ってるよ」

 

声のトーンが低くなる。

 

栞子「あ、栞子ちゃんさー。魔法使えるんだよ。ねーみたいー?」

 

歩夢「ふざけるのもいい加減に・・・」

 

終始ふざけてるように見える彼女から私達は目を離してなんかいない。

 

なのに彼女は私達が持っていた鞄を、いつの間にか両手に抱えていた。

 

栞子「たらーん!鞄が瞬間移動しちゃった~。拍手は~?」

 

歩夢「え、うそ。・・・返して!」

 

上原さんが走り出す。

私をその後に着いていく。

 

栞子「あーぁ、怒っちゃった。バイバーイ」

 

彼女は逃げ出す。

それはもうとんでもない速さで。

 

私達は追いかけたけど、一瞬で姿が見えなくなり、足を止めた。

 

歩夢「何、あの女!むかつく!」

 

上原さんは地団駄を踏みながら、もう姿も見えない通路に向かって怒鳴る。

 

私は・・・。

もう、泣きそうだった。

 

折角の希望も打ち砕かれて、帰れると思ったのに荷物まで取られて・・・。

 

歩夢「高咲さん?」

 

壁を背にしてへたり込む。

 

侑「もう、終わりだ。飲み物と食料が入ってたのに・・・。ノートとか文房具も何か役に立ったはずだし・・・」

 

歩夢「高咲さん・・・」

 

侑「どうしよう・・・どうしよう・・・」

 

歩夢「あの人もっかい見つけようよ!見つけて帰る方法教えてもらって、元の世界に帰って・・・こんな事があったよねって2人で笑い話になる時がきっと来るって!」

 

侑「・・・もう無理だよ!」

 

歩夢「ううん。無理じゃない!」

 

侑「どうしてそんな事が言えるの?こんな空間にいきなり放り込まれて、荷物まで盗られて・・・。まだエンティティは出て来ていないけれど、きっとその内出て来て食べられちゃうんだ!」

 

歩夢「そんな事ない!私が高咲さんを守る」

 

侑「守るって・・・」

 

歩夢「だって高咲さんは私の夢を手伝うって言ってくれたから・・・あの言葉すごく嬉しかった。だからお礼に・・・」

 

上原さんはポケットから2枚のパスケースを取り出す。

 

歩夢「今はまだ勇気も自信も全然だから、これが精一杯」

 

高咲さんは私に歩みよって、パスケースを一枚差し出した。

 

歩夢「私の夢を一緒に見てくれる?」

 

この光景・・・どこかで。

 

一度、上原さんの手をぎゅっと握ってから差し出しれたパスケースを受け取る。

 

侑「もちろん。いつだって私は歩夢の隣にいるよ」

 

歩夢「・・・うん!」

 

侑「あ、ごめんなさい!いきなり名前で読んじゃって・・・」

 

歩夢「ううん。いいよ。歩夢で、なんか・・・すごく懐かしい気持ちになったし」

 

侑「わ、私の事。侑って呼んでよ!」

 

歩夢「えー。侑ちゃんって呼びたい」

 

侑「何で私だけちゃん付け?」

 

歩夢「分からない。でも、なんかそっちの方がしっくりくるかも・・・」

 

侑「じゃあ、私が歩夢で」

 

歩夢「私が侑ちゃん」

 

何か思い出せそう。

何だろう、歩夢が懐かしいと感じたように私もすごく懐かしい。

 

さっきのこと謝らなくちゃ。

 

侑「・・・ごめん。自暴自棄になってた」

 

歩夢「ううん。誰だってそうなるよ」

 

侑「本当にごめん。あの人もっかい探してみよっか」

 

歩夢「大丈夫だって、えっと栞子だったっけ?何とかして探さないとだね」

 

立ち上がり、通路の先を見る。

 

蛍光灯に照らせれて2人の小さな女の子が私達の先にいた。

 

思わず生唾をごくりと飲む。

 

歩夢も異常性を感じ、身構える。

 

姿形こそは小さな女の子と変わりない。

 

きっと、ある異常性がなければさっきの女性のように話かけていた所だろう。

 

この小さな女の子達は無いのだ。

目や口や鼻や耳が、無い。

のっぺらぼうだ。

理解した。こいつらは・・・。

 

侑「エンティティ」

 

小さくボソリと呟く。

出来るだけ彼女らを刺激しないように、歩夢に彼女達は敵だと知らせる。

 

歩夢「321で逃げよう」

 

歩夢も彼女達を刺激しないようにボソリと呟く。

 

怖い。恐ろしい。

しかし、歩夢は冷静だった。

この合図は心の準備。

危機的な状況を受け入れ恐怖を押し殺し、逃げ出す為の勇気を振り絞る合図。

 

歩夢「3」

 

体全身に力を入れる。

 

歩夢「2」

 

大きく深呼吸をする。

 

歩夢「1」

 

エンティティが金切声をあげる。

口もないのにどこからそんな声をあげれるのか疑問だった。

 

エンティティはこちらに向かってとんでもない速さで向かってくる。

 

あろう事か、エンティティ達はこちらの逃げる心の準備も与えないままた遅いかかってきた。

 

ダメだ。

恐怖で足が竦む。

 

出鼻を挫かれてしまった。

 

エンティティ達はもうすぐ目の前。

 

丁度、こちらに飛び掛かってこようとしている所。

 

2人共、私に向かって。

 

恐らく、本能で歩夢より私が殺しやすいと思ったのだろう。

 

ドンっと大きな衝撃。

 

肺の中の空気を全て吐き出した。

 

歩夢「侑ちゃん逃げてっ!!!」

 

少しの視界の暗転の後、歩夢がエンティティに取り押さえられる。

 

侑「歩夢!!!」

 

先程の大きな衝撃は歩夢が私を後ろへと突き飛ばしたんだ。

 

私の身代わりとなって。

 

歩夢「逃げてっ!」

 

侑「そ、そんなっ!歩夢!歩夢!」

 

歩夢「んぐっ!ーーーっ!!!」

 

エンティティから口を押さえられた歩夢は言葉にならない叫びをあげている。

 

圧倒的な力の差。

 

あんな小さな体のどこにそんな力があるのだろうか?

 

エンティティは容易く歩夢の体を取り押さえる。

 

歩夢「ーーーーーッ!!!!」

 

助けなきゃ。

 

ついさっき一緒にいるって隣にいるって言ったのに!

 

世界がスローになる。

 

もう身動きが取れない歩夢をこのまま見殺しにしていいの?

 

違うでしょ!

 

高咲侑。

 

スクールアイドル同好会のマネージャー!

 

 

私はスクールアイドル同好会のマネージャーの高咲侑。

 

なんでだろう?

 

この世界ではいつも一人ぼっちの高咲侑だった。

 

思い出した。

 

全て、思い出した。

 

私は高咲侑。

 

みんなのマネージャー。

 

歩夢のマネージャー。

 

「私の夢を一緒に見てくれる?」

 

大切な幼馴染。

 

今日知り合ったんじゃない。

 

ずっと一緒だった。

 

歩夢の言葉が頭の中で響いている。

 

あぁ、体が熱い。

 

血が全身を巡る。

 

吐く息が熱くなってく。

 

心臓の鼓動は速く脈打ち。

 

私は制服の右肩を掴む。

 

歩夢を救うただ一つの方法。

 

私はどうすればいいか知っている。

 

我は汝、汝は我。

 

頭の中で声が聞こえる。

 

偽りの自分を脱ぎ捨て、真実へと導く力。

 

この力の名前はペルソナ。

 

力を込めて制服を脱ぎ捨てる。

 

ヒラヒラと舞う、制服。

いや、これは偽りの記憶を持つ私だ。

 

そして、偽りの自分は私を助ける力となる。

偽りとはいえ、大切なこの世界を歩んで来たもう一人の自分なのだから。

 

脱ぎ捨てられた偽りの自分は光を放ち神の姿を借りて私の力となる。

 

侑「ペルソナァ!!!」

 

光は徐々に人の形を形勢し始める。

 

侑「クロノス!!!」

 

顔が時計の翼を持った機械的な人形へと制服は姿を変えた。

 

私の手にはリボルバー式の拳銃。

そして、私の格好はスーツになっていた。

 

侑「全部、思い出した」

 

侑「私の・・・歩夢を離してッ!」

 

リボルバーをエンティティ向かって構える。

 

シリンダーの中の銃弾が凄い勢いで回転しているのが分かる。

 

私のペルソナ。

クロノスの時計も同じ回転している。

 

侑「歩夢に触るなっ!!!」

 

2回、引き金を引く。

 

炸裂音が通路に響く。

 

銃弾は明らかに、エンティティとは別の方向へ発射された。

 

私は拳銃なんて扱った事がないし、能力に覚醒したとはいえ恐怖は消えてなんかいない。

命中なんてしないのが当たり前だった。

 

だが、明らかに別の方向へと放たれた銃弾はギャルルルと回転を強め。

 

導かれるようにエンティティの頭に向かって、軌道を修正し命中。

 

回転の力。

発射された弾丸は回転の力で軌道を修正し標的に向かう事が出来る。

 

歩夢を取り押さえていたエンティティ二人は脳天を貫かれて。

その場にパタリと倒れた。

 

[newpage]

 

【高咲侑】

ペルソナ クロノス(ペルソナ2罪)

 

ペルソナ自体の能力。

破壊力 C

スピードC

射程距離C

持続力C

成長性A

 

武器。

リボルバー式の拳銃。

 

特殊能力。

放たれた弾丸は回転の力で標的を追尾する。

弾数は6発。

弾丸は5分ごとに自動的にシリンダーの中で産まれる。

 

[newpage]

 

銃口から煙が漂い、それをフッと吹き消す。

 

エンティティは完全に機能を停止したようで、もうピクリともしていない。

 

私は慌てて歩夢の元へ、走る。

 

歩夢「んんーーーッ!」

 

エンティティの屍が歩夢の顔を覆っているせいで、声を出せないらしく。

私は手に持っていたリボルバーを置いて、屍をどかす。

 

侑「だ、大丈夫!?」

 

歩夢「はぁはぁはぁはぁ。ゆ、侑ちゃん?」

 

侑「よ、良かった。どこか怪我無い?」

 

歩夢の顔は口を強く押さえられていたせいか、口元の周辺が赤くなっている。

 

歩夢「だ、大丈夫みたい・・・」

 

侑「た、立てる?」

 

歩夢「・・・うん」

 

歩夢の手を引っ張る。

 

歩夢「いてて・・・」

 

このエンティティに引っ掻かれたらしく、歩夢の腕と右足には血が滲んでいる。

 

侑「た、大変だ!」

 

それに、制服は濡れたカーペットのせいでびしょびしょだ。

 

侑「わわわっ。どうしよう。風邪ひいちゃうし手当もしないとだし・・・。あ、鞄の中にジャージが!・・・栞子ちゃんから盗られたんだった」

 

鞄を盗った栞子ちゃんを思い出す。

栞子ちゃんは私達の事を知らない感じだったし、何より性格や口調が大きく違っていた。

 

歩夢「だ、大丈夫。ただの引っ掻き傷だから・・・」

 

侑「で、でも。こんなところで風邪ひいたり。傷口から何か変なものが感染したりとかしたら大変だよ!」

 

歩夢「う、うん。そうだよね。ふぅ・・・そうだよね」

 

歩夢はまだポカンとしてる。

きっとまだ殺されそうになった恐怖が抜けきっていないのだろう。

 

・・・そういえば、私は全て思い出した。

歩夢の事、栞子ちゃんの事。

スクールアイドル同好会のみんなの事や、本来の私の人生全てを。

歩夢はどうなんだろう?

 

侑「歩夢、私全部思い出したよ?歩夢はどうかな?」

 

歩夢「全部・・・?」

 

侑「うん、ほら。同好会の事とかみんなの事とか」

 

歩夢「同好会・・・?みんな?」

 

侑「そっか、歩夢は思い出していないんだね」

 

私が思い出したから身近にいる歩夢ももしかしたらと思ったけど、歩夢はまだ何も思い出せていないらしい。

 

でも、その片鱗は見せている。

 

公園で話した夢の事、あれは思い出しかけてるんだと思う。

 

その前に・・・。

近くにはエンティティの死体が転がっている。

こんな所じゃ、落ち着かない。

 

侑「とりあえず、場所を移動しよっか」

 

歩夢「う、うん。・・・その宙に浮かんでいる時計人間みたいなのは大丈夫なの?」

 

歩夢は宙に浮かんだクロノスをじっと見詰める。

 

侑「だ、大丈夫。これは味方だから」

 

歩夢「ってかあれ!?いつの間にスーツに着替えたの?」

 

侑「それも移動しながら話すよ」

 

私達はとにかく歩いた。

 

景色はずっと緑色のカーペットと壁紙。

方向感覚が狂いそうだ。いや、もう狂ってしまっているのかもしれない。

 

とにかく、どこを歩いてきたのか分からないしどこを歩いているのかも分からない。

感覚的には暗闇の中を歩いているのと変わらない気さえする。

 

でも、歩夢とこうして話ながら歩いているとなんとか気が紛れる。

もしかしたら、私達の話声や誰かとばったり会うかもしれない。

 

私のペルソナ、クロノスは引っ込めと強く念じれば煙となって消えた。

と同時に私はスーツ姿からいつもの制服にり、リボルバー式の拳銃も消えていた。

ただでさえ問題が山積みなのだからこれについてはどういう原理かは考えないようにした。

 

歩夢「・・・なるほど、急に頭の中に声が聞こえてそれから制服を脱ぎ捨てたらその脱ぎ捨てた制服がペルソナ?って奴になったと」

 

侑「うん。正直、この力が何なのかはまだ分からない。聞こえた声は偽りの自分を脱ぎ捨て、真実へと導く力って言ってた」

 

歩夢「その声はどこから?」

 

侑「んー。わかんないなぁ。頭の中で響いてた」

 

歩夢「くっこいつ直接脳内にッ!って奴かー」

 

侑「あはは、こっちの歩夢も面白いね」

 

歩夢「こっちの歩夢ってなによー。別人みたいに言わないで」

 

侑「あ、ごめん。そういうつもりじゃ」

 

歩夢「侑ちゃんが知ってる上原歩夢がどういう子か分からないけど、私は私だからね!」

 

侑「うん、そうだよね・・・。ごめん」

 

歩夢「ふふふ。いいよ。でも、自分に嫉妬しちゃうなー。なんかすっごく仲良かったって感じがする」

 

侑「幼馴染だからね。何するにしても一緒だったから・・・」

 

歩夢「あーぁ。やっと侑ちゃんと友達になれたと思ったのになぁ。なんかライバルが出来たって感じがする。自分との勝負って奴?・・・ねぇ。本来の記憶を思い出すってどんな感じ?」

 

侑「うーーーーん。とても、変な感じがするね。人生を2回歩んだって感じがする」

 

歩夢「その、本来の記憶を思い出した後、前の人格はどうなってるの?」

 

侑「残ってない。完全に本当の自分になってる。記憶だけが残ってるけど、前の人格はペルソナになったからじゃないかな?偽りの自分を脱ぎ捨ててペルソナが発現したんだし」

 

歩夢「そっか、じゃあもし本来の記憶を思い出して、侑ちゃんと同じ力に目覚めたら私はペルソナになるんだ」

 

侑「・・・あっ」

 

歩夢の一言で察する。

もし、歩夢が本来の記憶を思い出しペルソナ能力に目覚めたら。

私と同じように脱ぎ捨てられた人格はペルソナとなってしまう。

そして、前の人格は今の私のように残らない。

 

それって・・・まるで自殺だ。

 

歩夢「侑ちゃんは元の上原歩夢に戻って欲しい?」

 

私は・・・。

戻って欲しかった。

だけど、そんな事言えるわけない。

死ねと言っているようなものだ。

 

歩夢「なーんて。聞くのやーめた。戻って欲しいに決まってるじゃんねー。幼馴染だった私に。ほら、立ち止まってないで行こうよ」

 

いつの間にか足を止めていた私の手を握って引っ張る。

 

一瞬、本当に一瞬。

今まで見た事ないぐらいに悲しい表情をしていた。

 

 

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