というわけで作品の説明を少々失礼します。
今作も他作品キャラをモデルにしたオリキャラが何人か登場します(アインクラッド編では主人公とオリヒロインぐらいですが)
ストーリーに関しては基本的にアニメ基準とゲーム作品の設定を基準に進めていきます。
それではどうぞお楽しみください。
ソードアート・オンライン──通称『SAO』
天才「茅場晶彦」によって生み出された世界初の『フルダイブVRMMORPG』であり、現在世界で最も注目されているゲームだ。
なんと言ってもフルダイブ──つまりはゲーマーが今まで夢見た「ゲームの中に入り込み自らの体を動かしてプレイする」ということを実現したのがこのゲームが注目を集める理由だった。
だが注目度とは裏腹に、初期ロットとしてこのゲームが発売されたのはわずか1万本…これだけ注目のタイトルであればその100倍は用意しても恐らくは完売したであろう。
そこから始まった購入競走は社会現象すら巻き起こし、幸運にも1万人の1人に選ばれたプレイヤーたちはついにその日を迎えた。
それが命懸けの戦いの幕開けであるとはこの時誰もが知る由もなかった
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いっけなーい地獄地獄☆
俺はSAOビギナーのトウヤ18歳!
待ちに待ったSAOの正式サービスを迎えてこの世界に来たんだけど、突然全プレイヤーが広場に集められちゃって、何が起こるのかと思ったらなんとそこに現れたのはこのゲームの開発者である「茅場晶彦」を名乗る謎の赤ローブのアバターだったの!
訳が分からなくて混乱してると、なんとゲームクリアまでこの世界から帰れない、ゲーム内で一度死んじゃったら現実でも死んじゃうって言われちゃった!
みんなの姿も現実と同じに変えられたみたいだし、これからいったいどうなっちゃうの〜!?
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「いやー本当にどうなっちゃうんだろう…」
現実逃避で少女漫画の冒頭みたいな文章が浮かんできたがマジで笑えない…
待ちに待ったゲームの世界に意気揚々と飛び込んできたら突然『ゲームクリア目指して頑張れ!あ、死んだら現実でも死ぬからヨロシク!』とか言われてもどうしろと…
まぁ、多少ふざけたこと考えられてる分まだ余裕あるってことかな。周りを見渡せば茅場晶彦?が消えた空に向かって叫ぶ人に暴れる人、現実に返してと泣きだす少女、これは夢だと祈り出す人、それらを追い抜いて動き出す人…どう見ても阿鼻叫喚の地獄である。
「けど、いつまでもここにいる訳にはいかないよな…とりあえず動くか」
うだうだ考えてもどうにもならんのでまずはここから離れよう。まずは今後のことをまず決めないと。というわけで移動開始。
*
【2022年11月7日】
宿に到着。
考えてることを書出すために今日から日記を書いてみることにした。毎日書くつもりは無いが、この世界での思い出を少しでも残せればとも思う。…死んだらこの日記も残らんわけだが。
さて、今の状況を整理しよう。現在SAOには約1万人のプレイヤーが閉じ込められており、現実に帰還するにはゲームをクリアする以外の方法は無い。既に何名かはゲーム内のHP全損、または外部からの何かしらの理由でのゲームの強制終了により死んでしまっている。
ニュースでもこの事件は報道されており、今後強制終了によって無くなるパターンはほぼ無いだろうと「茅場晶彦」ことあの赤ローブのアバターは言っていた。
あとは現実でやつが捕まって帰れるようになるってパターンも無くはないけど…こんなことやらかす稀代の天才様がそこら辺考えてないわけないはずなので望み薄である。
結局、この世界から助かる道はゲームクリアのみとなっている。
楽しみにしてたゲームがまさかデスゲームになるとはなぁ…母さんたち今頃何してるかな?
恐らく…いや絶対心配かけてるだろうな。まぁあの両親と姉ちゃんならすぐに冷静になってくれるとは思うけど…爺ちゃんはたぶん爆笑してそうだな。…あーだめだ家族のこと思い出したら色々なことが気になってきた、納期が近い仕事もあったんだよなーそういえば…。
………よし、仕事のこと考えるのはやめとこう。たぶん爺ちゃんが何とかしてくれるだろうし、うじうじしてたらみんなにしゃんとしろって言われるだろうからな。
そうとなれば明日からは攻略のための準備を始めなきゃな。SAOは第1層から第100層まで存在する全てのボスを倒すことでゲームクリアとなる。ボスを倒すためにはフィールドを冒険し、モンスターを倒してレベルを上げ、より良い装備を手に入れる必要がある。
ここまではゲーマーなら誰でもわかるシンプルな理屈だ。唯一普通のゲームと違うのはトライ&エラーができないというところだろうか。
一度死ねば終わりな以上ギリギリのレベルや装備で戦いを挑むことは出来ない。少なくとも戦闘においては敗北から学ぶということは出来ず、確実な勝利を求められるということになる。
となると初心者の自分にはかなり厳しい話だ。まずはすぐにボスに挑むよりも戦闘そのものの経験を積むべきだろう。
使う武器に関しては幸い家庭の事情と仕事絡みで刀剣の扱いには慣れてる。この世界には刀もあるらしいし、手に入るまでは曲刀を使えばいい。あとは必要なアイテムとそれを揃えるための金がいるか。
よし、方針は決まった。明日からはしばらくレベル上げをしつつ、金と装備品を揃えにいこう。
必要なのは目標のために正しい努力をひたすら積み上げる、いつもの仕事と何ら変わらないし、俺の得意分野でもある。
なら問題ない、俺にはそれができる。
………いや冷静に考えて命懸けでクリア目指さなきゃいけないゲームっておかしいよね、できれば普通に楽しみたかったよチクショウ。
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【2022年11月8日】
ゲーム内のアラームに頼ることなく目が覚める。時間は夜明け前だが、現実でもこのぐらいに起きることは割と普通だったし、生活習慣ってのはゲームの世界でも抜けないもんだなと思う。
身支度を整え宿を出る、やはりというかこの時間に動き出している人間はほとんどいない。NPCだけが店を開いているような時間帯だ。
さて、昨晩は少しでもこの世界の知識をつけるためにメニューから閲覧できるヘルプなんかを読み漁ったが、まだまだわからんことが多すぎる。
その辺の情報収集のことも考えつつ初日に来た狩場に到着する。ここには『フレンジーボア』という名のイノシシのモンスターが現れる。攻撃もワンパターンの突進のみでいかにも初心者向けというような相手なのでまずはこいつで練習するとしよう。
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ひたすらイノシシ相手に練習を重ねてたらいつの間にか昼になってた。そのおかげで金も素材も溜まってきたのだが、曲刀の方が限界らしい。一旦街に戻るか。
それにしても職業病かな、武器の手入れもNPCに預けるだけですぐにできるってのはちょっと違和感があるな。研ぎの作業だって本来もっと時間かけてやるものなんだけど。
リアルで刀鍛冶やってるとその辺どうも気になって仕方ないんだよな。
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曲刀の修繕完了、昼飯を店売りの黒パンで済ませ再度フィールドに向かう。
あの黒パン不味くはないんだけど美味いと言うには少々あれなのでジャム的な何かがこの世界にないもんか、とくだらないことを考えながら街を歩いていると時間帯の割には人が少ないように思える。
恐らく戦うことを選んだ人間がフィールドに出ているからなのもあるだろうが、宿屋にこもってる人間も相当居そうだな。まぁ平和な日本に暮らしてていきなり『剣取って戦え』
なんて言われても無理な人間はいるよな。
その人たちを責める気なんてさらさらないし、むしろ当然の反応だとも思うからどうか心安らかに過ごしていて欲しいと思う。このゲーム戦う以外にも料理とか裁縫とか趣味方面のプレイも充実してたはずだし。
戦うことは一部の勇敢なやつか自分みたいな価値観ぶっ壊れたやつに任せとけばいいだろう。
今日は日暮れまで再びイノシシ狩りをして、帰ってきたらいらないアイテムなんかを換金しよう。塵も積もれば山となる、安いアイテムでも丸1日溜め込んだ量があればかなりの金になるだろう。金に余裕ができたら黒パンより美味いものが食いたいな。
【2022年11月10日】
あれから数日、同じような毎日を繰り返していたので日記は特に書かなかったが、今日は朝からとんでもない現場に出くわした。
ひとだかりができているから何事かと思って覗いてみれば、外縁から飛び降りようとしてる人がいた。
このゲームの舞台となる『浮遊城アインクラッド』その名の通り空中に浮かぶ巨大な城であり、その外縁から飛び降りればもちろんHP全損で即死である。
周りから聞こえる話によれば他にも何人かが飛び降りているらしく、それだけこの世界に閉じ込められたことに精神的な限界を迎えた人がいたことを実感する。
どうやら本気で飛び降りて死ねば現実に帰れると思っているらしく、周りからの静止も聞く耳を持たないという状況だった。
さすがにこのまま目の前で人が死ぬのを見過ごすのは寝覚めが悪いため一応声をかけてみる。普通に呼びかけたのでは反応しないのはわかっているのであえて徴発するように話しかける。──よし、食いついた。
でも外縁から離れてくれたはいいものの胸ぐらを掴まれてしまった、あ、まずい煽りすぎましたねコレ!?
だがそこからぶつけられたのは血を吐くような叫びだった
『お前に何が分かる!』
『呑気にこの世界で生きているお前と違って、俺には現実で大事にしてたものが沢山あるんだ!』
『俺は現実に帰る、だから放っておいてくれ!』
それは恐らくは多かれ少なかれ誰もが抱えていたであろう不安の発露だった。
それはそうだろう、誰にだって現実に大切なものが沢山あった。それを取り戻したくて自暴自棄を起こすのも仕方ないのかもしれない。
いっその事この手を振り払ってしまえば、彼にとっては救いになるのかもしれない。
けど駄目だ。
この手だけは離しちゃいけない。
このままだとこの人は何もかもを取りこぼしてしまうから。
そこからは必死に伝えた。
大切なものがあるならここで命を捨ててはいけない。
戦うことが怖いなら『いつか』を信じて待てばいい。
ただ待つことが不安なら武器を取る人間の支えになることだってこの世界ならできる。
そうすればきっといつか誰かが…自分がこの世界を終わらせてみせる。
だから諦めないでくれ、どうか自分から大切なものを手放そうとしないでくれ。
自分の思いを全てぶつけた時彼は泣き崩れていた、どうやら思い直してくれたようである。
にしても勢いに任せて色々言いすぎた…なんかとんでもなく恥ずかしいことをしてしまった気がする。
まだ蹲っている彼を周りの人に任せて退散する。こういう時はさっさと離れてしまうのが吉である。
…自分が終わらせるなんて勢いでも言ってしまったんだ、その言葉を嘘にしないためにも攻略のための準備を進めないとな。
【2023年11月12日】
なんでこんなことになったんや……
いつも通りレベル上げをしようと街を歩いている途中に声をかけられた。
このゲームに知り合いはいないので誰だと思って見れば、昨日自分が自殺をくい止めた彼──名前はゲンさんというらしい。
話を聞けば『自分を止めてくれてありがとう、なにか礼をさせてくれないか』との事だった。もとより見返りが欲しくて手を差し伸べた訳でもなし、礼はいらないと断ったのだが…ゲンさんは中々強情な人らしく、引き下がってはくれなかった。
ならばと
「今度はあなたが同じように苦しんでる人を助けて欲しい」
とお願いすることにした。同じ経験をしたことのあるこの人の言葉なら自分よりも届きやすいだろう…そう思って頼んだのだが、ゲンさんはこれまたいたく感動したらしく、終いには『あんたに着いて行かせてくれ!』なんて言われる始末だ。
この時点で面倒事になる気配を察したので、気持ちだけ受け取っておく旨を伝えてさっさと退散した……ここまではよかったんだ。
そう、問題なのは街に戻ってからだった。
いつものように余った素材を換金していると今朝と同じようにゲンさんたちに出会った…そう、ゲンさん
なんか増えてた、人数が、それも両手の指じゃ収まらん程度に。
よくよく顔ぶれを見てみると、あの日飛び降り未遂の現場にいた人が何人かいた。
何事かとゲンさんに尋ねれば話は予想外の方向に進んでいたらしい。
曰く、ここにいる人たちはみんなあの日の俺の言葉に心を救われた人たちだと。
曰く、皆戦うことは出来ないがそれでもあんたの言葉で自分にできることをやろうと立ち上がったのだと。
曰く、救ってもらった礼として、これからギルドを設立する。準備が整ったらここにいる人間全員であんたを全面的にサポートしていくと。
………どうしてこうなった。
いや、確かに
『戦う人間の支えになることは出来る』
みたいなことは言ったよ?でもだからって俺一人のためにそこまでしなくても……ああ、体制が整えば他のプレイヤーの支援にも回る?それならよかった。
いやよくねーよ!?
勢いでやっただけの行動でなんでここまでの人が動くことになってんだ!?
しかもメンバーの人に聞いてみれば
『まるで世界の平和を取り戻す勇者の物語のワンシーンみたいでした!』
とかめちゃくちゃ美化されてるし!
俺はこんなことをして貰えるような上等な人間じゃないとも伝えたが
『俺たちが勝手にあんたを支えたいと思っただけだ。だからあんたはこれまで通り好きに動いて、必要な時はいつでも頼ってくれ』
と言われてしまった。
駄目だ何を言っても考え直して貰えそうにない。だって全員曇りなき眼でこっちを見てくるもん…視線が眩しすぎる…思わず
『わァ……ァ……』
ってなってしまった。
まぁここまで来ればもうどうしようもないのでありがたく支援を受けることにした。
ゆくゆくはアイテム・装備作成からプレイヤーのメンタルケア、食料支援なども行う総合支援ギルドを目指すとの事だったので、そう遠くない内に一大組織になりそうな勢いである。
……なんとなくだが刀鍛冶として弟子を抱えてた爺ちゃんの気持ちが少しわかった気がする。
なんだか身の丈に合わない期待を背負ってしまったが、元々攻略の最前線に立つつもりなのは変わりない。
俺にできることは少しでも彼らの期待を裏切らないように精進するのみである。
というわけで第1話終了
前作でも登場したモブオリキャラゲンさん続投。色んな方の二次創作を見て個人的に思ったのが、アインクラッドで真面目に死亡者を減らそうと考えたら支援団体的なものがどうしても必要だよなってことなんですよね。ゲンさんが代表となりオリジナルギルドをこれから作っていきますが、当然主人公もガッツリ関わらせます。
ちなみに刀鍛冶としての知識はネットで調べた限りのもので描いていきますので間違った知識があるかもしれません、ご了承ください(変な鍛冶技術の話とか出てきても二次創作の話として流していただければと…)