ジャンクヤードの友人へ   作:生姜

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4話 おどろ沼と幽霊①

 

「イッキ、おどろ沼に行くわよ!」

 

「また急な話だねアリカ」

 

 

 コウジたちの襲撃から数日。

 休日を控えた放課後の教室で、アリカが急に打ち出した計画に、イッキはとりあえず仔細を尋ねることにする。

 

 

「どうしておどろ沼に?」

 

「この間、ユウダチちゃんに取材をする約束をしたじゃない? その段取りがついたのよ」

 

「それでなんでおどろ沼に行くことになったんだよ」

 

「それがね……」

 

 

 アリカが順に説明を行う。

 どうやら、ユウダチとコウジはカリンの外出に付き合っておどろ沼に行く予定があるらしい。

 おどろ沼はおみくじ町の北側にある山際の水場だ。散歩道として選ぶ人は少ないが、そこはコウジのこと。そのついでに近頃噂になっている「幽霊」について調べに行くのだそうだ。

 で、コウジとカリンが行くとなると、友人であるユウダチも一緒に行動する。ユウダチがおどろ沼にいる間、アリカと行動を共にして、一緒に取材を受けるという流れらしい。

 

 

「……にしても、スカート捲り事件が解決したと思ったら今度は幽霊かぁ」

 

 

 スカート捲り事件の犯人は、結局ロボロボ団だった。

 明るい世界にとか何とか言っていたが、半ば八つ当たりに近いイッキの猛攻により観念してもらった。女装していたために身を隠し、最後にはセレクト隊に手柄を譲ったものの、こうも事件が続くとは……と、微妙な心持である。

 

 

「大勢の人が謎の幽霊に驚かされている間にパーツを取られてしまっているんだって。こっちも一緒に取材できたら一石二鳥で良いんだけど」

 

「それは欲張りすぎじゃないかな? ユウダチだって忙しいんだろうし、集中してあげなよ」

 

「できれば継続連載記事とかにしたいわね」

 

「なんだかなぁ……」

 

 

 頭をかきつつ、イッキは来るおどろ沼に向けて準備をしなくちゃなぁ……と頭を悩ませ始めていた。

 

 

 

 

 

「あ、ユウダチちゃん。……え、おどろ沼に? 幽霊? ああ、パーツを盗難されているという……。ええ、ええ。……そうですか、ロボロボ団が。……判りました。ヒカルさんに連絡してみますね」

 

「なんじゃナエ。ユウダチからの連絡かの?」

 

「はいおじいさま。ロボロボ団の活動についての定期報告です」

 

「そうか。あやつにも随分と苦労をかけとるからの。さっさとヘッドシザースのパーツの改修を終えてやりたいもんじゃが」

 

「まだちょっとかかりますね。ふふ。今回はヒカルさんに頑張ってもらいましょう」

 

「あやつはあの格好にノリノリじゃからの……」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 翌日、イッキとアリカはおどろ沼へと訪れた。

 むき出しの地面と、合間を走る川が印象的だ。幽霊メダロットの噂があることも一因なのだろうが、元から不気味な様子がある山だなぁとイッキは感じるが。

 しばらく山道を進んでいると、花園学園の3人組が見えてきた。

 

 

「おはようございますアリカ、イッキ」

 

「おはようユウダチ! 今日は取材、宜しくね!」

 

「おはようカリンちゃん、コウジ。ユウダチもおはよう」

 

「はいです!」

 

「いきなり呼び捨てかよ……」

 

「はい。よろしくお願いしますね」

 

 

 合流してそれぞれが挨拶。

 それを済ませると、まずは5人揃っておどろ沼のほとりへと向かう。するとコウジがカリンが木陰に入る位置に陣取った。

 

 

「カリンは身体が弱いからな。できるだけ日陰で話をしようぜ」

 

「そうなの? 大丈夫カリンちゃん?」

 

「はい。少しずつ休んでいれば大丈夫なんです。お気遣いありがとうございます、イッキ君」

 

「イッキ、あんたって……」

 

 

 ジト目のアリカ。おそらくカリンにだけ優しくしているとか言い出すのだろうと、イッキが謝り、ユウダチがそれを興味深そうに眺めて……しかし、ふんすと切り替える。

 

 

「それでは行動方針を確認しますです。コウジとイッキは、噂の幽霊を探して勝負するんですよね?」

 

「おう!」

 

「多分……」

 

「もう、多分って何よイッキ! あたしはユウダチの取材をするんだから、幽霊の記事はアンタの働きにかかっているのよ!?」

 

「まあまあ、落ち着いてくださいですアリカ。幽霊については私も探しながらになるので、あわよくばアリカも目撃できると思うですよ?」

 

 

 鼻息の荒いアリカをなだめながら、ユウダチは続ける。

 

 

「とはいっても、わたしの主な目的はカリンの付き添いです。カリンは私と一緒にいるですが、歩き疲れたら休みますし、幽霊が歩き回って見つかるのなら苦労はありませんです。過度な期待はしないでくださいね。あ、その代わりに取材はなんでも受けるので!」

 

「う、うん」

 

 笑顔で言い放つユウダチにアリカは押され、頷いた。

 ……何だか威圧感のある笑顔だなぁ。と感じるものの、それも一時のこと。再び話し出したときには、既に威圧感は消えていた。

 

 

「それじゃあ解散にしましょうです。イッキ、コウジ、頑張ってくださいね。成果を期待していますです!」

 

「よし! 勝負だイッキ! オレは先に行くぜ!!」

 

 

 ユウダチが解散を告げるなり、コウジはどこかへと走っていってしまった。あんなに一目散に走っていくとなると、何か、あてがあるのだろうか。

 

 

「コウジ君は元気ですわね」

 

「うーん、取材のお供となるとあれくらい元気があったほうが良いわね」

 

「とはいえカリンをあの家から連れ出すとなると、コウジが重要な役目です。あれでも色々と頑張ってくれているですし、こういう時くらいは存分に熱血させてあげたいですよ」

 

 

 女子3人はといえば、揃ってコウジを見送った。

 さて。勝負をするとは言ったものの、イッキ自身は何も心当たりがない。

 だとすれば、

 

 

「暫く一緒に歩くです? イッキ」

 

「そうしようかな」

 

「まぁ、アンタは心当たりがある訳でもないでしょうし、それでも良さそうね。カリンちゃん、歩けそう?」

 

「はい。今日はお日柄も良く曇りですから、まだまだ歩けますわ」

 

 

 ユウダチの誘いに乗って、ひとまず、イッキは女子3人と行動を共にすることにした。

 

 





・ロボロボ団
 未だに小ズルイ悪さをしている組織。
 2のリメイク版においては黒の全身タイツで表記されているのだが、今作では続編を鑑みて金魚鉢+タイツの容姿を選択している。
 ゴキブリと同じくどこにでもいる、とはゲーム中のモブ少年の発言。言い得て妙だと私は思います。

・フラグ記号
 20161112、追記修正に伴う変更点として削除しました。あしからず。
 ちなみに、次の話に分岐点が移行しています。
 順次、追記修正の予定。
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