ジャンクヤードの友人へ   作:生姜

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   クジラだけれど幻ではない

 

 

 イッキの目の前に姿を現したのは「おおきなくじら」、だ。

 空を飛ぶわけでもない。夢をみせるでもない。他惑星から持ち帰られたわけでもない。

 遠浅の南国の水面にその姿をうっすらと覗かせる、ただただ大きく白いクジラ。

 ……いや、実際には喋っているのは目の前の姫様の友達、ナイトメア型メダロットのユートピアンな訳なのだが。

 

 

『おや。そのつもりで声をかけたってのに、驚かないのかい?』

 

「びっくりはしました。……けど、別に驚くような相手でもないですし。あ、クジラが話していることにはびっくりしましたよ?」

 

「イッキ、イッキ。話題がループしてますよ」

 

 

 ユウダチに袖を引っ張られて、イッキは頭を掻く。

 それもそうだ。自分でもよく分からないことを言っているので、びっくりしているのは間違いないだろう。

 

 

『まぁその反応をくれただけで満足としようかね』

 

 

 ユートピアンがアイモニターに「--」とかいう顔文字みたいな表情を浮かべて手のひらを上に。やれやれ、との身振り手振り。

 

 

「ふむぅ。……あ、お話を始める前にクジラさんにはお名前などはあるのです?」

 

『好きに呼べばいいさ、って言うとクジラさんで終わりそうだね。んー……勇魚の古神様。イサナガミとか呼ばれてたねぇ、世の中じゃ』

 

 

 あまり好きではなさそうな口調でそう語る。

 海中の影が少し身をよじりながら。

 

 

『まぁケナシザル(・・・・・)どもの呼び方なんてどうでも良いのさ。気にくわないから遠ざかっているんだからね、あたしゃ』

 

 

 棘のある言葉だ、と少なくともイッキは思う。

 けなしざる。言葉の通りにお猿の事でも、ターンモンキー(メダロット)の事でも無いのだろう。

 

 

「では、イサナガミさんで。あなたの言う所の『ケナシザル』―― ニンゲンのわたし達になにかご用で?」

 

『それはあたしも聞きたいねぇ。何しにここへ来たんだい?』

 

「その、この辺りに『まもの』が出るって聞きまして。僕たちはその『まもの』の起こした事件を解決しないと元の時代に帰れない……んだそうです」

 

 

 ほぉん、とユートピアンが首を傾げた。

 それもそうだ。突拍子もないことを言っているのはイッキの側である。

 イサナガミは海面を揺らし。

 

 

『成る程ねぇ……。最近妙な電波が拾えるようになったのは、アンタ達みたいなのが出入りするようになったからかい』

 

「電波が拾えるのです!?」

 

『ああ、拾えるともサ。暇つぶしにはなるねい』

 

 

 ユウダチがすっごいすっごい!とかテンションぶち上げで、ユートピアンの両手を掴んでぴょんぴょん跳ねる。身体の小さなメダロットなのでがっくんがっくん揺れるが、飛行型のメダロットなので何とかなっているようだ。姿勢制御の推進剤がぶしぶし漏れている。

 とはいえびっくりするのも無理はない。アンテナもないのに電波を拾えるとはこれいかに。

 

 

『もうちょっと昔のサル共に、ああいう物を沢山に埋め込まれていてね』

 

 

 ユートピアンが指さした南国風味の木の根元には、メダルがじゃらりと積まれていた。

 

 

『おかげで言葉ってのも理解できるし、今みたいに話しかけることも出来るようになっちまった。おまけに身体は制限を離れて大きく大きくなるばかり。どうしたもんかねとは思っちゃいるが、だからといって飯を食わないわけにもいかないじゃあないか』

 

「ほうほう……これまた難儀ですね。でもって、ケナシザルとか呼ばれる理由も判りましたです」

 

『そうかね。そっちの少年はどうだい?』

 

「まぁ、なんとなくは」

 

 

 人間が嫌いだ、ということで理解した。

 だとすれば。

 

 

「なぜ僕たちに話しかけてくれたんですか?」

 

『簡単さね。あっちの小島に、ここで面倒なことをしてた連中をとっちめてある』

 

 

 あっち。浅瀬で繋がっている歩いて行けなくもない小島の上に、全身タイツの集団(多勢)+黒タイツの女(幹部)が積まれていた。

 ……その横に1機だけ、装甲が泡だった(・・・・・・・)メダロットが倒れてはいるが。

 

 

「あれは……んー、女幹部のスルメとそのメダロット、ストンミラーですね。あの装甲の状態はなんなんでしょう」

 

『それだよ、アンタ達に話しかけた理由は。あれらを持って帰って欲しいのさ。都合の良いことに、持ち帰ってくれりゃあアンタ達の言う事件の解決ってヤツにもなるだろうさ』

 

 

 ユートピアンがふかしていた推進剤を止めて四つ足で地面に着地。両腕を胸の前で組み直す。気のせいか、後ろに落書きのような容姿をしたクジラが潮吹きしている幻影が見えるような気がする。気のせいだろう。

 幻影が眉をひそめて口をへの字に。

 

 

『ありゃイカン。アタシくらいに年を食っていりゃあ大概の出来事はどうでも良いに分類できるんだが……気にくわないにも程がある。こちとら折角、月のマザーの関知外にまで逃げて(バカンス)きてんだ。厄介ごとからは解放しちゃあくれんもんかね?』

 

 

 幻影かと思ったら実際に、その辺にあった木の枝と使ってユートピアンが落書きしていた。

 砂浜の上。尻尾立ちのクジラが愛嬌を振りまきながら腕を組んで、スゴい嫌そうな顔をしている。

 

 

「イカン、っていうのはどういうことなんでしょう? 確かにロボロボ団は、その、ちょっと面倒ですけれども」

 

 

 自分も今はロボロボ団的な格好をしているので強くは否定できず、やや口ごもりながらイッキは尋ねた。

 クジラの様子が描き換わる。リアクション。

 

 

『はん。こっちの子はあんまり詳しくは知らないようだね?』

 

「えぇと、ユウダチは知ってるの?」

 

「はいです。知ってるというか、ちょっとだけ携わっているというか ―― メダリアシステム、ですね」

 

 

 聞いたことのない単語だ。

 ユウダチはマントの内側でごそごそと何やら漁る。手のひらを指しだして、その上に、色とりどりの小さな宝石のような物が乗せられていた。

 

 

「これがメダリアシステム?」

 

「正確にはメダリア、そのものですね。システムはこれを解釈増幅する機能のことです。イサナガミさんが嫌っているのはこの機能のことでしょうね」

 

『そうさ。だってそれ、アタシの頭ン中と似たようなぐちゃぐちゃを作り出すための機構だろう。近くに居られちゃあたまったもんじゃあない』

 

「ヘベレケじいさまが開発したのは、確かにそうみたいですねぇ」

 

 

 だから、自分が身体を休めているこの区域からメダロットを持ち帰って欲しい。そういうことなのだろう。

 

 

『ああ。サル共はどうでも良いがね。ただ、そのメダロットが目を覚ましたら探しにまた此処に来たりするだろう? だったら一緒に連れ帰ってもらうのが一番さね』

 

「はい。そのお願いについてはもちろん、お受けするです!」

 

「だね。おかげで帰れそうだし。……メダリアシステムって言うのは、そんなに悪いシステムなの?」

 

 

 イッキは砂浜に倒れたストンミラーに駆け寄り、その身体を抱えながら尋ねた。

 装甲が泡立つ ―― つまりは熱を持っていたのだろう。ティンペットや駆動系に明らかなへこみやオイル漏れは見られない。少なくともイッキとしては見たことのないダメージの受け方だった。

 ざふざふとユウダチも駆けてきて。ユートピアン(イサナガミ)が身体を震わせながら。

 

 

『アンタ達のメダロットでも出来るだろうね。そういう(・・・・)ことは』

 

「僕は見たこと無いんですけど……」

 

「メタビーとヨウハクなら多分、メダフォースを多用してオーバーフローを起こせば出来るですよ。……メダリアシステムって言うのは、つまりは『演算機能を司る部分を複数作る』システムですからね」

 

 

 概要ですけれど、と付け加えるユウダチ。

 先ほどの宝石の様な物をもう一度つまみ上げる。

 

 

「これがメダリア。イッキ、どこかで見たことはありませんです?」

 

「うーん。……あ、メダルにひとつずつ付いているやつ!」

 

「その通り、です! わたしが持っているこれは完全な人工物でして。擬似的なメダルコアというヤツなのですよ! これをメダルに付与し、擬似的なマルチコア(・・・・・)にして演算能力を高めるシステム。それがメダリアシステムなのです」

 

 

 ちょっとだけ誇らしげに。

 しかしすぐにその勢いを引っ込めて。

 

 

「……けれども、このストンミラーの様子を見るにあまり良くはないようですね。構造的な問題がありそうです」

 

 

 ユウダチはイッキの腕からストンミラーを引き取り、その背中のメダルを緊急セイフティを使用してはじき出す。

 砂に塗れたメダルを拾い上げ、日にかざす。

 

 

「メダルの属性を示す絵柄がつぶれて、何のメダルだったのかも判別できないのです。……メダロットそれ自体の機構によって、回路(・・)だけにエネルギーが集中することはあり得ません。だので『理外の事情』によって負荷が祟ったようですね」

 

「それがメダリアシステムのせい?」

 

「そのようかと。ヘベレケ博士の謹製のものは元々リミッターを外していますし、死蔵されたレアメダルのコアを再利用していると話していましたしね。これは、システムの発案そのものに検討が必要でしょうか」

 

 

 私が関与している研究領域ではなくメダル関係の利権を持っているニモウサクさん家の分野で、アトムやナエさんや友人のヒカル兄様にお力を借りなくてはいけないでしょうねー。そうと続ける。

 

 

『まぁ何でも良いサ。早くそれらを持ち帰ってくれりゃあ、アタシとしちゃあそれでいい』

 

「はい! お手数をおかけしました、です!」

 

 

 海に向けてぺこりと腰を曲げるユウダチに合わせて、イッキも腰を折っておく。

 そのままストンミラーにメダルをぱちりと嵌めた。海水には浸かっていないので大丈夫なはずだ。再起動がかかって、読み込み音がして。

 

 

「―― うにょん。スルメ、さま?」

 

「ごめんなさい、スルメではないです。けどもその救助に来た別の幹部ですよ。シュコウと言います」

 

 

 目を覚ました彼女に向けて、ユウダチが説明を続ける。

 

 

「ああ、ご無事で、と、と」

 

「おっと。大丈夫?」

 

「はい。ご迷惑をおかけしますにょろ」

 

 

 よろけた体躯を支えた。ユウダチも反対側の腕を取る。

 

 

「しばらくぶりの起動みたいですから、仕方ないですよ。あとでわたしがメンテしますので……です?」

 

 

 ユウダチがなにやら視線を感じて海の側へと振り返った。イッキもそちらを向く。

 既にモニターの光りを落し砂浜に座り込んだユートピアの機体。スピーカーだけが再び音をたてる。

 

 

『ふぅん。なんでアタシがあんたらに声をかけられたのか、やっとこさ出所(・・)が判ったよ』

 

「? スルメやこの子(・・・)を引き取って欲しかったのではないのです?」

 

『それは理由(・・)サ。そもそもサル共に嫌悪を抱いてるアタシが、なんであんたらに話しかけようと思ったかって部分だよ。引き取りを頼むだけなら、あんたらのメダロットに頼めば良いだろう?』

 

 

 それもそうだ。

 メダロッチの中央に疑問符が浮かぶ(表示される)。どうやらイサナガミの声は、メタビーにも同時に聞こえていたようだ。

 ヨウハクも同様なのだろう。ユウダチも1度ケイタイを覗き込んでから顔を上げる。

 首を傾げて。

 

 

「なんでです?」

 

『あんたらがサル共と根本から違う感性(モノ)を持ってるからだよ。……一応聞くがね』

 

 

 イサナガミは少しだけ間を置いて。さざ波たて。

 

 

『なんでロボロボ団よりもメダロットを先に抱き起こしたんだい?』

 

 

 そう尋ねた。

 ユウダチが再び、反対側に首を傾げる。イッキも少し考えて……けれど、答えは決まっていた。

 

 

「この子がロボロボ団よりも近くに(・・・)居たから(・・・・)です。目に見える傷もありました。ロボロボ団達は少なくとも息はしているなと思っていたので」

 

 

 遠くから見ていてもそう思っていた。

 そもそもロボロボ団達が目を回したのは、イサナガミが操る(という表現が正しいのかは判らないが)ユートピアンの有する「妨害」の機能を使っているからだろう。

 そもそもがコーダイン王国のメダロットである。リミッターや三原則の類いはどうなっているかは判らない。しかし実際にこうなっている事実が先にあるので、考える必要があるとしても、後からでもどうにでもなる。そういうことを、つらつらと説明する。

 

 

「イッキのに加えて、抱き起こすというのは治療ではないですからね。医療知識があるわけでもありません。わたし達が治療出来るわけではないので。それにスルメ達がここに飛ばされたのは、多分わたし達に巻き込まれたからですよね?」

 

 

 そう言えばそうだ。コウジ達と向き合ったあの洞窟の中には、自分達の他には人は居なかった……という風に見えていた。少なくとも視界内には居なかったのだ。

 

 

「多分漁夫の利を狙っていたか、ついでにわたしを狙っていたかのどちらかでしょう。つまりは自業自得なのです!」

 

「そうなの? 仲間なのに?」

 

「一応は、という所ですが……わたしはちょっと外部の要員というところが強いです。ほら、衣装とかも違うでしょう? スルメはどちらかというとサケカースの一派。ヘベレケじいさまとも別の派閥になりますかね」

 

 

 生来からそうだとは。ロボロボ団というのはどうしようもなく「悪事を働くのが好きな集団」ということなのだろう。

 そう考えるとヘベレケ博士は首魁というよりロボロボ団を利用しているという面が大きいのだろうな、と思う。資金面はそっちから出ているようだし。

 そんなことを回想していると、波が一際大きく引いた。

 

 

『そんな所だろうなとは思ったけれどね。それは危機感がなさすぎやしないかい? だってアンタらが属しているのは、アタシが言う所のケナシザルの集団さね。……そこは、アンタらのメダロットの方が心配している気もするが……』

 

 

 メダロッチからの返答はない。

 呆れたような声だけが波音をかき消す。

 

 

『つまりは近くに居れば、アンタらはメダロットを先んじて助けるかも知れない(・・・・・・)んだろう。そういう事実を、アタシゃあ見た。だからだね。アンタらは人間離れ(・・・・)しているのサ。だから不思議と嫌悪を感じなかった。だから話しかけることが出来た』

 

 

 あんまり褒められている気はしないが……悪くはないのではないだろうか。少なくともイッキはそう思う。

 内容としては注意されているようなので、忠告は心に留めておこうとも思うけれども。

 

 

『まぁ、あんまり深刻に考えることでもないか。アンタらが例外だからって、アタシが積極的に話しかける訳でもない。この世界から帰れば、もう交わることもない。アタシにとっちゃあどうでも良い……』

 

「でも……でも。そのおかげで僕たちはイサナガミさんと話せたってこと、ですよね?」

 

 

 イッキは少しだけ早口で割り込んだ。そんなのは寂しいと思ったからだ。

 向こうが嫌っているから近づかない。仕方の無い事だ。けれどもイッキ達は、事実として今、イサナガミに助けられたのだ。少しだけ背を押した。そう言う程度の助力かも知れないけれども。だからイッキは、イサナガミに嫌悪なんて感じる理由がなかったのだ。

 長く感じる、ちょっとだけ呆気にとられたような時間。

 

 

『―― あっはっは! そうかも知れないね! ただ、サル共がみんなそうなることはないと思うわ。少なくともアタシが生きている内にはね』

 

「イサナガミさんがどれだけ長くを生きているかは知らないのです。近づきたくないというのも、実はわたしはちょっとだけ判ります。ヒカル兄様を見ていましたからね」

 

 

 今度は反対側から、ユウダチが割り込む。

 唇を結んで立ち上がる。

 

 

「……けれど、ここ近年の人類の進化は著しいのです。月はおろか木星にまで届かす ―― そんな手管を夢想するほどに。きっとそういう風に、今の人達も少しずつ変わっていくのだと信じているのです」

 

『ふん。そのせいで新たな(マザー)に目を付けられてるんだから、ザマァないがね』

 

 

 押しても引かず。イサナガミは嘲笑うような口調でごまかした。

 ざばぁん、と波が返る。沖で彼または彼女が身をひるがえした、その余波だ。

 

 

『アタシは暫く長らく、この世界でバカンスとしけ込ませてもらう。アンタ達の行く末も、気が乗ったら見届けるサ』

 

『―― 黙って聞いていりゃあな、おいバァさん!』

 

 

 三度に割り込んだのは、イッキのメダロッチから。メタビーだった。

 どうやらイサナガミは女性らしい。ユートピアンのティンペット性と別だ。メダロットにしか判らない何かがあるのだろうか。

 そのままメタビーが続けて声をはく。

 

 

『だとしても、イッキ達はオレらが守るんだよ。それが友達ってもんだろーが!』

 

『……ほぉん。出来るかね?』

 

『やってやらぁ! だからちゃんと見てろよ、バァさん!』

 

『はん。威勢のいいガキだね。……でも、まぁ』

 

 

 砂浜に座り、流木に寄りかかり、脱力したままのユートピアンが首をあげる。

 モニターが片目だけを映して開いて前を見る。

 そこには、ぼろぼろのストンミラーの両手を取って。空と海原を見つめる、少年少女が立っている。

 

 

『確かにアタシからのお願いだけを頼んで、借りを作ったままってのは気持ちが悪いからねい。その喧嘩、買ったろうじゃあないか! ちょっとだけ手伝ってもやるよ。きちんと見届けてやるからサ ―― 最後まで倒れんじゃあないよ?』

 

 

 楽しそうにそう言い残して、ファンサービスの潮を吹いて。

 イサナガミは沖へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 その後、イッキ達はコーダイン王国の民の力を借りてロボロボ団全員を収監した(檻に入れたので表現は正しい)。

 神官の力を借りて現代にも戻ることが出来ていた。最後に神殿でマルガリータが何やらこちらへ近づこうとしていたが、間に割り込んだユウダチによって突進を阻害されていたり。

 また遊びに来るからと言うことで頬が膨れるのを阻止。ついでに戻るためのロケットペンダントを貰ってお別れとなっていた。

 

 ちなみに原因であったプース・カフェはというと、悪戯の原因であるナイトメア型パーツ一式を没収。神殿でしばらく働くことで、放免となっていた。

 ちなみのちなみに、そのパーツ一式はイッキのメダロッチに格納されていたりする。マルガリータからのプレゼントということだ。

 

 のだ、が。

 

 

「……なんかパーツが変化しているんだよなぁ。なんでだろ?」

 

 

 ベッドに寝転がったまま、イッキはメダロッチの中を再び覗き込む。

 名前もなにやら変化していて判らない。メタビーに着けてみようかなとも思ったが、文字化けしているパーツを素で転送するのは怖いので止めた。土日にでもユウダチの所にいって調べて貰う予定になっている。

 

 ただし。

 パーツ全てが変化したため、一式揃えたメダロットの個体名だけは文字化けもなく読むことが出来る。

 型番は変化なくNMR(ナイトメア)。どうやら『フィーラー』と言うらしい。

 

 

「昔はこういうのも結構あったって、ナエさんから聞いたんだけどなぁ。メダルとかパーツが変化するの」

 

 

 ただそれは「ヘ・ビー」メダルの印刷ミスの様なものとは違って、メダロッターとメダロットそのものに害を与えかねない現象だ。

 詳細を調査したメダロット社およびロボトルリサーチ社の公式会見によると、メダロットの未解明の部分に依存するナノマシンの環境刺激による形状記憶の変化……とやらであるらしい。

 よく判らないが、色々と解決はしたようだ。今では変化する内容は公表され、メダロッター諸兄は十分に注意した上で行うようにとの注意喚起がなされている。

 もちろん、その中に今回のような変化は書かれていなかったが。

 

 

「……イサナガミさんと出会ったのといい、考えることが色々とあるなぁ……」

 

 

 メタビーのこと。ユウダチのこと。ヨウハクのこと。あのストンミラーのこと。

 アリカが調べていた花園学園はどうなったのだろう。行方不明(となっていた)の子ども達は。

 メダリンクのロボトルランキングも、もう少しでアジア最上位が見えてくる。

 

 そんな風に沢山のことを考えている内に、イッキの意識は眠りの中へと落ちていった。

 






 単発。
 ばあさまが説明くだすったので予定よりもちょっと長くなった。
 ソシャゲしながらで所要2.5h。


・イサナガミ
 メダロットのゲームシリーズにはおりません。出展は漫画版より。
 メダロットシリーズの〆を飾るための客員。とても印象深いかたなので、気になるお方は完全版をご購入どうぞ。

 海を眺めて手を繋いでいたり。
 水溜まりの上で、揃って空を見上げていたり。
 そういう部分の感傷を詰め込んだ表現だったりします。悪しからず。


・メダリア
 漫画版とゲームではかなり扱いの違うシステム。
 漫画版は結局、明言されたんでしたっけ……? 私は少なくとも記憶になかったので、こういう風にゲーム内の扱いとの間で折衷して、独自解釈しています。
 ゲームにおいては外付けの熟練度装置。私としてはむしろ、メダルによっては上がらない熟練度がある新世紀メダロットの方がちょっと……うーんって感じです。なんというか、リミッターかけられた気がするやなって……。


・ヘ・ビーメダル
 印刷ミスだったり、ロボロボ団の陰謀(意味ないだろ)だったりします。
 ところでなんで点が入ったんです……?(素朴な疑問。

 思い出すのはダイチ戦。
 避けすぎだろ。あとウイルスなんでそんな威力あんの。


・パーツ変化
 陶器とかが該当した機能だったと記憶しています。
 必要か……?(棘がある


・人間離れ
 若者ですので……。


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