お嬢様と往く、『スーパーロボット大戦31』   作:和鷹聖

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皆様どうも。
戦闘描写もない前話に反響あって非常に嬉しいです。
それではいよいよバイオネット本拠地襲撃ですがその前に……


……なんか思いっきり話が脱線しちゃったよ!


という訳で、まだバイオネット本拠地戦はまだお預けです。
では、どうぞ。


14 お嬢様、巻き込まれる。

 

『 セプルクルム 』

 

《……ンー、つまりお前は『別の世界』のラミア、だと?》

《状況から判断すると、おそらくそうなるな。》

《ンー……》

 

バイオネット本部襲撃より1週間前、ところ変わって異空間『セプルクルム』内にて、ソムニウムたちがざわついていた。

もちろん原因はラミアである。

彼らの予想よりも、世の動向が速いため、彼らもまた行動を早めようとしていた。その中でソムニウム同士力を合わせようとしていたが、その中で説得が厄介なのが目つきの鋭いモンゴルの民族衣装風の姿のソムニウム、羅漢(らかん)。一族の中でも秘術において右に出る者はいないソムニウムであり、実力も高く、故に誰よりもプライドが高い。

そんなソムニウムの協力が不可欠な中、説得を試みる中、ラミアが突如意識を失った。

そして次目覚めた時、どうしようもない違和感を感じ、羅漢もまたその違和感に気づき、指摘するとその通りであった。

事情を聴いた羅漢は(いぶか)しみ、不安そうにラミアを見つめるのは光を全身に纏った女性型ソムニウム、ユーヤ。

いきなりの事に戸惑うソムニウムの一人、褐色肌の少年僧の姿であるガジュマルは、隣にいる赤頭巾に臍出しセーラー服の少女姿のソムニウム、シャーラと顔を合わせ、動物の毛皮を纏った大男、ヒイラギは珍しそうにラミアを眺め、吟遊詩人姿のソムニウム、ライは陽気に吟遊詩風に歌を歌うのはいつもの事。

 

《ハハハハハ!羅漢の説得を試みようとした矢先、ラミアくんが非常に愉快な事になりましたなぁ。》

《うるさいぞライ!しかしお前は本当に別の世界……からなのか?》

《まったく同じに見える。別人かどうかわからないわ。》

《僕たちの事はわかる?ラミア。》

《ああ、ここにいる全員の事は十全に判る。しかし世界の有様が私の知るところではないのは確かだ。故にこの肉体もなのか精神だけなのか、それは不明だが、間違いなく『違う』と断言出来る。》

《……ラミアはこれからどうする?》

《心配するな、ユーヤ。私はソムニウムのラミア。そうである以上、我々ソムニウムの成就すべき事は変わらないはず。》

《……『パトリアの(とき)』、ですな。》

《もちろんだ。我らが悲願は変わらん。》

《ンー、その言葉に嘘偽りはないようだな。》

《ああ。》

 

ラミアの言葉に一応だが納得した羅漢。他のソムニウムたちも安心したようだが……

 

《……ンー、とはいえ、今まで通りとは言えん状況よな、古のソムニウム、ラミアよ。》

《……》

《判っているぞ、私にも。『パトリアの刻』を迎えるために、『覇界王』との対決で力を貸して欲しい、というのだろう?》

《『覇界王』は命ある者を光にかえる。我らソムニウム、今こそ力を結集すべし。》

《そこだ、『パトリアの刻』が真実、成就するとしても、私は己が力だけで『覇界王』を滅する。お前らに協力する気はない。それにラミアよ。お前に我らを束ねる力があるか、そもそも今のお前が族長として我々に指図する資格があるのか?》

《……やはり応じぬか、ならば羅漢……ここで雌雄を決するのみ。》

《強者のみが意志を貫ける……古の儀礼だが、それでも良かろう。》

 

羅漢はブライドが高く、こういうところはきっちりしていないと気が済まない気質である。

他のソムニウムたちもやれやれといった様子であるため、こういったやりとりはある意味日常茶飯事なのだろう。

しかし、そこに珍客が……

 

「……あ~、何か変なタイミングで来てしまいましたわ。」

「こういうところはいろいろ持ってますね、お嬢様。」

《何奴だ!?》

「これは失礼。私はカルディナ・ヴァン・獅子王・アースガルズで御座います。」

「私はお嬢様のメイド……従者のヴィータです。」

 

来たのは我らがお嬢様、カルディナ・ヴァン・獅子王・アースガルズ公爵令嬢とメイドのヴィータ。

しかし、ここは異空間『セプルクルム』、偶然入り込んだとかそんな言い訳が通るぐらいで入れるような場所ではない。

 

《ニンゲンが、このセプルクルムに……いったいどうやって!?》

《待て、ガジュマル。》

《ラミア!?》

《どうしたのラミア。何故止めるんだい?》

《このニンゲンに心当たりがあってな……カルディナとやら、もしやお前は、あの『二代目』キトリーの孫か??》

「二代目??あ、はい。確かにキトリーは私の祖母ですが……って!!まさか貴方はあの時のラミアさんですか!?」

《……やはりか。》

「はわわわ……」

「そうでしたか、あの当時は申し訳御座いませんでした。」

「申し訳、御座いませんでしたぁ!!」

 

互いに認識し合った瞬間、カルディナは頭を抱え、ラミアは無表情ながら呆れた。

目の前にいるラミアは、カルディナが過去にフレメヴィーラへ留学した折に祖母に無理矢理戦わされたラミアであった。(同情アリアリ)

ヴィータと共に謝っている辺り、カルディナの動揺は酷いものだ、本当に申し訳ない。

その光景を見ていたソムニウムたちは、しばらく唖然としていた。

ライは笑っていたが。

 

《ハハハハッ!!ラミアくん、そのニンゲンは何者でしょうか?》

《それに『二代目』って誰?》

《この者はカルディナ。以前私を単身、世界の壁を突き破って、この孫のいる世界に引っ張り、そして瀕死だったこの身を回復させた超常のソムニウム……ソムニウムが二代目族長キトリー、その孫だ。この者もソムニウム……半分は、だが。》

《……ンー、ンー……??ラミア、キトリーとやらの話の下り、随分と話を盛ったな。『二代目』は確かに超常のソムニウムだったと聞く。だがそれは数千年も前の話だぞ。それにそのニンゲンがソムニウム?そんな気配はないが……》

《これから得る予定の『ソキウスの実』ですら不可能なのに、ソムニウムが実も使わず単身、世界の壁を突き破ってラミアを引っ張り込むだなんて……というかソムニウムなの?そのニンゲン。》

《世界の理を無視してない?そうは見えないけど。》

《言いたい事はわかる。だが、見た方が早いか……羅漢よ。》

《何だ。》

《先ほどの力試し、この二代目の孫にさせる。》

「ちょ……!!ラミアさん!?」

《……正気か??古の儀礼の殺生与奪を他者に預ける等と。》

《実力を見ればわかるだろう、荒唐無稽ではない事を。無論、こいつが負ければ羅漢、お前の言う通りにしよう。》

 

何という事でしょう、あっという間にカルディナが羅漢と戦う手筈になってしまった。

いつの間にか知らない負債を負わされた気分である。

もちろん事前の打ち合わせも、何もない!

 

「ちょっとラミア!どういう事ですの?!」

《そのままの意味だ、羅漢と戦え。どちらにせよお前の存在を見せねば、ここセプルクルムから無事出れると思うな。》

「うぐぐ……!」

 

ここに来たのは、存在を察知したが故、ソムニウム同士、挨拶に来ただけなのだが裏目に出てしまった……あとアルジャーノン怖し。

 

《それに……あの時会った頃より、お前は()()()()だろう?光に闇……2つの力が合一している。その力……私が無視すると思うか?》

「……そこまでわかるとは、お見逸れしましたわ。」

《……ちなみにここには何をしに来た?》

「いえ、ただご挨拶に来ただけなんですが。」

「この世界にもソムニウムがいるとあらば、やはり挨拶なければ、と思い立ちまして……」

《…………本当にそうなら、悪い事極まりない。》

「まあ、私が来たからこそこの様な騒ぎになってしまったのは仕方ありません、で有れば……」

 

《 良いでしょう、お相手して差し上げますわ。》

 

額のチャクラより光が発し、カルディナのリミピッド・チャンネルがソムニウムたちにはっきり伝わると同時に、カルディナのアルビノの瞳の白い結膜が紅く反転して染まり、ソムニウム独自の瞳へと変化する。

同時に抑えていた力が解き放たれる。

その様子に、羅漢は関心する。

 

《ンー、一端の力はあるようだ。いいだろう、ラミアの代わりとして相手をしてやる────泣き言は聞かんがな。》

 

羅漢と共にいた象、トラ、狼が呼びかけに応え、どこからともなく数体の野生動物達が現れた。そして……

 

《 ペクトフォーレス・サンクトゥス! 》

 

《ンー、見せてやろう、私の力を。》

 

野生動物達が『ペクトフォーレス・サンクトゥス』により、その四肢が細かい肉片となり、羅漢の身体に融合……サンクトゥスする事で、全身に動物たちが合わさり、8メートルにも巨大化したその姿は人型の合成獣(キメラ)

 

《ほほう、あれがサンクトゥスか。本当に発現出来る者が存在していたんですね。》

《七色の……粘着細胞。》

《サンクトゥス……それは生体融合の技。》

《……凄い力ですわね、野生動物の肉体を秘術(サンクトゥス)によって細胞レベルで変化させ、合力して自身の力にする……お見事ですわ。》

《私は個にして獣王!!獣王を組み伏す事が出来るか、カルディナとやら!!》

 

見上げる程の巨体の光景にカルディナは人一倍感心する。

しかし……

 

《……ですが、合力したのは良いのですが、すっ……ごく動物たち、嫌がってません??》

《………》

 

力は凄いのだろうが、その言葉に融合している動物たちの目から光るものが……

時々、いやいやしており、カルディナの言葉にうんうんしている。

右腕に狼、左腕にトラはいい、だが象は……どうして胸ではなく、下半身に付けた!?

○○○か!?僕は○○○扱いなのか!?と、サンクトゥスの影響かは知らんが象が泣いているぞ!?

同意せずの合力は、非常に嫌がられるもの……同意しても嫌がりそうな気もするが。

カルディナの言葉に、一瞬にして『動物たち、可哀想ムーヴ』が発生。

実は無理矢理従わされていた動物たち、意識がクリアになり、察してくれて感謝すらしている。

そして非常に空気がやり辛く、羅漢も思わず無言。

 

《羅漢……》

《動物たち、かわいそう。》

《羅漢、流石にそれはないです。》

《う、五月蠅い!おい、カルディナとやら、そこまで言うなら貴様はどうか。》

《解ってますわよ。それにしても貴方は『実』は使わないのですね?》

《ンー、笑止。どんな『実』を喰らおうとも、今の私には勝てんよ。この身体はそれ程の力を有している。》

《……でしょうね。それじゃ次は私ですわね、え〜と……》

《二代目の孫、これを使え。》

 

ラミアが投げてよこしたのは『フォルテの実』。

 

《これは……》

《そちらからわざわざ来たのにこの非礼だ、詫びの気持ちも込めてお前に渡す。》

《わざわざどうも。しかしストックは……》

《……心配するな、まだ山のようにある。》

《あ~~~~……》

《フッ、『フォルテ』か。確かにそれは強力だが、それだけでは今の私には勝てん。我が合力はフォルテをも凌駕する……というか、今何と言った??》

《何も。》

《気のせいだ。》

 

戸惑う羅漢だが、2人ははぐらかした。

とはいえ、祖母の名前が出た以上は、その名に恥じぬ戦いをするのがお嬢様流。

奮発して懐から更に『フォルテ』『ネブラ』も取り出す。

そして羅漢が何を、とも思う前に、カルディナは3つの実に力を込める。

 

《それではいざ…… 

ペクトフォーレス・サンクトゥス(合 さ れ)! 》

 

それは『力』と『霧』と『力』を一つにする所業。

それが今、超常たる『竜』へと昇華する!

 

《何!?》

《『実』を……1つに!?》

 

3つの身が遺伝子レベルで合わさり、一つになった実、その名を『ドラコーの実』。『フォルテ』や『ネブラ』よりも一回り、二回り小さいその実をカルディナは丸呑みにする。

『実』とソムニウムが一つとなった時、ソムニウムは『実』の力により、その姿を変える事が出来る。

その姿は……『灰の竜』との言われた竜型の変身態、『(ドラコー)』である。

その場にいたソムニウムは未だ見た事のない『(ドラコー)』の姿に驚愕し、一度見た事のあるラミアですら、キトリーとの変わりように驚いていた。

灰の竜(キトリー)』と違い、10メートルほどに巨大化した緑と赤の光のラインが身体中に走る竜鱗を纏う身体に、竜の翼、次いで天使と悪魔の翼というべき6本の双翼が背部に、そして絶対何かギミックがあるだろう!と言わんばかりの鎧のごとき巨大なパーツが頭と手足と胴体と尻尾に。

その姿はソムニウムたちからすると異形の一言。ソムニウムとしてはとしては色々突っ込みどころ満載の存在が現れた。

 

《これぞ我がソムニウムの秘術のより編み出した……名を『レース・ドラコー』ですわ。》

《レース・ドラコー……!》

《ラミア!あれは何だ!?》

《知らぬ。私も見たのは初めてだ。だが以前に見た二代目より力を洗練……いや、足したようだ。それが積み重なって起きた変化のようだ。まだ劣るところはあるようだが。》

《……あれで劣ってるの??》

《あの『レース・ドラコー』、光と闇の気配を感じる。》

《どうやらそれすらも内包しているみたいだ……何なんだあいつ。本当にソムニウムか??》

《ハーフとお聞きしましたが、それ故に混ざっているようですが……色々混ざり過ぎですな、ハハハハハッ!!》

《……というか、大丈夫か羅漢。》

《!?》

《うん。あれ、下手すれば羅漢が死ぬ。》

《!?!?!?》

 

それぞれの力量を見抜いたラミアとシャーラの言葉に、強い不安を覚えるソムニウムたち。

当然羅漢も『レース・ドラコー《カルディナ》』より発せられる、ソムニウムとは似て異質の力に武者震いに似た感覚を感じていた。

 

《……ンー、訂正しよう。お前は全力で相手をする。》

《お褒めの言葉、どうもありがとうございます。》

《ンー、では……先手は貰うぞ!!》

 

油断を払拭し、羅漢は走り出し、『レース・ドラコー《カルディナ》』に振りかぶった拳を叩きつける。おそらく『レース・ドラコー《カルディナ》』以上もあると思われる質量は、合力状態の羅漢の一撃はひとたまりもない……が、『レース・ドラコー《カルディナ》』は自身の長い尻尾で受け止めた。

ちなみに一つ補足しておくが、『古の儀礼』とは、古来よりソムニウム同士が意見が分かれたり、相手を従わせたいとする時に行われた、ド突き合いの事である。

故に『実』の特殊能力、必殺技は使わず、拳と拳、己が五体を使い、相手が参ったと言うか、明らかな勝利と判断されるまで戦うのが習わしである。

それは|森人(エルフ)であっても変わらず、カルディナもやった事があるとか。

 

《たかが尻尾で我が拳を受け止めるとは、やるな!!》

《お褒めの言葉ありがとうございます。それでは、今度はこちらの番ですわ!!》

 

尻尾で拳を受け止めたまま『レース・ドラコー《カルディナ》』は両腕の『可変式光学回線結晶装甲(ヴァリアブルファイバークリスタルフレーム)』を長いI字状の物体に変化させ、早い踏み込みと共に両肩を打突、からの怯んだ羅漢の腕にからませた尻尾で高く持ち上げ、地面に叩きつける。

そこから薙ぐように腕を振り羅漢に当てに行くが、転がって薙ぎ払いを回避。すぐさま立ち上がって構え直し、更に一打。今度は胴体の中心を捉える……しかし。

 

《……硬い!?いや、衝撃が霧散した?》

《ちょっとした受け身の応用ですわ。浸透勁の様な技もお使いのようですが、無駄無駄無駄ァ!!の一言!!あとマギウス・アーマーッ!!》

《ンー、だがその技は単純な一撃はいなすだろうが、連撃では無意味と見るが。》

《……う、鋭い。》

《では、これでどうだ!!》

 

今度は合力した象の鼻より、高圧の水流が飛ぶ。

ウォーターカッターとなった高圧水流が『レース・ドラコー《カルディナ》』を襲う!

しかし浴びてはいけないと言わんばかりに、全力で回避!!

リンボーダンス顔負けに90度直角に仰向けになり、その後起き上がる。

 

《くぉら!!ナニを飛ばしてやがります、羅漢!!!》

《ンー?ただの水で、高圧で飛ばしているだけだが。》

《絵面の問題ですわ!!》

《……ンー、何を言っているんだお前は。》

 

お前に人の心はないのか!?

……あ、ソムニウムなのでありませんでした。

それでも回避したいのはヒトの心故に!!

さらに秘術を唱えようと、詠唱する羅漢だが、『レース・ドラコー《カルディナ》』は反撃に転じて咆哮、強い衝撃波に姿勢を崩される羅漢の目の前に、両腕の『可変式光学回線結晶装甲(ヴァリアブルファイバークリスタルフレーム)』を|手甲に変化させ、拳と尻尾を構え、急接近する『レース・ドラコー《カルディナ》』の姿が。

 

《それでは私の近接攻撃(インファイト)、とくとご覧あれ!!》

《しまっ───!?》

アぁぁータタタタタタタタタタタタ───ッ!!!

《───ッ!?》

 

拳と尻尾の超連打に防戦一方を強いられる羅漢。

北〇の拳のケ〇シ〇ウ並みの超連打に加えて、予想外(アウトサイド)から来る尻尾の連撃は簡単に防げるものではない。

トリッキーさと手数の数、そして小手先の多さと最大出力で、お嬢様に勝てると思うなかれ。

だが、それでも拮抗するのが羅漢。一度拳と尻尾をパリィして、今度は超連打同士のぶつかり合いが始まる。

 

《ンー、この程度で勝てると思わぬ事だ!!》

《やりますわね、ならピッチを上げますわよ!!ついて来て御覧なさいッ!!》

《舐めるな!!》

 

拳打による重い衝撃と、尻尾の打突による鋭い衝撃が、何重にもセプルクルムに響き渡る。

 

《フハハハハハ!何という怒涛っ!!》

《オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ──!!!》

《あ、掛け声が変わった。》

《おらおらおら~。》

《無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄──!!!》

《また変わったぞ。》

《むだむだむだ~。》

《ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ──!!!》

《どらどらどら~》

《……どれだけバリエーションがあるんだよ、あいつ。》

《アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ──!!!》

《ありありあり~。》

《……何か、シャーラが影響受けてるぞ?》

《シャーラ、大丈夫か!?》

《フハハハハ!!あのお嬢様は非常に愉快ですな!!》

 

しかし、一つ忘れてはいないだろうか?

羅漢の両腕は狼とトラ、つまり動物さんの頭である。

いくらサンクトゥスで強度が上がっているとはえ、そんなのでカルディナの拳と超連打合戦を行えばどうなるか……

 

……動物さん、ぴえん。

 

《……くっ、心が、痛みますわ。動物さんを私に殴らせるなどと!!》

《……羅漢。》

《動物さん、かわいそう。》

《う、うるさい!!こちらを煽るとは……これがお前のやり方か、カルディナ!!》

《それに関しては無罪、潔白を主張します!!》

 

味方(ソムニウム)から白い目で見られる羅漢に、冤罪を掛けられるカルディナ。だが、こうなっている以上、ある程度はギルティだろう。ちなみにカルディナは自身に害をもたらす獣は、容赦なく排除する派である。

そしてその超連打合戦も徐々に『レース・ドラコー《カルディナ》』が押しており、羅漢は押され始め、遂には……

 

《────アリィィーーヴェ、デルチッ!!!》

《ぐはぁっ!!?》

《ありーべ、でるち。》

 

真芯を突いて宙へと打ち飛ばした『レース・ドラコー《カルディナ》』が競り勝った。

シャーラも「むふー」していた。

しかし地に伏した羅漢は、まだ戦えると言わんばかりに身体を起こす。

だが見るからに超連打の応酬は満身創痍の身体に変えている以上、誰の目にも羅漢自体も無事ではないように映った。

当の羅漢もそのプライドだけで立ち上がろうとしており、実際は限界を超えつつあった。

だが、その目は死んではないが、正気も失せつつある。

 

《ああもう、あれは完全に死に体でも喰らい付く目ですわ、面倒極まりない……こうなったら一つ、技を使いますわ。ラミア、殺しはしませんが気絶させてもよろしくて?》

《そうしてくれ。羅漢の力は今後の我々に必要不可欠だからな。》

《解りました。なら、この戦いの終局と致しましょう……》

 

6枚の翼を羽ばたかせ、『レース・ドラコー《カルディナ》』の周りにいくつも集まり、局所的な風の渦が出来上がる。

目の前に、局所的な風が巨大なX字になって羅漢を襲う。

 

《受けなさい、『サイコ・エクセレス・ウェーブ』!!》

《おおおおおおッ!?!?》

 

真正面からX字の風を当てられた羅漢の巨体は、その場でミキサーにかけられたように渦を巻いて振り回される。そして抗おうとしても風は羅漢を拘束して放さない。

その渦の正体は『指向性超音波衝撃波』。『サイコ・エクセレス・ウェーブ』は『ネブラ』には後頭部の鞭状の器官、『レース・ドラコー』には尻尾にある器官『クラッシュウィッパー』で相手の物質構造を解析、その固有振動数に合わせ特定の物質のみを粉砕・破壊する超音波を放つ必殺技である。

また、6枚の翼によりその超音波の構成形状は変化させることが出来、収束する事で渦を巻いた超音波を放つことが出来る。

当然ながら、6枚の翼はそれぞれ『サイコ・ヴォイス』、または『ソリタリーウェーブ』に相当する『サイコ・ウェーブ』をそれぞで放つ事が出来るが、『サイコ・エクセレス・ウェーブ』は解析した固有振動の超音波を指向性を持たせ、幾重にも重ねて放つ事が出来る『相手が死ぬまで攻撃を止めませんっ!』的な攻撃である。

X字なのは避け辛くさせるのと、カッコいいから。

ただし、今回放ったのは解析した固有振動よりわざとズラした超音波であり、粉砕・破壊は出来ないが、ギリギリ生命活動に支障ないレベルの振動を与えるように調整したので、全身の細胞を振動させる事は出来るため、渦が消え、地面に伏す頃には羅漢の意識はブラックアウトしていた。

 

《……それまでだな。》

 

そして決着。

まさか羅漢が手玉に取られるような事態が起きるとは思わなったソムニウムたち。

『レース・ドラコー』が白化し、ボロボロになった中からカルディナが現れる。

羅漢も合力が解けた影響で、動物たちも解放され、そそくさとどこかへ隠れてしまった。

そして一息つくカルディナの元に、ラミアは歩み寄る。

 

《礼を言う、これで羅漢の力を借りる算段が付いた。》

《それはどうも……しっかし、ただご挨拶に来ただけで何でこうなるのかしら?ちなみにラミアさんは『ドラコ―』を精製出来まして?私がいない場合、どうするおつもりでした?》

《『フォルテ』で対応しただろう。それに《ドラコー》は即興では不可能だ。時間をかければどうにかなるが、今回は使うつもりはなかったがな。》

 

出来なくはない、らしい。

 

《そうですか、随分博打な事で……》

《お前なら『二代目』の名を出せば、ああするとは思った。》

《……お見通しでしたか。見た目によらず、人を乗せるのがお上手で。》

《古の儀礼で勝ったのだ、何か礼をしたいところだが……》

《結構です。そもそも挨拶にしに来ただけなのですが……そうですわ、一つだけ。》

《何だ?》

《これからの、皆様ソムニウム方の今後のご予定をお聞かせいただけません?礼はそれで結構。》

 

そしてカルディナはソムニウムたちの情報を得る事が出来たのだった。

 

それと……

 

(そういえば動物たちに思念体が紛れていましたが……あれは阿嘉松長官の娘さんの……紗孔羅ちゃん、だったかしら?確か今も昏睡状態で眠っているって話ですが、彼女の意識はここにいたのですね。)

 

 

『 GGG医療室 』

 

「……サンクトゥス、それが勝利の……鍵。」

 

昏睡状態のまま眠る阿嘉松長官の娘、紗孔羅。彼女は過去にベターマン『オルトス』とベストマン『カンケル』の戦闘を知覚した影響で昏睡状態に陥っていた。

だがその後、その精神はセプルクルムに存在し、自身の身体に繋がりながらリミピッド・チャンネルを受信し続けていた

その様子を長い間見ているのはGGGに入隊した彩火乃紀。阿嘉松長官同様に彼女もまた紗孔羅の身を案じる者の一人であり、日々紗孔羅を見守っていた。

 

「紗孔羅……またリミテッド・チャンネルから受け取った情報を……」

「……あ、ぞうさん。」

「……紗孔羅?」

「……ぞうさんのお鼻、おっきい……泣いてる……ぽたぽた……」

「紗孔羅、夢の中で何を見てるのかしら……ぞうさん?」

「ぞうさんなのに……下の鼻が大きいとは……これいかに……」

「紗孔羅……貴女いったい何見ているの??」

「ナニを……とばして……やがりますぅ~?」

「飛ばしたぁ!?ナニを!?象さんから!?」

「……絵面の……もんだいですわぁ~。」

「紗孔羅さん!?本当に何を見てるの!?どんな絵面!?」

「あーたたたたたた。」

「ちょ!紗孔羅、何と戦ってるの!?ケイちゃんが見てた某格闘漫画の台詞じゃない、それ!?」

「ありありあり~、ありーで、べるち。」

「ああ!!本当に何かと戦ってるの!?しかも何か止め差しちゃった!?」

「……おっきいぞうさん……いっちゃった、ぴえん……」

「イッちゃった!?ぞうさんが!?阿嘉松さん、紗孔羅が、紗孔羅がぁーーー!!!」

 

知らないところで、弊害もあった。

 

「何だ??火乃紀のヤツ、何を騒いでいるんだ?解るか?ポルコート。」

「どうやら映像記録によると、リミピッド・チャンネルを介して紗孔羅さんが、彩隊員が取り乱すような発言があったようです。」

「なんだと!?」

「……聞きようによっては下ネタと取られるような発言もあったりなかったり。」

「……リミピッド・チャンネル、でか?」

「はい。」

「なんだそりゃ……もうすぐ『月龍』と『日龍』、『翔竜』が南極近辺のブラックオーシャンの調査から帰ってくるってのに……訳が分からん。」

 

 

『 ローマ市内 』

 

それから一週間後、カルディナ一行はドライストレーガーより一足早く、バイオネット本拠地があるローマ市の周辺に来ていた。

商会の仕事もあり、現地へ訪問したカルディナたちは、視察も兼ねて市内を散策していたが、人通りが少ないのに気付いた。

 

「人通りが極端に少ない……どうしてでしょうか?」

《ヴィータ様の疑問ですが、現在、ローマ周辺ではバイオネットによる強行誘拐が横行しています。ですが、ローマ周辺にはバイオネットに対して対抗手段が乏しく、現状住民たちが外出を控えるしかない状況に陥っています。》

「なるほどね……そうだわ。」

「どうしました?」

「ちょっと名案を思い付きまして。」

《……その名案、ドライストレーガー側の作戦行動に非常に迷惑が掛かると推測します。》

「どちらにせよ、止めた方が賢明かと。」

「……そうですわね、自重しますわ。」

《まあ、お嬢様が誘拐に巻き込まれる事はないでしょう。》

「そうですね、一番誘拐に縁の遠い方ですから。」

「……ヴィータ、V.C.、それどういう意味かしら?」

 

そしてカルディナとヴィータはC商会の取引先へと赴いた……

 

 

……そしてその先で、バイオネットに誘拐されたのだった。

 

 

《NEXT》

 


 

《 現在公開出来る情報 》

 

〇『実態竜(レース・ドラコー)

カルディナが『フォルテ』×2、『ネブラ』×1をサンクトゥスした実で変身態となった姿。

キトリーの『(ドラコー)』と『実』の性質は一緒であるが、大きく変化したのはカルディナの身体の構成によるもの。

ソムニウム変身態の物質(肝細胞+肝硬変の物質)+ケラチン構成の有機物質(有償)に、対しAZ-M+Gストーン、Jジュエルが大きな変化をもたらしている。

間違ってもカルディナは純正ソムニウムではないので、違いはここから来ているため、ラミアの評価の通り『足して起きた変化』。

全身の『可変式光学回線結晶装甲(ヴァリアブルファイバークリスタルフレーム)』や、6つの翼(セラフィムウイング)は契約している天使、悪魔から力を得ている事や、マギウス・ガオガイガーの機体構成からイメージを得て作り出されている。

必殺技は各翼と口から放つ『サイコ・ウェーブ』の他、指向性と継続力を持たせ、X字に放つ『サイコ・エクセレス・ウェーブ』。

また、未公開ではあるが、『可変式光学回線結晶装甲(ヴァリアブルファイバークリスタルフレーム)』をブレード状に変化させて物資崩壊点(クァラブルポイント)を突く『クァラブル・スティンガー』。

 




物語の冒頭を書いたつもりが、多くなっちゃった(テヘペロ)。
後悔も反省もない。
『30』と漫画版のミックス的な話を予定しつつ書いてましたが、お嬢様要素が加わると、色々おかしくなるなぁ、おい。
紗孔羅と火乃紀のやり取りは漫画版を見返した際に普通に書いていたのですが、ちょっと変えたら火乃紀が可哀そうな事に。

そして「あのお嬢様が誘拐された!?嘘でしょ!?」展開発動~。

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